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水曜日, 7月 06, 2016

「Wild West Tech」|Laura Morton シリコンヴァレーの若者たちの「リアル」

 

写真家がとらえた、シリコンヴァレーの若者たちの「リアル」




フランス人エンジニアのギョーム・ラショは、Uberのアプリ開発を担当している。彼が働いているのは、「20 Mission」の屋根の上。ホテルをシェアハウスに改装したこの場所には、スタートアップの起業家たちが多く住んでいる。



誰も真似できないようなアイデアでスタートアップを立ち上げ、世界に変革を起こす。

ローラ・モートンの写真がとらえるのは、そんな成功を夢みてサンフランシスコ・ベイエリアにやってきた若者たち、意外と普通で、たまに奇妙な日常だ。




10社中9社のスタートアップは失敗に終わる。

その事実にもかかわらず、世界に変革を起こして金持ちになるという夢を抱いて、サンフランシスコ・ベ イエリアに押し寄せる人はあとを絶たない。誰もがその業界におけるUber的存在になりたいと考えていて、世界には人々の感情表現を助けるアプリや、暗闇 で光るパーティグッズを売るオンラインストアを必要なのだと信じている。

ローラ・モートンは、この狂った世界に飛び込み、「Wild West Tech」を携えて浮き上がってきた。彼女が現在制作しているこのシリーズ作品では、技術屋たちがキーボードを叩きまくるネットワーキングパーティやハッカソン、数々の小汚い仮宿の様子を垣間見ることができる。




Rothenberg Venturesの イヴェントでVRヘッドセットを試している女性。Rothenberg Venturesは、立ち上がって間もないテック企業に投資しているヴェンチャーキャピタルだ。特にミレニアル世代の創業者に注目しており、最近 「River」と呼ばれるVR事業を促進するプログラムを始めた。



人は一晩で変わる。ほんとうに

「わたしが出会った人のほとんどは、自分たちは歴史的にユニークな時代に生きていて、世界をもっとよくする、何か優れたことを成し遂げられるのだと感じていました」とモートンは話す。

「全員ではないものの、大金持ちになれる可能性に色めき立っている人もいました」

多様性と「何者にでもなれる」というアイデアに惹かれ、モートンは10年前にノースカロライナ州のチャペル・ヒルからサンフランシスコへ引っ越し た。

そのころ、サンフランシスコでは第2次ITブームが起きていた。Twitterのユーザー数がまだ少なく、ファーストネームだけでユーザー名を取得で きた時代だ。彼女が出会った人々は皆、何らかのスタートアップに携わっていた。彼女も興味はそそられたが、何かしようとは考えなかった。

しかし、2011年にLinkedInが90億ドルでIPOを成功させ、友人がミリオネアになったとき、彼女の考えは変わった。「悪い意味で、彼は本当に変わってしまいました」と彼女は語る。

「いまが、とても若い人々がまさに一晩で巨大な富を築き上げる特異な時代だと気づいたのは、そのときでした」
Magnum Foundation Emergency Fundか ら4,750ドルの助成金を受けて、モートンは活動を開始した。彼女はネットワーキングパーティやサイレントディスコに顔を出し始め、20代の若者が無料 のビールを片手に口説き合い、巨大なクマのぬいぐるみの上でいちゃつく大規模な“抱擁パーティ”にも参加した。参加を続けるうちに、散らかったアパートや シャレたコワーキングスペースに招待されるようになった。



人とぬいぐるみでぎゅうぎゅう詰めとなった“抱擁パーティ”。

(左から順に)ノラ・レヴェンソン、ニック・コール、オリヴァー・ページの3人が、ネットワーキングイヴェント「Startup and Tech Mixer」で人々と交流している。

(左から順に)サンディー・フランク、マッケンジー・ヒューズ、ダニエル・ガリオッティの3人は、ニューヨークに拠点をもつスタートアップ、Akimboで働いている。ヒューズとガリオッティは、都会のヴェンチャー企業向けプログラム「Tumml」に参加するために、夏の間サンフランシスコに来ている。フランクは彼らのインターンだ。3人はよくヒューズとガリオッティのアパートで仕事をしている。

参加者全員がヘッドフォンを着けて、DJが流す爆音を聴いて踊るサイレントディスコ。このイヴェントは、20 Missionの3周年を記念して開かれた。

プレシータ・パークで行われた、アプリ「Picnic」ベータ版のローンチパーティーで、開発者のアンドリュー・ハインズ(写真中央)がトラブルシュー ティングをしている。「Picnic」は、アプリから出されるお題に合わせて、特定の感情を表現したセルフィーを撮るゲームだ。

カリフォルニア大学バークレー校のフットボールスタジアム内で開催された、36時間のハッカソン「Cal Hacks 2.0」。同イヴェントには、10カ国143校から2,071人の参加者が集まった。ハッカソンは通常数日にわたって開催され、プログラマーやソフトウェア・ハードウェアの開発者たちが制限時間のなかで協力してプロジェクトを進める。賞や景品があることが多い。

Shirts.ioが主催した37時間のハッカソンで、キーボードの前で居眠りする女性?

プログラマーのベン・グリーンバーグが、20 Missionの自室で仕事をしている。以前Lyftで働いていたグリーンバーグは、現在、暗闇で光るパーティグッズを売るglowyshit.comで働いている。

(左から順に)エイドリアン・ティボドー、ライロッド・レヴィ、そしてエイドリアン・ショメトンの3人が、フラタニティハウスの裏庭でタバコ休憩をしてい る。3人はピア・トゥ・ピアの通貨交換プラットフォーム、「Weeleo」の共同創業者だ。夏の間、アクセラレータープログラムに参加するために、フラン スからサンフランシスコにやってきた。レヴィと(ここに写っていない)4人目の共同創業者は、節約のため、夏にアパートを借りる代わりにカウチサーフィン を選んだ。

感情表現を助けるソーシャルアプリ「Feelit」のモハメド・アルカディ、アルバラ・ハカミ、アビー・ウィスチニアの3人が、「Startup and Tech Mixer」で自社ブースに立っている。

「Galvanize」 のデータサイエンスプログラムの休憩中に、昼寝をしているレヴ・コンスタンチノフスク。キャンパスはサンフランシスコの公園をテーマにデザインされてい て、彼が寝ている公共スペースはドローレス・パークに似せてつくられた。Galvanizeは、テック企業のオフィスと学校を組み合わせた場所で、米国の 各地にキャンパスをもっている。

Startup and Tech Mixerで、PuzzleboxのCEOで創業者、スティーヴン・カステロッティが「Puzzlebox Orbit」をお披露目中。「Puzzlebox Orbit」は、脳波で操作するヘリコプターだ。

20 Missionの共用キッチンで夕食を食べている同居人たち。オーストリア出身のダレン・リー(写真左)は、テック企業でのカスタマーサポートに仕事を探 すあいだ、ここに一時的に住んでいる。リオル・ノイナー(写真右)は南アフリカ出身。彼が開発した駐車アプリ「Parko」を携えてスタートアップ・アク セラレータープログラムに参加中だ。プログラムがある数カ月のあいだ、ここに滞在している。


ただし、日常は「普通」

何時間ものあいだ、誰かが延々とコード入力やデータ処理をしているのを見るのはかなり退屈だ。

そんなところで、人を惹きつける写真を撮るのは難しい。ときにモートンは、表情やジェスチャーが現れるのを何時間もかけて待つこともあった。

その忍耐強さのおかげで彼女は、VRに没頭し過ぎて部屋に誰もいなくなったことにきづかなかった女性など、ほかの人なら見逃したであろう瞬間をとらえることができた。「風変わりで面白い瞬間を、常に探し求めています」とモートンは語る。


そういったちょっとした瞬間が、「Wild West Tech」を面白い作品にしている。モートンが写し出しているのは、テック業界での生活の退屈さ、そして普段使っているさまざまなアプリやガジェットを開 発している者たちの日常体験だ。シリコンヴァレーを、風刺されている通りの場所と考えるのは簡単である。

しかし現実は、HBO(編註:米国のケーブルテレビ局)で目にするよりももっと普通で、かつ、もっと面白い。


「好況というものは本質的に、ちょっとクレイジーで滑稽なものです。でもそれが、写真をとても面白くしてくれるものなのです」と彼女は話す。





TEXT BY LAURA MALLONEE


WIRED(US)

日曜日, 4月 17, 2016

「スマートドラッグ起業」

 

 

シリコンヴァレーでブームになっている「スマートドラッグの起業」


シリコンヴァレーでは、認知能力を強化する「スマートドラッグ」を開発するスタートアップが人気になっている。
その領域は、錠剤からゼリー、さらにはウェアラブルデヴァイスにまで広がっている。













机の上には書類の山とノートパソコンと、鳴り止まない電話。
PCの隣には古き良きコーヒーカップが置かれていて、集中力を維持するのを助けてくれ る。これが、わたしの仕事環境だ。
しかし、もしわたしがスタートアッパーなら、コーヒーの代わりに恐らく“錠剤”があるのだろう。


『リミットレス』(脳の能力を100パーセント発揮させるクスリが登場する映画)の1シーンのように、シリコンヴァレーの若い天才たちの間では、いまやヌートロピック(向知性薬)、いわゆるスマートドラッグの利用が広まっている。


利用しているのは、プログラマーや開発者、それに企業の経営者だ。
自身の認知能力を高めて、ぶっ続けで最大36時間もの間、中断することなく仕事に没頭できる。加えて、完全に合法。実際、サプリメントとしてアメリカ食品医薬品管理局(FDA)から認可を得ている。

そして、この背景から、人をよりスマートで生産的にしようとするスタートアップが誕生することになった。マーケットは大きな潜在性をもっており、すでに重要な投資家たちが集まりはじめている。


ジェフリー・ウー(グルーポンの元プロダクトマネジャー)とマイケル・ブラント(YouTubeの元マネジャー)が創立したNootroboxは、 この分野で最も知られたスタートアップの1つだ。
多くのスタートアップ、なかでもツイッターやフェイスブックのような大手に投資をしてきたヴェンチャー キャピタル・アンドリーセンホロウィッツが、このサンフランシスコのスタートアップ企業に注力していて、200万ドルもの投資を行った。

Nootroboxは“脳のための栄養素”に特化して、さまざまなスマートドラッグを実現している。目玉製品は「Go Cubes」。カフェイン、テアニン、糖、ヴィタミンをベースにした興奮作用のあるゼリーキューブだ。
3杯分のコーヒーが供給するのと同じだけのエネル ギーを補給する(神経症を引き起こすことはないと、彼らは約束している)。
さらに、記憶力とストレス耐性を向上させる錠剤「Rise」、エネルギーを供給する「Sprint」、睡眠を助ける「Yawn」といったラインナップもある。

ほかの企業として、Trubrainも、 神経活動を刺激するものとしてカフェイン、テアニン、マグネシウム、カルニチン、アルファGPCをベースにしたエネルギーカプセルや飲料のキットを提供し ている。彼らの使命は「自社の製品に天然の成分のみを利用して、消費者をコーヒーや医薬品の過度の使用から解放すること」だという。

商品として考えられるのは、サプリメントだけではない。カナダのスタートアップ・Jouleは、非常に特殊なウェアラブル機器を市場に投入する準備 をしている。カフェインで刺激を与えるブレスレットだ。

4時間の間、ガラナ、アミノ酸、亜麻仁油の抽出物を含むバンソウコウを通して、1杯のコーヒーと同じだけのエネルギーを供給する。彼らは「(コーヒーを求めて)長い列に並んだり、歯が黒ずんだり、カロリーを摂り過ぎたりせずにすむわけです」と語り、 クラウドファンディングのIndiegogoで潜在的な出資者たちにアピールした(下記動画)。






今後数年のうちに、あらゆる企業の仕事は、労働者のエネルギーのピークに従って編成できるようになるだろう。それは錠剤によって達成され、ウェアラブルデヴァイスを通してモニタリングされる。「わたしたちの目的は、スマート錠剤とウェアラブルデヴァイスをもとにしたプロトコル(手順・規約)をつくり 出すことです」と、ジェフリー・ウーは明かした。「これは、新たな経済の働き手たちが、常に最高のパフォーマンスを発揮するのを助けます」




一方で、ケンブリッジ大学の神経科学者、バーバラ・サハキアンは警告を投げかける。
「わたしたちは、体に対する実際の影響がどのようなものとなりうるか、まだ知りません。というのも、健康な被験体における長期間にわたる安全性に関して研究が行われたことはないからです」

エンジェル投資家たちはこの市場に賭けることにしたわけだが、それは短期間での興奮剤の有効性によるものでしかない。

確実にわかっているのは、こうした製品が、不眠、吐き気、心臓脈管系の問題のようなさまざまな副作用を与える可能性があるということだ。時間を置くことで、影響はより重いものともなりうるというリスクがもある。














TEXT BY ANTONIO CARBEVALE
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI

WIRED(IT)