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月曜日, 8月 17, 2015

ロボットHERMES|MIT


人の反射神経を持つロボットHERMES、MITが開発。マスタースレーブで感覚を同期





映画「パシフィック・リム」はパイロットたちの動きに合わせて、巨大な兵器ロボット「イェーガー」が動きまわり、敵の怪獣と戦う作品でした。

イェーガー乗りのようなマスター・スレーブ式の外骨格コントローラにより、人間のバランス感覚や反射までを取り入れて動くヒューマノイドロボット HERMES をマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が開発しました。
MITの博士課程大学院生のジョアン・ラモス氏らが開発したヒューマノイドロボットの名は「ヘルメス」(HERMES)。

ロボットを操作する人がセンサーなどからなる装置を上半身に装着して、腕や手、指先を動かすと、ヘルメスも人の動きに同期して同じように動きます。いわゆるマスター・スレーブ方式ですが、ヘルメスのセンサーが受ける抵抗やバランスを操縦者の外骨格型コントローラにフィードバックすることで、人間のバランス感覚や反射神経を持ったロボットとして機能する点が特徴です。その様子について、ジョアン・ラモス氏は「人間の脳をロボットの中に入れようとするもの」と表現します。


ヘルメスの頭にはカメラが備え付けられていて、操作する人は離れていてもその映像を見ながら操作することで、あたかも自分がヘルメスになったように思いのままに動かすことができます。まだ上半身しか操作できませんが、ヘルメスの両手にはそれぞれ3本指があり、操作者の動きに合わせて、ものを掴んだり缶を潰したりするだけでなく、コーヒーをコップに注ぐこともできます。

ヘルメスを開発したもう一人の研究者である博士課程大学院生のアルバート・ワン氏によれば「将来は人間のような知能と自律制御もヘルメスに搭載する予定」。

このように、センサーを着けた人の動きに合わせてロボットを操作する遠隔操作技術は、日本の研究者が「テレイグジスタンス」と名付けこれまでも研究されてきました。慶應義塾大学が開発したテレイグジスタンスロボット「テレサ」では、操作者はヘッドマウントディスプレイをつけることで、あたかも自分がロボットになったかのようにしてロボットを操作することができます。



テレイグジスタンスロボットが特に期待されているのは、人が近づくのが難しい過酷な現場での作業です。例えば、6月にカリフォルニアで開催された人型ロボットコンテスト DARPA Robotics Challenge の決戦では人と同じように作業ができる災害救助ロボットがその動きを競いましたが、自動車を運転したりバルブを締めたりといった細やかな動きをするには、ロボットの遠隔操作技術が課題でした。

ヘルメスやテレサのように、遠隔操作で人と同じ動きをするロボットならば、原発事故の現場でも事故復旧の作業ができるようになるかもしれません。ただし、ヘルメスもテレサもまだ下半身は自在に動かせません。災害現場での活用はもう少し時間がかかりそうです。

論文は

木曜日, 7月 16, 2015

RAMを減らしSSDとFPGAで補うビッグデータ処理サーバ|MIT


MIT、RAMを減らしSSDとFPGAで補うビッグデータ処理サーバを発表。同等性能で費用と電力削減




MITの研究者グループが、高価なDRAMを減らしフラッシュメモリと独自のFPGAで補ったビックデータ処理用サーバアーキテクチャを発表しました。大量のデータを扱う典型的なタスクであれば、大量のDRAMを積んだサーバと同等の性能を実現しつつ、コストと消費電力の大幅な削減が可能になるとしています。

MITが発表したBlueDBMは、フラッシュメモリとFPGAを組み合わせたアプライアンス。各サーバからストレージとして利用されるだけでなく、BlueDBM間で独自のネットワークを構築してサーバ間のデータのやり取りを高速化し、ビックデータの分散処理における前処理をCPUではなくFPGAが担うことで処理を短縮します。


従来、サーバの処理速度を向上するためには、データを全てRAM上で処理することが必須という考え方が一般的でした。しかしビックデータの時代となりデータ量が膨大になりつつ昨今では、RAM容量を増やして対応するには非常にコストが嵩む問題があります。

BlueDBMを開発したのはMIT の Sang Woo Jun氏ら。大量のDRAMを積むかわりに低速なフラッシュメモリを使いつつ、RAMに近い性能を実現するための施策として研究が進められてきました。

BlueDBMのプロトタイプの主な仕様は
  • ホストとの接続 PCIe Gen1(2GB/s)、将来的には、PCIe GEN2(4GB/s)
  • ノード間の接続 8倍速SATAリンク(10GB/s)
  • ドータカード間のリンク シリアル通信(2.2GB/s)
  • フラッシュコントローラ Artix7 FPGA(ドータカードに各1)
  • フラッシュ容量 1TB(2枚のドータカード,各1.6GB/s)





BlueDBMのアーキテクチャダイアグラムからも分かるように、ホストサーバ間のネットワーク接続とは別に、FPGAを内蔵したアプライアンス間のController Network(実体はSATAケーブルによる接続)を構築できます。




MITの研究者は、Quanta、Samsung、Xilinxといったスポンサー企業の協力もあり、20台のサーバでプロトタイプを完成させました。RAMを大量に積まない場合のボトルネックをアプライアンスのノード間通信と、FPGAが行う事前処理などで補うことにより、イメージ検索やPageRankアルゴリズム、分散メモリキャッシュ memcachedなどのタスクでは、RAMを大量に積んだ場合と同等の性能を出すことができたとしています。

あくまで分散処理とデータ読み込みの高速化であってDRAMそのものの置き換え技術ではないと研究者が強調するとおり、事前処理はカスタマイズが必要になることや、扱うタスクを選ぶ特性はありますが、安価なフラッシュメモリで電力やコストを削減できる点、構成の拡張が比較的容易な点が大きな利点と言えそうです。

木曜日, 2月 12, 2015

ジッパーの上を走り開閉するロボット




ジッパーの上を走り開閉するロボット、MIT研究者が開発 (動画)





衣服のジッパーをレールのようにして走り、開閉する小型ロボット ZipperbotをMITメディアラボの研究者が発表しました。人が着ている服のジッパーなど、平面上にない場合でもちゃんと機能します。動画は続きをどうぞ。


開発したのは米国マサチューセッツ工科大学メディアラボ パーソナルロボットグループのAdam Whiton 氏。Zipperbot はファッション・アパレルをテーマとした研究プロジェクト Sartorial Robots (仕立屋ロボット)の一部。

プロジェクトの趣旨としては、ファッションは人間に特有の社会的な営為であり、衣服を扱う技術へのロボットの応用を研究することは、人間とロボットの関わりを考える上で有用である云々と説明されています。



「ロボット」というよりは単にジッパーを開閉する自走式部品に近く、また動力も内蔵していないものの、すでに複数台の協調動作も可能とされています。

現時点での実用性はさておき、さらに洗練されれば防護服などグローブを付けた状態で操作せねばならないジッパーの開閉や、手先の運動に困難がある人の補助、背中を向けただけで手を貸してくれる相手がいない場合のドレスの脱ぎ着、スティッキィ・フィンガーズごっこなどに威力を発揮しそうです。開発者の本意は分かりませんが、「表向きの研究の意義と個人的にやりたいこと、両方やらなくっちゃあならないのがプロジェクトリーダーの辛いところだ」とでも思っているかもしれません。いずれにせよ、「ボタン......?ジッパー......?? 昔の服って手動で着なきゃならなかったんだ!」という未来のために発展してほしい分野です。


水曜日, 6月 25, 2014

MITが開発:体にフィットする次世代宇宙服「BioSuit」

MITが開発:体にフィットする次世代宇宙服「BioSuit」

マサチューセッツ工科大学の研究者が、スーパーヒーローが着用するような宇宙服の開発を進めている。動きやすいだけでなく、スーツに傷が付いたときなどの安全性も高いという。


TEXT BY JOSEPH FLAHERTY
TRANSLATION BY RYO OGATA, HIROKO GOHARA/GALILEO

WIRED NEWS (US)
MITのデイヴァ・ニューマン教授は注目のファッションデザイナーだが、彼女の作品はレッド・カーペットには登場しない。レッド・プラネットに宇宙飛行士たちが足を踏み入れるとき、きっと彼らはこの服に身を包んでいることだろう。Photo: Dava Newman
現在の宇宙飛行士が装着する宇宙服は、かさばって作業がしづらいうえ、そのデザインも、大人用おむつのように魅力がない。また、船外活動ユニット(EMU)という名称もパッとしない。
こうした状況を変えようとするのが、マサチューセッツ工科大学のデイヴァ・ニューマン教授が開発を進める「BioSuit」だ。スーパーヒーローのスーツにちょっと似ているが、体にびったりとフィットさせるための「数学」の成果だ。
これまで行われてきた船外活動の数は、全体で500回強だが、火星有人探査が行われるようになれば、ひとつのミッションで1,000回以上の船外活動が必要になる。また、将来の宇宙飛行士は、エヴェレスト山の3倍の高さがある火星のオリンポス山を登ったりするだろう。そのためには、着脱が簡単で、動きも自由であり、長いミッションでも快適なスーツが必要なのだ。
「以前、NASAの管理者が、『宇宙服を着ていて、男性か女性かを見分けられるのはいいことだ』と言っていた。わたしもその通りだと思う」とニューマンは言う。Photo: Marla Aufmuth
人間の体が、宇宙空間の真空を生き延びるには圧力が必要だ。EMUは、ジェット機の機内のミニ版のような加圧容器を作ることでこれを解決している。それに対してBioSuitは、全身を覆う半剛体のうねを採用することで、十分な可動域を維持しながら、逆方向の圧力を機械的にかけている。
生命を維持する圧力のためには、膨大な長さのうねが必要だ。うねはスーツの重要な歪みポイントを通りつつ、140,000針以上の縫い目で留められている。金の繊維も織り込まれており、管制センターがクルーの状態を把握するデータ収集のためのバイオメトリクス・センサーと組み合わせる。
BioSuitはEMUより安全性が高い、とニューマンは述べる。EMUの場合、微小隕石や宇宙ゴミが貫通したりすると、急速に圧力が下がり、なすすべがない。しかしBioSuitなら、次世代のダクトテープで修繕できる可能性があるからだ。
うねはスーツの重要な歪みポイントを通りつつ、140,000針以上の縫い目で留められている。Photo: Dava Newman
「3Dプリンティングのいいところは、デザインプロセスの初期のコンセプト作りに使えることです。むかしのように、完成されたデザインを出力するためだけではなくて」とニューマンは述べる。Photo: Dava Newman
BioSuitは、既存のさまざまなアイデアをベースにしつつ、形状記憶合金や、受動性弾性力をもつ素材、エレクトロスピニング法によるナノ繊維など、現代的な諸技術が活用されている。
ニューマンのチームはこのスーツの開発にあたって、宇宙飛行士たちの意見を聞きつつ、人間の動きを完全にシミュレートできるロボットも開発した。適切なフィットの追求に必要な、無数に繰り返される不快な「突っつき」に耐えてくれるロボットだ。
また、実地テストとしては、ネヴァダ州にある米空軍基地「エリア51」近くの荒れた土地を、BioSuitを装着した状態で探索した。
「宇宙探索は、いまもっともエキサイティングなことで、ヒーローのような宇宙服によって、もっと世間に注目されるきっかけをつくりたい」とニューマンは語る。Photo: Marla Aufmuth
ニューマンは、BioSuitを、単に機能的なだけでなく魅力的なものにもするために、オートバイやエクストリームスポーツ向けの高性能ウェアを手がけるイタリアのDainese社や、ロードアイランド造形大学の学生グループと、デザイン面での提携を模索してきた。
スーツの機械的な側面に関する作業は大部分が完了しているが、宇宙空間の過酷な真空の中でテストするには、生命維持システムの統合をさらに進める必要があり、そのためには多額の資金調達が必要だ。過去にはNASAがこの研究に資金を提供したが、Virgin Galactic社やジェフ・ベゾス氏のBlue Origin社も、自社の客室係のためにクールなスーツが欲しいのではないだろうか?
なお、BioSuit開発に伴う革新的な技術の一部は、脳性小児麻痺の子どもや、深刻なバランス障害のある高齢者向けに応用されている。

Photo: Dava Newman