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木曜日, 8月 18, 2016

「Side Effects」|Kacper Kowalski

 

 

世界を真上から見た写真

 

自宅から半径80km以内をパラモーターで飛びまわり、空から写真を撮影している男がいる。一切加工が施されていない、ポーランドのありのままの姿をとらえた写真は、人間が周囲の世界をいかに変え、破壊しているかを見る者に気づかせる。




Side Effects / Depth of Winter / On the Floe #04." 54.256733, 18.946611 / 27th Jan 2010 / 13:19 CEST / 500 ft AGL




空の上から眺めるというのは美しく不思議な感覚だということを、カクパー・コヴァルスキは教えてくれる。彼はパラモーター(エンジンを装備し推力を得て飛行するパラセーリング)を駆り、空の上からポーランドの魅力的な風景を撮影し「Side Effects」という作品をつくりだしている。
作品からは、模様を映し出そうという彼の意図が明確に見て取れ、空からとらえたその印象的な風景のなかには、わたしたちが想像もしなかった形や構造がひそんでいる。
コヴァルスキは20年ほど前にパラグライダーを始め、空を飛ぶことに心を奪われる。パラモーター(競技にも参加している)やジャイロコプターも習得した彼は、上空からの眺めを友人たちに見せるために写真を撮っていた。2006年、彼は父親の建築会社での仕事を辞め、航空写真に専念するようになる。
「わたしの写真はすべて、飛ぶことを愛しているがゆえに生まれたものです。わたしは飛ばずにはいられないのです」と彼は言う。「写真は飛ぶための言い訳のようなもの。空から世界を眺めることができるからこそ写真を撮っているのです。地上では、1枚だって写真は撮っていません」
インドやモンゴル、中国で撮影を行っていたコヴァルスキだが、次第によく知る土地の風景を撮ることにやりがいを見出し始めた。彼は、ポーランドのグディニャにある自宅から半径80kmで撮影を行っている。現在撮っている作品シリーズと本は、彼の故郷の息を呑むような光景を集めたものとなっている。


Side Effects / Toxic Beauty #12." 52.3070644,20.9566946 / 5th June 2011 / 07:11 CEST / 500ft AGL

Side Effects / Flood from the Sky #08." 50.629981, 21.863256 / 6th June 2010 / 18:45 CEST / 500ft AGL

Side Effects / Depth of Winter / On the Floe #28." 53.440163 18.678798 / 1st of February 2010 / 12:26 CEST / 500ft AGL

Side Effects / Toxic Beauty #14." 52.7747199,18.1216863 / 19 July 2011 / 17:41 CEST / 500ft AGL

Side Effects / Depth of Winter #07." 54.549303, 18.496717 / 20th Jan 2013 / 15:33 CEST / 500 ft AGL/AMSL

Side Effects / Seasons / Autumn #39." 53.5833992,17.9377259 / 1st Nov 2010 / 12:40 CEST / 500ft AG

Side Effects / Seasons / Spring #02." 53.886811 18.668717 / 20th June 2011 / 08:46 CEST / 500 ft AGL

Side Effects / Sun & Fun #20." 54.801081, 18.406011 / 17 July 2014 / 10:02 CEST / 500ft AGL/AMSL




(Side Effects / Seasons / Autumn #01.” 54.5631614,18.2262057 / 29th Oct 2010 / 15:53CEST / 500feet AGL)
カクパー・コヴァルスキは、ニューヨークの「The Curator Gallery」やウィーン「Anzeberger Gallery」で展覧会を開催している。


コヴァルスキは撮影場所を特定しない。何を見ているのか分からないことによって、不思議さを感じる感覚がより研ぎ澄まされると信じているからだ。

「この土地の岩の場所はすべて把握しているので、風変わりな形や色に誘惑されることがなく撮影に集中することができます。ときには自然、文明、人間、工業の真の変化を見出すこともできます。こういった巨大でシリアスなものは、ときに目立たない、微妙な形でその姿を表すのです」と彼は言う。「それらの僅かな痕跡。それこそがわたしの追い求めているものなのです」

ひとりで飛ぶのが好きなコヴァルスキは、地面から150メートル以内の高さを飛ぶことが多い。これは想像するほど難しいことではない。

風が強くなければ、彼はパラモーターには自力で宙を舞わせ、体重を移動させることで方向転換する。こうすると両手が空くため、写真を撮影することができる。ジャイロコプターで飛ぶときは、撮影中はコントロールスティックを膝の間に挟んで操作する。空を飛び、撮影することを10年間続けてきた彼にとって、これはもはや第2の天性のようになっている。

コヴァルスキは、そう広くない地域を1年中飛んでいるので、同じ場所を違う季節に訪れることも多い。信じられないかもしれないが、彼の写真のもつ強く明るい色は、彼が見た通りのものだ。彼はフィルターも使わなければ、後処理で色を変えることもない。

コヴァルスキは、自分の写真を見た人が好奇心をもち、人間が周囲の世界をいかに変え、破壊しているかに思いを馳せることを望んでいる。「費用がかかる一方で利益をもたらす開発や、わたしたちが愛する一方で嫌悪する周辺地域の変容といったものが孕むパラドクス。それがこのプロジェクトの根底にあるものです」と彼は語っている。

















PHOTOGRAPHS BY KACPER KOWALSKI
TEXT BY ALYSSA COPPELMAN

WIRED NEWS (US)





Kacper Kowalski aerial photography

月曜日, 2月 08, 2016

その時、シリコンヴァレーで何が起こっていたのか

Intimate Photos From the Golden Age of Silicon Valley

「シリコンヴァレーの黄金時代」をとらえた写真が教えてくれること





スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、スティーヴ・バルマー。「シリコンヴァレーの黄金時代」に、テック界の人々を撮り続けた写真家がいた。時を経て、それらの写真はようやく世に出ることになった。彼が写した一瞬一瞬は、シリコンヴァレーがいかに素晴らしい文化をつくり出したかを教えてくれるものだった。

 




ダグ・メネズは、「シリコンヴァレーの黄金時代」と呼ばれる年代の真っただ中で、15年を過ごした。1985〜2000年の間に彼は、スティーブ・ジョブズを含めた70の人々、そしてアドビシステムズやNeXTなどの企業との、前代未聞の出会いを重ねてきた。メネズの驚くべき写真の記録は、アメリカの科学技術史を変える瞬間の、最も豊かな記録のひとつだ。

しかし、彼のネガは何年間も出版されないままになっていた。理由のひとつは、メネズが「このテーマに対して一度燃え尽きてしまったこと」、もうひとつは、すべての写真を現像するには費用がかかることだった。だがようやく、彼の写真は『Fearless Genius』という本になって出版されることになった。

本書のなかでメネズは、世界を旅しながらデジタル時代の隆盛を目撃するとはどういうものなのかを語っている。彼を最も驚かせたのは、テクノロジー業界の人々でさえ、その当時が科学技術史においていかに重要な瞬間であったかがわかっていなかったことだ。「どれほど多くの人々が自分自身の歴史を知らないのかと知って、驚きました」

メネズは、その認識を変えたいと思っている。なぜなら自身が写した人々が、豊かで、活力のある、いまは消えてしまった文化をその時代に生み出したと彼は信じているからだ。

その当時、シリコンヴァレーは教育といった社会の物事をよりよいものにするテクノロジーをつくるために必死だった、と彼は語っている。そしてすべての人の利益のために、情報を自由=タダにしようとしていたのだと。

「ある人は命を落とし、ある人は精神病棟に行ってしまいました。離婚を選んだ者もいた。なぜなら彼らは、本当に、本当に困難なものを手に入れようと手を伸ばしていたからです」。シリコンヴァレーには、いまだわずかな理想主義が存在している、と彼は言う。しかし(現在の主流サーヴィスとなっている)モバイルゲームやソーシャルネットワークをつくるのは、当時の挑戦に比べたらなんでもないようなことだという。

ネメズの次のステップは、何十年も前に彼が写真に撮った人物にインタヴューをして、ドキュメンタリーを制作することだ。われわれがもうあのころと同じ時代に生きていないことを、ネメズは知っている。それでも彼は、それ以後生まれることのなかった“発明と大胆な発想の時代”を、人々に思い出させたいと語る。

「わたしは人々に、1980、90年代がかつてもっていた価値に、もっと気づいてもらいたいんです」と彼は言う。「シリコンヴァレーが『最近滅んだ森』だと思われている、ということを伝えたいわけではないんです。でも、事態は変わっていると思います」





 
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4798138576/lovespread13-22 

訳書は2014年9月に翔泳社より刊行)