Windows Phone 8搭載機 ノキア Lumia 920 レビュー
今回のWindows Phone 8 連載では、現行フラッグシップ端末のひとつ Lumia 920 のレビューをお届けします。
ノキアは先月、Windows Phone スマートフォン Lumia シリーズの最新モデルとして、
Lumia
925を発表していますが、前回の
WP8
連載でも触れたように、プロセッサなど主要な部分は Lumia 920と共通したバリエーションモデルにあたります。
Lumia 925はいまだ出荷されていないこともあり、今回は Lumia
920をご紹介します。ちょうど各社夏モデルの発表も出そろったところなので比べてみるのも面白いでしょう。ただし半年以上前の端末なのでお手柔らかに......。
Windows Phone 8初搭載機
もともとノキアは
Symbian
OSと呼ばれるOSを採用していましたが、2011年2月に
Microsoft
と組みWindows Phoneに移行すると発表しました。
その第一弾が、2011年秋に発表されたWindows Phone 7.5搭載機
Lumia
800と、つづいて2012年1月に発表された
Lumia
900。第二弾として、2012年9月5日(現地時間)にWindows Phone 8(以降WP8)搭載機として
Lumia
920と820を発表。たった半年ちょっとで大幅なモデルチェンジを行ったことになります。
その後、ローエンドに相当する3G機のLumia 620、520、720と次々に市場投入しました。他のメーカーもWindows Phone
8搭載機を扱っていますが、ハイエンドからローエンドまで、これだけ幅広いラインナップをそろえているのはノキアだけです。今回はその中からLumia
925に次ぐハイエンドに相当するLumia 920をご紹介します。米国
ENGADGET
AWARDS/READER'S CHOICEを受賞している評価の高いモデルです。
Nokia Lumia 920の仕様
| プロセッサ |
Qualcomm Snapdragon S4(1.5GHz/Dual Core) |
| メモリ |
1GB |
| ストレージ |
32GB+7GB SkyDrive(microSDカード非対応) |
| 液晶パネル |
PureMotion HD+(IPS式)4.5inch、WXGA(1280×768/332ppi)、Super-sensitive touch対応 |
| カメラ |
メイン8.7MP PureView(Carl Zeiss Tessar lens、1/3.2inch、f/2.0、焦点距離26mm、LEDフラッシュ付き)、サブ1280×960ピクセル |
| ビデオ録画 |
1080p/30fps、MP4/H.264、MP4/MPEG-4 |
| オーディオフォーマット |
ASF、MP4、AAC、AMR、MP3、M4A、WMA、3GP、3G2(コーディック MP3、QCELP、AMR-WB、AMR-NB、WMA 10 Pro、WMA 9、G.711、AAC LC、AAC+/HEAAC、eAAC+/HEAACv2) |
| ビデオフォーマット |
MP4、WMV、AVI、3GP、3G2、M4V、MOV(コーディック VC-1、Windows video、H.264/AVC、H.263、MPEG-4) |
| インターフェース |
USB2.0(Micro-USB-B)、Bluetooth 3.0、IEEE 802.11 a/b/g/n、NFC、35mmオーディオコネクタ |
| ネットワーク |
LTE 800/900/1800/2100/2600MHz、W-CDMA 850/900/1900/2100MHz、GSM 850/900/1800/1900MHz。伝送速度はLTE方式(bands 1/3/7/8/20)で下り最大100Mbps/上り最大50Mbps、HSPA方式で下り最大42.2Mbps/上り最大5.76Mbps |
| センサー |
照度センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、近接センサー、コンパス |
| バッテリー |
2000mAh。3G通話10.8時間/待受460時間/音楽再生74時間/Wi-Fiネットワークブラウジング9時間、ワイヤレス充電(Qi)標準対応 |
| カラーバリエーション |
Yellow、Red、White、Gray、Black(CyanはAT&T専用モデル) |
| サイズ/重量 |
130.3×70.8×10.7mm/185g |
|
ノキア Lumia
920の仕様は表に掲載した通りです。補足説明としては、サイズ/重量の130.3×70.8×10.7mm/185gは、最近トレンドとなっている薄
型・軽量から見ると少し厚く重く、この点に付いてはLumia
925で改善されました。と言って使い辛いほど厚く重いわけでもなく、フットプリントは液晶パネルサイズ相応でしょう。
Super-sensitive
touchは、タッチ対応手袋ではなく、普通の手袋で反応します。ノキアはフィンランドを母体としていることもあり、この対応はある意味必修項目となりま
す。設定/ディスプレイ+タッチ/タッチで標準|高の選択が可能です。
Bluetoothは3.0。対応しているProfileは、Object Push profile (OPP) 1.1、Hands-free
profile (HFP) 1.5、Advanced Audio Distribution Profile (A2DP)
1.2、Audio/Video Remote Control Profile (AVRCP) 1.4、Phone Book Access
Profile (PBAP) 1.1。
残念ながらHIDには非対応でキーボードやマウスを接続することができません。マウスはまだいいのですが、キーボードは場合によっては付けたいところで
す。またオーディオコーディックはSBCのみでAACやapt-Xの様な高音質は期待できません。純正のアクセサリーにはNFCでペアリングできる
Bluetoothスピーカーがあるだけにこの点は残念です。
参考までに下位モデルのLumia
820は、プロセッサなどのスペックはそのまま、サイズ/重量が123.8×68.5×9.9mm/160g。4.3型有機EL
WVGA(800×480)、ストレージ8GB+microSD(最大64GB)、メインカメラは画素素は同じでレンズがf/2.2、サブカメラは
VGA、ワイヤレス充電(Qi)はカバーの交換で対応、バッテリー1650mAh......と、言ったところが主な違いとなります。
筆者は一時期Lumia 820も所有し、microSD対応やサイズ的には気に入っていたのですが、iPhone
4Sからの乗換と言うこともあり、4.3型WVGA(800×480)のディスプレイはドットが荒く見え、またバッテリーの持ちもイマイチだったので、
Lumia 920へ乗換えました。できればこのサイズでバッテリーを強化した上、WXGA(1280×768)版が欲しいところです。
独特のデザインとカラーリングが魅力的
ボディはポリカーボネートで覆われ、パッと見、ケースに入っている様に見えます。以前のLumia
900はザラザラしたマット仕上げでしたが、Lumia 920は光沢のあるツルツルしたものへと変更されました。他のモデルはLumia
720以外カバーが外れる仕掛けになっています。しかしこの920に関しては一体型で外れません。この点はLumia 925も同じです。
余談になりますが、このLumiaシリーズ、若い女性に見せると「可愛い!」と非常に評判が良いのです。ボディのデザインやカラーリング、ライブタイルを
好みの色に変更できる点が受けているのでしょう。
フロント
上部にサブカメラ、下部に戻る/ホーム/検索ボタン
リア
メインカメラとLEDフラッシュ。赤いボディがなかなかカッコいい
上
Micro SIMスロット、オーディオコネクタ
下
両サイドにスピーカー、中央にUSB2.0(Micro-USB-B)
右
音量+/-、電源、シャッターボタン。左側には何もありません
付属品など
ACアダプタとボディに合わせ赤いヘッドホン。USBケーブルも付属しますが色は白
オプションQi充電器
Qi規格のワイヤレス充電器。そのままでも使えますが座布団の様なカバーへ入れ、上にLumia 920を置くこともできます
iPhone 4Sとのサイズ比較
液晶パネルが4.5型なので、それなりに大きいですが、最近流行の5型ほどではありません
フロントは、上部にサブカメラ、下部に戻る/ホーム/検索ボタン。リアは、メインカメラとLEDフラッシュ。上側面は、Micro
SIMスロット、オーディオコネクタ。右側面は、音量+/-、電源、シャッターボタン。下側面はステレオスピーカーとMicro-USB-Bを配置してい
ます。電源ボタンとホームボタン同時押しで画面キャプチャが可能で、フォト/アルバム/スクリーンショットへ保存されます。スピーカーに関してはステレオ
で出力も十分あり、音質もなかなか良い感じです。
4.5型のPureMotion
HD+は、IPS式で視野角は広く、色合いはsRGBにかなり近いものになっています。明るさコントラストも十分で、通常は設定/画面の明るさを自動にし
ないと明る過ぎるほどです。参考までにLumia
925はパネルが有機ELへ変更になりました。主要コンポーネントやバッテリー容量も同じですから、Lumia
925のバッテリーの持ちが良い可能性があります。有機ELはバックライトが不要のため、一般にLCDより低消費電力なのです。
付属のACアダプタのプラグは国内と規格が合わないので変換プラグが必要ですが、PCのUSBポートや市販しているUSB充電器でも問題無く充電可能でき
ます。変換プラグを付けてまでこのACアダプタを使う必要は無いでしょう。
本体はQi(チー)規格のワイヤレス充電に対応しいます。国産のQi充電器(NTTドコモのワイヤレスチャージャー
02)でも作動を確認しました。USB充電よりは少しかかりますが、3時間ほどでフル充電できます。
暗いところにも強いメインカメラ
メインカメラは、同社としては暗い場所に強いとアピールしています。最大800のISO感度は今となっては一般的ですが、レンズがf/2.0なので暗い場
所に強いのもうなづけます。
下に掲載した写真はそこまで暗くありませんが、屋内ISO200、シャッタースピード1/19秒(仮にISO400だとシャッタースピード1/38秒)
と、屋外ISO100、シャッタースピード1/955秒となっています。また屋内の写真はホワイトバランスをオートで撮ると補正し過ぎてその場の雰囲気が
出ないためDaylight固定で撮っています。どちらもかなり綺麗な写真であることがお分かりでしょうか。
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| 屋内(縮小)ISO200、シャッタースピード1/19秒 |
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| 屋内(620×349ドットで等倍にして切り出し) |
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| 屋外(縮小)ISO100、シャッタースピード1/955秒 |
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| 屋外(縮小)ISO100、シャッタースピード1/955秒 |
使用した範囲で画質が良いのは、Lumia 900、Lumia 820、Lumia 920の順でしょうか。ただ明るいところではiPhone
4Sには劣っている様に思えます。
Lumia
925では、レンズが5枚から6枚に変更になったので、画質向上が期待できます。
標準で各国語に対応
ベーシックなソフトウェア面では、iOSやAndroidと同様、OSが標準で多くの国に対応し、日本語も問題なく扱えます。しかし同じWindows
PhoneでもHTCの様に日本語ロケールを省いているメーカーもあるので注意が必要です。またシステムが日本語に対応していなくても、表示・入力ともに
設定/言語+地域と設定/キーボードで選択でき、日本語を使うことは可能です。
キーボードに関しては、必要なモジュールをダウンロードする形式です。日本語入力に関しては、QWERTY配列だけでなく10キー式にも対応しています。
ただしユーザーが好みのIMEをインストールすることはできず、この点はiOSと同じ仕様と言えるでしょう。個人差もあるでしょうが、変換効率で困ったこ
とは特にありません。
作動自体は、もともとシングルコア/Windows Phone 7.8(Windows CEカーネル)の
Lumia
900でも普通に使えたので快適そのものです。IE10のレンダリングも(癖はありますが)速く、HD解像度のYouTubeや動画もスムーズ
に再生します。誰が使っても作動速度で不満は感じることはないでしょう。
設定/言語+地域:多くの言語に対応。メーカーによっては日本語ロケールを省いている場合があります。設定/キーボード:日本語入力は QWERTY配列だけでなく10キー式にも対応
同社固有のアプリとしては、Nokia Music、Mix Radio、HERE Drive、HERE Maps、HERE
Transit、HERE City Lens、Cinemagraph lens、Smart Shoot lens、Panorama
lens、App Highlightsなどがプリインストール済です。
GPSとカメラを使ったアプリが多いのが特徴的でしょうか。iOSとは違い、Windows Phone
8はキャリアやメーカーでOS標準以外のアプリも予めセットできる様になっているため個々の特徴を出すことが可能です。またWindows
Phoneストアアプリを起動すると、同社専用のコーナー(Nokia
Collection)があり、これ以外のアプリやゲームが多数登録されています。
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| Nokia Music、HERE City Lens、Nokia Collection |
システム的に興味深いのは、設定/オーディオでしょう。ここにはイコライザーと、拡張としてDolbyヘッドホンのON/OFF、オーディオレベル調整
(再生音量を同じにする)のON/OFFがあります。
iOSやAndroidの場合、同等の機能は個別のアプリで対応しています(例外もありますが)。しかしWindows Phone
8ではシステムレベルでの対応です。全ての音楽・動画再生アプリで同じ設定が利用でき、かなり便利です。但しヘッドホン使用時のみで、内蔵スピーカーや
Bluetooth接続機器には未対応となっています。
運用面でのちょっとしたコツ
運用面でちょっとしたコツを二点ほど。まずLTEですが、ハードウェア自体は仕様通りLTEに対応しています。ただし扱っているキャリアがLTEに対応し
ていない場合、ソフトウェア的にディスエイブルされているため注意が必要です(裏技でONにする方法もありますが、今回の趣旨から外れるので記載しませ
ん。興味のある人はtoggleENSのキーワードで検索して下さい)。購入当初ディスエイブルで後のアップデートでイネーブルになるケースもあります
(Lumia 820がそうでした)。
またLTEが使える状態でも電波状況が悪い場合、3GとLTEのスイッチングを繰り返し、あっと言う間にバッテリーを消費します。過去に体験した例として
は、このスイッチングによって、待受け状態にも関わらずたった6時間ほどでバッテリー切れになりました。
メールやFacebookを見たり、適度に縮小して写真をアップロードする程度では、特にLTEは必要ありません。3Gのまま使ったほうがバッテリーの消
費が抑えられることもあり、設定/携帯ネットワーク/最高接続速度2G|3G|4Gの部分を3Gに固定して運用する方が無難でしょう。LTEの電波が安定
している場所でインターネット共有を使うときなどに4Gへセットするのが良さそうです。
もう一点、実際使った時のバッテリーの持ちは、通常だと約24時間といったところです。最近のAndroid搭載機と同程度、iPhone
4Sと比較すると短いでしょうか。
これは主に待受け時間に差があり、アプリなどを動かす使用時間に関しては大差ありません。待受け時間中のバックグラウンドタスクで差が出る様です。設定/
アプリ/バックグラウンドタスクでアプリ個別でON/OFFする機能があり、調整すると少し良くなるケースもあります。
バッテリー消費一覧(1時間での消費%)、設定/バッテリーセーバー、設定/携帯携帯ネットワーク/最高接続速度
さらに少しでも待受け時間を長くする方法として、設定/バッテリーセーバーを"常にON"すると倍以上持つ可能性があります。これは電話とSMS以外の
バックグラウンドタスクを全てOFFにするもので、メールやFacebookの通知などはアプリを操作しない限り自動同期しません。
スマホとしては不便で面白みに欠けますが、これはこれで良い面もあり、周囲の状況や忙しくてLumiaを触れない時、または目の前にパソコンがあり全て処
理可能な状況だと、見ることができず気になりイライラする、またはメールや通知が二重に入るので二度手間となるのを防げます。
優先順位の高い電話とSMSだけが待機となり、他に関しては一段落したところで手動で更新すればよく、通知に振り回されずに済みます。実際やってみると意
外と快適なので、最近はバッテリーセーバーを常にONにして使っています。Lumia 920に限らず、全てのWindows
Phoneに共通なので、興味のある人は試して下さい。
ノキアは
5月14日のイベントでLumia 925を発表しました。その時点でLumia
920は同社のフラグシップ機ではなくなりましたが、Windows Phone
8搭載機としてエポックメイキングなモデルと言うこともあり、iPhoneとAndroid搭載機以外にも魅力的なスマートフォンがあることを知って頂ければと、改めてご紹介した次第です。
SoftBankとauはiPhoneに夢中、NTTドコモは全てをコントロールできるTizenを推し出したのでWindows Phone
8の国内投入は微妙になってしまいましたが、例えばASUSがキャリアとは関係無く、
独
自でSIMフリー端末を国内販売している様に、何とか上陸して欲しいところです。これだけのOS、そしてハードウェアを使えないのはユーザーに
とって不幸とも言えます。次回は、アプリを中心にご紹介します。