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水曜日, 8月 17, 2016

ブロックチェーン・テクノロジーとは?

 

仮想通貨の根幹であるブロックチェーン・テクノロジーとは

 

 

ビットコインを開発した謎の開発者、サトシ・ナカモト、はインターネットの誕生以来の革新的なテクノロジーを発明しました。

これを「ブロックチェーン・テクノロジー」と言います。

では、この技術の何が?どうすごいの?かを解説していきます。



 

ブロックチェーンは皆で監視しあう分散型のシステム

 

ブロックチェーンは分散型のコンピューターネットワークであり、中央集権を置かずにして信憑性のある合意に到達する方法を可能にする技術です。


分散型のシステムは世界中に点在するパソコンにデータを置くことで、(一つの場所にデータを置かないようにして)壊すことができないネットワークを作る技術です。
その分散型のネットワークを認証システムをすれば、中央集権が不在でも信憑性のある合意を達成させることができます。

分散型システムを止めるには地球全体を壊滅させるほどの隕石が宇宙から降ってくるか、全世界の機械類が同時に破壊されてしまうほどの大規模な太陽風に襲われるかぐらいの災害が起きる必要があります。

なぜなら、データを保持する全てのパソコンを壊さなければ、ブロックチェーンは複製しながら復活することができるからです。



ブロックチェーン誕生以前は、全てのトランザクションはVISAやPayPalや銀行などの第三者機関を通して行わなければなりませんでした。

従来のモデルだと第三者機関が中央集権として絶対的な力を持っていたわけです。ですから、これらの第三者機関が「このトランザクションは有効であり、正しい」と言えばそれが正解になってしまっていたのです。

しかし、ブロックチェーンを使えば第三者機関を通さずにしてトランザクションのコンセンサス(合意)を得ることができるようになりました。つまり、買い手と売り手が直接取引できてしまうのです。

ビットコインのブロックチェーンでは数字を管理しているので、「通貨」として利用することができます。

帳簿が全世界に向けて公開されているので、人それぞれのウォレットにはいくら入っているのか(正確にはいくら使うことができるのか)が分かるようになっています。
したがって、ブロックチェーンを騙すことは基本的にはできません。

例えば悪い人が「俺のウォレットには10000BTC(ビットコインの単位)入っているぞ!」とウォレットの残高を偽装しようとしたとしても、その人のウォレットに10000BTCが入っているという記録がブロックチェーン上にそもそも存在しないことが皆にバレているため、その悪い人が自分の持っている以上の仮想通貨を使おうとした時点でそのトランザクションが拒否されます。

全取引履歴のデータが世界中に散らばっていて、皆でシステムを監視しあっているため、特定の人によるシステムのハッキングを防止することができるのです。

このように皆で構築するネットワークがブロックチェーン・テクノロジーであり、世界を変えてしまう革命的な技術なのです。

ブロックチェーンを使えば、一部の力を持った者に支配されることなく、世界中の人と自由に取引をすることが可能になります。




ブロックチェーンを応用したら、全ての仲介役を省くことが可能になる



ブロックチェーン・テクノロジーは通貨としての利用に留まりません。

ブロックチェーンは現在第三者機関に頼っている全ての業界の仲介役を取り除くことができ、第三者機関に頼らずにして回る世界を構築することができます。

例えば、日本株を買いたかったら現在は証券会社を通して証券取引所で株を買い、株の保管・管理は証券保管振替機構(通称ほふり)を通して行われます。

もしブロックチェーンを使えば、わざわざほふりなんて通さなくても株式の保管・管理を自分自身で行うことが可能になります。

また、インターネットのドメインを買いたいなら、現在はICANNという第三者機関を通して行われます。
もしブロックチェーンを使えば、ドメインの所有権の管理を第三者機関を通さずに行うことが可能になります。もちろんドメインだけに留まらず、不動産や車などの所有権をブロックチェーン上で管理すれば、第三者機関を通さなくてもよくなります。いままで紙ベースでやっていた全ての契約はブロックチェーン上での契約に置き換えることができます。

また、投票ソフトウェアを開発して、投票結果をブロックチェーン上に残すようにすれば、不正が一切できない国民投票のシステムを作ることだってできます。

ブロックチェーンの可能性は無限大なのです。


 

国のパワーではブロックチェーンを止められない

 

仮想通貨のブロックチェーンは国の力を持ってしても(インターネットを完全に排除できないように)止めることはできません。なぜならシステムのコアが世界中に分散されているからです。

インターネットがフィルターされたとしても別の国に行けばこの問題は解決してしまうように、一つの国が仮想通貨を禁止してもその国を出れば、また使えるようになります。

もし国が本気で仮想通貨を完全排除したかったら、世界の全ての国が同時に排除にあたるしかありません。しかし、世界の全ての国の意見が満場一致することはまずありえません。全員の意見が一致するのならそもそも国が分かれていること自体がおかしいからです。

したがって、仮想通貨とそれを支えるブロックチェーンの普及は誰にも止められません。

ビットコインがいつか滅びたとしてもブロックチェーンの概念はもはや消し去ることはできないので、そのときはビットコインが別の仮想通貨に取って代わられるだけです。通貨がインターネットに出会い、全てが根底から変わってしまったのです。

ブロックチェーン・テクノロジーの誕生はインターネットの誕生に匹敵するくらい革新的な技術だと言えるでしょう。


これから仮想通貨生活を始めたいなら、まずは仮想通貨の王様である「ビットコイン」を学ぶことから始めましょう。簡単に「ビットコイン生活」を始めることができます。






Bitcoinとは?

Bitcoinとはブロックチェーン・テクノロジー(公開帳簿)を採用した最初の仮想通貨です。
Bitcoinは人間が発行しているわけではなく、世界に存在し得る数量の上限はあらかじめ決められています。

イメージで言えば、金(ゴールド)のデジタル版です。
よく色々なメディアで出てくるビットコインの山はあくまでも「イメージ」であり、実際にはデジタルなので形があるわけではありません。単なる画面上の数字です。

コンピューターにマイニング(採掘)という作業をさせることで発行数量が増えていきますが、採掘できる量がどんどん少なくなっていくので掘り尽くしたら、あとは交換(トレード)で手に入れるしか方法がなくなります。





テック企業がブロックチェーンに夢中な理由:IBMの場合

 

世界のテック & 金融業界の大企業たちが2015年に立ち上げた、ブロックチェーン技術を活用した資産取引のより安全な方法を探るプロジェクト 「Hyperledger」。プロジェクトに参加しHyperledgerの活用を目指すIBMは、ブロックチェーンにどんな可能性を見ているのか?









ビットコイン」という言葉はいまだに、金融機関を介さずに資金調達しようとする麻薬密売市場や無政府主義のハッカーといったイメージを連想させるかもしれない。しかしいま、世界の大企業たちは「ビットコインを支える技術=ブロックチェーン」を活用しようとしている。

IBM、インテル、シスコ、JPモルガンらのテックおよび金融業界の大手企業からなるグループ(The Linux Foundation)は2015年12月、ビットコインにヒントを得て、株式などの資産を、もっと安全で信頼できるかたちで取引する方法をつくるオープンソースプロジェクト「Hyperledger」を立ち上げた(2016年2月には新たに12社が参加表明を行い、グループは計30社になった。日本からは、当初より参加表明を行っていた富士通のほか、新たにNTTデータ、日立グループ、NECが加わった)。

世界の大企業にソフトウェアを提供してきたIBMが、この金融ソフトウェアに「次の大きな可能性」を見出すのは当然だろう。しかしIBMは、サー ビスをほかの企業に売るためだけにHyperledgerを使うわけではない。社内での活用も考えていると、IBM研究所のディレクター、アルヴィンド・クリシュナは6月16日(米国時間)、ニューヨークで開催された「2016 WIRED Business Conference」で語った。



 

信頼のない「信頼のシステム」

 

ブロックチェーンとは本質的に、(ビットコインに用いられる場合で説明をすると)誰がどのビットコインを所有しているかを追跡するための「分散型台帳(レジャー)」だ。

ビットコインで支払いを行うと、決済処理業者がブロックチェーンをチェックし、ユーザーが使用しようとしているビットコインをもっていることを確認してから台帳に新しい取引を書き込む。ネット上には同期された台帳のコピーが大量に存在するので、ひとつのコピーを改ざんすることでブロックチェーンを欺くことはできない。

クリシュナの説明によると、Hyperledgerはブロックチェーンに似ているが、取引相手の身元を照合するためにもっと多くの機能を追加しているという。大企業や各国の政府が取引を行う場合、そうした機能が不可欠だからだ。

このシステムの真の力は、人や組織を信頼せずとも、システムを支える数学だけを信頼すればいいところだとクリシュナは言う。つまり、騙される心配なしに、会ったことのない相手とビジネスを行うことができる。ネットワークが照合をきちんと行うまで、ブロックチェーンで取引される資産の所有権がほかへ移ることはないからだ。

クリシュナによると、IBMはメーカーからの仕入れや顧客向けの購入資金の融資といった取引を年に何百万件も処理しており、税率や出荷に関するミスが日々起こっているという。こうした問題をひとつ解決するには、平均で40日かかってしまう。

IBMがHyperledgerを利用することで、実際に誰が、何に対してお金を支払ったのかを照合できる透明なシステムをつくりたいとクリシュナは考えている。もしIBMがHyperledgerをうまく機能させることができれば、そのシステムが誰もに役立つことを意味するだろう。







TEXT BY KLINT FINLEY
TRANSLATION BY MINORI YAGURA/GALILEO

WIRED (US)

水曜日, 2月 24, 2016

「ワトソン」空気読む

IBMの人工知能Watson、入力文章から相手感情を分析し 「空気を読んで」音声返答。

 


IBM の人工知能(AI)による 対話型意思決定支援システム「Watson」が、システムアップデートにより話し相手の感情を意識した音声返答表現を身につけました。
乱暴に言えば「空気を読めるようになった」ということ。

人工知能 Watson は2015年夏、文章から人の感情を読み取る事が可能な「Tone Analyzer」を手に入れ、文章の組み立てかたなどからそれを書いた相手の感情がプラスなのか、またはマイナスなのか、はたまた怒りなのかを分析、更に細かく喜び、楽観、満足、感動、幸せ、不安、嫌悪、失望、罪悪感、拒絶、屈辱、いら立ち、敵意、攻撃、苦痛、不満、激怒などにまで分類することができました。

今回のアップデートはこの Tone Analyzer に関連するもので、入力された文章に対して音声で返答する際に、相手の感情にあわせて声のトーンを変化させることが可能となります。たとえば、入力された文が怒りの感情を示しているなら申しわけなさそうに、悲しんでいるなら同情的に、そして明るいなら共に明るくといった具合。

もちろん、これは返答のしかたにニュアンスを加えたというレベルで、人工知能そのものが感情を持ったわけではありません。それでも、搭載されて間もない画像認識エンジンとともにこの音声表現もしっかりと鍛えあげられていくことになりそうです。
Watson だけでなく現実世界で そこら中のコンピューターが人間と自然な会話をするようになるのはいつごろか、いまから待ち遠しくも思えます。

 

  ロボット「ペッパー」の時給は1500円  その時、人間たちは

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IBMの「ワトソン」 文章から人の感情も判別

2015/7/23


米IBMの研究者は人工知能(AI)を搭載した高性能コンピューター「ワトソン」を活用し、メッセージを読んでそのトーンを判断できるアプリケーションソフト「IBMワトソン・トーン・アナライザー」を開発した。これは人間であれば自然にできる作業だが、コンピューターの場合には通常のタスクよりもはるかに高い知能が必要となる。 

IBMの人工知能「ワトソン」

「喜び」や「怒り」を分析


IBMワトソン・ユーザー・テクノロジーズの著名なエンジニアで「マスター・インベンター(達人発明家)」の称号を持つラマ・アッキラージュ氏は「コンピューターはメッセージで伝えられたトーンを正確かつ自動的に見抜くことができるのか。文章によるコミュニケーションでトーンを評価し、改善するお手伝いをするのは、人工知能と認知科学の分野における興味深い挑戦だ。われわれはIBMワトソンで、この問いに答え始めている」とブログに投稿した。
これは背後に人がいるとしか思えない話だ。もっとも、ベンチャービートは2013年に、IBMの研究者がどうやって200件のツイートで人間の性格を解読できたかという記事を書いている。


アッキラージュ氏によると、トーンは見過ごされたり、望ましくなかったり、書き手がうまく伝えきれていなかったりする場合もあるという。
 
 同氏は「実験版の提供を開始したIBMワトソン・トーン・アナライザーは、文章によるコミュニケーションのトーンの評価・改善を支援するサービスだ。この 最新のサービスを追加した(ワトソンの開発者向けサービス)『ワトソン・デベロッパー・クラウド』のAPIとソフトウエア開発キット(SDK)は、(IBMが提供するPaaS)ブルーミックスで入手できる」と述べている。


この技術はワトソンの「パーソナリティー・インサイト(性格分析)」で使われている言語分析と似ている。トーン・アナライザーは与えられた文章を分析し、その文章に反映された感情的、社会的、書き方のトーンについて洞察する。こうした洞察は個人や仕事でのコミュニケーション、セルフブランディング、市場調査、広報マネジメント、問い合わせ先の自動音声応答システムの管理など多くの目的に使えるとアッキラージュ氏は話す。


ワトソンを使って文章の単語別にトーンを分析する

感情的トーンの目立った要素には明るさ、マイナスの感情、怒りがある。


アッキラージュ氏は「明るさは喜び、楽観、満足、感動、幸せなどプラスの感情を表す。マイナスの感情は不安、嫌悪、失望、罪悪感、拒絶、屈辱などを含む。怒りはいら立ち、敵意、攻撃、苦痛、不満、激怒など、強く激しいマイナスの感情の一種だ」と説明した。



書いた人の性格も理解


ワトソンは開放性、同調性、誠実さなど社会的なトーンも理解できる。


アッキラージュ氏は「開放性とは様々な活動に対してどれほど開放的かを表し、同調性は他人を思いやって協力する傾向、誠実さは首尾一貫し、思慮深く振る舞 う傾向を指す。われわれはこの3つの特徴を使い、文章に反映された書き手の開放性、同調性、誠実さを例証する」と述べた。

ワトソンは書き方のトーンにも対応できる。


アッキラージュ氏は「書き方のトーンは書き手の文章がどれほど分析的で、自信に満ち、ためらいがちかについてフィードバックを提供する。分析的なトーンは 書き手の物事に対する論拠と分析的な態度を示す。自信に満ちているトーンは個人が何かに対してどれほど確信があるかを示す。ためらいがちなトーンは抑制的 な態度を表している」と話した。

(「ベンチャー・ビート」より)





Twitterもはじめた女子高生AI「りんな」って何者?

火曜日, 10月 28, 2014

IBMとAppleの提携の衝撃

ガートナーの海外アナリストに聞いてみた

ニック・ジョーンズさん、IBMとAppleの提携は本当に衝撃なんでしょうか

10月28日~30日にホテル日航東京で開催されるガートナー ジャパンの年次カンファレンス「ガートナー シンポジウム/ITxpo 2014ではエンタープライズにおけるモバイル活用についてのセッションも多くあります。そこで今回はガートナーのバイスプレジデント 兼 最上級アナリストのニック・ジョーンズさんにモバイルとエンタープライズを取り巻く現状を中心にお話を伺いました。ニックさんはカンファレンスでもモバイルテクノロジのトレンドなどについてセッションを行うので、このインタビューで興味をもたれたらぜひ直接お話を聞いてみてください。


ジョーンズさん
ジョーンズさん
―9月にリリースされたiPhone 6は日本でも大人気ですが、モバイルの専門家であるジョーンズさんはこの新しいデバイスをどのように評価しますか。また、Appleのモバイル市場におけるビジネスをどうご覧になっているでしょうか。
ジョーンズさん:iPhone 6は非常にエクセレントなデバイスだと思います。とくに画面がすばらしいですね。まさに多くのユーザが待ち望んでいたものだと思います。
 しかし、Appleは確実にモバイル市場(スマートフォンとタブレット)でのシェアを落としています。その原因はAndroidの急速な台頭、とくに(新興国など)ローエンド端末と価格にセンシティブな市場でのAndroidの支持が劇的に高まっているところにあります。
 AppleとAndroidはどちらも戦略が明確で、そのとおりに実行しています。少ない生産台数で高いマージンのAppleと、膨大な生産台数で低いマージンのAndroid、と非常にわかりやすい対比構造になっています。ですが長い目で見ると、両者ともこの戦略だけにこだわるのは不十分です。カギとなってくるのはサービス、そしてエコシステムの確立でしょう。これらの要素が注目されるようになったとき、モバイル市場は新たなバトルグラウンドのステージを迎えるはずです。げんにAppleは新しいペイメントサービス「Apple Pay」やホームオートメーション「HomeKit」、ヘルスケアサービス「HealthKit」などをローンチし、新たなイニシアティブを取ろうとしています。「デバイスの数×マージン」に頼るビジネスだけでは成長を担保できないと理解しているのでしょう。
―個人的な意見ですが、エンタープライズユーザは世界的にiPhone派が多いように見えます。今年7月にIBMとAppleがエンタープライズモバイルにおける提携を発表しましたが、多くのメディアが「エンタープライズモバイルの世界に衝撃的な出来事」と沸き立ったことに少々驚きました。ジョーンズさんはこの提携をどのように見ますか。
ジョーンズさん:シンプルに回答すると「AppleとIBMがこの分野(モバイルエンタープライズ)で支配的な地位を獲得するとは思わない」です。Appleはこれからも(7月のIBMとの提携のように)自分があまり得意ではない分野をサードパーティに任せる方針を採っていくものと思われます。
 もう少し詳しく解説しましょう。ポイントは8つあります。長いですが、ちゃんと聞いてくださいね。
 まず1点目。大局的に見た場合、この提携はIBMを"エンタープライズのApple"的な地位に就ける役割を果たしています。
―「エンタープライズのAppleになりたい!」というベンダの声はわりと耳にしますが、IBMがその座を勝ち得たわけですか…。
ジョーンズさん:2点目です。Appleの側からこの提携によるメリットを考えたとき、"エンタープライズに弱い"という長年の問題をクリアできることが挙げられます。サポートの提供、ディスカウントの交渉、サプライチェーンの構築など、エンタープライズを相手にビジネスをするにはこうした部分が重要になります。巨大企業を相手にディールの大きいビジネスをするならなおさらです。ところがAppleはこの部分が致命的に弱い。あなたが言うとおり、エンタープライズユーザにはApple好きが多いです。スマートフォンもタブレットも、彼らのデファクトスタンダードはiPhoneでありiPadです。ですからIBMと提携したことで劇的に出荷台数が増えるということは考えにくい。一方で、競合のSamsungはここ2年ほど、エンタープライズ指向を強めています。つまりAppleは今回の提携により、IBMにエンタープライズの重要なパーツを任せることで、エンタープライズビジネスを切ることなく、コンシューマビジネスに集中できる環境を得たといえます。
 3点目のポイントはアプリケーションです。Appleは今回の提携で、数はそれほど多くないものの、iPhone/iPad用のビジネスアプリケーションを獲得することができました。しかし約束した100程度のアプリではまったく十分ではなく、エンタープライズユーザをiPhoneに引きつけておくほどの魅力があるかと言えばちょっと違う。むしろビジネスアプリケーションとしての人気なら、SAPのほうがはるかに上です。SAPはFioriというライトウェイトなUIをベースにしたアプリケーション群を展開していますが、SAPのシステムでしか動かないにもかかわらず、モバイルの市場でも人気です。
―デバイスだけじゃなく、アプリが魅力的かどうかがエンタープライズでもモバイルでも重要というのはすごく理解できます。魅力的なビジネスアプリをIBMがどれだけ提供できるかは確かに大きなカギになる気がします。
ジョーンズさん: では4点目です。2点目で指摘したAppleの側のメリットはそのままIBMのメリットにも直結します。エンタープライズの顧客にIBMの手でAppleのデバイスという魅力的なガジェットを届けられるだけでなく、そしてそれに伴うマネージドサービスやコンサルティング、アプリケーション開発などの新たな契約にこぎつける可能性が高まります。
 5点目もIBM側の視点です。IBMはAppletと提携を結んだからといって、AndroidやWindows Phoneのサポートをやめるわけではありません。もちろん提携により、iOSの新しいバージョンにいち早く対応したサービスを展開したり、iOS対応のビジネスアプリをいち早く開発/移植する必要はあります。しかし、IBMは顧客も従業員も多国籍であり、さまざまなデバイスを使う人々で構成されています。とくにBYOD(Bring Your Own Device)を推進する企業が顧客の場合、Appleデバイスしかサポートしないというのはビジネス的に許されません。AppleおよびiOSは重要ではあるが、IBMのモバイル戦略にとってのすべてではないことを覚えておいてください。
―つまりこれからもIBMは顧客のニーズに応じてAndoroidもサポートしていくということでしょうか。
ジョーンズさん:私はそう見ています。全世界の顧客にサービスを提供している以上、他のプラットフォームを捨てるという道をIBMが取るとは思えません。
 ここで6点目のポイントです。iOS対応のアプリやサービスを優先的に開発/移植すると先ほど指摘しましたが、これは言うほど簡単ではありません。IBMが約束した100のアプリもちゃんと開発/移植できるのかも正直疑問です。これらのアプリが姿を見せるまで、Androidなど他のプラットフォームに比べてAppleデバイスで動くIBMアプリがすぐれているという評価はできないですね。それくらいAppleデバイスに特化したビジネスアプリ、つまり指紋認識やiCloudにも対応したアプリを作るのは難しいのです。私が「IBMはAndroidデバイスのサポートをやめない」と予想する理由のひとつはそこにあります。(Androidサポートという)ビジネスのニーズがあるのにそれを無視する愚だけでなく、100程度のアプリケーションではエンタープライズには全然足りないのです。しかもそれすら心もとないとなると、ますますAndroidを捨てるわけにはいかないでしょう。
―お話を伺っていると、どちらかといえばIBMのほうに利益もリスクもあるような提携に思えます。
ジョーンズさん:それが7点目のポイントです。PR的な観点で言えば、この提携はAppleよりもIBMにより大きな価値をもたらしたと言えます。IBMのモバイル市場におけるクレデンシャルを強化することにつながりましたから。
 そして最後の8点目です。エンタープライズ的な大局観で考えると、エンタープライズ企業、とくに多国籍企業が「当社でも大規模にiPhoneを導入したい」と検討したとき、最初に連絡を取ってみるIT企業、IBMはその地位を獲得したと言えます。
―まとめると、両者にとってそれぞれメリットもあるし(とくにIBM側)、エンタープライズモバイルの世界においても大きな出来事ではあるけれど、それぞの競合他社をなぎ倒すほどの衝撃はないということですね。ちなみにモバイルの専門家であるジョーンズさんはふだんは何をお使いですか?
ジョーンズさん:私はつねに複数のデバイスをもっており、シチュエーションに合わせて使い分けています。なので1カ月後に同じ質問をされても答えが違っている可能性は高いですね(笑)。とりあえず現在メインで使っているスマートフォンはWindows Phoneで、タブレットはiPadです。セカンダリのタブレットとしてAndroidタブレットも使っています。それからレガシーアプリを動かすにはWindows 7搭載のノートPCが手放せません。
 先ほど「エンタープライズユーザはAppleデバイスが好き」という話が出ましたが、たしかにiPadはビジネス用途のタブレットとして最適だと個人的にも思います。実際、私もミーティングの席にはたいていiPadをもっていきます。ですが最近のハイエンドなAndroidタブレットはかなりiPadに近くなってきていますね。
―それより驚いたのはWindows Phoneを使っていらっしゃるというところなんですが…。
ジョーンズさん:Windows Phoneはいいですよ。私はiPhoneやAndroidより断然好きですね。なぜかというとOfficeがビルトインサポートされていて、Exchange Serverともきっちり統合されている。まあ、もう少しアプリケーションがサポートされないとiOSやAndroidに追いつくのは厳しいでしょうが。
―Windows Phoneは市場でまだ生き残っていけるんでしょうか。というか、Microsoftのモバイルでの存在感をどのように評価していますか。
ジョーンズさん:ノートPCの市場ではもちろんまだWindowsが支配的です。しかしスマートフォンやタブレットの市場となるとWindowsは"第3のプラットフォーム"に過ぎず、しかも先を行く2つのプラットフォームからはものすごく大きな差を付けられています。シェアでいえば数%程度でしょう。
 我々はWindows Phoneはあと数年はなんとかこの市場でサバイブできると見ています。うまく行けば2018年には10%ほどのシェアを獲得できる可能性もあります。やはりコンシューマの市場ではWindows Phoneはつらいですね。タブレットの市場でもWindowsはもはやニッチな存在という評価が確立しています。ですが、エンタープライズユーザにとってWindowsが動くノートPCやタブレットは非常に魅力的です。レガシーアプリが動くということは彼らにとって本当に重要なのです。このエンタープライズユーザがボトムラインでニーズを支え続けていれば、先ほど言ったように10%程度のシェアを獲得できるでしょう。モバイル市場でのWindowsプラットフォームに関しては、市場から消えることはないが"第3のプラットフォーム"の地位を抜け出せるほど普及もしないというのが我々の予測です。追い付くには差を付けられすぎていますから。
―逆に言えば、蓄積したアプリ資産でWindowsはまだモバイルで生き残っているようにも思えます。コンシューマと同様に、というよりも、エンタープライズだからこそ"モバイルファースト"の考えが浸透しつつあるようにも思えるのですが。
ジョーンズさん:うーん、私はその"モバイルファースト"という言葉があまり好きじゃなんですよ。そのフレーズからは「モバイル以外は大事じゃない」というニュアンスが感じられるからです。なのでかわりに「マルチチャネルファースト」と言うようにしています。デベロッパには複数のデバイスで動くアプリケーションを開発してほしいですから。
 もっと言うと、すべてのアプリケーションがモバイルに対応する必要もないと思っています。これは私の個人的な意見ですが、エンタープライズユーザがモビリティに求めているのはどこでもなんでも使えるといったユニバーサルな汎用性ではなく、適切なアプリケーションが適切なデバイスで動くという最適性だと思うのです。「はじめにモバイルありき」のモバイルファースト的な思想では、エンタープライズのプロセスを効率化できないのではないでしょうか。
―エンタープライズのプロセスとモバイルの最適化という発想はなかったです。
ジョーンズさん:これはガートナーの意見というより私見です。ですがエンタープライズとモバイルにおいて重要なのは、モビリティによってどんなイノベーションが起こるのか、そのプロセスを考案することだと思うのです。たとえばスマートフォンやタブレットの普及でワークスタイルが変わったように、あなたの企業はモビリティをどうイノベーションに活かそうとしているのか、今一度考えてみてください。単に既存のアプリを載せ替えただけではイノベーションは起こりません。紙の印刷物をタブレットで表示できるようにしたところで、もうそれは新しいイノベーションでもないでしょう。
 そう考えると、既存のスマートフォンやタブレットではもうイノベーションは起こりにくいかもしれませんね。たとえばスマートウォッチやGoogle Glassなど、ウェアラブルデバイスのような新しいデバイスにその可能性は眠っているのかもしれません。



木曜日, 6月 27, 2013

屋根やベンチにもなる「実用的な広告板」:IBM

屋根やベンチにもなる「実用的な広告板」:IBM

雨宿り用の小屋根 やベンチ、スロープも兼ねる機能的でデザイン性の高い広告板を紹介。IBMの「スマーター・シティー」キャンペーンの一環で制作された。

TEXT BY JOSEPH FLAHERTY
PHOTOS BY IBM
TRANSLATION BY MINORI YAGURA, HIROKO GOHARA/GALILEO

WIRED NEWS (US)

これは、人々が争ってその前に立ちたがる最初の広告になるかもしれない。

広告はしばしば、侵入的とか攻撃的とか、イライラさせるものと形容されてきた。「役に立つ」と形容されたものはほとんどないだろう。 しかし、IBMによる新しいキャンペーンは広告板を実際に役に立つものに変えている。雨宿りできる屋根や、ベンチや、荷物が運べる坂道などだ。

これらの広告は、IBMが同社の「スマーター・シティー」イニシアティヴの新たなキャンペーンの一環として、広告会社 Ogilvy社 と提携して制作したものだ。本来 なら最新の携帯電話や映画の封切りを宣伝するような空間を、双方向的で便利な「即席インフラ」に変えている。

IBMのエグゼクティヴ・クリエイティヴ・ディレクターであるスーザン・ウェストルによれば、同社は役立つ情報や啓蒙的な体験を提供することにより、コ ミュニケーションにおける水道やガス等の「公益サーヴィス」提供者のような存在になることを目指しているという。す れっからしの都市住民や政治家の関心をひくことは簡単なことではないが、夕立のときに身を寄せられる場所を提供することは、よい出発点になるはずだ。

この気の利いたデザインは、グラフィックデザイン界の伝説的人物 ポール・ランド が1960年代および1970年代に形づくった、デザイン分野における IBMの豊かな歴史も参照している。看板のストライプ模様は、ランド氏がデザインしたIBMのロゴを反映している。フラットで制限された色使いのデザイン も、Photoshop以前だったランド氏の時代の雰囲気がある。また、広告のコンセプト自体が同氏の有名な言葉を具体化している。「デザインとは、形式と内容をまとめる方法だ」というものだ。

ランド氏も、天国の偉大なデザインスタジオから微笑んでくれそうなデザインだ。

プロジェクトをできるだけ速やかに始動するために、チームは進歩的な考えの人が所有する私有地を探した。地下鉄の駅な どの公共スペースの場合は、新しい広告を掲示する許可を得るのに非常に長い時間がかかるが、そうした所有者なら、この実験的取り組みに対して柔軟に考えて くれるだろうからだ。

「こうしたアイデアを世界に広めるだけで、ほかの人々にどうしたら都市生活が少しでも改善されるように革新、創造、行動できるのか、考えさせることができ ると思う」とIBMのウェストル氏は話している。






過剰で押し付けがましい広告が多いなか、
こういうそっとそばにいるようなさりげない広告はいいな