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金曜日, 5月 27, 2016

ヌードをやめた『PLAYBOY』のエディトリアル・デザイン

 

ヌードを封印した『PLAYBOY』のエディトリアル・デザイン


伝統あるポルノ誌『PLAYBOY』(プレイボーイ)のリニューアル号が発刊された。インターネットにポルノが流通する時代に「ヌードをやめた」ポルノ誌は、どう生まれ変わったのか。とくにそのエディトリアル・デザインに注目した。






60年以上にわたって堂々と裸を掲載してきた『PLAYBOY』誌だが、2016年3月号は「職場で安心して読める」。この歴史ある男性誌の写真は、ずっと落ち着いたものになった。ヴィニールでシュリンクされていないし、少し大きなサイズのマットな表紙は、まるでアートマガジンのようだ。


PLAYBOYがいま、つくりあげようとしているのは「恥ずかしがらずにすむ読書体験」の提供だ。大幅にデザインが変更され、女性のヌード写真を掲載する数十年来の伝統は終わった。




リニューアルされた『PLAYBOY』誌3月号、目次。ヌードの女性は、出てこない。

クリエイティヴディレクター、マック・ルイスは、新たなデザインのため、フォントを発注した。ページを読み進めると…

ページを読み進めると、ルイス氏が発注したフォントのみが際立っていることがわかる。彼らは『PLAYBOY』伝統の「ごちゃまぜフォント」を捨てた。

ちなみにこちらは、リニューアル直前号。

リニューアル直前号の目次。

リニューアル号。重厚なフォントと、それによって際立つ余白使いで、写真もより引き立つ。

旧デザインの巻頭、インタヴューページ。

こちらは、新デザイン。

そして、旧デザイン。



PHOTOGRAPH COURTESY OF PLAYBOY



脳と性器は別物!?

 

昨年10月の発表後、「メッセージやメールがたくさん届いた。何をやってんだ?といった類の、ね」と、PLAYBOYのクリエイティヴディレクター、マック・ルイスは言う。

それもそのはずだ。1953年(この年、マリリン・モンローがこの雑誌の「折り込みページ」に登場した)の創刊以来、PLAYBOYは世界で最も有名なヌード雑誌である。あるいは、少なくとも「そうだった」。しかし、インターネットが登場してヌードがはるかに手軽なものとなり、いまでは裸はかつてほど貴重なものでなくなっている。先ごろ、PLAYBOYのチーフエグゼクティヴ、スコット・フランダースがニューヨーク・タイムズに「こうした状況では、ヌードはもはや古い」と語ったのも、仕方がなかったのかもしれない。

少し違う見方をするなら、雑誌を裸の写真で埋めるのは、もはや「十分でない」ということなのだろう。今日のアダルト愛好者は、成熟したコンテンツから得られるイマジネーションを期待しているのだ。

「脳と性器が乖離しているのは、いいことでないでしょう」とインディー誌『Adult』創刊者で編集者のサラ・ニコル・プリケットは話す。「セクスティング(sexting; sexとtextingによる造語。性的なテキストメッセージ(または写真)を携帯電話間で送る行為を指す)のように、脳と性器がいかに強く結びついてい るかがわかるでしょう。ただこれまで、その結びつきはわたしの周りの文化において、あまりはっきりしてなかったのです」

プリケットの言う「文化」とは、PLAYBOYだけでなく、『Penthouse』や『Hustler』のような古い形態のプリント版のポルノ誌のことだ。

プリケット自身はといえば、彼女が2012年に創刊した『Adult』では、写真だけでなく、過激なセックスストーリーを掲載している。特筆すべきは女性がコンテンツの大半をつくっていることだ。同様の雑誌として『C-Heads』などの名も挙がるが、これらの雑誌はポルノ誌というよりアート誌のように見える。こうした「デザインに優れたアダルト雑誌のニューウェーブ」はほかにもあって、例えば2人の女性デザイナーが創刊したスイスの雑誌『Glory Hazel』だ(同誌のミッションは「…審美的に無視されているヴィジュアル分野に、官能の創造物と革新とでアプローチし…知られざる潜在性を遊び心満載で発見し…人間味のある性的空想表現を創り出す」とある)。



リニューアル号の直前の旧デザイン。

PHOTOGRAPH COURTESY OF PLAYBOY/ELLEN VON UNWERTH






それは、まさに「刷新」だった

何もPLAYBOY読者の好みが変わったことだけが問題ではない。多くの雑誌と同様、同誌の利益は数年にわたって減少してきた。売り上げは1972年にピークを迎えたが(同年11月号の売上げ部数は716万部)、2015年は年間の発行数がわずか80万部となっている。

ただし、2014年には面白いことが起きている。同年8月、編集者たちはPLAYBOYのウェブサイトを「仕事中でも閲覧できる」かたちとしてリニューアルした。閲覧率は400パーセントアップし、同年6月に400万だったユニーク閲覧数は12月には1,600万となった。サイト訪問者の平均年齢は、47歳から30.5歳に若返った。

このウェブサイトのリデザインが何かしら示唆するものがあるとすれば、それはPLAYBOYに変化の時期が訪れた、ということだろう(それは、雑誌としてだけでなく、ブランドとしても、だ)。新しく生まれ変わった『PLAYBOY』誌が先日、店頭に並んだ。服を着てない女性が掲載されているが、(少なくともInstagramの基準での)ヌードはどこにもない。乳首の露出もなく、下着が隠すあの部分の露出もまったくない。全裸の女性はどこにもいない。肌色のレオタード、あるいはTシャツを着用し、ベッドシーツをまとっている。上品ぶったアプローチであることは否定できない。

(PLAYBOYそのものの)リデザインの要素として、もう1つ。PLAYBOYの編集スタッフは、写真を変更するだけなら容易にできただろうが、そうはしなかった。“ヌード封じ込め政策”によって洗練された編集方針を示すとともに、多くの「慣習」を捨てた。古めかしいマンガや数々の商品を掲載した巻頭ページ、モデルのスリーサイズや好きな色を載せていた折り込みデータシートを削除し、新しいカメラマンやイラストレーター、ライターを雇った。

「まさに一掃した」と、ルイス氏は話す。「当初は骨組みを分解し、新しい方法を検討することがテーマだった。アイデアが進むにつれ、望んでいた清潔さが見え始めた」
ルイス氏と彼のチームは約10種類のレイアウトを試し、よりシャープでシンプルなスタイルを模索した。2016年3月号のデザインに落ち着いたのだが、従来のPLAYBOYに見られる3列の文字組みに回帰している。同時にルイスは、「かつてPLAYBOYでおなじみだった、10種のフォントのごちゃ混ぜ」と呼ぶものを避けた。見出しと小見出しで使用する書体は1つに絞った(ルイス氏自身が発注したカスタムフォントを使用している)。




刷新された表紙デザイン。メッセンジャーアプリ『Snapchat』のインターフェイスが模されている。

PHOTOGRAPH COURTESY OF PLAYBOY/THEO WENNER




官能性のデザイン

レイアウトをきれいに整理すると、読者の体験は改善されうる。「(新しいPLAYBOYを見ると)とても“ラク”だと感じる」と、モシェ・バーは言う。彼は、イスラエルのレズリー・アンド・スーザン・ゴンダ多分野脳研究所の認知脳神経科学研究室ディレクターだ。

彼ら研究者による予備調査結果によると、人間の脳は「局面物体」を魅力的だと感じるという。「U字型の機能は興味深い。あまりにもシンプル過ぎると退屈だが、複雑過ぎると楽しめない。キーワードは『乱雑さ』(clutter)だ」と、PLAYBOYによるそうした要素の排除について語っている。「同時に、乱雑さは人にストレスを与えうる」。シンプルさとカオスのバランスを的確にとることで、デザイナーは雑誌を楽しもうとする読者の能力を最大限に引き出すのだ。

リニューアルにおいて用いられた新たなフォントも、大衆受けに貢献しているようだ。グラフィックデザイナーのサラ・ハイドマンは、人間の感情がフォントをどのように知覚するかについて実験を行っている。彼女は『PLAYBOY』に用いられているフォントを見て、厚みのあるブロック・セリフ体からは力強さが、余白が多いことからは敬意が感じられると話している。彼女はまた、ロゴの輪郭を描くのに細い白線を使ったことで、この号がより高価に見えるようになったとも言う。

ただ、わたしが話をした誰ひとりとして、これらの書体、レイアウトを見て肉体的、性的に興奮したとは言わなかった。なにも「男性が勃起できる」書体があるというわけではないが、肉体的な要素が控えめな誌面であるなら、読者は肉感的ではない、ほかの部分に自らの官能を求めるだろう。

ルイス氏は、いまのPLAYBOYには「多次元を感じさせる」女性を登場させ、描こうと試みているのだと言う。この決断が正しければ、女性の読者も惹きつけることになるかもしれない。

彼らの新たな構想は、フォント選びと余白の導入に留まらず、無数の体形と美の定義を見せることにあるのだ。








PHOTOGRAPHS COURTESY OF PLAYBOY
TEXT BY MARGARET RHODES

WIRED NEWS (US)





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月曜日, 11月 02, 2015

「脱ぐのをやめた『PLAYBOY』

 

プラットフォームが支配する時代の「ヌードなき『PLAYBOY』」

 

米雑誌『PLAYBOY』の「ヌード」からの撤退という決断が意味するのは何か。それは、Facebook、Twitterのようなソーシャルメディアというプラットフォーム全盛の時代における、メディアの生き残り方を模索した結果なのかもしれない。



これで「職場閲覧」も安心だ。

かつてはアダルト雑誌の筆頭であった『PLAYBOY』(プレイボーイ)が、「ヌードを取りやめる」(ただし「PG13」は維持される)。この事実を最初に伝えた「ニューヨーク・タイムズ」によれば、同誌は、誌面の企画を見直し、2016年3月に発行される号からフルヌード写真を掲載しなくなるという。「1953年に創始者ヒュー・ヘフナーがこの雑誌を創刊して以来、モデル、有名人、そしてもちろん、プレイメイトの裸体が掲載されないのは初めてのこと」だと、同社は語る。

これは思い切った転換である。ヘフナーは、ヌードを打ち出した雑誌を生み出したが、「彼がPLAYBOYをつくったとき、彼は、痛々しいほどに保守的であった当時のアメリカにおいて、個人の、そして性的な自由を守ろうと手を打ったのです」と、プレイボーイ社は説明する。

しかしながら、時代は変わった。ヌードやポルノは、インターネット上でいくらでも見ることができる。多くの人が、雑誌を購買するよりもむしろオンラインでの閲覧を選択している。一方で、従来の読者は、Facebook、Twitter、Pinterestなどのプラットフォームで、ストーリーを読んでいる。そしてこれらのプラットフォームはそれぞれ独自のルールを設け、ヌードを禁止、あるいは制限している。

プラットフォーム・ドリヴンの現代においてPLAYBOYが生き残るためには、こうしたルールを遵守しなければならないというプレッシャーはとてつもなく大きい。ゆえに彼らは、自らのアイデンティティの柱に見切りをつけるわけである。

「プレイ」への適合

とはいえ、PLAYBOYがこうした転向を試みるのは初めてというわけではない。
プレイボーイ社は15年に「職場でも安全に読めるもの」として「Playboy.com」を再始動し、かなりの成功を収めている。「毎月、何千万人もの読者が、美しい女性のグラビアのみならず、ユーモア、セックス、文化、スタイル、ナイトライフ、娯楽、そしてヴィデオゲームについての記事やヴィデオを求めて、わたしたちのヌード以外のコンテンツに接しています」と、彼らは言っている。

同社CEO、スコット・フランダースは、「タイムズ」誌に対して、コンテンツのいくつかを「Facebook、Instagram、そして Twitterのようなソーシャルメディアプラットフォームに掲載できるように」した、とタイムズ誌に語っている。またタイムズ誌は、ウェブサイト移行後、ひと月あたりのウェブサイト訪問者数がおよそ400万人から1,600万人に増加、読者の平均年齢が47歳から30歳代全般に下がったという。つまり人口統計学からみて「自宅でソーシャルメディアを利用する読者」へと移行した、と伝えている。

多くのソーシャルメディア・プラットフォームでは、セックスなどの「露骨なコンテンツ」を禁止している。そうしたコミュニティー基準はずっと変わっていない。それこそ、53年にヘフナーがマリリン・モンローのヌードを雑誌に「折込み」として発行したときから。
プレイボーイ社は、「Facebookでは、ヌード写真の掲出が禁じられているが、それはグローバルで見たときに、この種のコンテンツに対して過敏なユーザーがいる場合があるからだ」と述べている。Twitterは、ヌードのようなセンシティヴなコンテンツについて、アラートを出して隠せるよう求めている。一方で、セレブや活動家たちが「乳首を自由に」Instagramに掲載するというキャンペーンを行っているが、成功はしていない。アップル社のApp Storeのガイドラインは、「ポルノの資料を含むアプリは拒絶されます」との警告を出している。

このような事態に直面したとき、PLAYBOYのように、コンテンツディストリビューションの観点からプラットフォームに依存している雑誌において、戦略の再検討が必要になるのも無理はない。

雑誌の発行人は、何をすべきだろうか。コンテンツを雑誌のみに掲載するという方針では、企業は必ずしも成長しない。雑誌で見ることのできるものは、オンラインにも掲載されるものだ。プレイボーイ社はブランドの再構築を決断した、ということだ。

PLAYBOYの決断は、コンテンツディストリビューション・モデルが、コンテンツ制作に対していかに「指図をするか」ということについて、完璧な例となるかもしれない。

しかし、ことはこれだけではない。発行人は、彼らの作品が読者/視聴者によってソーシャルメディア上で発見され、共有されるということで、自らの事業が成り立っていることを理解している。「シェア」が、編集者の意思決定の要素となっているが、しかしそれは言うほどにうまくいっているわけでもない。

雑誌というかたちで出版すれば売れる作品が、必ずしもウェブ上でうまくいくとは限らない。ラジオで成功する作品がテレビで報道された場合に、うまくくいくとは限らない。すべてのメディアには独自のルールがある。この違いは、ことコンテンツを考慮なければならないとき、発行人側ではルールを決められない。彼らはただフォローするのみ、なのだ




PLAYBOYを飾ったプレイメイトたち
創刊号で表紙を飾ったマリリン・モンロー。ただし当時はまだ「プレイメイト」の呼称は使用されておらず、「今月の恋人」とクレジットされている。『PLAYBOY』創始者のヘフナーは「モンローのそばで永眠したい」として、彼女が眠る墓所の真横の区画を購入している。
ヒロミ・オオシマ(1980 - )は、2004年6月の「今月のプレイメイト」。日本人として初めてのプレイメイトだ。
1988年1月のプレイメイト、キンバリー・コンラッド(1962 - )。のちに、創業者のへフナーと結婚した。写真は88年に、へフナーとともにグレース王妃財団のガラパーティに参加したときの様子。
2014年の「今年のプレイメイト」に選ばれたケネディ・サマーズ(1987 - )。写真は同年、アーティストのレイ・ジェイとともに。
1980年6月のプレイメイト、オーラ・レイ。見覚えがある読者諸兄の直感は、間違っていない。彼女は、83年に公開されたマイケル・ジャクソン「スリラー」のPVに、彼の恋人役として出演している。
ダニ・マザーズ(1987 - )は最も若い「クイーン」だ。2015年の「今年のプレイメイト」に選ばれたが、その以前にもセス・ローゲンの映画『Bad Neighbors』に出演するなど、女優としても活躍している。
1974年11月のプレイメイト、ビビ・ビュエル(1953 - )は、リヴ・タイラーの母親とも知られている。77年、リヴを妊娠していることに気づいたビビは、スティーヴン・タイラーにもとを去り、トッド・ラングレンを頼ることになる。
プレイメイトになった最初の双子、マリーとマドレーヌのコリンソン姉妹(1952 - )は、1970年10月のプレイメイト。写真は、主演した映画『Twins of Evil』(邦題:ドラキュラ血のしたたり)より。


TEXT BY JULIA GREENBERG
WIRED NEWS (US)




関連記事『PLAYBOY』の主な収益源は、実は「ロゴ」

日曜日, 10月 25, 2015

『PLAYBOY』の主な収益源は、「ロゴ」


PLAYBOYは「ヌード」ではなく「ブランド」を選んだ

女性のヌード写真の掲載を止めると発表した『Playboy』誌。同誌を発行しているPlayboy Enterprises社の主な収益源は、雑誌の売り上げではなく、Playboyロゴマークのライセンス使用料だ。

女性のヌード写真の掲載を止めるという『Playboy』誌の発表が、同誌の首を絞める決断であるように思えるとしたら、次のように考えてみよう。同誌を発行しているPlayboy Enterprises社は、見開き写真付き雑誌の売り上げではなく、Playboyのロゴマークのライセンス使用料によって収益の大部分を稼いでいる、というふうに。

Playboy誌のスコット・フランダーズCEOは『Times』紙に対して、オンライン上でポルノが広く利用できる状況を指摘し、ヌードが「時代遅れ」になったと述べている。
だが、それ以上に重要なことは、ヌードが今日のソーシャルメディア・プラットフォーム上で勝負できないという事実だ。Playboy誌は裸の女性でクリックを獲得することはできない。なぜなら、FacebookやInstagramが規定により、ヌード画像の掲載を許可していないからだ。


関連記事:ポルノを自動識別するTwitterのAIができるまで


一方、Playboy誌が獲得するライセンス契約には、アパレルやビューティー製品などのローエンドなラグジュアリー・アイテムのほか、ロサンジェルスにある「Bar Fifty Three」のような、ブランド化されたカクテルラウンジなどが含まれる。『License! Global』誌は2014年に、国際的ライセンサー上位150の42位にPlayboy社をランクインさせている。彼らはこのブランドを守る必要があるのだ。

創刊者のヒュー・ヘフナーが1953年に、「自分が探究している素晴らしい世界を投影するものとして」この過激な雑誌を発刊しようと決めたとき、最初のクリエイティヴ・ディレクターおよび当初の唯一の共同制作者として選んだのが、シカゴのアーティスト、アート・ポールだった。

ポール氏が30分で描いた「蝶ネクタイを付けたウサギ」のロゴマークは、第2号からすべての表紙を飾ってきた。このマークは有名アイコンになったと いっていいだろう。1953年に構想されて以来、変化していないこのロゴマークは、「プレイボーイ」を明示しているわけではないが(そもそも人間ですらな い)、Playboyを直ちにイメージさせるものとなった。

ヘフナー氏はかつてインタヴューで以下のように述べている。「『New Yorker』誌と『Esquire』誌は両方とも男性をシンボルとして使用しているので、ウサギは特徴的になると思った。フォーマルな夜会衣装を着たウ サギのアイデアは魅力的で面白く、適切だと感じた」

陽気さと洗練さを想起させるこのシンボルと、ヘフナー氏のオリジナル・ヴィジョンは、非常に人気を呼んだ。1960年には、高級ナイトクラブ「プレイボーイ・クラブ」とバニーガールたちも登場した(バニーガールは、正式には「プレイボーイバニー」という名前で商標登録されている)。

Playboy誌は決して単にポルノだけではなかったし(高名な寄稿者には、トルーマン・カポーティ、アレン・ギンズバーグ、ジョン・アップダイク などがいる)、若い男性だけを対象にした雑誌でもなかった。ヘフナー氏はもともとそのような方向を目指して、このブランドをデザインしたのだ。

ヘフナー氏は最初の編集後記の中で、Playboyは、「ピカソ、ニーチェ、ジャズ、(そして)セックスについて」落ち着いて論考することを好む男 性のための雑誌だと述べている。同誌が今後、ヌードを掲載せず「少し上品に」になることは、このライフスタイル・ブランドにとって良いことに違いない (「NY Times」の記事によれば、2015年8月、同誌のウェブサイトでヌードの掲載をやめてみたところ、1カ月のユニークユーザー数は400万人から1,600万人に増え、閲覧者の平均年齢は47歳から30歳に若返ったという)

 

 

TEXT BY MARGARET RHODES
TRANSLATION BY TOMOKO MUKAI, HIROKO GOHARA/GALILEO
WIRED NEWS (US)

水曜日, 9月 30, 2015

ポルノを自動識別するAIができるまで

 

ポルノを自動識別するTwitterのAIができるまで

 

人工知能はいったい何の役に立つのだろう? その一例が、SNSのタイムラインにアップされる膨大な「閲覧注意」画像対策にある。Twitterが試みる、ポルノを学習するAIの実装までのストーリー。



クレメント・ファラベットは人工知能の専門家だ。ニューヨーク大学の研究員として、彼はヒトの脳と同じように機能する演算システムを構築し、写真や映像に写った物体の自動識別を可能にした。その後、スタートアップ企業を立ち上げてからも、彼がやっていることは変わらない。ファラベットと共同創設者が「Madbits」と名付けたそのスタートアップは、立ち上げから18カ月後、ツイッターに買収された。

Madbitsに顧客はいない。そして、両社の人間以外はだれも、わずか5人からなるスタートアップ企業とツイッターが一緒に何をする気なのかを知らない。

しかし、アレックス・ロッターは、知っている。ファラベットとMadbits社員たちが昨年夏にツイッターに加わったとき、ツイッターのエンジニアリング責任者であるロッターは、彼らに、広大なソーシャルネットワーク上からNSFW(NotSuitable/Safe For Work:職場閲覧注意)画像を自動識別するシステムをつくるよう依頼したのだ。

ロッターは言う。「企業買収をするときは、たとえ広範な分野を任せる予定であっても、具体的な特定業務を割り振るのが得策です。それによって、お互いのことをよく知ることができ、買収が効果的になります。そこでわたしたちは、NSFW問題を提示したのです」

1年後、人工知能(AI)が実装された。ファラベットによれば、このシステムでポルノおよび不適切画像の99パーセントが識別されるよう設定した場合(Twitterユーザーのタイムライン上に注意書きが表示される)、まったく問題ない画像に誤ってフラグが付いてしまう確率はわずか7パーセントだという。もちろん、この数値は完全に、ツイッターが何をNSFWと定義するか次第だ。しかし、額面どおりに受け取れば、これはTwitterやFacebookといったソーシャルネットワークにとっての大きな前進だ。

ツイッターやフェイスブックのような企業は、広大なソーシャルネットワーク上に溢れる絶え間ない奔流のごとき画像をチェックし、不適切(ポルノ、性的誘惑、人種差別、流血など)なものを特定する専門の人員を雇うのが普通だ。

ツイッターの場合、この業務には「CrowdFlower」などの人力サーヴィスが利用されていたと、ロッターは言う。ファラベットらエンジニアがつくりあげたAIシステムを利用することで、企業は目を皿のようにして男性器やディルドや斬首の画像を探す人員を削減できる。AIは迅速かつ安価だ。そのうえ、フィリピンなどで多大な精神的・情緒的負荷に耐えながら働く人々も少なくなる。


CrowdFlowerは、2009年のTechCrunch50でローンチしたクラウドソーシングサーヴィス。〈How it Works – CrowdFlower〉


しかし、この限定的なタスクは、ファラベットらのチームにとって始まりにすぎない。NSFW問題に取り組むなかで、Madbitsチームは依然ニューヨークを拠点としつつ、シヴァ・グルマーシー や ウトカーシュ・スリヴァスタヴァ といった、サンフランシスコのツイッター社内の機械学習専門家たちと合流した。いまではそこに、ツイッターが6月17日に買収したボストンのAIスタートアップ、「WhetLab」も加わった。その結果、中枢AI業務部門、その名も「Twitter Cortex」が誕生し、Twitter社全体の機械学習タスクを担うこととなった。

代表的なタスクは、フォローすべきアカウントの識別、スパムや攻撃的ツイートの抑制、ユーザーが気に入るツイートや広告、その他のコンテンツの表示といったものだ。これらは、ツイッターがすでに実施していることでもある。しかし、MadbitsとWhetLabが手がけたAIは、その性能を向上できる。それも、大幅に。

ロッターいわく、ツイッターはすでにCortexのテクノロジーを広告システムの向上に利用しており、いずれはツイートの全記録を分析することで、「ツイートをより適切に分類し、ユーザーの好みを発見できるようになる」という。

Twitter Cortexに似た取り組みはグーグルやフェイスブックなどの企業にもみられる。これらのインターネット巨大企業でも、「ディープ・ラーニング(ヒトの脳内を網の目のように結ぶニューロンを模倣した演算システムの総称)」の専門チームがつくられている。

フェイスブックは現在、こうした「ニューラルネットワーク」を利用して写真の人物認識をおこなっている。グーグルは、Android端末上の『Google Now』のパーソナルアシスタントに向かって発さられた言葉の認識に使っている。マイクロソフトはSkype上の会話の翻訳に利用している。「ディープ・ラーニング」のテクノロジーは、これまで人間にしかできなかったタスクを機械が(場合によっては、人間よりも上手に)おこなう近未来を示している。


 

困難な課題

 

ディープ・ラーニングのアルゴリズムは、大量のデータを分析することで特定のタスクを「学習」できる。例えば、古い映画の会話を分析することで、ある程度の会話ができるようになる。つまり、ポルノの識別を学習するために分析すべきは…まあ、言うまでもないだろう。

Madbitsの買収後、ツイッターはデータセンター内に、GPU(グラフィックス・プロセシング・ユニット)を搭載したマシンを用いたニューラルネットを構築した。nVIdiaなどの半導体メーカーは、ゲームなどのソフトウェア用に、大きな画像を高速処理するGPUを製造しているが、これがディープ・ラーニング・アルゴリズムの演算に最適であるのは実証済みだ。

ニューラルネットはこういった「寛大な反復」にとりわけ適している。

ロッターとファラベットはニューラルネットワークの規模を明かさなかったが、おそらくグーグルやフェイスブックが現在使用しているものよりは小さいだろう。しかし、Twitter上でNSFW画像をリアルタイムに識別するサーヴィスはすでに実装されており、その正確性はかなりのものだ。

同じような画像識別サーヴィスを他社に提供している、スタートアップ企業Dextroのデヴィッド・ルアンいわく、Twitter上で画像識別をおこなうのは特に困難だ。Twitterはコンテンツをほぼリアルタイムでネットワーク上に提供しなければならないためである。
注目すべきは、こういったアルゴリズムは完璧とはほど遠く、そのうえポルノのようなものを識別するのはとくに難しいということだ。

なにしろ、Twitterには半裸の赤ちゃんや授乳中の母親の画像もアップされる。それらは明らかにポルノではないが、コンピューターにその違いを学習させるには訓練が必要だ。

「ヴァリエーションは膨大で、そのうえコンテンツの種類は1種だけではありません。ポルノ以外にも、暴力など、さまざまなジャンルがあるのです」と、ルアンは言う。


つい先日(7月1日)も、新しくリリースされたアプリ『Google Photo』で、Googleのニューラルネットワークが黒人をゴリラと識別するというとんでもない間違いが発覚した。これは、簡単に思えるディープ・ラーニングのタスクにも正すべき間違いが山ほどあるという証拠である。ルアンいわく、「機械学習は常に間違いを犯す」のだ。




 

機械学習のための機械学習

 

NSFW画像の識別作業に従事する10万人もの人々のことを考えれば、ツイッターはテクノロジーを適所に活用したといえる。フェイスブックなどの他の企業も、おそらく同様のシステムを開発しているのだろう(この記事の取材においては、フェイスブックの協力は得られなかった)。

ニューラルネットワークにNSFW画像の識別を学習させる過程では、まず人間が識別すべき画像をタグ付けしなくてはならない。しかし、時が経つにつれ、ニューラルネットワークが学習を積み重ねることで、必要なタグ付け作業は減少する。

「一般的に、データのタグ付けには人間が必要です。しかし、その先は、見たことのないものにもモデルが適用され、人間がやる作業の需要は劇的に減少します。それに、当然ながら反応速度も減少します。機械演算はリアルタイムにおこなわれますから」と、ロッターは言う。

ツイッターがWhetLabを買収したのは、モデルの性能向上を加速させるためだ。WhetLabは「ベイジアン最適化」とよばれるテクニックでニューラルネットを精緻化している。

WhetLabの創設者ライアン・アダムズの説明によれば、同社は「機械学習を使って機械学習を向上させる」という。 つまり、ニューラルネットの処理結果をニューラルネットが分析することで、ニューラルネットの性能が向上する、ということだ。

「これにより、とても興味深い増幅効果が生まれます」と、ハーヴァード大の元教授でコンピューター科学を専門とするアダムズは言う。「プロセスの大部分を自動化することで、限られた資源と能力で大量の事象を迅速に処理できるのです」
 
絵空事に聞こえるかもしれないが、コンピューター科学はこのように進むもので、しかもニューラルネットはこういった「寛大な反復」にとりわけ適している。


ニューラルネットの魅力は、時とともに向上することだ。要するに、それは脳のようにはたらくのだ。脳とまったく同じはたらきをするわけではないが、ポルノを(少なくとも、たいていの場合においては)正確に識別するのに十分な機能を、ニューラルネットは備えている。それだけでも大したものだ。



TEXT BY CADE METZ
WIRED NEWS (US)