Bugatti Chiron|ブガッティ シロン
ブガッティ「シロン」がジャパンプレミア
ブガッティ ジャパンはジュネーブ モーターショー2016でワールドプレミアした「シロン」を日本で公開した。車両は11月16日まで東京青山にあるブガッティ東京のショールームに展示される予定だ。
1,500ps、420km/hを達成
欧州で世界初公開されたばかりのブガッティの新型モデル「シロン」。生産終了となった「ヴェイロン」の後継モデルとなるこのスーパーカーが、はやくも日本に上陸した。
どのクルマよりも注目を集めるそのパワーを最初に述べると、最高出力1,500psを発生する世界初の市販スポーツカーとなる。さらに2,000-6,000rpmで1,600Nmの最大トルクを発揮し、最高速度は420km/h(リミッター作動)を誇る。また0-100km/h加速は2.5秒未満である。
搭載されるエンジンは8リッターW16気筒4ターボという形式こそヴェイロンなどでもお馴染みだが、ヴェイロン比25パーセント増に相当する1,500psの目標を達成するために、ほぼすべてのエンジン コンポーネントの設計が変更された。
また、高出力化に伴う重量増を最小限にとどめるため、チタンやカーボンファイバーなど軽量素材の使用比率を高めている。
例えば、インテークチューブ、チャージエアシステム、チェーンハウジングにカーボンファイバーが使われ、また、新しいクランクシャフトの重量も最適化されている。
合計4基のターボチャージャーは、2ステージで作動。静止状態からターボラグなしに最大の加速を実現するため、発進時には2基のみが作動。残りの2基は、エンジン回転数が約3,800rpmに達すると作動する。これにより、2,000rpmの低速域からリニアなパワーを提供しつつ、低速域でも強大なトルクとパワーを発生し、しかも非常に扱いやすい特性を実現しているという。
このハイパワーを受け止めるタイヤは、ミシュランと共同開発したフロント285/30R20、リア355/25R21というサイズのもの。ちなみに、シロンのタイヤテストは、非常に厳しい要件を満たさなければならないため、航空宇宙産業の試験場でテストが繰り返されたという。
街中からサーキットまで
シロンが採用するアダプティブシャシーは、「Lift(リフト)」「EB “Auto”(EB“オート”)」「Autobahn(アウトバーン)」「Handling(ハンドリング)」「Top Speed(トップスピード)」の 5 つのドライビングプログラムが組み込まれている。これは、ハイパワーはもちろん、全回転域で最大トルクの70パーセント以上を発生するトルク特性を最大限に活かすことを目的としている。
それぞれのドライビングプログラムは、ライドハイト調整、電子制御ダンパー、電子制御パワーステアリング、イージートゥドリフト機能付き4WD、電子制御リヤディファレンシャル、エアロダイナミックコントロールシステム、スタビリティ/ブレーキコントロールシステムを連動して制御している。
「Lift」モードは、トレーラーなどをけん引する場合や、高い段差などを乗り越えたりする際に使用され、速度が50km/hに達すると、基本設定の「EB “Auto”」モードに自動的に切り替わり、快適性と俊敏性が確保される。この「EB “Auto”」モードでは、ライドハイトやダンパー減衰力は、速度と路面状況に応じて、システムが自動的に調整する。
速度が180km/h を上回ると、自動的に「Autobahn」モードが選択される。ダンパーは、高速走行中の安定性とハンドリングの確保はもちろん、快適性を損なわない設定に自動調整される。「Handling」 モードでは、俊敏性とパフォーマンスが最大限に発揮され、サーキット走行に最適なプログラムだ。
「Lift」「EB “Auto”」「Autobahn」「Handling」の各プログラムは、ステアリングホイールのロータリースイッチで選択可能。「EB “Auto”」「Autobahn」「Handling」の最高速度は380km/hとなる。
「Top Speed」モードの最高速度は420km/hに達するが、第2のイグニッションキーを使って設定する必要がある。ヴェイロンにも採用された、このスピードキーと呼ばれる特別なキーは、トップスピードで走行するという特別な行為を強調するものだ。すべてのシステムが最高速度走行に適切な状態の場合に限って、このモードに入る。その理由は、「安全第一」がブガッティのモットーだからだ。
過去も現在も変わらぬ機能に裏打ちされたデザイン
「ブガッティにとってデザインは非常に重要だ」と述べるのはブガッティ オートモビルズ S.A.S.社取締役セールス、マーケティングおよびカスタマーサービスの担当責任者、ステファン・ブルングス氏だ。それは過去のモデルも同様で、戦前のブガッティは創立者エットーレ・ブガッティの息子、ジャンの手になるものが多く、そのなかにはブガッティのアイコンとなるモデルも多数含まれている。その一例としてブルングス氏は「T57アトランティック」をあげる。このアトランティックはクルマの中央に背びれのようなセンターラインが入っているのが特徴だ。
ブルングス氏は「クルマを軽くするためにボディにマグネシウムを使いたかったのです。しかし、当時の技術では溶接することができなかったので、ボルト止めにしました。そのためにこのセンターラインが生まれたのです」と説明する。同様に、ブガッティのデザインアイコンともいえる馬蹄型グリルもより多くの空気を取り入れるために採用されたものだ。
これらは、シロンにも当然応用されいる。T57で採用されたセンターラインは、シロンではスタビリティ向上を目的に再び採用された。
また、特にシロンでは1,500psを発生するエンジンの熱量はすさまじいもので、これを冷やすために合計15個のラジエーターを装備。そのなかには馬蹄形グリルも含まれており、また、サイドのCラインと呼ばれるキャビンを取り囲むようなラインの後端にもエアインテークが設けられ、大量の空気をエンジンルームに導いている。
この機能のもととなるCラインはエットーレブガッティのサインから生まれた。「エットーレのEの頭文字をベースにアンダーラインを引くようなサインをしていました。それがモチーフです」とコメントするように、ここにも機能とデザインの融合がみられるのだ。
さて、このシロン、全世界500台限定で、うち約200台のプレオーダーが確定しているという。価格は240万ユーロに設定されている。
Bugatti Chiron|ブガッティ シロン
ボディサイズ|全長 4,544 × 全幅 2,038 × 全高1,212 mm
ホイールベース|2,711 mm
重量|1,995 kg
エンジン|7,993 cc W型16気筒 クワッドターボ
最高出力| 1,103 kW(1,500 ps)/ 6,700 rpm
最大トルク|1,600 Nm/ 2,000-6,000 rpm
トランスミッション|7段デュアルクラッチ(DSG)
駆動方式|4WD
ブレーキ 前|φ420mm ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|φ400mm ベンチレーテッドディスク
サスペンション 前/後|ダブルウィッシュボーン式 / ダブルウィッシュボーン式
タイヤ 前/後|285/30R20 / 355/25R21
0-100km/h加速|2.5 秒以下
0-200km/h加速|6.5 秒以下
0-300km/h加速|13.6 秒以下
100-0km/h減速|31.3 メートル
200-0km/h減速|125 メートル
300-0km/h減速|275 メートル
最高速度|420 km/h(トップスピードモード以外は380 km/h)
価格|240万ユーロ(およそ2億9,600万円)
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ブガッティ オートモビルズ S.A.S.社 取締役セールス、マーケティングおよびカスタマーサービスの担当責任者のステファン・ブルングス氏 |