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火曜日, 5月 12, 2015

チクセントミハイ博士鼎談を受けて--入山・佐宗 振り返り対談

クリエイティビティで今後注目すべきは、「脳」ではなく「身体知」

チクセントミハイ博士鼎談を受けて--入山・佐宗 振り返り対談


 前回まで三回に渡ってお送りしたように、フロー理論の提唱者であるポジティブ心理学の世界的権威チクセントミハイ氏を囲んでの鼎談では、クリエイティビティとイノベーションについて多くのヒントが与えられた。興奮冷めやらぬ様子の入山章栄氏と佐宗邦威氏は、そこから何を気づき、どう考察したのか。チクセントミハイ氏の知見を日本人に示唆があるように「咀嚼」する、緊急対談を行ってもらった。今回はその前編をお送りする。
 チクセントミハイ博士との鼎談はこちらから(前編中編後編
個人に見る「身体知」としてのクリエイティビティ



入山(早稲田大学ビジネススクール准教授):
 いやあ、チクセントミハイ教授との対談、むちゃくちゃ面白かったですね。
佐宗(米デザインスクールの留学記ブログ「D school留学記~デザインとビジネスの交差点」著者:
 面白かったですねえ。入山さんの一番の収穫は何でしたか。
入山:
 そうですね、チクセントミハイ教授の提示されているフロー理論は、人の創造性や幸福感と、「フロー状態」とは密接に結びついているというものだったわけですが、ではどういう時にフロー状態になるかというと、自分が幸せだと感じる心の変化よりも、身体的な変化が先に来る、というのは本当に興味深かったなあ。
佐宗:
 チクセントミハイ教授が話されていたピアニストの実験の例ですよね。「あるフレーズを即興で演奏しなければならない時」と、「同じフレーズをただ繰り返すだけの時」とでは、脳の背外側前頭前皮質[注1]の活性度が異なるとか。あと、フロー状態だとピアニスト本人が無意識のうちに、顔の下の筋肉が笑うように動いているとか、私もとても面白かったです。
入山:
 フロー状態と個人の幸福感の関係は、脳科学でも、身体生理学としても明らかということでしたね。ただそこに時間差があって、フロー状態にある時は脳がそこに集中しているので幸福感まで感じられない。先に喜ぶのは体の方で、フローが終わった後で「体が喜んでいた」ことが脳にフィードバックされて幸せを感じる。そこまでが、すでに科学的に測定されていたのは驚きでした。
佐宗:
 そうそう、すなわちそれは、人が体感的に「幸せ=フロー」を感じる前に客観的に「フロー」を測定できるかもしれない、ということですよね。チクセントミハイ博士が、ベルリン市民の表情を集計して街中に掲示する「フローメーター」を紹介していましたが、あれもコミュニティーに対するポジティブ・フィードバックの一例ですよね。客観的に「こういうときにフローが起きやすい」と可視化されれば、意図的にフローの頻度を高めることができるかもしれません。
 実は、家電メーカーのソニーには「スマイルシャッター」という、人が笑顔になるとそれに反応して自動的に撮影が行われるという技術があり、デジタルカメラに搭載されています。この技術は「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ」という考え方に発想を得たと聞いたことがあります。
 Apple Watchの発売を待つまでもなく、ウェアラブル機器の可能性が注目されていて、テクノロジーの対象としても「脳」から「体」へと、研究者や技術者の関心が移りつつあります。僕は、クリエイティブワークショップを頻繁に開催しているのですが、その中でも、手を動かしたり、体を動かすことで、一気に場の創造性が高まるのを何度も目の当たりにしてきました。クリエイティビティの獲得には、頭脳だけじゃなくて、「身体知」の視点を持つことが重要なのではと感じていたのですが、チクセントミハイ教授の発言からもこれが裏付けられたのではないでしょうか。

「身体知」で内側からクリエイティビティを高める

入山章栄入山 章栄 氏
早稲田大学ビジネススクール准教授
入山:
 それは面白いね。そういえば、元イェール大学助教授で、今は岩手で「J Prep斉藤塾」という私塾を開いて子供達に英語を教えている斉藤淳氏と以前対談したのですが、彼の著書では「外国人のお相撲さんは日本語の上達がとても速い」という主張がされています。身体を使いながら学ぶと、外国語などの修得が早くなると。彼は脳生理学者ではないですが、教育者としての経験からそう感じているようです。
佐宗:
 一時期話題になった日立製作所・中央研究所の矢野和夫さんの『データの見えざる手』という本では、「体をたくさん動かす人は主観的に感じる幸せ度が高く、生産性が31%アップし、クリエイティビティは300%アップする」と書かれていました。身体性と幸福感、脳の生産性はリンクしているというんです。だから、知的生産性を上げたいなら、これ以上頭を使うのではなく運動した方がいいということなのかもしれません。
 実際、デザインの方法論の一つとして「手を動かす」「体を動かす」ことで身体知から発想する、という考え方は、最も重要なものの一つです。僕はレゴシリアスプレイという、子供のおもちゃのレゴを活用したワークショップの公認ファシリテーターでもあるのですが、その大原則は「手で考える」という考え方。考えてから作るのではなく、手を動かして作りながら考えることで、今まで想像もしていなかった発想が生まれたりします。また、ユーザー体験をデザインするときにも、即興でその場でユーザー体験の例を演じてもらったりします。
入山:
 でも他方で、スティーブ・ジョブズを始め「クリエイティブ」とされる人には禅や瞑想のような「動かないこと」を好む人も多いよね。禅のように「意図的に動かない」ことと、ジョギングのように「意図的に動く」ことは、何が同じで、何が違うのか、、、とても興味深いですね。
佐宗:
 確かにすごく興味深いですね。アメリカで留学していた時、同期のデザイナーが意外と寝る前に瞑想をしてから寝ると言っている人が多かったのが印象的でした。個人的には、体が疲れているときは瞑想、心が疲れているときはジョギングをするとバランスが取れる気がしています。もし、一人一人が「運動」あるいは「瞑想」をうまく、自分の内部環境をコントロールしてフロー状態に入りやすくなったりや創造性が高められるのなら、すごいことですよね。
生産性が31%アップし、クリエイティビティは300%アップする図1:「身体知の活用」で生産性が31%アップし、クリエイティビティは300%アップする
©Junko Shimizu

適度な挑戦を提供し、外側から「フロー」を喚起する

佐宗邦威佐宗 邦威 氏
米デザインスクールの留学記ブログ
Design school留学記~デザインとビジネスの交差点
佐宗:
 鼎談では、今話したような、身体・精神のコントロールという「内側」からのアプローチとともに、フローになりやすい環境を「外側」から提供するという方法も紹介されていましたね。
タイトル図2:「チャレンジ×スキル」によるレベルに応じた心理状態
チクセントミハイ氏の講演スライドを参照し作図
入山:
 チクセントミハイ教授の有名な「チャレンジ×スキルのレベルに応じた人の心理状態」のチャートですね。人は、スキルとチャレンジのバランスがとれたときにフローが起きやすい。でも、ずっとそこにとどまっていることはできないので、例えばだんだんとスキルが上がり慣れてくると、今度は最終的には飽きてしまう。かと言って、高いチャレンジを与えようとして課題が難しすぎると、逆に「心配」「不安」を生じさせる。その図で言えば、人は右へ、上へ、と階段状に上っていくことで、成長しながらフローをうまくえられることがある、という話でした。
佐宗:
 これに対して「どんな成長パスが望ましいのか」という問いには、「人それぞれ」という答えでしたね(笑)。フローや不安、退屈などのポジションをぐるぐるスイングしながら、だんだんとスキルを上げ、同時に、チャレンジレベルをじりじり上げていく。
スイングしながらスキルとチャレンジのレベルを上げる図3:スイングしながらスキルとチャレンジのレベルを上げる
チクセントミハイ氏の講演スライドを参照し作図
入山:
 そのためには自分が今その図のどこにいるのか、そしてフローポジションに行くためにどのくらいのレベルの課題を与えられるべきか、客観的に把握すべきだともおっしゃっていましたね。実際、スウェーデンの会社で人事評価にフローを取り入れた例を紹介して、マネジャーが部下のフロー状況をヒアリングして、それに見合った課題を提供することで組織の生産性が驚くほどあがったと。
佐宗:
 そう、その面接で「仕事が楽しいか」「退屈していないか」「フロー状態でいるか」と聞くのが、とてもユニークだと思いました。これはとても面白くて、「質問をすることでその人に合った適切なチャレンジとスキルのバランスを考えてもらい、自分でゴールを設定することで内発的な動機を促す」というところがポイントなのかと思いました。日本企業も個人面接はするけど、なかなか仕事の難易度を考えて、自らバーを上げたり下げたりするような面談がされているケースは少ないように思います。
入山:
 日本でも、優秀なビジネスマンがクリエイティビティを発揮できていないのであれば、この辺りがカギかもしれないよね。
 例えば日本企業では、スキルがある人にも適度なチャレンジが提供されず、彼らを「くつろぎ」「退屈」あたりのポジションに留まらせているのかもしれない。チャレンジレベルを上げて「フロー」に入ればいいですけれど、逆にそれは「不安」を伴う。だとすると実際にはパフォーマンスも十分出しているし、「くつろぎ」「退屈」あたりにとどまらせておけという組織環境や人事制度になっているのかも。
佐宗:
 キャリアがうまくいっているときにあえて大きなリスクをとるインセンティブがないのですよね。大きな失敗をすることで出世街道から外れるという怖さは、無意識に持っている人は多いように思います。都市伝説かもしれないとも思いますが、実際、それでチャレンジの場を社外に求めてしまっているケースは多々あるように思います。

各活動のポジションを認識し、自身のベストバランスを考える

24時間のポジションバランス図4:24時間のポジションバランス
チクセントミハイ氏の講演スライドを参照し作図
入山:
 組織の問題もあるけど、個人の問題もあるかもしれないですね。
 この図4(チクセントミハイ博士の講演資料)では、仕事だけでなく家庭問題や読書、趣味などの生活におけるあらゆる場面の心理ポジションを表すものとして紹介されていました。人は24時間すべて「フロー」でいられない。すなわち、「くつろぎ」「退屈」などの時間もあるからこそ、一部が「不安」「心配」のポジションであっても耐えられる。つまり、日本人のビジネスマンがリスクを取れないのは、別の部分で「不安」「心配」を抱えていて現状がいっぱいいっぱいだから、という仮説も立てられますね。
佐宗:
 なるほどー。そういえば、棋士の羽生さんにお話をお伺いした時に、「あえて家では何もせずにぼーっとする時間を持つ」とおっしゃっていました。その理由は集中するべき時に集中できるようにとのことでした。仕事に没頭してフロー状態になるためには、どこかで「ぼんやりする時間」が必要なのかもしれませんね。
入山:
 面白いね。これって、先ほどの運動や瞑想のような身体感覚のコントロールともつながっていそうですよね。緊張と弛緩のバランスというか、知的作業のクオリティを上げるために、身体的な活動時間も確保するとか。心身ともに外に対して活動的でいるために、静かに内省する時間を持つとか。
佐宗:
 この辺りは、いわゆる「マインドフルネス」の考え方と大きく関連していますね。この連載でも、そのうちマインドフルネスに詳しい方に来てもらって、チクセントミハイ教授のフロー理論や今日話したようなことを、ぶつけられたら面白いでしょうね。
リスクへの挑戦・身体と脳、感情の変化・クリエイティビティの向上図5:リスクへの挑戦・身体と脳、感情の変化・クリエイティビティの向上
©Junko Shimizu
入山:
 それは面白いね!では、ぜひそのうちお呼びするということで、、、(笑)
* * *
——次回は個人のクリエイティビティについて振り返り、組織の場合との共通点や差異を比較しながら、考察を進めていきます。
注釈
・[1] 背外側前頭前皮質:
 前頭前皮質は、脳にある前頭葉の前側の領域で、一次運動野と前運動野の前に存在する。「前頭前野皮質」もいくつかの分類方法があり、背外側前頭前野、眼窩前頭皮質、前帯状回の3つに分けることがあります。その中で、「背外側前頭前野皮質」は、作業記憶(ワーキングメモリ)、判断力、計画性、問題解決能力、学習能力、行動・発話、自発性、保続・固執傾向、関心、興味などに関係していると言われいる。
参照:Wikipedia

イノベーション・リーダーに求められるのは、「ビジョン」と「浪花節」のバランス

チクセントミハイ博士鼎談を受けて――入山&佐宗の振り返り対談

 前回お送りしたように、フロー理論の提唱者であるチクセントミハイ氏を囲んでの鼎談では、クリエイティビティとイノベーションについて多くの情報やヒント、事例が与えられた。興奮冷めやらぬ様子の入山章栄氏と佐宗邦威氏は、そこから何を気づき、どう考察を行ったのか。後半である今回は、都市とビジョンにフォーカスし、巨大な組織・人間の集団がどのようにしてクリエイティビティを生み出していくのかについて話を展開した。





イノベーションを「都市のエコシステム」として捉える

入山 章栄入山 章栄 氏
早稲田大学ビジネススクール准教授                     
入山:
 チクセントミハイ氏のお話の中で、僕が一番印象に残ったのは、フィレンツェの話です。都市の「クリエイティビティ」に貢献したのは、特別な技術や知識ではなく、『世界で一番美しい街を創ろう』というメディチ家のビジョン・熱意があっただけだった、という話でした。そのビジョンのもと、多くの才能が集まり、ミケランジェロのような天才が現れ、本当に美しい街を実現させた。メディチ家は「美しさは、その都市を守る」というビジョンを持ってい   て、そして実際に、数百年の後にフィレンンツェはその美しさ故にナチスの攻撃を受けずに済んだという、奇跡のようなお話でした。
タイトル佐宗 邦威 氏
米デザインスクールの留学記ブログ
「D school留学記~デザインとビジネスの交差点」著者
佐宗:
 確かに印象的でしたね。イノベーションの話って、 僕たちが今まで話してきたように「イノベーター個人」を起点としたイノベーションや、「組織」のリーダーのための戦略や、経営手法、組織作りの方法論が語られることが多いですよね。それも大切なんだけど、でもそれだけじゃない。
 まず重要なのはリーダーの「ビジョン」で、クリエイティビティはその後に生まれてくる。そもそも経営者やリーダー自身がクリエイティブでなくてもいい。クリエイティブな人たちがクリエイティビティを発揮できる「場」を創ることが大切だということですよね。
入山:
 なるほどね。イノベーションにおけるリーダーの役割って、誤解されがちだよね。
 
佐宗:
 チクセントミハイ氏のフィレンツェの話を聞いて、「クリエイティブテンション」という話を思い出しました。人に創造性を発揮させるためには、現状に対し、ちょっと距離の遠い理想を定義したとき、そのギャップが緊張感となり、人がそのギャップを埋めるために火事場の馬鹿力的に創造力が発揮されるという人材開発の世界で言われている考え方です。クリエイティビティが生まれる場を「エコシステム」として捉え、リーダーにそのエコシステムにおける求心力、そしてクリエイティブテンションとしてビジョンを提示する力が必要だと思っているのではないかと思いました。
入山:
 どうしても人は「リーダーこそイノベーティブであれ」と考えがちですが、そうである必要はない、ということですよね。博士も、下の図にあるように、クリエイターのアウトプットをジャッジする人を、リーダーではなくて「ゲートキーパー」と名づけて役割分けしていましたね
タイトル図1:クリエイティビティのシステムモデル
チクセントミハイ博士のSlideshare
Csikszentmihalyi and the Systems Perspective for the Study of Creativity」(slide No.6)をもとに作図
佐宗:
 実は、はじめてこの図を見た時、「ゲートキーパー」の目利きの判断は、一体何を基準にして「いい」「悪い」を決めるのかと疑問に思っていたんですよ。でも、博士のお話を伺って、その基準が「自らが掲げたビジョンに対して合致しているかどうか」ということが明らかになって腑に落ちました。フィレンツェの場合はそれが「世界一の美」という審美眼的な基準だったんですね。

「デザインするリーダー」のビジョン設定・巻き込み力・場作り

入山:
 「ビジョンのレベル感」って、経営学の研究の対象としてとても面白いんですよ。ビジョンが大きすぎると曖昧でわかりにくいし、逆に小さく落とし過ぎると柔軟性にかけます。たとえばGEの上級副社長だった藤森義明氏が経営している株式会社LIXIL(リクシル)は「住環境に関わるすべてのことで、グローバル企業を目指す」というビジョンなんですが、このビジョンはあの会社にはちょうどいいレベル感だと僕は思っています。「住環境に関わるすべて」という広めの事業ドメインをはっきりさせながら、グローバル化を明確にしているからです。
佐宗:
 面白いですね。僕の前職のP&Gのマーケティング部は、リーダーシップを最大のスキルセットとして求められMBA流のリーダーシップを鍛えられる場だったのですが、リーダーとして必要なビジョンの提示の仕方のスキルとして聞いた話では、ビジョンの定義って「Imaginable and Achievable」なんです。つまり、「人々が想像できる上で、実行可能なこと」だったんです。単に現状出来るゴールでもなく、荒唐無稽に見えるものでもなくそのぎりぎりのところをつけと。でも、今思うとそれは、安定して成果を上げるためのビジョン設定で、都市を創り変えるなど変化のスケールが大きくなるともっとぶっ飛んでもいいのかもしれないですね。先ほどのフィレンツェの例だと「世界一美しい都市を創る」ですもんね(笑)。
入山:
 そういう意味では、2020年にオリンピックが開かれる東京はそうしたビジョンがあまり議論されていない印象がありますね。
「デザインするリーダー」図2:「デザインするリーダー」
©Junko Shimizu
佐宗:
 かなりビジョンについては議論をされてのは聞こえてくるんですけど、達成できるかどうかわからないものを出す、というリスクを取るということが出来るかどうかなんだろうなと思います。地方自治体だと、例えば福岡など求心力のある「ぶっ飛んでいる人」がキーマンとして行政と組んで、ゲートキーパー役を果たし自らのリスクを取って発信しているから、そこに人が集まっているということが起こっていますよね。シリコンバレーなら、もしかしたらStanford大学のようなアカデミアが、大きなビジョンを実現させ、そこに人が集まってくることで、街のクリエイティビティを後押ししていますね。最近だと、DEO(Design Executive officer)という「デザインするリーダー」という言葉を聞きますが、ビジョンを設定し、人を集め、人の創造力を促進させる、そんなスタイルのリーダーシップを取る彼らが次世代の都市のゲートキーパーとしては最有力候補かもしれません。
入山:
 なるほど。単にいい「ビジョン」を掲げることができても、それを周囲に広げていかなければ単なる独りよがりですよね。そう考えると、周りのステークホルダーにも気を配りながら、そのビジョンを共有させる能力もカギになると思います。
 例えば先日、あるビジネスメディアの編集長と話していて、今ソニーにイノベーションを起こそうとしているWiLの伊佐山君は、一見ものすごい改革者のようで、実は「組織の浪花節がわかる人」であるという話になりました。彼はシリコンバレーのVCでパートナーまで上り詰めたけど、他方で彼は興銀出身なので、意外と浪花節がわかる(笑)。それでソニーの人たちとビジョン共有を進められているのではないか、と。
 楽天の三木谷さんも 、強烈なビジョンを掲げて揺らがないけど、業界や組織のお偉方にも根回しして話ができる。個人としての振れ幅が広いんですよね。ちなみに三木谷さんも興銀出身です。

リーダーのプロデューサーシップに必要な「相棒」と「フィードバック」

佐宗:
 ゲートキーパーが両方できる人だったら素晴らしいですが、必ずしもそれを一人でやらなくてもいいのかもしれないなと思いました。金沢21世紀美術館の館長である蓑豊さんの話を思い出しました。アメリカのシカゴ美術館、大阪の天王寺の大阪市立美術館の館長をされたのち、生まれ故郷の金沢を、「古い伝統のある金沢を未来のある街にしたい」という想いを持っていたところに、自治体のトップが120%の権限をくれたそうです。そのゲートキーパーの理解があって、彼はルノアールの絵を買う代わりに金沢の子供たちをたくさん美術館に連れてくる機会を作りたいといって、地元の人を巻き込んでいった。
 別の言い方で言うと「プロデューサーシップ」なのかなあ。たくさんあるアイディアの中からピックアップして磨き上げ、協力者を得ていくイメージ。ただ、そのための大きな価値観は揺らがないけれど、クリエイターとの相互作用で柔軟に調整する印象もあります。スタジオジブリの鈴木敏夫さんと宮﨑駿さんとの関係のような。
入山:
 その例はわかりやすいよね。ただ、ジブリはそれほど大きな組織ではないから人と人の会話の中で調整が可能なのかもしれない。巨大組織や都市では、ビジョンを周知させるってすごく大変なことですよね。そこでGoogleみたいに「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使える社会にしよう」という明確なビジョンがあると、みんなわかりやすいし、「それならやりたい」となるのでしょう。
佐宗:
 逆に、集団のメンバーにも共通認識を持ってもらうために、フィードバックも必要ですよね。チクセントミハイ博士が紹介していた、ベルリンの市民の表情をリアルタイムで集計し、スマイルマークで表示する「フローメーター」も、その試みの1つになるのかなあと思ったりしていました。個人の経験である「身体知」を集合知として集約し、フィードバックして共有するという発想は面白かったです。ああいう形で、都市のビジョンを明確に打ち出して、それを最新のセンサー技術でフィードバックするような仕掛けは、それこそオリンピックを迎える東京でも出てきていいのではないでしょうか。
入山:
 チクセントミハイ博士のお話から、いろんな気づきや仮説が出てきましたね。これから、気になる仮説についてそれぞれの専門家を聞いていきましょう。誰に会えるのか、どんな話が聞けるのか、とても楽しみです。
佐宗:
 センサーやウェアラブルのテクノロジーの進化によって、暗黙知的に知られていた身体知に近い話が、これからは可視化されて科学になっていくという話は、新たな気付きでした。その世界を次は深堀してみたいですね。
入山章栄 & 佐宗邦威
* * *
——チクセントミハイ教授を迎えての鼎談と、その振り返り対談はこれで終了である。



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 入山章栄氏と佐宗邦威氏がイノベーションとクリエイティビティを包括的にとらえようとする本連載。前々回、前回・今回は特別ゲストとして、ポジティヴ心理学の世界的な第一人者であり、フロー概念を提唱したことでも知られる米クレアモント大学のチクセントミハイ教授を迎え、イノベーション、クリエイティブ都市、テクノロジー、人の幸せなどに関して鼎談を行った。
 後編となる今回は、「どうすればクリエイティブな組織は生まれるか」という疑問について、チクセントミハイ教授から具体的なヒントを多くいただくことになった。クリエイティブな組織・個人を目指す方に色々な気づきを与えてくれる鼎談となっている。前編はこちら、中編はこちら





職種や仕事内容によって異なる「フロー」に至る道のり




佐宗:(米デザインスクールの留学記ブログ「D school留学記~デザインとビジネスの交差点」著者):
 前回は、「芸術とテクノロジーは切り離せない」「クリエイティビティやフローを新しい技術で測定し、フィードバックできるようになってきた」「クリエイティブな人が経験するフロー状態は、その後で遅れて脳に幸福感をもたらす」など、さまざまなお話をいただきました。
 そもそもで恐縮ですが、「フロー理論」を知らないビジネスパーソンに向けてどのようなものなのかを今一度ご説明頂けますか?
チクセントミハイ:
 まずは「フロー状態」についてお話しましょう。簡単にいえば、フローとは、人がその時にしている仕事やタスクに集中して、時間も身体感覚もなくなるほどの状態になることです。「没頭」「熱中」しているといえば分かり良いでしょうか。
 フローには構成要素として、次の8つが上げられます。
  1. 明確な目的意識を持っていること
  2. 集中し、深く探求していること
  3. 体の活動と精神が融合し、無意識に動くこと
  4. 時間感覚が失われること
  5. 何かあったら自動的に調整すること
  6. スキルと難易度のバランスが合っていること
  7. 状況や活動を自分でコントロールしていること
  8. 本質的な価値を理解しており、活動が苦にならないこと
 これらすべてを満たしている必要はありませんが、大いに関係していると思ってください。
佐宗:
 はい、僕自身自分が「フロー」になっている瞬間に覚えがあります。でも、私の実体験からなのですが、職種や仕事内容によって「フローに至るまでの道のり」はまったく違う印象があります。もともと私は大学時代に法律を勉強していたんですが、その時は確実に達成できる目標を定め、コツコツと安定的に取り組んできました。そしてその時にも確かにフロー感というか、集中して充実感がありました。その後にキャリアチェンジして、今はデザインの分野で仕事をしています。すると今度は、解決できそうもない「より挑戦的なチャレンジ」をはじめから定めた方が、いい仕事ができるし、フロー状態になっている気がするんです。
チクセントミハイ:
 ほほう、なるほどそれは面白いですね。とりあえずは「フローになるまでの道のり」を、基本的な事例をもって説明しましょう。フローは「チャレンジレベル」と「スキルレベル」がちょうどいいバランスの時に生まれると考えられています。例えばピアノの練習を始めたとします。「低い挑戦」と「低いスキル」からスタートし、しばらくは「音を出す」という楽しみがあります。しかし、これはいわば「小さなフロー」です。しばらくすると飽きてきて、「つまらない」とか「もっと難しい何かをやらせてほしい」と思うでしょう。つまり、この図で言うと[A]から[B]に入ります。
フロー状態における「チャレンジ」と「スキル」の関係図1:フロー状態における「チャレンジ」と「スキル」の関係
※チクセントミハイ氏の講演資料を参照し作図
 そして新しい課題(チャレンジ)を与えられ、上手に演奏できたとしましょう。すると、[C]のフローに戻ります。そこで講師からさらに難しい課題を与えられると、意気揚々ととりかかるものの弾きこなせない…。とたんに落ち込み、今度は[D]の不安に陥ります。この時点で「いや、それは無理だよ」と諦める選択もできますし、どうしたら「フロー=[E]」に戻れるのかと考え、この挑戦をポジティブに捉える選択もできるのです。諦めずに「チャレンジ」する状態になる唯一の方法は「スキルを向上させる」ことです。
入山(早稲田大学ビジネススクール准教授):
 なるほど、すると佐宗くんの場合、法律を勉強していたときは、小さな振れ幅でスキルとチャレンジをこつこつと高めてフローを得ていたのかも知れませんね。図で言えば、AーBーCーDーEを、もっと小さなステップが多くある階段のような感じで右上に上がっていたのでは。それに対してデザインの仕事では、まさにこの図のように、より大胆なチャレンジを最初から設定して、それにあわせてスキルも大きく伸ばそうとしてフローを得ているのかもね。
佐宗:
 そう言われれば、そんな気もしますね(笑)。
チクセントミハイ:
 ええまさに、人や仕事の内容、環境などによっても「フローまでの道のり」は変わります。当人にとって挑戦なのか、そうでないのかが重要なんです。

フローに至る道-「チャレンジ」と「スキル」の関係

チクセントミハイM.チクセントミハイ
1934年ハンガリーで生まれる。1956年にアメリカに渡り、1970年よりシカゴ大学心理学科教授、教育学教授を経て1990年よりクレアモント大学院大学教授、クオリティ・オブ・ライフ・リサーチセンター長を務める。「フロー理論」の提唱者として知られており、創造性や幸福に関する研究を行っている。
チクセントミハイ:
 もっと高度なプロフェッショナルの例について紹介しましょう。私は、外科医の集団を調査したことがあります。彼らは基本的には「仕事好き」で、仕事の中に「フロー」が多く含まれている職業なんです。しかし、一部には手術に飽き飽きして、人工的な刺激、つまり競馬などの博打に過度に依存する人も少なくありません。
 そんな医者も、もともとはプロフェッショナルなマインドを持ち、例えば「盲腸の手術」に熟練したいと考えていたはずです。「徹底的に盲腸の手術のスキルを高めよう」と考え、盲腸の手術の練習に専念し鍛錬するわけですね。しかし、3、4年経って「慣れてしまう」と、「盲腸の手術」への情熱はすっかり忘れ、非常に退屈し、どうすれば刺激的な感覚を取り戻せるかが分からなくなってしまうのです。
入山:
 どこか日本の多くのビジネスマンの状況に似ていますね。彼らは一定の難易度をクリアして「慣れた仕事しかしない」状態に陥っているように感じます。その一方で、組織の中で様々な役割を求められ、情報過多になっており、またプライベートでは家族のためにも多くの役割を担っている人も少なくありません。そして日本人の特性として生真面目にすべてをやろうとします。
 どちらかというと疲弊している印象で、とても「フロー状態」になっているという感じではない人も多いと思います。となると裏を返せば、フロー理論から言えば、彼らの仕事を意義あることとして認識させ、新しい挑戦に向かわせることが重要なのでしょうね
佐宗:
 では、フロー状態をより効率的に得るにはどうしたらいいのでしょうか。今までの博士のお話だと、「スキルを上げて、チャレンジを引き上げる」もしくは「チャレンジするゴールを高く設定して努力する」の2つのアプローチがありますよね。この2つのアプローチはどちらが望ましいのでしょうか。
フロー状態に至る2つのアプローチ図2:フロー状態に至る2つのアプローチ
※チクセントミハイ氏の講演資料を参照し作図
チクセントミハイ:
 先程も申し上げましたが、まさにケース・バイ・ケースだと思いますよ。先ほどの図でいえば、ピアノの学習をはじめたばかりの時に、急に難しい課題を与えては、不安が勝って挫折してしまうかもしれません。そんな時は易しい課題でスキルを磨かせ、退屈するくらいさせればいい。逆にチャレンジが簡単すぎて、次々と突破し、だんだんそのリズムに飽きてくるようであれば、いつもより少しだけ挑戦的な課題を提供すると、少し無理してでも頑張ってスキルアップするでしょう。このように、人や課題の状況を見ながら、ベストなコースを選べばいいのです。
入山:
 2つの軸の間を、様子を見ながらスウイングさせるわけですね。
チクセントミハイ:
 このようなスウイングするルートを好む人もいるし、リスクを恐れて横軸右のルートを重視する人もいます。より冒険(縦軸の上方向)を好む人もいるでしょう。私たちは異なるルートを柔軟に使い分るべきなのです。

マネジメント層は「チャレンジ×スキル」を管理する

チクセントミハイ
入山:
 日本企業には「スキルは十分、チャレンジは不十分」という人が多くいる。だとすると、先ほど博士の示唆から、彼らに必要なことは「スキルは十分、チャレンジも十分」というスペースにくることということになりますね。
チクセントミハイ:
 そうです。人々がスキルだけの追究(横軸の右方向)に疲れてしまう前に、「チャレンジ」が与えられる必要があります。先の医者の例のように、多くの人はスキルの追究に飽きると、「給料分だけやればいいや」となって、チャレンジの対象を全く別のところに求めるようになります。ドラッグとか、ギャンブルとかですね。
佐宗:
 でも、会社がチャレンジを提供しようにも、先ほど入山さんが言っていたように、多くのビジネスパーソンが日常的に複数の仕事に追われ、そもそも十分に集中・没頭する時間や、大きなチャレンジを受ける余力がないという問題もあります。そういうビジネスパーソンに自らチャレンジに取り組むように促すには、どうしたらいいのでしょうか。
チクセントミハイ:
 私は、フローのコンセプトを使えば、彼らが行っていることを意義あるものに変えられるかもしれないと感じています。
 スウェーデンの州営交通会社の例を紹介しましょう。この会社は州にとって重要な存在ですが、125年間赤字続きでした。
 ある時、人事担当者が外部から採用されました。そこで彼はCEOを説得して、マネジャー全員にそれぞれ部下3人を選ばせ、ある種のピラミッド構造を作りました。そしてマネジャー全員に、2週間ごとに必ず3人の部下と面談する、という義務を課しました。そしてその際には、「その部下が仕事に飽きていないか」「不安を感じていないか」「フローでいるか」などをヒアリングして、マネジャーに記録させたのです。マネジャーたちはそれを見ながら、その人に合う仕事や仕事環境、必要なトレーニングなどを調整しました。その結果、この会社は1年後に黒字となったのです。
佐宗:
 なるほど!つまり、「スキルや実績」という客観的な指標を基にした面談ではなく、「フローかどうか」という心理的な面をベースにしたわけですね。その後、配置換えなどを行ったのですか。
チクセントミハイ:
 いや、配置転換までは行っていないのです。行ったのは記録してもらい、面談を定期的に行って、部下の仕事環境に多少の調整をしただけです。ただそれだけのことにも関わらず、仕事をさぼったり、仮病で休んだりという従業員が激減し、会社のモラルが劇的に向上したのです。そして、驚くほどに生産性も上がりました。実は当初、経営陣はこのアイディアをバカにして、面倒臭がっていたそうです。しかし、CEOが少なくとも1年間試してみようと言ってやらせたところ、大きな成果が得られたのです。
入山:
 それは面白いですね。一人ひとりの慣れや不安、熱中の度合いなどを見計らい、自分のフローのポジションを可視化したことで、的確な「チャレンジ×スキル」の高いステイタス、さきほどの図(図1、図2)でいえば、まさに右上の方向に導いたわけですね。実際に配置転換やチャレンジを与えるなどまでしなくても、「意識付け」でそんなに大きく変わるとは!これは多くの日本企業にも参考になりますね。
スウェーデンの州営交通会社のフローのマネジメント活用図3:スウェーデンの州営交通会社の「フローを人事評価に活用する」
©Junko Shimizu
チクセントミハイ:
 そうだとうれしいですね。君たちのチャレンジを楽しみにしていますよ。今日はとても楽しかったです。
入山・佐宗:
 個人のフロー状態から始まって、クリエイティビティの研究、そして、個人、環境、ゲートキーパーというクリエイティビティのシステムモデルまで昇華されてきた博士の一連の研究に、ようやく時代が追いついてきたと感じた鼎談でした。博士が描いた望ましい世界観をいかに実現するかが、これからの私達の課題になってくると思います。よい問いかけをいただきましてありがとうございました!
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特別鼎談:チクセントミハイ博士×入山章栄氏×佐宗邦威氏 中編

ベルリンでは「都市の幸福度」の可視化が、もう始まっている

特別鼎談:チクセントミハイ博士×入山章栄氏×佐宗邦威氏中編


 入山章栄氏と佐宗邦威氏がイノベーションとクリエイティビティを包括的にとらえようとする本連載。前回、今回、次回は特別ゲストとして、ポジティヴ心理学の世界的な第一人者であり、フロー概念を提唱したことでも知られる米クレアモント大学のチクセントミハイ教授を迎え、イノベーション、クリエイティブ都市、テクノロジー、人の幸せなどに関して鼎談を行った。
 中編となる今回は、「クリエイティビティとテクノロジー」に関して、博士のフロー理論との関係を中心に進んだ鼎談の内容をお届けする。チクセントミハイ教授から具体的なヒントを多くいただくことになった。クリエイティビティを高めるためのテクノロジーに関心のある方に色々な気づきを与えてくれる鼎談となっている。
フィレンツェが体現する「クリエイティブ都市」の在り方



入山(早稲田大学ビジネススクール准教授):
 クリエイティビティが生まれる街づくりが、行政やメディチ家などの「ゲートキーパー」主導によって進行したという前編のお話はとても興味深いものでした。つまり「クリエイティブ都市はコントロールできる、人工的に創り上げることができる」と理解していいのですね。
チクセントミハイ:
 ええ、そうです。まさに約600年前のクリエイティブ都市であるフィレンツェで、当時のゲートキーパーであったメディチ家が行った宣言がそれを象徴しています。その宣言とは「誰もがその価値を理解し、破壊してはならないと思うような『美しい都市』を創る」というものでした。そして、それはフィレンツェが長きに渡って繁栄し、そして生き残るためにも貢献したのです。事実、第二次世界大戦でドイツ軍がイタリアを経由して撤退しようとしていた時には多くの都市が破壊されたのですが、フィレンツェの記念建築物の大部分は破壊をまぬがれています。
入山:
 フィレンツェの人々の卓越したクリエイティビティが、ドイツ軍人の心を動かしたというわけですか。そして、それが600年前のメディチ家の戦略的なビジョンに影響を受けていることに驚きます。
チクセントミハイ:
 そうです、メディチ家は戦略的に意思決定を行ったのです。彼らは「ただ見た目に美しい街を作りたいのではない。美しい街は破壊から我々を守ってくれるはず」と考えていました。加えて大事なことは、彼らが「芸術は人類のテクノロジーの最高の形態である」と認識していたことです。実際に1400年代のフィレンツェでは、建築と絵画において、当時、最高のテクノロジーが使われました。現在、芸術は必ずしも文化の最先端とみなされていません。むしろクリエイティビティは、技術や科学にこそ発揮されると考えられています。
佐宗(米デザインスクールの留学記ブログ「D school留学記~デザインとビジネスの交差点」著者):
 「芸術がテクノロジーの一部」だという視点は非常に興味深いです。一般には、芸術とテクノロジーはむしろ正反対のものと思われがちです。しかし最近は、技術とアートを融合させる動きや、アートと科学を融合させる動きも起こってきています。例えば、日本でいま話題の企業「チームラボ」は、まさに技術とアートを融合させています。
チクセントミハイ:
 芸術はテクノロジーの一種であり、優れたテクノロジーは芸術なのです。芸術は人の心を揺り動かし、「ワーオ!」と思わせるものです。かつての芸術は技術や科学と切り離されていませんでした。しかし、現代ではなかなか難しいでしょうね。
クリエイティビティのシステムモデル図1:クリエイティブ都市における芸術とテクノロジーの関係
©Junko Shimizu

ミハイ・チクセントミハイ 教授

1934年ハンガリーで生まれる。1956年にアメリカに渡り、1970年よりシカゴ大学心理学科教授、教育学教授を経て1990年よりクレアモント大学院大学教授、クオリティ・オブ・ライフ・リサーチセンター長を務める。「フロー理論」の提唱者として知られており、創造性や幸福に関する研究を行っている。

テクノロジーで街の「笑顔」を可視化できる時代

チクセントミハイ教授チクセントミハイ教授
佐宗:
 私達もテクノロジーとクリエイティビティとの繋がりについて、とても興味があります。ちょっと、この図を見ていただけますか?これは私が現代のテクノロジーと人々の関係についてのイメージを図化したものです。ご覧のように、現代ではとにかくたくさんの情報に触れ、多くの人とつながり、そしてセンサー技術やスマートフォンを使ってリアルタイムで世界中の人々の情報を得ることができます。
現代のテクノロジーと人々の関係図2:現代のテクノロジーと人々の関係
チクセントミハイ:
 おお、これは面白いですね。確かにルネッサンス期とはまったく異なる時代において、テクノロジーをどのようにクリエイティビティに活かすのか、またはその逆も、大変興味深いテーマです。
佐宗:
 そうなんです。クリエイティビティを発揮するためには、フロー理論で言われるように、ある事に特化して意識を集中させることが必要です。でも現代では、人が何かをすると、センサー技術・トラッキング技術で自分がやっていることを視覚的に気づかせてくれるようにもなりました。
 博士、あなたがフロー理論を作った時は、被験者の状態を把握するためにポケットベルを持たせ、その時の状態を記録してもらうことでデータを取ってらっしゃいました。しかし最近は、このようにウェアラブル・テクノロジーで、リアルタイムでのトラッキングやフィードバックができるようになりフロー状態の計測とフィードバックが起こりやすい世の中になってきていると思います。このように人が一つのことに集中しながらも即座にフィードバックも得られる時代に、人はどうやってセンサーテクノロジーをクリエイティブになるために活かせるのでしょうか?
チクセントミハイ:
 私はズバリの答えを持っていないのですが、ヒントになる事例を紹介しましょう。それはドイツのベルリンです。ベルリンでは、街の交差点に人の表情を認識できるカメラが設置されています。彼らはそこで行き交う人々を撮影し、その情報をコンピュータで即時に集約して、どれだけの人が笑顔でいるかを算出し、ビルの上に「スマイル(笑顔)マーク」で表示しているのです。これを見ることでベルリンの「街のムード」がわかるし、それと比較しての自分の感情も意識することができます。これには「Fühlometer(フローメーター)」という名前がついているんですよ。
「Monumental Interactive Smiley: Fühlometer」
佐宗:
 それはユニークな取り組みですね。「街が今何を感じているのか」「それに対して自分はどう感じているか」を理解する助けになるでしょうね。
チクセントミハイ:
 こんな事例もありますよ。数週間前のことなのですが、ノルウェーから2人の神経科学者が私を訪ねてきました。彼らは、人の頭部に設置して、その人の顔を撮影するカメラを開発しました。このカメラは、幸せな時・悲しい時に目や唇などの筋肉がどのように動くのかを分析し、6種類の基本的な感情を精密に測定することができるのです。
 そして彼らがこのカメラを使って、たとえばスキーヤーを分析すると、雪の上を滑り降りる最初は緊張、そしてその後すぐに驚きや恐怖、ついには幸福感が表情に出てくることがわかったのです。このようにフロー状態での熱中や興奮は、表情で測定できるのです。
入山:
  それはすごいですね!テクノロジーでフロー感覚を測れるということですか。
チクセントミハイ:
 まだ実用化はされていませんが、このノルウェー研究者の開発成果には、デザイン分野やゲーム分野など、コンテンツ制作に関わる人々の注目が集まっています。

なぜ「幸福感」はフローの後にやってくるのか?

チクセントミハイ
入山:
 表情からフローを測定することができれば、何らかの形でそれを意図的にコントロールことすらできるようになるのかもしれませんね。
チクセントミハイ:
 コントロールまでできるかは分かりませんが、まずフィードバックが得られますし、それが次の判断を助けることもできるようになるでしょう。フローは脳生理の「結果」ではなく、あくまで「原因」ですから。
佐宗:
 そういえば、博士の著書の中に「幸福感情はフローが終わった後にやってくる」という記述があります。確かに、とても密接に関係していますね。
チクセントミハイ:
 そう!そうなのです。それこそ生理学では、脳が認識する前から体に変化が表れると主張されています。たとえば、ピアニストに好きな曲と嫌いな曲をそれぞれ演奏してもらい、皮膚の下の表情筋の変化を測定した研究があります。
 この実験では、ピアノの演奏中には、弾いている本人も表面上は何の変化も感じません。ところが実際に皮膚の下の表情筋を測定すると、好きな曲を弾く時には、笑顔をつくる大頬骨筋が活性化しているのです。他方で、ピアニストはその瞬間には幸福感を感じません。演奏を終えて、その後で初めてようやく喜びを感じるのです。
入山:
 体では幸福を表す変化が先に起きるのに、脳ではまだ幸せだと感じていないとは驚きです!どうしてそのようなことが起きるのでしょうか。
チクセントミハイ:
 人が一瞬で処理できる情報量はたったの6ビットと言われています。1秒間に15回処理できるとして、6×15で約90ビットしか処理できません。ピアノの演奏など難しい作業に取り組んでいると、脳はこの90ビットをフルに使って処理する必要があります。ですから、幸せを感じるために情報を頭の中に流し込んで、「ああ、私は幸せだ」と処理させる余地が脳にないのです。難しい作業の最中に幸福感を感じにくいのは、注意力に限界があるからです。しかし、その身体的な記憶は残り、後になって「あれはやりがいがあった、素晴らしかった」と感じられるわけです。
佐宗:
 イノベーターに話を聞くと、彼らが何かに集中している時は、やはり「非常に困難なことをやり遂げようしている」と感じるそうです。強迫観念やストレスさえ感じることもあるようです。しかしその作業が終わると、一瞬ながら強い充実感を感じるといいます。まさにこの状態なのですね。
幸福感はなぜフローのあとにやってくる図3:幸福感はなぜフローのあとにやってくるのか
©Junko Shimizu
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特別鼎談:チクセントミハイ博士×入山章栄氏×佐宗邦威氏 前編

クリエイティビティを刺激する「脳の部位」を活性化させるスイッチとは

特別鼎談:チクセントミハイ博士×入山章栄氏×佐宗邦威氏 前編


 入山章栄氏と佐宗邦威氏がイノベーションとクリエイティビティを包括的にとらえようとする本連載。今回は特別ゲストとして、ポジティヴ心理学の世界的な第一人者であり、フロー概念を提唱したことでも知られる、米クレアモント大学のミハイ・チクセントミハイ教授を迎え、イノベーション、クリエイティブな都市、創造性とテクノロジー、人の幸福度などに関して鼎談を行った。今回は前編として、クリエイティビティとイノベーション、クリエイティブな都市に関しての議論の内容をお届けする。
チクセントミハイ博士の「クリエイティビティのシステムモデル」



入山(早稲田大学ビジネススクール准教授):
 いま、日本では「クリエイティビティとイノベーション」が大きな課題となっており、多くの人々が「私たちはどうしたらもっとクリエイティブになれるのか」と議論しています。しかし、その議論は様々なレイヤーで分断的に行われ、異なる専門領域、専門用語が使われており、議論が深まっていないのではないか――。
 私たちはその仮説を図1「Innovation Key MAP」のように体系化して、様々なレイヤーでの議論における共通の特徴・違いを見出すことから関係性を捉え、果ては全体像を掴みたいと考えています。そして、日本にとっての「大きな示唆」を得たいと思っているんです。
本連載で考える「Innovation Keyword MAP」図1:本連載で考える「Innovation Keyword MAP」
©Junko Shimizu
チクセントミハイ:
 それはビッグチャレンジですね(笑)。でも、とても意味のあることだと思いますよ。
入山:
 ありがとうございます。そこで、ぜひとも博士とお話ができればと思っていたのです。近年、博士は「フロー (注1)がクリエイティビティのための1条件である」と示唆されていますね。そして神経科学者によって実際に実証されている。つまり、クリエイティビティにおける心理学と神経科学の課題には、密接な相関があるということです。そして著書では、それ以外の分野やレイヤーにも言及されていて、まさに「全体像を捉えている」のではないかと。
チクセントミハイ:
 なるほど。まずは私が使っている「クリエイティビティのシステムモデル」(図2)をご存知ですか。確かにお二人が指摘するように、クリエイティビティは単に個人やその心理、モチベーションや性格などを見るだけでは全体像を捉えているとはいえません。私は、「文化」「個人」「社会」という三要素間のシステムとして創造性を考えています。
クリエイティビティのシステムモデル図2:クリエイティビティのシステムモデル
チクセントミハイ博士のSlideshare
Csikszentmihalyi and the Systems Perspective for the Study of Creativity」(slide No.6)をもとに作図
 まず、文化は「複数のドメイン(図2のBからFなどに宗教や言語などのいくつかの要素)」によって成り立っているもので、その文化から個人に「遺伝や環境」といった情報が伝達され、個人は文化の影響を受けることになります。
 しかし、個人のアイデアは直接、文化には反映されません。そこには新しいアイデアの良し悪しを判定し、「文化」に反映すべきかを決定する「ゲートキーパー」、つまりは“目利き機能としての社会”を通過する必要があります。文化、個人、社会という三要素がうまく回っている時、クリエイティビティやイノベーションが生まれ、活性化するというわけです。
佐宗(米デザインスクールの留学記ブログ「D school留学記~デザインとビジネスの交差点」著者):
 そう、私たちもこのモデルにはとても共感を覚えており、まさにその三者の相互作用が重要な鍵を握ることを実感しています。ところが、個人の心理や性格などについて理解しようとする人は、それ以外の部分については見ていないことも多いんですよね。
チクセントミハイ:
 「よし!個人の創造性についてはきちんと理解した。社会、文化は別の機会にしよう」という感じですね(笑)。

ミハイ・チクセントミハイ 教授

1934年ハンガリーで生まれる。1956年にアメリカに渡り、1970年よりシカゴ大学心理学科教授、教育学教授を経て1990年よりクレアモント大学院大学教授、クオリティ・オブ・ライフ・リサーチセンター長を務める。「フロー理論」の提唱者として知られており、創造性や幸福に関する研究を行っている。

クリエイティブな瞬間に反応する脳の「部位」がある

チクセントミハイ
チクセントミハイ:
 私は心理学者ですが、個人の心理・性格より深い層、例えば身体や神経レベルの研究にも興味を持っています。例えば、スウェーデンの神経科学者グループは、fMRI(注2)という分析手法を使うことで、脳神経科学レベルにおいてクリエイティビティを分析しようとしています。その一例を紹介しましょう。彼らは、熟練したピアニストに以下のような作業をしてもらって、その脳神経の動きを分析しました。
  1. ピアニストにシンプルなフレーズを聞かせ、覚えてもらう
  2. 即興で、覚えたフレーズをできるだけ忠実に演奏してもらう
  3. 同じ曲を再び演奏してもらう
 特にこの2と3の段階で、脳内の様子を比べます。まず両方の段階で、脳の中の音楽認識と記憶に関する領域は活発に反応します。しかし、3のようにただ同じ曲を繰り返す時よりも、2のように即興で音楽を演奏しなければならない時の方が、「背外側前頭前皮質」と呼ばれる部分の活動が非常に活発になったのです。そこで私は、この2の段階で活発になっている脳の部分こそ、クリエイティビティについて何らかの働きがあるに違いないと考えたのです。
 ご存知のように、ポーカーは相手の手札がわからず、しかも自分が次に何を引くかもわかりません。どうやら、十分な知識がなく、その上で判断を迫られる時に活性化する部分のようなのです。
入山:
 それはたいへん興味深いですね。不確定要素が多くて不安を感じるような時に活性化する部分こそ、クリエイティビティと関係しているということなんですか?
チクセントミハイ:
 そう、とても興味深いでしょう? そこで、私は教育にも関心があるので、そのチームに「例えば子どもたちの学校生活で、背外側前頭前皮質が活性化するのはどんな時だろう」と尋ねたのですが、残念ながらまだ研究はないようです。でも想像するに、教科書の中にすでにある答えを出すときではなく、確かな情報や論理的な結論がないとき、すなわち「えーと、えーと」と考えている時にこそ、この部分が活性化しているのではないかと
佐宗:
 なるほど。残念ながら、日本では「答えがないもの」について考えさせる時間がほんとうに少ないですね。むしろ「答えがない」ものを嫌う傾向すらあります。実際に、日々の打ち合わせでも、わかりにくい、不明確なことを極度に嫌いがちです。上司から「わからない」と言われることを恐れたり。
チクセントミハイ:
 うーん、学校教育ではそういうトレーニングがあまりなされてないようですね。でもこの仮説が真実だとすれば、クリエイティビティを創出する社会に必要なのは、答えのないものにアプローチしようとする「リスクを望む人材」と考えられるのですよ。
クリエイティビティを創出する社会に必要な「リスクを望む人材」図3:クリエイティビティを創出する社会に必要な「リスクを望む人材」
©Junko Shimizu

創造性が生まれる土壌を育む「ゲートキーパー」の役割

チクセントミハイ
チクセントミハイ:
 ただし、人材は現状あるドメインのルール、文化の中で生きているわけですから、基本的にリスクは望まれません。「リスクを望む人材」を容認し、むしろ支援する仕組みがなければ、せっかくのクリエイティビティも活かしようがないのです。つまり、「リスクを望む人材」に対して「ともかく君は良い例を示してくれたのだからやってみよう」と言ってくれる“社会におけるゲートキーパー”の存在が不可欠です。
佐宗:
 なるほど、人がリスクを分かった上で、それでもチャレンジしようとするためには、優れたゲートキーパーの存在が重要なんですね。実際、大企業のイノベーションの文脈でも、最終的に判断するマネジメント層が「自分の価値観に合わないアイデアを殺してしまうこと」が、形にならない一番の理由だと言われます。では、優れたゲートキーパーはどのような人なのでしょうか?
チクセントミハイ:
 ゲートキーパーの役割は、「良いアイデアと悪いアイデアを分けること」、そして「ベストと思われるアイデアの不確実性を容認すること」です。つまり、「卓越した高い判断基準を持つ人」と「現場において柔軟性を持つ人」という2つのタイプの人材が必要となります。こうした気付きは、私の研究の一部として行ってきた歴史に基づくものです。大規模にイノベーションが起きた場、今で言うとシリコンバレーのようなものですが、もう少し古い例を紹介しましょう。
 私が学生時代のほとんどを過ごしたイタリアのフィレンツェは、ルネサンスが勃興した街として知られています。しかしその起点は、決してクリエイティブな人たちではないのです。メディチ家を中心とした当時の自治体のトップがゲートキーパーとして「我々は世界で最も美しい街を作りたい」と宣言し、銀行家、聖職者、司祭、哲学者などを集めてコンクールを行い、街に何を作るべきかを決めてもらいました。美しい教会や城、絵画や彫刻などなど…。その結果、医者もしくは法律家になろうとしていた多くの優秀な若者が、その才能を建築や美術などに投じたわけです。
創造性が生まれる土壌を育む「ゲートキーパー」の役割創造性が生まれる土壌を育む「ゲートキーパー」の役割
©Junko Shimizu
佐宗:
 つまり、ビジョンを示すことで政府が需要を作ったことから始まったんですね。供給者であるクリエーター側がどんなに騒いでも、いまのフィレンツェはできなかったと。
チクセントミハイ:
 ええ、たとえばギベルティの『天国の門』をご存知ですか。大聖堂の隣の洗礼所の扉を世界最高の芸術とするために、ゲートキーパーであるメディチ家は、ヨーロッパ中の哲学者や司祭から叡智を借り、優れた芸術家を見出すためにコンクールを行い、2年半もの時間をかけて、ようやく160名の候補者の中からギベルティを見出しました。彼はフィレンツェの過去の芸術作品を研究し、ローマにも行って古代ローマの芸術も研究しました。そして50年の歳月をかけて完成させたのが、あの美しい扉というわけです。
入山:
 私も見たことがありますが、すばらしい芸術作品ですよね。今も世界中からの観光客が絶えず、かのミケランジェロが「天国の門」と名づけたとか。しかし、それもギベルティが一人で創りあげたわけではない。社会からそしてゲートキーパーから、「フィレンツェを世界一美しい都市にしたい」という価値基準に基づくビジョンがあって、はじめて「天国の門」が実現したというわけですね。
チクセントミハイ:
 この『天国の門』は、ルネサンス期初期の作品の一つに過ぎません。しかし、この作品は人々が芸術を語る上で大きな変化を与えました。作品そのものだけでなく、世界における人間の存在や可能性、あるいは人生のゴールについて語るようになったのです。
佐宗:
 なるほど。フィレンツェの場合は、目利きの役割が機能して、それによって花開いたクリエイティビティが次世代に影響を与えていく。そうしたクリエイティビティが生まれる街づくりは、私にとっても興味深い事象です。現在東京オリンピックに向けた準備が進められていますが、都市計画のような長く続くものにはビジョンが必要で、それを考える上では、若い世代に機会が開かれるという環境をゲートキーパーが作ること。それがクリエイティビティを生んでいく上で大事なことかもしれませんね。現在、そうしたクリエイティブ都市について様々なアイデアを話しています。ぜひ、ご提言をいただけないでしょうか。
* * *

<注釈>

  • (注1)フロー:人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう。ZONE、ピークエクスペリエンスとも呼ばれる。心理学者のミハイ・チクセントミハイによって提唱され、その概念は、あらゆる分野に渡って広く論及されている。
    参照:Wikipdiaより
  • (注2)fMRI:MRIを利用して、ヒトおよび動物の脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化する方法の一つである。最近のニューロイメージングの中でも最も発達した手法の一つである。
    参照:Wikipdiaより