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金曜日, 2月 26, 2016

「植物状態の人間に意識があるか」を測定する装置


「植物状態の人間に意識があるか」を測定する装置

 

植物状態の患者や、外傷や脳卒中によって脳損傷を負った人などに、意識があるかどうかを10分間で測定できる装置が開発された。

植物状態にある患者のほとんどは、正常とは大きく異なるネットワークを示した(画像左端)。しかし患者のうち3人だけは、健康な成人(画像右端)により近いネットワークを示した。画像中央がそのひとりの脳活動だ。

 

植物状態の患者や、外傷や脳卒中によって脳損傷を負った人などに意識があるかどうかを10分間で測定できるという装置が開発された。

ケンブリッジ大学の神経科学者であるスリバス・チェヌが開発したこのシステムは、一般的に使用される脳波(EEG)信号を、数学の一分野であるグラフ理論を使って解析するものだ。電極で覆われた頭部キャップと、電気活動のパターンを測定するボックスという2つの簡単な装置を使用して、脳領域を結ぶさまざまなネットワークの連結の強さを評価するという。チェヌ氏のチームは2014年10月、この装置の基礎となる研究(日本語版記事)を発表している。

意識があるというのは、単に目覚めているということではなく、「知覚と認識」で構成されるものだとチェヌ氏は語る。「意識があれば、同期化された神経活動が脳全体を走ることでパターンが生じる。EEGとわたしたちのソフトウェアを使用すれば、これを検出して定量化することができる」

例えば、この装置の試験が行われた2人の患者のうち、高い意識レベルを示した患者の脳活動を示す線は、巨大でカラフルなモヒカンのイメージを描き出していた。もう一方はそうした変化を見せない患者だったが、最終的に最初の患者は目覚め、2人目は目覚めなかった。
このシステムは持ち運びできるので、植物状態の患者や、外傷や脳卒中によって脳損傷を負った患者を治療する医師が、「ベッドサイド装置」として使用できるとチェヌ氏は考えている。またこの装置を使用すれば、治療の質を改善したり、長期間にわたって不完全な覚醒状態にある患者を覚醒させるうえで役立つ洞察を得られる可能性もある。

チェヌ氏が率いる研究チームは今後3年間に渡って、脳損傷を負っている50人の患者を観察・治療する実験を行うという。

「医学の進歩とは、ワンパターンの治療ではなく、脳損傷のサブタイプを特定することで、個々のニーズに合わせてさらに標的を絞った治療へと移行していくことを意味しています」とチェヌ氏は語っている。




WIRED NEWS (UK)

 

水曜日, 10月 22, 2014

植物状態の人にも意識がある

植物状態の人にも意識がある:脳波解析で明らかに

植物状態等とされる人々であっても、健康な人に近い脳のネットワークを保持している場合があるという研究結果が発表された。「テニスをしているところを想像させる」試験や、脳波分析について紹介。


TEXT BY GREG MILLER
IMAGE BY SRIVAS CHENNU
TRANSLATION BY TOMOKO TAKAHASHI/GALILEO

WIRED NEWS(US)

反応を示さない状態であるにもかかわらず、患者(画像中央)は健康な成人(画像右)と同様の脳活動を示した。画像内の弧状の線の高さは、両端における脳領域間の連結の強さを示す。
重度の脳損傷を受けたのち、いわゆる植物状態や最小意識状態に陥る場合がある。このような人は、言葉を発したり自分の意思で体を動かすことができず、周囲の世界も認識していないように見える。
ところが近年、神経科学の分野において、このような患者の一部が、少なくともある程度の意識をもっている可能性を示す兆候が明らかになっている。
冒頭の驚くべき画像は、『PLOS Computational Biology』に発表された研究のものだ。ケンブリッジ大学のスリバス・チェヌ率いる研究チームは、患者32人と健康な成人26人を対象に、神経が示す意識の兆候を探った。
その方法は、脳波(EEG)信号を使って被験者の安静時の脳活動を記録し、それらの信号をグラフ理論[ノード(節点)の集合とエッジ(枝・辺)の集合で構成されるグラフの性質について研究する数学の一分野]を用いて解析し、脳領域を結ぶさまざまなネットワークの連結の強さを評価するというものだ。
その結果、外界に対して意識の兆候を示していない、植物状態にある患者のほとんどは、正常とは大きく異なるネットワークを示した(画像左端)。しかし患者のうち3人だけは、健康な成人(画像右端)により近いネットワークを示した。画像中央がそのひとりの脳活動だ。
2006年に『Science』誌に発表された画期的研究において、今回と同じ研究者を含む研究チームが、患者に「テニスをしているところを想像させる」などの試験を行った。健康な被験者では、動作の計画をつかさどる脳の領域が活性化する試験だ。
チームがfMRIを使って脳活動をスキャンしたところ、植物状態に陥っている23歳の女性において、健康な人と同じ脳領域の一部が活性化した。これは、その女性が指示されたことを理解し、実行できるだけの意識を保持している証拠だとチームは主張している。
今回の研究では、EEG検査で正常なネットワークの兆候を示した植物状態の患者3人がすべて、この「テニス試験」をクリアした。ただし、テニス試験をクリアした植物状態の患者はもうひとりいたが、こちらはEEG検査で正常に近いネットワークを示さなかった。
チェヌ氏によると、EEGの利点は持ち運びがしやすく、患者のベッドサイドで使いやすいところだという。しかし、これらの患者を正確に評価するためには、EEGによるネットワーク検査とfMRIによるテニス試験を組み合わせて用いる必要があるだろうと同氏は述べている。