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水曜日, 12月 07, 2016

「RADWIMPS」、 「君の名は。」を語る



 

「RADWIMPS」、

「君の名は。」を語る

 

 新海監督の斬新なジャッジ

 居酒屋から「LINE」で打診 映画制作と同時進行で曲作り


大ヒットアニメ映画「君の名は。」の音楽を担当したロックバンド「RADWIMPS(ラッドウィンプス)」が“次の一手”を打った。
主題歌「前前前世」のオリジナルバージョンなど15曲を収めた最新アルバム「人間開花」(通常盤)を23日に発表。
主題歌に起用されなかった候補曲「光」もあり、映画の制作過程が読み取れそうだ。

大ヒット映画の舞台裏をメンバー3人に聞いた。



「RADWIMPS」は平成13年に結成。パワフルでありながら、繊細さをも感じさせる独特の表現力で人気を集めている。

「君の名は。」の依頼を受けたのは一昨年。ボーカルの野田洋次郎(31)は、新海誠監督と一緒に居酒屋にいたプロデューサーから無料通信アプリ「LINE(ライン)」で打診されたという。
一般的には完成した映画に主題歌を書き下ろすが、「この映画は脚本しかできていなかった。だから、一緒に映画が作れると思ったし、そこに喜びを感じた」(野田)。



主題歌に起用されたのは4曲。野田は「最初は歌詞がこんなに入っている曲があっても良いのかな、と半信半疑でした。物語の邪魔をしないのかなと思っていたんです。だけど、新海監督が『大丈夫です』と言ってくれたので、それを信じようと思った」。

特に「前前前世」は言葉の組み合わせがユニークで、インパクトが強い。
「『光』の方が映画との相性が良いのかなと思ったのですが、新海監督は強い言葉を望んでいた。それでも(自分に)『選んでいいよ』と言ってくれた。1年ほど迷いましたが、新海監督の思いに乗ってみようと思った」

新海監督は「前前前世」を聴きながら、リズムを合わせてアニメを制作した。この曲が流れるシーンからは映像と曲の一体感が感じられる。最新盤には、シーンの尺に合わせて歌詞を付け加えたオリジナルバージョンを収録。もう一つの主題歌「スパークル」のオリジナルバージョンも入れた。

「スパークル」の映画バージョンではストリングスの演奏が響く。その部分でオリジナルバージョンではギターの音色が際立つ。メンバーでギターの桑原彰(31)は「ギターのひずみの音が強過ぎてしまう部分を、映画ではストリングスに変えました。ギターのひずみに耳を奪われないようにしようという話し合いをしたんです」と語る。


 ベースの武田祐介(31)は言う。「これまでは(野田)洋次郎がかじ取りをしてくれていた。でも映画では、洋次郎の向こう側にジャッジをしてくれる新海監督が現れた。これは新しい経験でした」

実は、新海監督側から作り直しを要請されて戸惑いやいらだちを感じたこともあった。
それでも「出来上がった映画が素晴らしかったので、新海監督が自身のビジョンを伝えてくれていたんだなと思った。楽しくやらせてもらいました」

来年2月25日からはツアーが始まる。映画音楽制作を通して進化したメンバーが新たな一面を見せてくれそうだ。








 

New Album『人間開花』


▲『人間開花』通常盤


▲『人間開花』初回限定盤
New Album『人間開花
2016年11月23日(水・祝)発売
初回限定盤:CD+DVD 4,500円+税 / UPCH-29241
通常盤:CDのみ 3,000円+税 / UPCH-20436
RADWIMPS LIVE TOUR 2017 チケット特別先行受付(抽選)のご案内シート封入

[収録楽曲]
01.Lights go out
02.光
03.AADAAKOODAA
04.トアルハルノヒ
05.前前前世 (original ver.)
06.‘I’ Novel
07.アメノヒニキク
08.週刊少年ジャンプ
09.棒人間
10.記号として
11.ヒトボシ
12.スパークル (original ver.)
13.Bring me the morning
14.O&O
15.告白

[初回盤DVD track list]
「10th ANNIVERSARY LIVE TOUR FINAL RADWIMPSのはじまりはじまり」のまとめ
at 幕張メッセ国際展示場4〜6ホール (2015.12.23)
01.トレモロ
02.ます。
03.透明人間18号
04.億万笑者
05.π
06.有心論
07.ピクニック
08.25コ目の染色体
09.DADA
10.いいんですか?
11.君と羊と青
12.会心の一撃
13.ふたりごと





映画「君の名は。」が年内に邦画歴代2位浮上へ 興行収入184億円突破、ジブリ2作超え間近 









金曜日, 12月 18, 2015

新たなスター・ウォーズ神話を生み出した6人

 

The

Awakening

Force

 

覚醒するフォース

新たなスター・ウォーズ神話を生み出した6人



ハリウッドを牽引する6人の猛者が
新エピソード『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は、
シリーズ中初めての「ジョージ・ルーカス不在」の作品だ。
この困難にして壮大な挑戦を担ったドリームチーム。
ハリウッドを牽引する6人の猛者が
その胸の内を語った。


 

01 Kathleen Kennedy 

キャスリーン・ケネディ|プロデューサー

ルーカス帝国の新総帥のヴィジョン


映画プロデューサーのキャスリーン・ケネディは1981年の『レイダース/失われたアーク《聖櫃』からほぼすべてのスティーヴン・スピルバーグ監督作品を手がけてきた。2012年には、ジョージ・ルーカスがディズニーに売却した映画制作会社ルーカスフィルムの社長に就任している。スター・ウォーズが若い映画人たちに及ぼす神秘的な力について、新作公開にあたり彼女が抱いている突飛なアイデアについて、そしてまだ16歳だったJ.J.エイブラムスを彼女に引き合わせた偶然について、訊いた。


───ほかの超大作シリーズと比べてスター・ウォーズの興味深い点のひとつは、おそらく、それがジョージ・ルーカスというたったひとりの人物の頭から生まれたということでしょう。そして、この規模の映画としては、ほかのどんな映画監督と比べても、ルーカスは異常なほど映画製作を自分の管理下に置くことにこだわっていたように思います。そこでお聞きしたいのですが、ジョージ・ルーカスがいないいま、どのようにスター・ウォーズを製作するお考えですか?


キャスリーン・ケネディ(以下KKカギとなる大原則はひとつだけだと思います。それは、映画を個人的なものにすることです。J.J.はそれを個人的なものにしなければなりません。エピソード8』では、脚本・監督の)ライアン・ジョンソンもそれを個人的なものにしなければなりません。ジョージにとって、スター・ウォーズは個人的な映画でした。ジョージはただ、自分にとって何かしら意味のある映画をつくっただけなのです。そしておそらく、この映画をつくろうとする者にとって何より大きな困難となるのは、他人がその映画についてどう思うか、あまり時間をかけて吟味できないということだと思います。この映画は自分にとってどういう意味があるんだろう? 自分はこの映画をどうするべきなのだろう?」という観点から、この映画に取り組まなければなりません。率直に言って、クリエイターと、語られる物語との間にそのような状況が生まれなければ、よい映画ができるはずがありません。映画が何らかの個人的な感情に働きかけるとき、はじめて映画は観客の心を動かすものになりうるのです。


だから、これまで監督たちに、あまり悩まないで。あなたはもともと筋金入りのファンなんだから。ジョージ・ルーカスやジョージがスター・ウォーズに描いたものが、昔から大好きなんでしょ?」と言って励ましてきました。マニアのなかには、わたしなんかよりも10倍くらいスター・ウォーズに詳しい人がたくさんいます。それってすごいことですよね。神話をもとにジョージが創造した物語がそれほどの魅力をもっているということですから。ただ単に、それがよくできたシリーズだからというだけではなく、本当に深い部分で人々を惹きつける何かがあるんです。映画を観て育った世代ならわかると思いますが、そういった監督たちにとってスター・ウォーズは最も意味深い映画のひとつになっているはずですし、彼らのキャリアに深い影響を及ぼしているはずです。


───長年にわたり、観客の心に深い余韻を残す数多くの映画にかかわってこられましたが、スター・ウォーズは別格なのですね。


KKそうです。現代の注目すべき特徴は、かつてに比べて、ポップカルチャーにおける人々の結びつきが希薄なことです。ネット上の口コミばかりが盛んでね。わたしたちの世代は、個人的な体験を、ある種の連帯感のなかで共有することに多くの時間を費やしました。でも現代の個人的体験とは、スター・ウォーズ第1作のときに確かに存在した、数多くの人々を映画館に向かわせたあの連帯感のようなかたちを取るとは限らないのです。あんな現象はそうそう起こらなくなっています。体験のあり方が変わったのです。そして、思うのですが、それこそがスター・ウォーズを取り巻く郷愁の本質なのではないでしょうか。あの感覚をもう一度味わいたいと望んでいる人は多いと思います。


───1977年にスター・ウォーズの第1作が公開されたとき、ぼくは18歳でした。当時は上映館が4,000もなかったものですから、3時間も並んで上映を待ちました。でも、あの待っている時間、あの人ごみ、あの熱気──あれが『スター・ウォーズ』を体験することの多くの部分を占めていました。映画そのものと同じくらいに。


KKそうですね。今度の新作を公開するときには、チケット代を1977年当時の値段にするべきではないかとか、そんな議論までしました。そうすればまた映画館を取り囲むくらいの行列ができるんじゃないか、またあの行列を再現できないだろうかってね。









───1977年の値段にするとなると、ディズニーCEOのボブ・アイガーが黙っていないでしょう。でも面白いアイデアですね。
 

つまり言いたいのは、みんなまたそのような体験をしたいと望んでいるということです。ジュラシック・パーク』や『E.T.』をプロデュースしたときも、劇場がまるでロックコンサート会場みたいでした。そこにいた人たちにとって、列に並ぶということは体験の一部だったのです。行列を見て、そうだ、自分もまた、ここで並んでいる一人ひとりが加わろうとしているものの一部なんだ、という気持ちになったのですね。みんな、それを懐かしがっているのではないでしょうか。


───これは何年も前から抱いていた疑問で、それを訊くのにあなたほどふさわしい人はいないと思うのですが、ぼくの感覚では、スティーヴン・スピルバーグやジョージ・ルーカスのようなポップカルチャーで大成功を収めたアーティストは、本当につくりたい映画をつくっているだけで、たいへんな才能があることはもちろんですが、とても幸運だと思うのです。というのも、彼らにとって重要なものが、商業的な計算をしているわけでもないのに、どういうわけか観客の支持を得てしまうからです。この考えは基本的に正しいと思いますか?


KKまったくその通りだと思います。ジョージにもスティーヴンにもそういうことがあったのをこの目で見ました。映画は個人的なものでなければならないというのはそういう意味です。どの場面も、彼らにとっては本当に大切なものから生まれています。スクリーンに映っているものは、いつも彼らの心の真実なのです。それが成功するかどうかには興味がないんです。彼らは文字通りのアーティストで、自分の感性を伝えるための方法を追求しています。ジョージについて言えば、 政治を描くことが増えていますが、それはいま世界で起こりつつあることへの不満を表現する手段であって、それがスター・ウォーズのなかに表現されているのです。スター・ウォーズはジョージの物語であり、それを自分にとって個人的に意味のあるやり方で生かしたのです。


───あなたとJ.J.とは30年来の友人ですが、初めて会ったときのことを教えていただけますか?


KKそれが面白い話なのよ。そのころスティーヴンと仕事をしていたのだけど、ある日電話があったんです。電話の男の子はアリゾナ州のルックアウト山の家に住んでいて、地下室でほこりだらけの箱を見つけたんですって。それで、中は全部ホームムーヴィのフィルムです。スティーヴン・スピルバーグ監督のものだと思うんですけど」って言うんです。いま思うと申し訳ないんだけど、こっちも疑り深くなっているので、最初はただの詐欺だろうと思いました。だから、あら、わざわざありがとうございます。ではお手数ですが、ユニバーサルの撮影所におりますから、その箱をお持ちいただけますか? あとはこちらで、本当にスティーヴンのものかチェックしますので」とだけ答えました。電話を切って、まずスティーヴンに「ねえ、ルックアウト山に住んでた ことある?」と聞きました。すると、ああ、住んでいたよ」という答えでした。それで、電話の男の子はつくり話をしているわけじゃないらしいと思いました。そこで、あなたが撮ったホームムーヴィのフィルムを見つけたっていう人がいるんだけど」って教えたら、何だって? ウソだろ?」と言うんです。15〜16歳のときに撮った初期のスーパー8フィルムなんて、もうとっくにどこかへ行ってしまったと思っていたそうです。


電話の男の子は箱を持ってやってきました。これ以上ないというくらい感じのいい好青年でした。置いていった箱を調べると、やはりそれはスティーヴンが少年時代に撮ったホームムーヴィでした。スティーヴンは興奮してわれを忘れていました。運命のいたずらのようですが、その朝、LAタイムスでふたりの男の子が映画の賞を取って、その映画がロサンゼルスのニューアートシアターで上映されているという記事を読んだばかりでした。だからスティーヴンにこう尋ねたんです。ねえ、いい考えがあるんだけど。映画賞を取ったこの子たちを雇ってあげたらどうかしら。きっとあなたの助けになると思うんだけど。あなたのアマチュア時代の映画を整理してテープに保存してもらえば、もうなくなる心配もないじゃない?。そのふたりが、J.J.エイブラムスと、最近『猿の惑星:新世紀(ライジング』のメガホンを取ったマット・リーヴズでした。
まだ15歳か16歳のころです。ふたりは本当にスティーヴンのアマチュア時代のスーパー8フィルムを整理することになりました。ふたりは子どものころからの同級生なんですって。わたしたちはJ.J.のキャリアを手助けしましたが、そんな彼が、いまスター・ウォーズに力を尽くしてくれているというのですから、不思議なめぐり合わせだと思います。なんだか、そうなる運命だったみたいね。


 

キャスリーン・ケネディ 大原則はひとつだけだと思います。
映画を個人的なものに
することです。
J.J.はスターウォーズを
個人的なものに
しなければなりません。


──キャスリーン・ケネディ



Kathleen Kennedy キャスリーン・ケネディ E.T.』インディ・ジョーンズ』ジュラシック・パーク』といったハリウッドの名作を世に出したプロデューサー。1981年、スティーヴン・スピルバーグらとともにアンブリン・エンターテインメントを設立し、2012年にはルーカスフィルムの社長に就任。崖の上のポニョ』などジブリ作品の北米プロデュースも務めている。










02 J.J.Abrams

J.J.エイブラムス|監督・共同脚本・共同製作

スターウォーズにアイロニーはいらない


スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で監督と共同脚本を務めるJ.J.エイブラムス。映画の内容について多くは語らなかったが、その代わり、この新作に密かにこめられたほかの映画からの引用や、製作過程での奇妙な経験、そしてかの名優マックス・フォン・シドーに送りつけたしょうもない駄洒落について教えてくれた。


───スター・ウォーズ旧3部作の精神や感覚を再び取り入れようとしたとおっしゃっていましたね。旧3部作、特に第1作でぼくが個人的に好きなのは、いろいろなところに、語られることはないけれどそれとなくほのめかされている裏設定があるということでした。それは思い切った演出だったと思います。例えば第1作では、登場人物が「クローン大戦」に触れています。その登場人物の過去を感じさせる、独創的な演出でした。まるでぼくたちが第二次世界大戦のことを話すかのように、その世界で起こった事件に登場人物が言及して、でもその詳しい説明はどこにも出てこないというアイデアが面白かったのです。新3部作でそれらの設定が詳しく描かれてしまったことで、スター・ウォーズの面白さが少し奪われてしまったように感じるのですが。


J.J.エイブラムス(以下JJスター・ウォーズの何よりすごいところは、ダース・ベイダーは本当はルークの父親だったかもしれないが、第1作の時点ではそうではなかったこと、レイアも本当はルークの妹だったかもしれないが、第1作ではそうではなかったということだ。帝国が実は何をたくらんでいるのか、見当もつかない。元老院とか暗黒時代とかいろいろセリフには出てくるけど、それが何を意味するのか全然わからない。でも、それらが言及されると、語られていない部分を観る側が想像で補完して、そういう事実が存在するということを感じるし、それがどういったものかが理解できるんだ。


───新作は『ジェダイの帰還』から30年後が舞台となりますが、30年間にスター・ウォーズの宇宙で何が起こったのか、そのように想像力で足りないところを補完するようなかたちになるのでしょうか。


JJ映画に映し出される物語の外側で起こったことについては本当に数え切れないくらい話し合った。もちろん過去の出来事に言及するセリフはあるけど、それはとても曖昧な言い方になっているので、観客はその言葉についていろいろ想像を働かせることができる。もともとは、もっとたくさん過去への言及があったんだけど、なんだか不自然に曖昧な言い方をしているみたいだったから、セリフから削ったんだ。すべてのセリフは不可欠なものでなければならない。やたらにいろん なことを説明しすぎて、ああ、アニメシリーズや続編への伏線なのね、と思われたら台無しだ。過去の出来事に言及するなら、それにふさわしい理由がないと。


───脚本兼監督として、そして童心に帰った筋金入りのスター・ウォーズファンとして、新作にかかわるのはどんな気持ちでしたか?


JJいちばん変な気持ちがしたのは、ジョン・ウィリアムズと一緒に座って、できた映像を30分くらい観てもらったときかな。あのときどんな感覚だったかなんて、とても言葉では言い表せられないね。これからあのジョン・ウィリアムズに、ぼくが監督した、できたばかりのスター・ウォーズの映像を30分観てもらうんだ」という感覚だよ。


だってそんなことありえないじゃないか。子どものころのぼくにとって、ジョン・ウィリアムズはいまでいうDVDやBlu-rayのような存在だった。つまり、当時映画のVHSテープは高くて手が出なかったから、代わりにジョン・ウィリアムズのサウンドトラックを買っていたんだ。ときにはまだ観たことのない映画のサウンドトラックも買った。そしてヘッドホンをつけて部屋の床に寝転がってそのサウンドトラックを聴いていると、音楽がまだ知らない映画のストーリーの根本を伝えてくれた。それからアルバムの裏の写真を眺め、その映画について書かれていることは何でも読もうとした。でも結局はサウンドトラックばかり聴いていたな。だからジョンと会うなんて夢のようだった。ジョンに、彼がまだ観ていないスター・ウォーズを観せていると思うと、すごく変な感じだった。それから、それらの場面はぼくが監督したんだという事実、それも、仕事であんな経験ができることと同じくらいシュールだった。

 






───もうひとつ旧3部作でよかったのは、テレビの冒険活劇や西部劇、古い戦争映画のスタイルを活用していたことです。スター・ウォーズはいずれも真摯なやり方でそれらを踏襲していますから、アイロニー」や「斜に構えた」という言葉はふさわしくはありませんが、それでもどこか、観客に向けて、そうした引用をほのめかす目配せのようなものもある気がします。同意してもらえるでしょうか。また今度の映画のなかにも、そのような描写はありますか?


JJぼくは、第1作にそうしたほのめかしや目配せがあったとは思わないな。ぼくの感じでは、あの映画のキャラクターはみな、100%必然的な行動をしていたと思う。ただ、そのキャラクターたちはちょっとヘンなんだ。マーク・ハミルでさえ、あの映画のなかの行動や演じているキャラクターは、考えてみたらけっこうヘンだよね。最初のほうの、R2-D2やC-3POとの絡みなんてとくにね。ドロイドに向かってあんなに素直になれる人物はそういないよ。マークの演技は、正直過小評価されていると思うし、この映画のユーモアのセンスは本当にすごいと思う。


けれども、そのことと、監督が観客に直接目配せして語りかけるようなこととはまったく関係がないと思う。ぼくから見ると、ハン・ソロの傲岸不遜も、故郷の砂漠の星を離れるルークの悲しみも、レイアの高飛車も、チューバッカの甘えも、C-3POのウザさも、すべてがなんの混じり気のないものだった。もし仮にそこにちょっとでもアイロニーがあったら、おそらく映画は気の抜けた風船のようになっていたと思う。スター・ウォーズの音楽を聴いてみても、そこに思わせぶりな目配せは感じられないはずだよ。むしろ、斬新さ、快さ、ロマンスといったものをあからさまに承認していると思う。あの音楽は、観客に目配せをするような映画のサントラではないよ。どうだろう?


───なるほど。こう言ったらいいかもしれません。ぼくがスター・ウォーズシリーズに感じたのは、ある種の「わかってる感」みたいなものだったのです。きわめて類型的なキャラクターとか、例えば2つの夕日をルークがじっと見つめるのはジョン・フォードの西部劇を思わせるとか、そういった映画史からの膨大な引用とか。70年代の「映画青年」たちはそういう表現を好みました。ジョージ・ルーカスももちろんそのひとりです。そういう映画史からの引用のようなものを、今回の映画にも取り入れましたか? 


JJいくつかはっきりした引用があるけど、それはぼく個人のちょっとしたおふざけみたいなもので、秘密なんだ。引用といった問題についてひとつ確実に言えるのは、第1作が公開されたときといまとでは世界はまったく異なっているということかな。前と同じものをつくって、第1作を観たときと同じ反応を観客に期待するわけにはいかない。1977年以来、いったいどれだけのスペースアドヴェンチャー映画がスター・ウォーズの神話性や世界観やユーモアをベースにつくられてきたか、数え切れないほどだからね。


だからこそ、新作をメタ・スター・ウォーズ的な映画にするというやり方もありうるとは思う。けれども、それにはちょっと斜に構えたアプローチが必要で、ぼくには、それはとても「スター・ウォーズらしからぬ」ものに思える。結局肝心なのはスター・ウォーズをこれほどまでにパワフルなものにしているあらゆる要素を愛し、継承することだと思う。 


西部劇であれば必ず出てくる要素といえば、荒野、町の酒場、黒ずくめの悪党、そして馬や駅馬車といったものだ。西部劇に必要不可欠なもののリストは、きっと誰もがぱっと思いつく。同じようにスター・ウォーズにも、これは絶対欠かせない、みんなが絶対に観たいと思うものがあって、それをちゃんと出していくことに問題はないし、それはやるべきだ。


ただ、早い段階で気づいたのは、大事なのは要素そのものではなくて、やっぱり背後にいる人間なんだ。宇宙空間や宇宙船や砂漠の惑星をただ即物的に出せばいいってわけじゃない。この体験をしているのは誰なのか、なぜそれが登場人物たちにとって重要なのか、登場人物たちは何に絶望し、何を恐れているのか、といったことが重要なんだ。映画のなかに出てくる要素の引用元を一つひとつ挙げてもらうのは一向に構わないけれど、ぼくに言わせれば、この映画で大事なのは、画面のなかでさまざまな体験をする登場人物の隣で、観客も一緒になってそれを体験しているような気持ちになることなんだ。そのとき、砂漠は単なる砂漠ではなく、この世で最も絶望に満ちた場所になる。宇宙船が頭上を飛び去っていく瞬間が、人生で最も誇らしい、偉大な瞬間になるんだ。


ぼくにとって、これはずっと難しい問題だった。過去のスター・ウォーズにあったさまざまな要素を、それを顕彰するためだけに美術品のように入れたり、それが過去の作品に出ていたというだけの理由で、ぞんざいに放り込んでみたりするようなことを避けるべく、細心の注意を払わなくてはならなかった。映画に出てくる要素は、すべて登場するキャラクターと必然的に結びついてなきゃダメなんだ。


───スター・ウォーズを監督するだけでも大変なことですが、スター・ウォーズで名優マックス・フォン・シドーを撮るというのは冷や汗ものだったのではないですか?


素晴らしい経験だった。本当に懐の広い人だよ。最初に連絡を取ったとき、彼はメールを使っていなかったので、やむをえずファックスを送ったんだ。何としても彼に出演してほしかったから、1枚目には手書きで「ファックス・フォン・シドー」なんて書いてね、この映画にはあなたがどうしても必要なんですと口説き落とそうとした。 


───ファックス・フォン・シドー!


あまりウケなかったようだけどね。でも本当にいい人なんだ。普通ならマックス・フォン・シドーほどの俳優を監督するなんて、こっちの考えを全部見透かされそうで思っただけで身がすくむけど、彼は本物のジェントルマンでとても感じのいい人だからやりやすかった。撮影が夜遅くなることもしょっちゅうだったけど、いつも最後まで付き合ってくれた。撮影が終わってお別れを言うとき、故郷スウェーデン式のあいさつをしてくれた。本当にスウェーデンの人がそんなことをするのかはまだ確かめてないんだけど、頑張れよ!」ってぼくのお尻を蹴飛ばしてくれたんだ。あのマックス・フォン・シドーから激励のキックをもらったんだぜ。大感激だったよ! 





J.J.エイブラムス この映画で大事なのは、
画面のなかでさまざまな
体験をする登場人物の隣で、
観客も一緒になって
それを体験しているような
気持ちになることなんだ。
 

──J.J.エイブラムス 


J.J.Abrams J.J.エイブラムス 映画とドラマの両分野で活躍するクリエイター。映画『アルマゲドン』では脚本家を務め、TVドラマ「LOST」では、監督と脚本に加えテーマ音楽の作曲も担当した。彼が製作したドラマ「エイリアス」に注目していたトム・クルーズの呼びかけにより、2006年に『M:i:Ⅲ』で映画監督デビュー。そのほか、リメイク版『スター・トレック』などを手がけている。

 

 

 

03 John Williams

ジョン・ウィリアムズ|作曲 

新作にももちろんあのテーマ曲は流れる



映画音楽家ジョン・ウィリアムズは実に50回近くアカデミー賞にノミネートされ、5度オスカーを獲得している。2度目の受賞は『JAWS/ジョーズ、3度目がスター・ウォーズ第1作。ハリウッド映画史でも最も有名な2曲だ。ウィリアムズはこれまでのスター・ウォーズ全作すべての音楽を担当している。現在作曲中の、スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の音楽について話を訊いた。


───『フォースの覚醒』の音楽を作曲中とのことですが、作曲にあたって、ほかの映画やシリーズとスター・ウォーズではアプローチに何か違いはありますか?


ジョン・ウィリアムズ(以下JW非常に大きな違いがある。最初に得られた一連の着想をずっと持続していくのがスター・ウォーズの作曲だ。何年も書き続けている手紙に新しいパラグラフを加えるのに似ているかもしれない。内容も登場人物も知らない完全なる新作に曲を付けるのとはまったく異なる。登場人物などがもつ特性を見抜き、必要ならばその特性をメロディ化する。その点はスター・ウォーズでも同じだが、ただそこには真に有機的で、絶え間なく成長する何かがあり、それを展開していくんだ。それは明らかに異なるプロセスだ。だから、着想を得た瞬間を言い表すいちばんいいたとえは、手紙をまた最初から書き始めるというより、前から書いている手紙に新しいパラグラフを書き加えていく、ということになるのだろう。 


───そういうときは、すぐに曲づくりに入りますか? それとも、例えば腰を据えて過去の曲を一通り聴き返して、映画の世界に没頭してから作曲に取りかかるようなことはあるのでしょうか? 


JWそうしたほうがいいのかもしれないが、わたしはやらないんだ。曲をつくるための素材はもう頭のなかにあると思っているからね。わたしなりの解釈ができあがっているといってもいい。わたしなりのフィーリングがね。だから以前の曲を参照する必要はない。いつも、それは快い転調のようなものだ。わたしはこういうたとえをよくするんだが、10歳からずっと乗っていなかった自転車にまた乗ったと思ってほしい。乗り方を忘れることはないだろう。インディ・ジョーンズ」シリーズでも「スパイダーマン」でも「ハリー・ポッター」のシリーズでも、それと同じ経験をしているんだ。だがその音楽はそのまま同じというわけではない。同じでないことを願っている。少なくともどこかしらは、その映画特有の音楽となってほしい。でも、ある映画から次の映画へ移る切り替えはそれほど大変ではないよ。少なくともわたしにとってはね。 










───J.J.エイブラムスと仕事をして、ルーカスのときと違ったところはありましたか?


JWまったく同じだよ。ジョージとは話し合いながら映画をチェックして、音楽を入れる箇所を選ぶ。意見が食い違うことはなかったね。いつでも自由に曲をつくらせてくれた。J.J.も同じようにやらせてくれている。何度か事前の打ち合わせをしたとき、つくった曲をいくつかピアノで弾いて聴かせたら、非常に満足してもらえたようだった。納得いくまでやってください」というのがJ.J.からの最終指示だ。束縛なしに自由にやらせてもらえるので、気持ちよく仕事できているよ。君がどのくらいJ.J.のことを知っているかわからないが、大した人物だよ。大変な才能だ。さまざまな業種のスタッフたちが集まったミーティングに同席したとき、本当に感嘆した。自信に満ちて、人懐っこくて、誰にでも分け隔てなく接し、周りを引き込んでいく、まさにリーダーの器だ。こう言ってよければ、今後がますます楽しみな若手監督だよ。J.J.が何歳か知らないが、わたしから見れば若手なのに(エイブラムスは49歳、ウィリアムズは83歳、大した男だよ。


───スター・ウォーズのメインテーマ曲はもちろんですが、旧3部作のルークやレイアやハン・ソロのテーマはまた聴けるのでしょうか?


JW過去のテーマ曲がまた流れるシーンはいくつかあるよ。まだ完成していないが、そうする予定だ。そんなふうに過去の音楽が再び使われるのは、それが自然で正しいと思われる場面だ。 


───スター・ウォーズの音楽のなかで、特にお気に入りの作品はありますか?


JW少し考えてから、笑って)いや、ないね。長年コンサートでスター・ウォーズの曲を数え切れないくらい指揮してきたが、それらの曲に対するわたしの感情はまったく変わらないと言っていい。コンサートのプログラムを何年分も通して見れば、あの曲よりこっちの曲のほうがよく取り上げられているということはあるかもしれない。でもどの曲が特に好きということはないよ。 

 

ジョン・ウィリアムズ 
納得いくまでやってください」
というのがJ.J.からの最終指示だ。
束縛なしに自由に
やらせてもらえるので、
気持ちよく仕事できているよ。
 

──ジョン・ウィリアムズ


John Williams ジョン・ウィリアムズ アメリカを代表する作曲家、指揮者。ジョーズ」シリーズ、E.T.』ハリーポッター」シリーズのテーマ曲など、数々の名曲を生み出した映画音楽の第一人者である。スター・ウォーズシリーズでは、第1作からすべての作品で音楽を担当。アカデミー賞候補の常連であり、これまで作曲を手がけた映画は100本を超える。


 

 

 

 

04 Michael Kaplan

マイケル・カプラン|衣装デザイン


ストームトルーパーの新デザインとアップル



スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のコスチュームデザイナー、マイケル・カプランのキャリアは、1970年代半ば、ハリウッドNo. 1のド派手デザイナー、ボブ・マッキーに師事するところから始まった。その後、カプランは映画に活躍の場を移し、ブレードランナー』をはじめ、フラッシュダンス』セブン』ファイト・クラブ』アルマゲドン、そしてリブート版「スター・トレック」2本の衣装を担当した。スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のファッションにアップルとナチスの第3帝国が果たした役割について、そしてレイアとハン・ソロの衣装について語ってくれた。


───あの『ブレードランナー』のデザイナーが、いまスター・ウォーズの仕事をなさっているというのは面白いと思います。というのも、その2本は、マッドマックス2』とともに、この40年間でSF映画になくてはならないものになった、生活感あふれるレトロフューチャーな光景を定着させた作品ですから。ブレードランナー』での経験は、スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でも役立っていますか?


マイケル・カプラン(以下MKブレードランナー』では実に多くのことを知った。ざらざらした荒い手触りや長い年月を経た物への偏愛もそうだ。ブレードランナー』の仕事を得ることができたのにはわけがある。当時、製作者たちはたくさんのデザイナーと面接をしていた。そして映画の舞台が未来だと聞くと、多くのデザイナーがテカテカのポリエステルみたいな未来服ばかり描いてきたんだ。でもぼくだけは、脚本を読んで、これは昔のサム・スペード(ハードボイルド小説『マルタの鷹』の探偵)といった昔の刑事物のような映画だな、と感じた。そう伝えたら気に入られたらしく、採用されたんだ。


リドリー・スコットからは、もともとあるものをつくり直して、まったく別の、考えてもいなかったような新しいものをつくることの大切さを学んだ。掘り出しものを探して古道具屋を回るのは楽しいよ。それがぼくの特徴といえるのかはわからないけど、多くの映画で繰り返しそうしてきた。というより、ぼくがデザインを手がけてきた映画では、そういうことが必要とされていたんだろうな。


───それは『フォースの覚醒』にどのようなかたちで表れていますか?


MK多くのものを再利用しているよ。例えば昔の軍隊のガスマスクとチューブとホースを組み合わせて何かつくったりとかね。ブレードランナー』のときもそうしたし、機会さえあればいつもそうしてきたよ。


───実際のところ、かつてのスター・ウォーズのコスチュームを再利用しているんですか? もしかしてルーカスフィルムのどこかの倉庫には、棚という棚に古いストームトルーパーのコスチュームがずらっと並んでいるとか。


MKいや、過去の映画のものは何も使わなかったよ。そのかわり、ジョージ・ルーカスの記録保管所に行った。巨大な建物だ。そこで丸一日かけていろんなものを見たりスケッチしたりして、映画のトーンを体で感じ取ろうとしたんだ。でも古いストームトルーパーのコスチュームがあったとしても、もう使いものにならないよ。いまの観客は目が肥えているから、昔はごまかせたことでも、もう通用しないね。だから新しいコスチュームはもっと重くした。それに、今度の映画はアクションが激しいから、かつてのコスチュームのようにプラスティックの真空成型でつくったら全部割れるか壊れるかしてしまう。今回のコスチュームはとても頑丈なんだ。デザインもやり直している。今回のストームトルーパーは前と同じではないんだよ。 


───どのあたりを変えたのですか? 


MKもちろん、すべてJ.J.と話し合って決めた。ストームトルーパーのあの象徴的な外見を保ったまま、かつ30年という時間のなかで変化した感じというのがJ.J.の希望だった。だってそうだよね。レイアやハン・ソロがあんなに年をとっているのにストームトルーパーだけ変わらないというのは変じゃないか。








───スター・ウォーズの銀河系でファッションがどのように変化していったかを物語る裏設定みたいなものは頭のなかにありますか?


MKおそらく漠然とね。ストームトルーパーに関して言えば、むしろシンプルになったよ。アップルならこうするだろう」みたいなね。ぱっと見はストームトルーパーなんだけど、ファンならはっと驚いて興奮するような新しいデザインをJ.J.は求めていたんだ。


───ほかにも過去の作品からアップデートしたものはありますか?


MK初めて『スター・ウォーズ』第1作を観たとき少し混乱したんだ。反乱軍も帝国軍も、どちらも同じようなカーキ色やオリーヴ色の制服を着ていたからね。これを何とかしようと思った。そこで、それぞれ違いが一目瞭然の服をつくったんだ。帝国軍は、非常に冷酷な感じのする、黒やグレーやメタリックや青緑色、反乱軍には温かい感じの色、カーキ色やオリーヴ色、オレンジ色などを使った。両者の違いがはっきり際立ったし、誰が誰だかわかりやすくなったよ。それからコス チュームの素材にも気を配った。反乱軍にはウールコットンとか天然素材を使っているのに対して、帝国軍はまるでティエリー・ミュグレー(奇抜なデザインで知られる有名デザイナー)みたいな硬く角張った服装にしたんだ。髪型は1930年代に流行した七三分けにして、古めかしい感じを出した。


───まるで、ナチスのようです。


MKオールバックの髪型や角張った服は、確かに通じるものがある。帝国はナチ的イメージに満ちている。


───レイアやハン・ソロやルークのコスチュームデザインのことを教えてください。3人はスター・ウォーズを代表するキャラクターですし、その服装も非常に象徴的でした。旧作のデザインを参考にしましたか? それともまったく違ったものを?


MKあのデザインは映画のストーリーやアクションにふさわしいものではあったけれど、同時に人々が普通に着ていそうな服でもあったよね。それを、よし、このキャラクターをいちからデザインし直して、いままでと全然違うカラーのコスチュームを着せてやれ、というのはぼくの仕事のやり方には合わない。でも何かしら目新しくて興味を引くものも欲しいよね。必要十分な変化がないといけない。


───スター・ウォーズの第1作が公開されたとき、どう思いましたか? 


MKこいつはどえらい映画だと思った。多くの人と違って、あの映画で人生ががらっと変わったりはしなかったけれどね。将来この続編の衣装デザインをお前が担当するんだって言われても信じなかったと思う。当時ぼくが思い描いていたキャリアは、実際とは全然違った。歴史大作みたいな映画を担当すると思っていたんだ。でも実際に手がけたのは『スター・トレック』ファイト・クラブ』セブン』ブレードランナー』のような、マッチョな映画ばかりだ。面白いものだね。そういう映画専門のデザイナーみたいに思われているかもしれないけど、ぼくはただカッコいい衣装をつくろうとしてきただけだよ。




マイケル・カプラン
キャラクターを
いちからデザインし直して、
いままでと全然違う
コスチュームを着せてやれ、
というのはぼくの仕事の
やり方には合わない。
 

──マイケル・カプラン

 
Michael Kaplan マイケル・カプラン アメリカのコスチュームデザイナー。映画『ブレードランナー』のクラシカルな衣装が話題を呼び、その後も『スター・トレック』ファイト・クラブ』アルマゲドン』などの衣装を担当。また、映画『バーレスク』ではショークラブのステージを彩る煌びやかなコスチュームをデザインし、観客を魅了した。

 

 

 

 

 

05 Lawrence Kasdan

ローレンス・カスダン|脚本

30年後のルークレイアハンそしてランドは?


ローレンス・カスダンは『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』で脚本家デビューした。ハリウッド人としてこれ以上ないほど恵まれたスタートだ。実はそのころすでに『レイダース/失われたアーク《聖櫃』と『ボディガード』の脚本を書き上げており、それらは『帝国の逆襲』のあとに製作された。スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で、カスダンは再び遥か彼方の銀河系に戻り、J.J.エイブラムス監督と共同で脚本を執筆した。


───その昔、初めてスター・ウォーズの仕事をしたころのことを教えてください。


ローレンス・カスダン(以下LKちょうどハリウッドでの初仕事になる『レイダース/失われたアーク《聖櫃』の脚本を書き終えたばかりのころだった。ジョージ(ルーカス)に原稿を渡すと、帝国の逆襲』の脚本を書かないか?」と言われたんだ。レイ・ブラケットの草案はあったが、あまり気に入らなかったらしい。レイ・ブラケットは知ってる? 非常に才能のある女性だった。三つ数えろ』にも脚本で名を連ねているし、大衆向けSF小説の分野で最初に活躍した女性作家のひとりだ。本当に稀有な作家だったよ(レイ・ブラケットはほかにハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』やロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』でも脚本を担当。彼女の『帝国の逆襲』の草案がどんなだったかよく知らないんだが、とにかくジョージが求めていたようなものではなく、受け入れ難かったらしい。そしてわたしならもっとジョージの思い描いているイメージに近いものが書けるのではないか、ということになったんだ。


いずれにせよ、わたしが『レイダース』を書いているときにブラケットは亡くなってしまっていた。レイダース』の脚本をジョージに手渡したとき、ランチでも行こうか」と、そのまま昼食に出て、そこで「帝国の逆襲』の脚本を書かないか?」と言われたんだ。レイダース』の脚本は読まなくていいのかい?」と訊いたら、そうだな、今夜読むよ。もし気に入らなかったら、いまの話はなかったことにさせてもらう」と言われた。だが幸い脚本は気に入ってもらえた。スティーヴン(スピルバーグ)も気に入ってくれた。そうして、すぐに『帝国の逆襲』に取りかかったんだ。もうすでにイギリスでセットの建造が始まっていたと思う。監督はアーヴィン・カーシュナーに決まった。だからもう張り切って、楽しみながら脚本を書いたよ。


───J.J.エイブラムス監督との新作では、ジョージのアイデアや意図をどの程度反映させましたか? 


LKジョージと彼の仕事には長年深く敬意を抱いている。ジェダイの帰還』以降はあまり一緒に仕事をしていないが、それまでは互いになくてはならないパートナーだった。わたしが初めて監督・脚本を務めた『白いドレスの女』のときもジョージはいろんな面で力を貸してくれた。帝国の逆襲』や『ジェダイの帰還』でジョージと過ごした時間はいちばん大切な思い出だし、彼には計り知れないほどの影響を受けている。愉快で、アイデアの宝庫で、間違いなくその後の映画を永久に変えてしまった天才だ。


───30年後のルークやレイアやハンを描くのはいかがでしたか? 


LKいやあ、楽しかったよ。だってみんないまのわたしと同じくらいの年齢だからね。キャリーはわたしより少し若くて、マークはほぼ同世代。ハリソンは若干年上だけれどね。だから映画のなかで30年という時間が経っているのがまったく不自然ではなかった。3人のキャラクターには、この30年で得た経験を可能な限り盛り込んだ。


───脚本と監督を担当された『白いドレスの女』でも、過ぎてゆく時間」や「青春の回想」がテーマでしたね。フォースの覚醒』でも、同じテーマを扱っていますか? 


LK考えてみたら、これまで監督したり脚本を書いたりした映画は、かたちは違えどみなそれがテーマだった気がするな。実はいま、孫が3人いるんだ。だから毎日そのテーマに向き合っているよ。どうすればこの子たちに強い印象を残せるだろうか、自分の経験をこの子たちに伝えられないだろうか、この子たちは興味をもってくれるだろうか、とかね。最近、デニス・ルヘインの本を読んでいる。彼も同じ考えに取りつかれているようだ。父から息子へ受け継がれていく知恵、その知恵を得られない無力さ。それから、わたしたちの人生を決定づける死について。



 

───ルーカスは前々からダース・ベイダーをルークの父親にするつもりだったのか、人によって言うことがバラバラなのです。初期の脚本ではルークの父親は別の人物だったという話も最近耳にしました。本当のところはどうなのですか? 


LKさあ。そんな話を聞いたことはあるけど、わたしは『帝国の逆襲』に加わって実際に脚本に取りかかったときに、ジョージから「ダース・ベイダーがルークの父 親なんだ」と言われたんだ。思わず「本当に!?」と聞き返してしまったよ。それくらい驚いたし、すごいアイデアだと思った。この仕事が本当に面白くなった のはそのときだ。これは考えていたよりもずっと奥深い物語だ」ってね。わたしを含め、父親との関係に向き合わなければならないすべての人間にかかわる問題を秘めている。スター・ウォーズの物語がわれわれの心をとらえ続ける理由はそこにあるんじゃないかな。


それより、今度の新作はすごいよ。J.J.の監督手腕は実に見事だったし、本当に楽しい、いい映画になった。これぞ傑作だ。奇想天外な事件やキャラクター、気の利いたジョーク、目くるめく視覚効果がいっぱいだ。われわれが当初から心がけていたことのひとつは、この映画をだらだらと間延びした大味な大作にはしないということだった。最近のエンターテインメント映画は長すぎて、残り20分間くらいになると早く終わらないかなと思ってしまう。そういう映画はつくりたくなかった。わたしたちがつくりたかったのは、もっと続きが観たい!」とか「えっ、もう終わりなの?」と叫んでしまうような映画だ。それには、最初から最後まで「これは必要だろうか」このシーンはお気に入りだが、もっといい方法があるんじゃないか」と、常に批判的な目で作品を見ることが必要だ。好きなものばかり書いていてはダメなんだ。


───うちの息子は、ランド・カルリシアンが、また登場しないのか知りたがっています。 


LK現時点では、ランドが登場する場面はないな。だがわたしはランドの出番がもうないとは思わないよ。




ローレンス・カスダン新作はすごいよ。
J.J.の手腕は実に見事だったし、
本当に楽しい、いい映画になった。
これぞ傑作だ。
奇想天外な事件やキャラクター、
気の利いたジョーク、
目くるめく視覚効果がいっぱいだ。
 

──ローレンス・カスダン


Lawrence Kasdan ローレンス・カスダン 脚本家、監督、プロデューサーという3つの顔をもつ映画クリエイター。スター・ウォーズシリーズ第2作『帝国の逆襲』で脚本家デビューを果たす。その後のルーカス作品でも、『レイダース/失われたアーク《聖櫃ジェダイの帰還』に脚本家として参加。偶然の旅行者』での脚色賞受賞をはじめ、オスカーには4度ノミネートされている。





 

 

06 Pablo Hidalgo

パブロ・ヒダルゴ|ルーカスフィルム クリエイティヴ・エグゼクティヴ


SW神話の正史がこのアタマのなかに


ルーカスフィルムにおけるパブロ・ヒダルゴの公式な肩書はクリエイティヴ・エグゼクティヴだが、非公式には会社住み込みのスター・ウォーズマニアであり、歴史や惑星学から宇宙船の詳細データ、宇宙人の分類と正式な綴りまで、ルーカスが創造した銀河のことなら知らぬことのない生き字引だ。ヒダルゴはファンとの交流担当としてルーカスフィルムに採用されたが、次第にストーリー担当部門になくてはならない存在となった。この部門は、スター・ウォーズ/フォースの覚醒』から始まる新生スター・ウォーズシリーズの「頭脳」だ。


パブロ・ヒダルゴ(以下PHルーカスフィルムに来て15年になります。最初はマーケティング部門でオンライン担当として、ファンのみなさんに製作中の新3部作の情報を伝える公式サイトstarwars.comの構築に携わっていました。この業務にはライターとしてのあらゆる技能が要求されましたが、それだけでなく、スター・ウォーズの知的所有権について、ジョージ・ルーカス個人の経歴について、またインディ・ジョーンズについても詳しく知っていなければなりません。日が経つにつれ、この専門業務の必要性は高まる一方で、もはや公式サイトのライターを超えて、どんな疑問にも答えるスター・ウォーズ博士みたいになってしまいました。



現在、ルーカスフィルムは転換期にあります。今後は、代表のキャスリーン・ケネディの主導で、映画製作に力を入れてゆくことになるでしょう。そして、このシリーズを続けていく限り、過去に何があったのか、どんなものがつくられてきたのか、ジョージは何を意図したのかといったようなことをきちんと知らなければなりません。そこでさらにこの作業に没頭し、その結果、キリ・ハート率いるストーリー部門に加わることになったのです。そのなかでぼくが求められているのは、奥深くまで突っ込んだ、レヴェルの高い知識を提供することです。ほかの人が答えられないような話題、例えば、そうですね、この宇宙船にはこんな人数は乗れないはずだとか、このふたつの惑星の距離は脚本に書いてあるよりも近いとか。そういった宇宙の歴史並みに奥の深い話題を見つけては、自分の見解を書き込むのです。


───歴史といえば、映画やTVだけでなく、小説やコミックやゲームのことも話題にしますか? 


PHええ、スター・ウォーズ世界のあらゆる物語が対象になります。そういったものを、われわれが「正史(カノン」と呼ぶ歴史のなかにどう位置づけるか、これからつくられる物語に使えるかどうかを分類しておきます。そうすれば、ストーリーをつくっていく過程で「こういう話ってもうあったっけ?」と誰かに聞かれたとき、あったね、でもあれは1978年のコミックだから、使ってもいいよ」というふうに答えられるわけです。


かつては、ストーリーづくりはどちらかというと行き当たりばったりで、作品ができたあとにこのような見取り図をつくってみて、あっ、この話とこの話がここでうまくつながるぞ」なんてやっていたのですが、現在は、あらかじめもう少し計画的なやり方を取れるようになりました。そしてこれがとてもエキサイティングなんです。


───すると、長年にわたって書かれてきた、例えば『ジェダイの帰還』以後のハン・ソロやルークやレイアを描いた小説は、すべて「非公式」あつかいになると?


PHわれわれはそれらを「スター・ウォーズ伝説」と呼んでいます。そこには数多くの非常に優れた物語があるのですが、いかんせん、もう新しい映画や映像は望めないだろうと思われていた時期に書かれたものです。ですから、系統だった知識がない時代にスター・ウォーズ世界に新たな道を切り拓いた、とてもクールで魅力的な物語ですが、それらをスクリーンに上映する必然性はないでしょう。








───スター・ウォーズのトリヴィアであなたを困らせようとする人も多いんじゃないですか?


PHよくありますよ。ぼくが好きなのは、子どもたちが、ぼくの仕事がスター・ウォーズ博士だと知って、ありとあらゆるトリヴィアを質問してくることです。子どもたちは、もう自分が知っていることについて質問するんですよね。そしてこちらが何か答えると、それに補足しようとするんです。自分のほうがよく知ってるよ、ってね。例えば「ダース・モールはどんな宇宙船に乗っているの?」なんて聞かれて、ええと、シス・インフィルトレーターだよ」と答えるじゃないですか。すると彼らは「正確にはサイナー社製のスター・カーリアーだよ」なんて言うんです。


───最初にスター・ウォーズに夢中になったときのことを教えてください。初めて観たのは『新たなる希望』ですか?


PHそうです。第1作の公開のときは3歳でした。だから封切りでは観ていないと思います。帝国の逆襲』の公開のときに2本立てで観たのでしょう。ただ初めて観たときはあまり小さくて、それが子ども時代の思い出と切り離せないものになってしまったので、正確にいつだったのかよくわからないのです。スター・ウォーズはずっと身近にありました。だから、変な話ですが、自分の人生にスター・ウォーズが入ってきたときの電流に打たれたような衝撃というものはありませんね。それはただ、いつもそばにあるものでした。


それから、ぼくはカナダのウィニペグで育ったのですが、冬が6カ月も続く環境にいると、どっぷりはまってしまうような趣味がたくさんできるのです。鉄道模型に凝る人もいますし、ほかにもそういう根気のいる趣味がたくさんあるのですが、ぼくにとってはそれがスター・ウォーズだったのです。絵を描くのも、お話をつくるのもスター・ウォーズ、1980年代の終わりにロールプレイングゲームが発売されたときにはそれも遊びました。


───それは「ダンジョン&ドラゴンズ」のスター・ウォーズ版みたいなものですか?


PHそう、テーブルにさいころを振って遊ぶ、あのロールプレイングゲームです。友達を呼んで、自分だけのスター・ウォーズの話をつくるんです。1987年か88年に発売されたとき、趣味としてそれを始めました。そうして、できるだけおもしろい話を友達にできるよう、スター・ウォーズの銀河のことを可能な限り詳しく学ぶことを自らの課題にしました。ぼくは本当に幸せ者です。スター・ウォーズに詳しいからということで採用されて、それでキャリアを積めるなんて、そんな仕事は世界中探してもありません。


 


パブロ・ヒダルゴ ぼくは本当に幸せ者です。
スター・ウォーズに詳しいことが
採用の決め手となって、
それでキャリアを積めるなんて、
こんな仕事は世界中探しても
ありません。
 

──パブロ・ヒダルゴ


Pablo Hidalgo パブロ・ヒダルゴ ルーカスフィルムのクリエイティヴ・エグゼクティヴ。もともとスター・ウォーズの公式ファンサイトの運営および記事の執筆を行っていたが、ウォルト・ディズニー社による買収後、新しく設立されたルーカスフィルム・ストーリーグループで、シリーズを通して設定に矛盾がないかを確認する、いわば「正史」の番人のような役割を務めている。










 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』12月18日18時30分全国一斉公開


    INTERVIEW & TEXT BY BRUCE HANDY
    Illustrations by KYLE HILTON
    TRANSLATION by EIJU TSUJIMURA