kizunaworld.org #23
ジェーン・バーキンと中島ノブユキのコラボレーション作品「une petite fille」
Text by KASE Tomoshige(OPENERS)
朗読とテキスト、そしてピアノ
坂本龍一氏と平野友康氏が発起人となり立ち上がった「kizunaworld.org」。「個人の力でできるかぎりのことをする」というコンセプトのも と、国内・海外からプロジェクトに賛同するアーティストの作品を広く集めて提供、寄付を募っている。その活動はすでに1年を超え、2年目以降も個人の想い を繋げながら、継続的な支援をつづけている。23番目の作品には、往年の名女優であり、また近年ではさまざまな社会問題に対して積極的な支援活動を行なっているジェーン・バーキン氏が登場。彼女の声とテキストに、さまざまなフィールドで活躍する中島ノブユキ氏がピアノ演奏を加えたコラボレーション作品となっている。
東日本大震災直後の2011年4月、ジェーン・バーキン氏は単身来日しチャリティコンサートを行った。被災した人々を訪れた時に出会った少女との間で交わされた会話が、この作品の声とテキストの元となっている。作品名「une petite fille」は少女の意味だ。
作品は、パリに住むバーキン氏と東京に住む中島氏との間を、往復書簡のように行き来しながら完成したという。映像には声と仏・日・英語の字幕が流れ、テキ ストの隙間を埋めるようにピアノ演奏が響く。震災で亡くなった方々への鎮魂であると同時に、残された人々に寄り添い、希望への架け橋となるような展開をみ せる作品だ。
中島氏は「ジェーンのフランス語テキストを日本語訳をしてくださった小沼純一さん、英語訳を担当してくださった坂本美雨さん、そして文字構成をしていただ いた映画監督の甲斐田祐輔さんに心から感謝いたします」とコメント。さまざまなアーティストたちが協力し合うという、「kizunaworld.org」 本来の主旨を具現する作品、ともいえる。
〈寄付先〉
「国際NGO 世界の医療団」|岩手県大槌町でこころのケアを中心とした医療活動、医薬品の調達
「こどもの音楽再生基金」|教育機関での楽器修復や提供・音楽活動支援
「サンライズ元気村プロジェクト」|仮設住宅で生活する高齢者に米を届ける支援
「ボランタリー建築家機構 坂茂/東日本大地震津波支援プロジェクト」|避難所用簡易間仕切りシステム設置による支援
「環境エネルギー政策研究所 つながり・ぬくもりプロジェクト」|太陽光・太陽熱・バイオマスなどによる被災地支援
ジェーン・バーキン|Jane Birkin
イギリス生まれ。映画『欲望』(1966年)で本格的に女優としてのキャリアをスタート。『スローガン』(69年)で主役に抜擢され、共演をきっかけにセ ルジュ・ゲンスブールと出会う。セルジュとデュエットした曲「ジュ・テーム」は世界的な話題となった。私生活では3度の結婚でそれぞれ授かった、ケイト・ バリー(写真家)、シャルロット・ゲンスブール(女優/歌手)、ルー・ドワイヨン(女優)の良き母。昨年3月の東日本大震災の直後来日し、チャリティ活動 や被災者慰問などに尽力した。“Jane Birkin Sings Serge Gainsbourg via Japan”では、中島ノブユキら日本人ミュージシャンとワールドツアーを行っている。http://www.janebirkin.net/ |
中島ノブユキ|NAKAJIMA Nobuyuki
東京とパリで作曲を学ぶ。ピアニストとして、時に作曲・編曲家としてエレガントかつスリリングなアンサンブルを構築する。映画音楽、ジャズ、ポップス、広 告音楽からクラシックまで、さまざまなフィールドで活躍。菊地成孔やUAら、多くのアーティストの作品に参加する。2011年よりNHK-BSの番組『旅 のチカラ』のテーマ音楽(「その一歩を踏み出す」)を作曲。これまでソロアルバムとして『エテパルマ』『パッサカイユ』『メランコリア』を発表。自身初の ピアノソロアルバム『カンチェラーレ』を2012年4月にリリースした。ライフワークである「24のプレリュードとフーガ」を鋭意作曲中。 http://nobuyukinakajima.com/ |