プリンス、未発表インタヴュー:「死はこの世を去るって意味じゃないと思ってる」
2014年の未発表インタヴューでプリンスは、「死は、ある時俺がリアルタイムで話せなくなった時のことだと思う」と話していた。
2014年1月のある午後、プリンスはローリングストーン誌のカバーストーリーのインタヴューに応えていた。しかし、ミネソタ州にある彼の自宅兼スタジオのペイズリー・パークで行われた、このインタヴューは、未発表のままとなっていた。米ローリングストーン誌の次号に掲載予定である、この独占インタヴューの一部を、是非読んでいただきたい。 未発表音源について: 今まで教えたことはなかったんだけど、いつもベストな曲をレコード会社に渡してたわけじゃなくてね。誰も聴いたことがない曲は保管庫にあるんだ。それも一つだけじゃなくて、いくつかある。
そうだね。俺はタイムカプセルとか好きなんだ。保管庫にはレヴォリューションのアルバムが2、3枚、タイムのアルバムが2枚、ヴァニティ6のアルバムが1枚・・・それからいろんな時期にレコーディングしたやつが大量にある。レコーディングした曲が溢れてると、全部をまとめる時間なんてないんだ。将来、同じ時期のイケてる曲をまとめて、リリースなんてこともできるよね。スライ&ザ・ファミリー・ストーンの未発表のベスト曲が入った新しいアルバムを見つけるみたいな感じ。そんなことが可能だったらの話だけど!
いや、俺は死はこの世を去るって意味じゃないと思ってる。死はある時、俺がリアルタイムで話せなくなった時のことだと思う。
中毒ってわけじゃない。その言葉はちょっと強い言葉でしょ。俺はいつもふざけて、「スタジオに行くのを止める」リハビリを受けに行かなきゃいけないって言ってるんだ。でも実際、完成したものを聴くのは良くてね。君はウディ・アレンが常に映画を撮って、3年間隔で名作を生み出してるのを知ってる?全部のプロセスをこなして、作品を頭の中からダウンロードしないといけない。曲は頭の中に全部あって、今だって聞こえてるんだ。俺の頭の中では今、アルバム5枚分が流れてるところ。
それが何なのか分からないな。俺ができることが常にあるし、それに職を持ってるって思ったことは一度もない。
─70代、80代でも音楽活動を続けているってことでしょうか?
ほら、寿命って長くなってるよね。人間が物事の知識をより深めてきたからなんだ。だから脳がもっと活性化して繋がりができた。頭の中に全ての情報を保存できるようになったら、人間は永遠に生き続けれるんじゃないかな。
分析できるテーマってたくさんあるけど、結局のところ、全部が性についてなんだ。セックスって言葉の本来の意味は、結合と交流。でも"セックス"みたいな言葉は、いろんな形で間違って使われてるでしょ?おかげで、それについて歌うことが難しくなってる。そういう言葉を誤解されずに受け取ってもらえるように歌うのは、不可能なんだ。でも俺は君にギターを弾きながら歌うことができる。その時、君が耳にするのは性についてなんだ。とびきりの女性を目の前にした時に、表現するための形容詞を全部使い果たしたような感覚になるはず。
うん、俺は禁欲主義者だね。
禁欲主義って全部が肉体的なことで、それは他のことにも変化する。性欲はエネルギーでしょ。やったりやらなかったり。断食みたいなもので、訓練して、だんだんできるようになるんだ。でもパーフェクトな人なんていないわけで・・・。断食を4日続けると、食欲が全くなくなる。"欲しい、欲しい"って求めて、それがもらえないと分かったら、その欲がなくなるんだ。
今は、みんなの中に美しさを見つけてる。でも若い頃は、「彼女が一番だから、一緒にいたいのは彼女だけ」とか言ってしまうわけ。で、その女の子と関係を持ったら、そうじゃないって気付くんだよね。ほら土曜日はまた来るから。(大笑い)
俺ができないものが好きだね。俺が一生しないものとか。ほら、コクトー・ツインズとかがそう。ああいうのは、俺は絶対しないから。あとは、サウンドトラックとかオーケストラとか。『きみに読む物語』のサウンドトラックは大好きだったし、『愛は静けさの中に』のサウンドトラックも良かった。台詞の邪魔にならない環境音楽が流れるんだ。ほら、リズムとヴォーカルは邪魔になるから。
レニー・クラヴィッツは俺に、「(ライヴで)黒人の客がいない」ってずっと言ってる。みんなどこにいるんだ?って感じだね。ロックンロールは俺たちが作った、俺たちの音楽だよな?
話したくないな。動揺してしまうんだ。 プリンスは、2016年4月21日(米現地時間)に逝去した。
Translation by Miori Aien
2014年1月のある午後、プリンスはローリングストーン誌のカバーストーリーのインタヴューに応えていた。しかし、ミネソタ州にある彼の自宅兼スタジオのペイズリー・パークで行われた、このインタヴューは、未発表のままとなっていた。米ローリングストーン誌の次号に掲載予定である、この独占インタヴューの一部を、是非読んでいただきたい。 未発表音源について: 今まで教えたことはなかったんだけど、いつもベストな曲をレコード会社に渡してたわけじゃなくてね。誰も聴いたことがない曲は保管庫にあるんだ。それも一つだけじゃなくて、いくつかある。
─未発表アルバムも?
そうだね。俺はタイムカプセルとか好きなんだ。保管庫にはレヴォリューションのアルバムが2、3枚、タイムのアルバムが2枚、ヴァニティ6のアルバムが1枚・・・それからいろんな時期にレコーディングしたやつが大量にある。レコーディングした曲が溢れてると、全部をまとめる時間なんてないんだ。将来、同じ時期のイケてる曲をまとめて、リリースなんてこともできるよね。スライ&ザ・ファミリー・ストーンの未発表のベスト曲が入った新しいアルバムを見つけるみたいな感じ。そんなことが可能だったらの話だけど!
─この世を去った後にリリースしてもらいたいですか?
いや、俺は死はこの世を去るって意味じゃないと思ってる。死はある時、俺がリアルタイムで話せなくなった時のことだと思う。
─レコーディング中毒みたいな感じでしょうか?
中毒ってわけじゃない。その言葉はちょっと強い言葉でしょ。俺はいつもふざけて、「スタジオに行くのを止める」リハビリを受けに行かなきゃいけないって言ってるんだ。でも実際、完成したものを聴くのは良くてね。君はウディ・アレンが常に映画を撮って、3年間隔で名作を生み出してるのを知ってる?全部のプロセスをこなして、作品を頭の中からダウンロードしないといけない。曲は頭の中に全部あって、今だって聞こえてるんだ。俺の頭の中では今、アルバム5枚分が流れてるところ。
リタイアについて:
─将来リタイアは?
それが何なのか分からないな。俺ができることが常にあるし、それに職を持ってるって思ったことは一度もない。
─70代、80代でも音楽活動を続けているってことでしょうか?
ほら、寿命って長くなってるよね。人間が物事の知識をより深めてきたからなんだ。だから脳がもっと活性化して繋がりができた。頭の中に全ての情報を保存できるようになったら、人間は永遠に生き続けれるんじゃないかな。
性について:
─久しぶりに、性について曲作りをしてるようですね。
分析できるテーマってたくさんあるけど、結局のところ、全部が性についてなんだ。セックスって言葉の本来の意味は、結合と交流。でも"セックス"みたいな言葉は、いろんな形で間違って使われてるでしょ?おかげで、それについて歌うことが難しくなってる。そういう言葉を誤解されずに受け取ってもらえるように歌うのは、不可能なんだ。でも俺は君にギターを弾きながら歌うことができる。その時、君が耳にするのは性についてなんだ。とびきりの女性を目の前にした時に、表現するための形容詞を全部使い果たしたような感覚になるはず。
─禁欲主義者だと言ってましたよね。
うん、俺は禁欲主義者だね。
─本当に?
禁欲主義って全部が肉体的なことで、それは他のことにも変化する。性欲はエネルギーでしょ。やったりやらなかったり。断食みたいなもので、訓練して、だんだんできるようになるんだ。でもパーフェクトな人なんていないわけで・・・。断食を4日続けると、食欲が全くなくなる。"欲しい、欲しい"って求めて、それがもらえないと分かったら、その欲がなくなるんだ。
─昔は、コラボした女性たちと関係を持ってましたよね?
今は、みんなの中に美しさを見つけてる。でも若い頃は、「彼女が一番だから、一緒にいたいのは彼女だけ」とか言ってしまうわけ。で、その女の子と関係を持ったら、そうじゃないって気付くんだよね。ほら土曜日はまた来るから。(大笑い)
許すことについて: 人をすぐに許したことある?
この世の中で、一番最高な気分だよね。最近は、すぐに許すことを心掛けてる。だから相手は不意打ちを食らうんだ。他のアーティストの音楽について:
あまり聴かないね。たまたま聴くことになったら・・・ライターの君みたいな感じ。君はきっと文章を読むと、頭の中でいつもそれをリライトしてるんじゃない?俺が音楽を聴いてる時には、それと同じことが起きるんだ。その曲を作り始めてしまうわけ。これって、けっこう厄介なことでさ。特に友達に曲を聴いてほしいって頼まれた時とか。だいたいの確率で、「流すな。言葉で説明してくれ」って頼んでる。─何を聴くんです?
俺ができないものが好きだね。俺が一生しないものとか。ほら、コクトー・ツインズとかがそう。ああいうのは、俺は絶対しないから。あとは、サウンドトラックとかオーケストラとか。『きみに読む物語』のサウンドトラックは大好きだったし、『愛は静けさの中に』のサウンドトラックも良かった。台詞の邪魔にならない環境音楽が流れるんだ。ほら、リズムとヴォーカルは邪魔になるから。
ロックと人種について:
レニー・クラヴィッツは俺に、「(ライヴで)黒人の客がいない」ってずっと言ってる。みんなどこにいるんだ?って感じだね。ロックンロールは俺たちが作った、俺たちの音楽だよな?
マイケル・ジャクソンについて:
話したくないな。動揺してしまうんだ。 プリンスは、2016年4月21日(米現地時間)に逝去した。
Translation by Miori Aien
BRIAN HIATT