ジョナサン・アイヴが親友マーク・ニューソンとキュレーションした40点
アップルのデザイナー、ジョナサン・アイヴが親友のプロダクトデザイナー、マーク・ニューソンとともに、BONOのチャリティ・プロジェクト「RED」のために約40点をキュレート。両氏がデザインした机とともに画像で紹介する。
TEXT BY LIZ STINSON
PHOTOS BY ANDREW ZUCKERMAN
TRANSLATION BY RYO OGATA/GALILEO
PHOTOS BY ANDREW ZUCKERMAN
TRANSLATION BY RYO OGATA/GALILEO
マーク・ニューソンに、ジョナサン・アイヴと共同でデザインした机について尋ねると、彼はシンプルにこう答えるだろう。「われわれは要するに、ジョニーとマークがデザインしたように見える机をつくりたかったのだ」。
その机とは、1.2tの工業用の陽極処理アルミニウムでつくられた「(RED)Desk」だ。この机は、ふたりがデザインしたほかのさまざまな品とともに、11月23日にサザビーズでオークションにかけられる。得られたお金は「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(GFATM)に募金されることになっている。(「U2」のBONOが2006年に創設したチャリティプロジェクト「プロダクト・レッド」の一環)
WIREDではすでに、ふたりがチームを組んでデザインしたゴージャスなライカのカメラ(日 本語版記事)を紹介した。このカメラは、おそらくはニューソン氏というよりは、アイヴ氏寄りのデザインといえる。しかし、今回のアルミニウムの机は、 ニューソン氏が言うように、「われわれのそれぞれの美意識の、優雅で奥深い融合」だ。つまり、ふたりのデザイナーが好む金属であるアルミニウムをCNC加 工した優しい曲線が、優美で贅沢だということだ。
この机を制作したNeal Feay社は、1.2tのアルミニウムを加工し、縁が非常に薄い、なめらかな完成品にした。「iMac」を思わせるデザインだ。
薄く見えるが、横幅は102インチ(2.6m)、奥行きは39インチ(1m)あり、2,600ポンド(1.2t)のアルミニウムでできている。
互いのデザイン言語
ニューソン氏は、机は少なくとも300,000ドルの値がつくはずで、もしかすると500,000ドル、あるいはもっと行くかもしれないと推測する。
アイヴ氏はカリフォルニアでアップルのデザインチームを率いており、ニューソン氏のスタジオはロンドンが本拠地なので、ふたりはもっぱら離れて仕事をして いた。しかし、距離は問題ではなかった。ふたりは15年以上前からの親しい友人であり、「互いのデザイン言語を流暢に話すことができた」のだという。
このオークションでは、カスタムビルドの製品は2点しかない。しかし、ニューソン氏とアイヴ氏は、全40点をキュレーションして、そのおよそ半分については、微調整してデザインセンスを付け加えた。例えば、エルメスの赤いレザーのサドル、蓋の内側が血のように赤いスタンウェイの白いパーラー・グランドピアノ、ローズゴールド色のイヤフォン(日本語版記事)などだ。
ニューソン氏が落札したいもの
ニューソン氏は、本人が入札する予定はないが、もしそのようなことになれば、スペースシャトルの断熱窓(ふたりがデザインした特別スタンド付き)を争うだろうと話す。「これだけの大きさがあるはずだという先入観を受けつけない、素晴らしい一品だ」
窓は、米国のCorning社が製作したものだ。素材は、コーニンググラスと7980の高純度融解シリカ。
深紅のオリベッティ
携帯用タイプライター「Olivetti Valentine」。オリジナルの赤い携帯用ケースが付属する。
深紅の「LAMY 2000」
深紅の「LAMY 2000」。(ドイツLAMY(ラミー)社の製品で、最初に発売されたのは1966年。40年以上も前から同じデザイン、同じ機能性を誇っている)
蓋裏の赤が鮮やかな白いグランドピアノ
スタンウェイの白いパーラーグランドピアノ「モデルA」。ニューソン氏は、デザインの調整はわずかにすることを狙ったと話す。
望遠鏡
カスタムスタンドがついたアストログラフ望遠鏡「RiLA 400」。「ジョニー・アイヴとマーク・ニューソンが(RED)2013のためにキュレートした」と刻まれている。
赤い「Snoopy」ランプ
ニューソン氏とアイヴ氏は、アッキレ・カスティリオーニとピエール・ジャコモ・カスティリオーニによるランプ「Snoopy」を鮮やかな赤に変えた。
エルメスの赤いサドル
エルメスを象徴するサドル「Cavale」の独自ヴァージョン。赤いレザーと特別な赤い縫い目で作られている。
自転車「Laser Nostra」
自転車「Laser Nostra」には、チネリの社長で自転車デザイナーであるアントニオ・コロンボの署名がある。
ソ連の宇宙服
ソヴィエトの宇宙機関による1990年代のミッションで宇宙飛行士が着た宇宙服「Zveda」。ニューソン氏は、自分とアイヴ氏は、デザイナーがすぐにはわからないアイテムを選んだと語る。この宇宙服の場合は、開発チーム全体がデザインを行ったものだ。