Twitter共同創設者が語る、「10億ドル企業のつくり方」
TwitterやBlogger等の創設者であるエヴァン・ウィリアムズ氏が、「インターネットの本質」を説明し、10億ドルを超えるインターネット企業をつくる方法を語った。
TEXT BY RYAN TATE
PHOTO BY ANDREW WHITE/WIRED
TRANSLATION BY RYO OGATA, HIROKO GOHARA/GALILEO
WIRED NEWS (US)
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オレゴン州ポートランドで開催されたカンファレンス「XOXO 2013」で、エヴァン・ウィリアムズは、「自分はインターネットについて理解した」と語った。
冗談の口ぶりはあったかもしれない。しかし同氏は、世界に広がるコンピューターネットワークに関する統一理論について、Blogger社やTwitter社等の設立も含めた経験を通して20年間考え抜いた末の解釈を、約30分間にわたって披露した。
「インターネットは、わたしが20年前に考えていたものではない」とウィリアムズ氏は語る。「それはユートピア的な世界ではない。本質的には、この世界の歴史に刻まれてきた、ほかの大きな技術革命の多くと変わらない」
ウィリアムズ氏によれば、インターネットとは結局のところ、「人々が求めているものを与えるようにつくられた巨大な装置」だ。
それはユートピアでも魔法でもない。単なる、便利さのためのエンジンだ。そのエンジンをうまく調整できる人、つまり、人間 の基本的な問題をより速くシンプルに解決できる人が、大きな利益を得る。人々のもつ基本的欲求という視点を失い、人々に『次の大きな理念』のようなものを 与えようとする者には問題が生じる。
われわれはしばしば、インターネットは新しいことを可能にすると考える。しかし人々は、これまでいつも行ってきた同じことをしたいだけなのだ。
インターネット上でヒットしているものを見ると、それがつまりは接続の巨大な集まりであることがわかる。フォローは接続だ。いいねは接続だ。
インターネットがいま行っているのは、あらゆる人と物、あらゆる出来事と思考を複合的に接続すること。すなわち、接続の、レイヤーに次ぐレイヤーだ。あら ゆる出来事とあらゆる行い、あらゆる到着先、共有されたあらゆる思考、その思考を気に入ったあらゆる人々、これらがすべてますます接続されている……そし て、とどまることなく増え続けている。
ウィリアムズ氏によれば、これらの接続はただ増加しているのではなく、ある方向性がある。それは、インターネットで現在人気のあるものや、今後人気をもつものは何かを示すものでもある。便利さだ。
「インターネットは人間の欲をより達成しやすくする。すなわち、便利さをもたらす」とウィリアムズ氏は言う。「インターネットにおける利便性は、基本的に2つのもので成し遂げられている。スピード、そして、わかりやすさだ」
「インターネットで本当にヒットしているものが何であるかを研究すると、それらが長けているのは、物事をスピーディーにし、人々に考えさせないことだとわかる」。人々は待ちたくないし、面倒なことを考えたくないのだ。
ウィリアムズ氏によれば、グーグル、フェイスブック、アマゾン、アップルはいずれも、このような利便性をもたらすことに秀でている。そして多くの場合、以前はより複雑な「アクションの連なり」だったものからステップを取り除くことで、それを成し遂げてきた。
「10億ドルを超えるインターネット企業をつくりたければ、方法がある」とウィリアムズ氏。「人間の欲をつかむのだ。これまでずっと続いてきたものが望ましい。そして、欲を突き止めたうえで、現在の技術を用いてステップを取り除くのだ」
それはまさに、同氏が初期に創設した「Blogger」が成功した秘訣でもある。Bloggerは、コンテンツをウェブに上げるシンプルな仕組みをつくりだした。新しい文書をつくって保存し、マニュアルでアップロードしてブラウザーでチェックする代わりに、人々はただ、ウェブフォームにタイプして「発行」を押せばよくなったのだ。
同氏が挙げた最近の例は、モバイルアプリ「Uber」だ。「ここからあそこへ移動したいというのは、人間が非常に古くからもつ欲求だ。Uberは移動プロセスの中にあったステップをいくつか取り除き、ユーザーとハイヤーの運転者を直接結びつけるようにした」
インターネットは、「人々が望むもの」を与えようとする装置だ。そしてその傾向を理解し、うまく流れをつくれた人が成功する。
そしてそれは、本質的には、この世界の歴史に刻まれてきた、ほかの大きな技術革命の多くと変わらない。例えば農業が、人の欲求を満たしながら発達してきた 一方で、技術が進歩しすぎれば環境を破壊し人を病気にさせたり肥満させたりするマイナス点をもつのと同様に、ネットも、利点とマイナス点の両方を本来的に 持っているのだ。