11月18日より開催中のロサンゼルスオートショーより。シボレーが伝説のレーシングカーコンストラクター「シャパラル」の名を冠したコンセプトカー Chaparral 2X VGT を公開しました。VGT はVision Gran Tourismo の略。つまりプレイステーションソフト「グランツーリスモ6」のアップデータとして提供予定のモデルでもあります。
シャパラルといえば1960~1970年代にかけて、主に Can-Am シリーズやスポーツカー世界選手権にて数々の名車を生み出した米国のレーシングカーコンストラクター。
創始者のジム・ホールはカリフォルニア工科大学出身で、自ら製作するマシン「2シリーズ」に FRP セミモノコック、セミオートマチックトランスミッション、車載テレメトリーシステム、エアロダイナミクスといった革新的な技術を次々と投入したことで知られます。
ジム・ホールの技術者としての才能はもちろん、シボレー技術陣との交流もレースカー製作には活かされました。シボレーエンジンの供給はもとより、テレメトリーの開発などにはシボレーの母体であるゼネラルモーターズとの技術的協力体制が役立っていたとも言われます。
さて、シボレーが LA オートショ―で公開したマシン Chaparral 2X VGT は、シャパラルの名を冠したコンセプトモデル。ビジョン グランツーリスモ 向けにデザインしたモデルを実車化したものです。
特徴はそのスタイリング。車高はタイヤ高よりわずかに高いぐらい。室内空間は皆無で、どこからどのように乗り込むのかを想像するのも困難です。その方法は下のコンセプト動画でご確認ください。
もうひと押しでロボット形態に変形できそうな Chaparral 2X VGT には、往年の2シリーズの面影など微塵も感じられません。しかし「既成概念にとらわれないコンセプトの投入」こそシャパラルの真骨頂と考えれば、合点がいくというものです。シボレーは Chaparral 2X VGT を、大空を滑空する「ウィングスーツ」とレーシングカーを融合した「レーシング・ウイングスーツ」と表現しています。
念のためスペックを紹介しておくと、ドライバーによって操作可能な可変エアロパーツを採用、671kW(約900馬力)のレーザーをベースとした推進システム、0-100km/h 加速は1.5秒など、こちらも未来的な数字が並びます。
Chaparral 2X VGT は「みなさんが考える、グランツーリスモをデザインしていただけませんか?」との呼びかけから始まったビジョン グランツーリスモの意図を、もっとも楽しく解釈したマシンに仕上がったと言って良さそうです。
ちなみに、ビジョン グランツーリスモ 向けのコンセプトカーを実車化したのは日産に続いてシボレーが2例目。日産は6月のグッドウッド・フェスティバルにて「日産コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ」を公開しています。
なお11月19日には、シボレーのほかにも日本のスバルが ビジョン グランツーリスモ 向けのコンセプトカー「VIZIV GT」をウェブ上で公開しています。こちらもグランツーリスモ6用アップデータとして提供予定です。