まるで水彩画のような
オーストラリアの「青い塩田」
世界遺産に登録されているオーストラリアのシャーク湾。
その近くに位置するユースレス・ループには広大な塩田が広がっている。
ライトブルーに彩られた塩田はまるで水彩画のようで、世界遺産に負けず劣らず美しい。
ユースレス・ループの塩田 |
ユースレス・ループの塩田 |
ユースレス・ループの塩田 |
ユースレス・ループの塩田 |
ユースレス・ループの塩田 |
ユースレス・ループの塩田 |
ユースレス・ループの塩田 |
ユースレス・ループの塩田 |
ユースレス・ループの近くの林に描かれた文字 |
シャーク湾の砂漠の目 |
ユースレス・ループの塩を採集する島 |
6年前、彼はスコットランドのカウデンビースにある石油化学工場を夜に撮影した。
それが彼の価値観を完全に変えてしまったのだ。
「それまで見たことのない、最も美しい光景だと思いました。これにはタージマハルも敵いません」と彼は言う。
「その写真を見せるまで、誰も私の言うことを信じてくれなかったんです」
それ以来バターワースは、人が平凡だと思ったり、醜いとさえ思ったりするような場所を数多く撮影してきた。
『Blue Fields』というプロジェクトにおいて、彼はオーストラリアを移動しながら普通の塩田を撮影している。
ユネスコ世界遺産に指定されている320万エーカー(約13,000平方キロメートル)にも及ぶ島々や半島からなるシャーク湾の上空を飛行し、ユースレス・ループで行われている天日製塩事業に興味を抱いた。
「完璧に望みどおりの場所でした。それは自然が美しいエリアとして指定されている、世界遺産の真ん中にある産業用の土地です」と彼は話す。
カウデンビースの石油化学プラント(ファイフ、スコットランド) |
遮られることなく地上の様子を見られるように、パイロットは離陸する前に飛行機の後部ドアを外すという奇抜なアイデアを思いついた。
これがいい効果を生んだ。バターワースは滑走中の小型セスナがガタガタ揺れるのを初めは気にしていたが、すぐにその感覚をいたく気に入った。
彼がチャーターしたセスナは比較的低速で窓が広く、翼の支柱などに視界が遮られることもなかったため、上空での撮影は理想的なものとなった。
同機は上空4,000〜5,000フィート(約1,200〜1,500m)を飛行した。
それは航空写真の撮影としてはかなりの高度だったが、バターワースは自分の写真をできる限り抽象的なイメージにしたいと考えていたのだった。
「徐々にその地域のことが分かってくるような、抽象的でありながら非常に生き生きとした写真、いわば地形の“ストリップショー”のようなものを撮ろうと思ったんです」
と彼は話す。
撮影は「西オーストラリアの昼間に照りつける太陽の下」というより、早朝や夕暮れの淡い光のなかで行われていると思われがちだ。
しかし、強力な上空からの光は影を打ち消し、地上の塩田に鮮明な青色の反射を生み出す。
「塩を収集する機械が塩田を走った跡は、まるで水彩画の筆致のようです」と彼は言う。
彼は4時間近く飛行し、シャーク湾の内陸の鮮やかな赤い林を貫く道、浅瀬のカラフルな模様、無人島に係留されている小型ボートも撮影した。しかし、人がつくった塩田の鮮やかな青色が、母なる自然に勝利したのである。
TEXT BY TAYLOR GLASCOCK
WIRED(US)
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