80代の俳優ふたりの存在感
パリの高級アパルトマンで悠々自適の老後を送るジョルジュとアンヌ。満ち足りた風の日々はある日、妻の発病で暗転する。妻の願いを組んで自宅へ連れ帰り、 献身的に支える夫。『白いリボン』や『ピアニスト』などで知られる名匠ミヒャエル・ハネケ監督はその日々の営みを丹念に追ってゆく。
主人公の夫婦を演じたのはいずれも80代の俳優ふたり。夫ジョルジュ役は、1966年の世界的ヒット作『男と女』に主演したジャン=ルイ・トランティニャ ン。妻アンヌには戦後の広島を舞台にしたアラン・レネ監督の『二十四時間の情事』でヒロインを演じたエマニュエル・リヴァが、往年の美貌に加え、年を重ね て磨かれた存在感で難役を見事に演じきった。
さらに、夫妻の愛弟子のピアニスト役にはヨーロッパでその名を高めるアレクサンドル・タローが実名で登場。劇中音楽も担当している。 |
夫婦が歩いてきた道のり、そして愛
長年連れ添い、アンヌを愛しているがゆえに、その意思を尊重し、自宅で世話をつづけるジョルジュだったが、意思の疎通もままならなくなったアンヌとの生活 に徐々に追い詰められていくのだった。
人間誰しもが避けてとおることのできない「老い」と「死」。その淵に立つふたりの姿は、見る者に、来るべき日の存在をいやおうなく突きつける。だが、衰え と滅びだけではない夫婦が歩いてきた道のり、そして愛は何者にも勝るものだと気づかされる至高の物語だ。
『愛、アムール』
3月9日(土)より、Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館ほかで全国ロードショー
監督・脚本│ミヒャエル・ハネケ
出演│ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァ、イザベル・ユペール、アレクサンドル・タロー
配給│ロングライド
2012年/フランス・ドイツ・オーストリア/127分
「愛、アムール」http://www.ai-movie.jp/
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