※この記事はセックス・シンボルの素顔【1】──マイケル・ファスベンダー、【2】、【3】、【4】の続きです。
ファスベンダーは『プロメテウス』のプロモーションのためにカリフォルニアでイベントに出席し、帰り道にこの街に立ち寄ったのだ。
彼はひとまずダブルエスプレッソを注文したが、見慣れないパスタのメニューを前に困惑気味だった。今食べたいのは──彼にとって最高の“おめざ”は──牡 蠣料理だという。とはいえ、世界的映画スターゆえの贅沢かというと、それは違う。シェフを父に持ちレストランの厨房に出入りして育った彼には、それが子ど ものころからの馴染みの料理なのだ。
メニューには牡蠣料理はなかったが、ファスベンダーは諦めなかった。「よい厨房には牡蠣のストックがあるはずさ。そうでなくちゃ」。
彼はウェイトレスを呼び止めたが、牡蠣はないという。そこで私たちは、パスタを分けて食べることにした。料理が届くと、ファスベンダーがママ役を買って出 た。パスタを小皿に取り分けてくれながら、「また料理を始めたんだ」とぽつりと言う。
「自分ひとりなら料理なんてしないけど、友達が来てくれれば、それにもしもガールフレンドがいれば、料理をすることが気晴らしにもなるからね」。
ガールフレンドといえば、『SHAME』で競演したニコール・ベハーリーと手をつないでここニューヨークを歩くさまが写真でスクープされ、恋人騒ぎになっ たことが記憶に新しい。
「彼女とはできるだけ頻繁に会っているよ。この街とロンドンでは遠すぎるけど」とファスベンダーは、噂の正しさをほのめかした。
その『SHAME』につきまとうペニス・ジョークを逆手に、ファスベンダーの演技を賞賛したのが、『プロメテウス』の共演者シャーリーズ・セロンだ。
「どうか、女の私が彼のペニスを話題にすることをお許しください。あの映画は2回観ました。彼の陰影、繊細さ、そして優しさに、私は心を打たれました。決 して押しつけではない人物像に、作り物ではない演技に、まさしく心を奪われたのです。オスカーに値する演技だと思いました。何より感心したのは、彼が堂々 とそれを演じたことです。他の俳優ならほとんど例外なく縮こまってしまったでしょうから。彼のペニスに、私は啓示を受けました。あのペニスと競演する準備 は、いつでもできています」と、彼女は茶目っ気たっぷりに言ってのけ、聴衆の笑いをさらった。