木曜日, 1月 28, 2016

拒まれたほうは実はとても傷ついている…夫婦が知っておくべき3つのこと

拒まれたほうはとても傷ついている…セックスレスの夫婦が知っておくべき3つの解決策

 

 



結婚後のセックスレス(Sexless)は夫婦仲破綻の原因となり、離婚理由の1つになり得るとミシェル・ウェイナー・デイビス氏は語ります。
幼い頃に両親の離婚を経験した彼女は、離婚が家庭に与える影響を重く受け止め、破局の危機に直面したカップルを救うマリッジ・セラピストとしてのキャリアを歩むようになりました。多くのケースでは、夫婦でセックス不足の問題を解決しようとして、逆に喧嘩となる場合があります。「相手が変わるべきだ」と、相手を責めてしまいがちですが、それは逆効果となります。怒りは性欲を向上させません。問題解決のためには、妻、もしくは夫の気持ちを理解した上でのセックスが必要不可欠になるのです。デイビス氏はこのような悪循環を断ち切る、3つのセックスレス解消法を提案。
何よりも必要不可欠なことは「パートナーの気持ちを理解した上でのセックス」であると唱えました。恋人や結婚相手との性生活、夜の営みで悩んでいる人だけではなく、パートナーを持つ全ての人に読んで欲しいスピーチです。




 

両親の離婚

ミシェル・ウェイナー・デイビス氏:今日はセックスについてお話をしたいと思います。
正確に言うと、セックスレス結婚についてです。

私の話の最後に、皆さんにそれを防ぐ3つの方法をお教えしましょう。

まずはこの話から始めます。過去30年間、私は9.11カップル(離婚の危機に直面しているカップル)のセラピーのプロとして、多くのカップルを救ってきました。
お互いの違いを受け入れる為に理解すべきことを教え、彼らがまた愛し合う幸せなカップルに戻れるよう、夜には子供たちを一緒に寝かしつけるような夫婦になれるように手助けをしてきました。
簡単なことではありませんが、このキャリアを自ら選んだのではありません。この仕事が私を選んだのです。

私は素晴らしい家庭で育ちました。毎週末とすべての祝日を共に過ごす、愛情あふれ、一度も喧嘩をしたことのない両親、兄弟に、たくさんの親戚に囲まれて。
しかし、ある日私が16歳の時、母が家族全員に召集をかけ、家族会議が開かれました。
そこで母は言いました、「結婚して23年間、私はずっと不幸だった、彼と離婚します」と。
母がそこまで不幸だったこと、そのように23年間も耐えてきたことに家族のだれ一人として全く気がつきませんでした。
言いましたよね、私の両親は一度も喧嘩をしたことがなかったと。血の気が引きました。「なんでこんなことになってしまったの! もう家を出ていくわ!」と絶望的な気持ちになりました。家族がめちゃくちゃになってしまったのです。


 

離婚が周囲に与える影響

離婚とは結婚生活に終止符を打つだけではなく、家族をも壊してしまうのです。
未だに私はその時に感じた絶望感、悲しみを胸に抱えています。
離婚は永遠に物事を変えてしまうからです。両親の離婚は私に様々な影響を与えました。

健康的で愛情あふれる永遠に続く愛の築き方を学ぶことに夢中になったことがそのうちのひとつです。

私自身の恋愛や結婚、そして家族にそれを適用できるように。夫のジムとの結婚生活が40年続いていることが私の自慢です。
もしも皆さんがジムがどんな人かを知れば、これがどんなに大変でものすごいことであるか理解してもらえるはずです(笑)。 (会場笑)

両親の離婚が私の人生を決めたもうひとつのこと、それは私が夢中になって学んだこと、知っていることをすべての人に伝えたいと強く願うようになったことです。心からそう思います。

オフィスでカウンセリングをするカップルだけではありません。
飛行機の中で特に私はとても良い仕事をします。
またはスーパーでレジ待ちをしている時ですね。 (会場笑)
 

 

 

「セックスレスが原因で終わりかけている結婚」とは

それが今日この場に立っている理由です。

皆さんにセックスレスの結婚が結婚生活にもたらす危険を理解してもらいたいのです。

「セックスレスが原因で終わりかけている結婚」をどのように定義しましょうか? 

「セックスレスが原因で終わりかけている結婚」とは、どちらか一方が体の触れ合いをものすごく大切にする傍ら、もう1人は「セックスの何がそんなに大切なの? たかがセックスじゃないか」と思っているカップルの結婚を指します。

セックスを含むお互いの体への触れ合いを渇望する人にとって、セックスをすることは非常に重要なのです。

彼らにとってそれは、パートナーが自分を求めていることを感じる、愛されていることを感じる、パートナーとしっかり繋がっていること、自分が男性であること、女性であること、魅力的であることを確認する行為だからです。

そして体への触れ合いが減ると、2人の心は離れて冷めた関係になってしまうのです。
2人で隣に腰かけてテレビを見ることもない、冗談を言い合って笑い合うこともない、一緒の時間を過ごすこともない、そんな関係に。

もう2人は友人同士ではなくなってしまう。そしてどちらかが浮気をし、結果、離婚に繋がったりします。

性欲がない、セックスをしたいと思わないという人々の中にはとても複雑な理由を持っている人もいます。
しかし、セックスがなくなってしまうカップルの多くのケースは簡単に解決できるということも事実です。

セックス不足の解決法をお話する前にこれだけ言わせてください。

「性欲が無いというのは、女性特有の問題であろう」と思った方、本当にそうでしょうか? 

男性の中にも性欲が低い人がいるというのは社会によって隠された秘密のひとつであると私は思っています。

「セックスレスが原因で終わりかけている結婚」においては、セックスに対する欲望が低いパートナーがその結婚生活のあり方をコントロールします。
これは性欲が低い方が意地悪く相手を騙したりコントロールしようとするというのではありません。

結婚生活において、2人で話し合い、すべてを決定していくという前提があります。
結婚するか否か、子供を持つか否か、どのように子供を育てるか、お金をどのように使うか、親戚づきあいをどうするか、家事分担をどうするか。

この中にセックスに関することはひとつも含まれていませんね。どんなセックスをするか、その量と質はどのようなものが求められているのか。

20年、30年も結婚していて一度もセックスについて話し合ったことがないというカップルもいます。



 

 

セックスを拒まれたほうはとても傷ついている

セックスという、一方が決定権を持ち得ることについてもうひとつ私が興味深いと思うのは、カップルのうちのひとりが「セックスはもうしたくない」と決め、それをパートナーは理解し受け入れ、文句を言うべきではないと思うことを突き詰めて考えると、結婚とはお互い以外のパートナーとセックスをしてはならないという前提があるのですから、全くフェアではありません。

私のクライアントの話をしましょう。

ジョンとメアリーは結婚して15年の夫婦です。
ジョニーは割とのんびりとした男性で愚痴を言うことをあまりしませんでした。

しかしその彼が、セッションが終わる15分ほど前になってやっと勇気をだして長い間彼を苦しめてきたことを告白しました。

メアリーがもしかしたらセックスに興味を持ってくれるかもしれないチャンスは、金曜の夜10時から12時の2時間の間だけ。
ジョンはそれ以外の時間にはセックスに誘うことを諦めたのだそうです。 (会場笑)

今皆さんも笑いましたが、私も少し笑ってメアリーのほうをちらっとみました。
メアリーもそれが間違っていないことを認めて笑っていました。

ジョンは真剣でした。彼の目は笑ってはいませんでした。
私は聞きました、「ジョン、これまでどう感じてきたのか話して」。

ジョンは言いました、「ちょっとメアリーと話がしたい」。

ジョンは深呼吸し、メアリーに向き直って言いました、

「君とセックスをしたいと思って手を伸ばしても、君の心はそこにない。僕は君のなんなんだ? 僕が君を愛しているようには君は僕をもう愛してはいないのか? 僕と一緒にいたいのか? 

君が眠りについた後、僕はただ天井を見つめて眠りにつけないでいる。

そんな時、君の横でベッドに横たわっていることが寂しくて仕方なくなるんだ」

それを聞いたメアリーは涙を流し、ジョンの手を取りました。
「ジョン、結婚してからずっとあなたがどんな気持ちでいるか考えたことがなかったわ。私は自分がセックスに気分が乗るかどうかしか考えていなかった。本当にごめんなさい。これからはそんなことがないようにするわ」とメアリーが言うと、

ジョンは泣きだし、私も泣きだしました。 (会場笑)

あれは本当に素晴らしい瞬間でした。
彼らの結婚生活の中で、メアリーが初めてジョンの孤独、痛み、彼女とより深くつながろうとしていた気持ちを理解しようと心を改めたのです。

そしてもっと理解できるように努力するとジョンに約束しました。あの瞬間が彼らの結婚生活を変えることとなる第一歩でした。

残念なことに多くのカップルはこのように問題を解決することが出来ません。






 

喧嘩の原因となるセックス

むしろ多くのケースはセックス不足の問題を解決しようとして、逆に問題をこじらせます。
例を挙げましょう。

彼「ハニー! 今日は子供達を早めに寝かしつけてワインでも開けてゆっくりしないかい?」

彼女「いろいろあって疲れているの。リラックスなんて出来ないわ。頭痛もするし」

彼「この間言ったよな? 女は男と違っていろいろなことを一度にやれるんだ、マルチタスクが出来るんだって。頭痛を抱えながらセックスだってできるだろ?」 (会場笑)

彼女「全然面白くないわよ。私の気持ちもわかってよ。」

彼「別に笑わせようとしてないさ。6週間もセックスしていないんだぜ。もうこんな結婚は嫌だ! 俺たち上手く行ってないな!」

彼女「そんな風に怒鳴らないでよ。もっとあなたに触りたくなくなるわ! わかってる?あなたはここ最近全然家に帰ってこないじゃない! 家にいても私達は話をしないし、一緒に何かをするわけでもないし、いつもイライラしているし、一人の世界に閉じこもっているし。そんな人とセックスしたくない!」

彼「もうお前と話すことは何もない! 出ていく!」


一体どうしてこうなってしまうのでしょうか? 


セックス不足の初期段階において、よりセックスを望むパートナーのほうが、相手に心を開き、下手に出ながら誘います。「あなたが恋しい」「君とセックスがしたいんだ」と言ったりして。

相手と繋がりたい、わかり合いたいという気持ちであるのに、相手から無反応や拒否の言葉が返ってくると、セックスを望んでいたほうはせっかくこっちが誘っているのに、と傷つき、それはないだろ!と怒りの感情を表すようになります。

怒りは性欲を向上させません。怒りがセックスレスの理由となるのです。
そしてセックスが無いことで怒りのレベルがどんどん上がっていきます。

そして大きくなった怒りがセックス拒食症を引き起こします。
カップル2人とも「相手が変わるべきだ」と、相手が変わるのを待つのです。
そしてこの悪循環に2人は迷い込んでいくのです。







セックスレスを解消するアプローチ

一体どうしたらよいのでしょうか? 

彼はセックスを拒否されるからと言ってすぐに怒るのをやめるべきです。
彼は彼女と語り合い、共に時間を過ごし、彼女の人生にきちんと向き合っていた過去があるのです。
彼女はそのように彼が彼女をしっかりとケアしてくれていると感じる時は幸せだった、自然と彼を求めるのだということを理解せねばなりません。

彼女がしなくてはならないことは、彼女がどう感じているかを抜きにして、ただ彼とセックスをするのです。 (会場笑)


2つ理由があります。

第1の理由は明確です。彼が喜ぶからです。
彼はもっと優しくなり、もっと彼女と時間を過ごそうとするでしょうし、イライラしなくなるでしょう。そして彼は彼女により感謝するようになるでしょう。

そしてもう一つの理由は彼に関係無いことです。

セックスが結婚問題解決の手助けになるという私のアプローチをまったく信じていないクライアントに、こんなシナリオを話します

「あんまり乗り気じゃなかったけど、1回セックスをしてみたらそのセックスが素晴らしかった! セックスは素晴らしかったし、素晴らしいオーガズムを得た。私達2人はその後も素晴らしい時間を過ごし、その時の会話は過去数ヵ月間のうち最高に濃い内容で語り合った」そんなケースがたくさんあるのですよと。

「妻も同じです! 彼女が自分の手に、私はセックスが好き、って書いておいてくれないと、その次にセックスしようとしてももうその素晴らしいセックスのことなど忘れてしまうんですよ!」と、

こんな風にクライアントが言う度に毎回1ドルもらえていたら、今結構な金額が貯まっているはずです。 (会場笑)

実際、これは科学で証明されています。

こんなクライアントが本当に多くいるので、私は過去の研究をいろいろと勉強し始めました。ある研究がす べての疑問を解決してくれました。

人間の性反応には4つのステージがあります。

まずは欲望。
これは散歩したり、試験勉強したり、料理したり、友人と話している時などに突然セックスがしたい! と思うことです。

第2ステージは性的興奮です。
パートナーと一緒にいることで、体が興奮し、それを感じることです。

第3ステージはオーガズム。
説明が必要でしょうか? (会場笑)

第4ステージは、解消。
体が興奮から冷めて通常の状態に戻ります。

研究によると、400万人もの人の第1ステージと第2ステージが逆に起きるそうなのです。
つまり、その人達は体が性的興奮や刺激を覚えない限り、自分が性的欲望を持っていることを感じないのです。欲望はあるものの、それは自分からセックスを求めるほどには大きくない。

もしも「あ、自分だ!」と思ったら、パートナーのリードに身を任せてみてください。
すると皆さん自身が性の欲望を持っていること、セックスが好きであることを思い出すでしょう。






 

セックスの拒否は身体的苦痛と同等の痛みをともなう

人間は周囲の人と繋がりたいと願う欲求を持っています。神経科学の分野でも人間は愛し愛されたいという欲求があることが証明されています。そしてこれは、衣食住のように基本的欲求のひとつなのです。

そして逆に言えば、人との繋がりを感じられなければ私達の心は傷つくのです。

科学者がfMRIを使って、最近離婚した、または最近恋人と別れた人の脳を研究したところ、身体的な痛みを感じている人の脳内と全く同じ部位が機能するということがわかりました。

悲しみ、不安、恐れ等のネガティブな感情を感じている人の脳は身体的痛みを感じている人と同じ脳内部位が機能することはありませんでした。

身体的な痛みを感じる人の脳と同じ動きをするのは、愛する人から拒絶された人や別離を経験した人の脳だけです。 拒絶されると私達はとても傷つくのです。

「すごく綺麗な夕日だよ、見て!」「この記事すごく面白いからあなたにも読んでほしいの」とパートナーから言われたら、携帯電話を横に置いてパートナーの話を聞き、一緒に時間を過ごしてください。2人だけで。

または「最近セックスしてないね。ベッドでごろごろしながら一緒に過ごして、君を気分良くさせたいんだ」と言われた時も同じです。

もしもそれに興味が無い、気分じゃないと思うなら、思い出してください。拒絶されると人は傷つく、と。




3つの解決策

どうしたらいいのでしょうか? 
最初に言いました。今日は皆さんに3つの解決策をお伝えしたいと。

第一に、私達は誰もが違った形で人と繋がろうとします。
私達がどんな風にして大事な人ともっとわかり合い、繋がろうとする傾向にあるか理解することも大切ですが、パートナーがどのようにして私達とわかり合いたい、もっと深く繋がりたいと思っているのかを完全に理解出来るようになることです。

第2に、皆さんのパートナーが皆さん以上に体の触れ合い、体の親密さ、セックスを必要とするのであれば、「そんなのただのセックスじゃない」などと決して思わないことです。
セックスは愛する人と深く繋がることが出来るとても大切な方法です。

第3、パートナーがどのようにして皆さんと繋がりたいと思っているのか理解したところで、完全にそれを受け入れる必要はありません。皆さんがするべきは、ただそれをするのです。

理由は2つ。

私が長年の間結婚、恋愛に関して見て、学んできた経験から言えるのは、健康的な結婚や恋愛はお互いがお互いを思いやることが不可欠です。
そしてそこには行動で示す愛があります。

皆さんがどうしたいかよりも、パートナーがどうしたいかに合わせましょうという話をしていますので、これがとても難しいことであることは重々理解しています。

でも私はお互いをケアしあい、思い合うことが幸せな恋愛、結婚の鍵であると深く信じています。自分の感情ばかりを気にするのをやめれば、1人の人と長く結婚し、幸せな関係を築いていけるはずです。

よく人から「あなたは精神病レベルの楽観主義者ですね」と言われます。 (会場笑)

そんな時私はこう言います、
「いいんです。だってそれは皆に伝染させることができる病気だから。」 (会場笑)

ありがとうございました。




The sex-starved marriage | Michele Weiner-Davis | TEDxCU2014
医療ソーシャルワーカー(MSW)、ベストセラー作家、マリッジ・セラピスト ミシェル・ウェイナー・デイビス(Michele Weiner-Davis) 氏