イギリスのエネルギー開発企業・ITM Powerなどはこのたび、水だけを燃料にして高温の火炎を作り出すガスバーナーを開発しました。これまでの技術に比べて、安全かつ安価に火炎を生成することができるため、安全性が求められる工事現場などへの展開が期待されます。
これは、同社などが参画するヨーロッパのエネルギープロジェクト “SafeFlame” によるもの。
従来のファイアーバーナーでは、アセチレンやプロパンなどといった燃料のガスボンベを接続して使用していましたが、これらのガスは可燃性であるた
め、引火爆発の危険性が非常に高いものでした。しかし、今回開発されたバーナーでは水の電気分解により生成した水素と酸素を燃料として使用するために爆発
のリスクは大幅に減少するほか、燃焼によって一酸化炭素などの有害ガスもほとんどないとのこと。
このようなコンセプト自体は以前からあったものの、電気分解に必要な膜材料が高コストであったこと、電気分解の反応速度が低かったため、実用化には
至っていませんでした。しかし今回、独自技術によりこれらの問題をクリアーすることが可能になり、ガスバーナーに使用できるほどの生成効率を実現するに
至ったとのこと。
材料学の専門家Steven
Baines氏は、このSfaFlameについて「溶接に使えるほど高温かつ高速の火炎を作り出すことができる」と語っています。同社によると、このシス
テムではガスボンベの交換費や輸送費などが不要になることから、例えばアセチレンガスを用いた場合と比べると燃料コストが1/20程度になるとしていま
す。
水から炎を作り出すというのはSF的なようにも聞こえますが、こういた技術が現実のものになってきているというのは、非常に興味深いことですね。