木曜日, 12月 19, 2013

ビル・ゲイツ氏が選ぶ「2013年に読んだ記憶に残る7冊の本」

ビル・ゲイツ氏が選ぶ「2013年に読んだ記憶に残る7冊の本」



Microsoftの会長であるビル・ゲイツ氏は、毎年さまざまなジャンルの本を読んでいて、気に入った本のレビューを自身のブログにまとめてしまうほどの読書愛好家です。2013年も多くの本を読んだゲイツ氏が「2013年に読んだ記憶に残る7冊の本」を公開しており、ゲイツファンでなくとも、ためになりそうな本が挙げられています。

The Best Books I Read in 2013
http://www.thegatesnotes.com/Personal/Best-Books-2013

ゲイツ氏が2013年に読んだ本のうち多くのものは2013年に発売されたものではなく、何年も前に発売されたものばかりです。また、7冊の本の中にはフィクション作品が1冊も含まれていませんが、ゲイツ氏は小説も好きで、特に「ライ麦畑でつかまえて」や「スーパー・サッド・トゥルー・ラブ・ストーリー」 は何回も読んだお気に入りの作品とのこと。しかしながら、ゲイツ氏は「フィクション作品よりもノンフィクション作品を読むほうが、自分の知らなかったことを教えられ、学べることも多いのです」と語っています。ノンフィクション好きのゲイツ氏が選んだ「2013年に読んだ記憶に残る7冊の本」は以下の通りです。

◆1:コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった:マルク・レビンソン
コンテナ物語は、ゲイツ氏が「みなさんはコンテナに関する本なんて読みたくないかもしれません」と言うくらい、トピックとしては少し地味である運送用コンテナに焦点を当てた本です。しかしながら、「著者のレビンソンは、コンテナ出荷への移行が、どのようにして世界の経済やビジネスに大きな影響を与えたかについて非常に読みやすく書き上げています。読了後、私のコンテナに対する見方は完全に変わりました」とゲイツ氏は絶賛しています。



◆2:The Most Powerful Idea in the World:A Story of Steam, Industry, Invention
「The Most Powerful Idea in the World」は先に挙げた「コンテナ物語」と同じように、少々地味である蒸気機関を題材にした本です。蒸気機関の特徴や斬新な独創性、また、発明の歴史的背景などをうまく織り交ぜた本作品は、2009年にロンドンの科学博物館に息子と一緒に訪れて以来、蒸気機関についてもっと知りたいと思っていたゲイツ氏の心に深く刺さりました。



◆3:Harvesting the Biosphere: What We Have Taken from Nature:Vaclav Smil
「Harvesting the Biosphere」の著者であるVaclav Smil氏ほど、ゲイツ氏に新刊を楽しみにさせる著者はいないそうです。本書は「人間が、いかにして生物の存在領域である生物圏に影響を与えてきたか」についてつづった本で、ゲイツ氏でも知らなかった単語が頻出するため、読みながら単語の意味を調べるのは大変だったそうですが、人間と地球の関係について興味がある人には相当おもしろい内容になっているとのこと。



◆4:昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来: ジャレド・ダイアモンド、倉骨 彰
ゲイツ氏が、2013年に読んだ記憶に残る7冊の本の4冊目に挙げたのは、「銃・病原菌・鉄」という本でピューリッツァー賞を受賞し、日本でも知名度の高いジャレド・ダイアモンド氏の作品「昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来」です。「昨日までの世界」では、現代の生活スタイルは昔の狩猟民族がかつて行っていた魅力的な生活習慣を取り入れられるかどうかについて、多方面から考察しています。



◆5:Poor Numbers: How We Are Misled by African Development Statistics and What to Do About It (Cornell Studies in Political Economy)
経済学者のMorten Jerven氏が4年の月日を費やした「アフリカの諸国がどうやって統計をとり、GDP算出の方法を確立したのか」という研究についてを書きつづった本が「Poor Numbers」です。本の中では、GDP算出方法の正確性について疑問を投げかけており、ゲイツ氏も「より正確なGDPを算出するには、より幅広いリソースが必要です」と述べています。



◆6:Why Does College Cost So Much?:Robert B. Archibald, David H. Feldman
「Why Does College Cost So Much?」は、高すぎる大学の学費について書かれている本で、ただ単に学費が高い理由が羅列されているのではなく、「高額な学費」と「労働市場」の関係性についても触れられています。ゲイツ氏も大学の学費が高額過ぎると思っており、その理由として、大卒者の人数がいまだに少ないため学位の価値があがり、富裕層の人間が学位を得るために高額な学費を払っていることを挙げています。大卒者の数がもっと増えて、供給過多の状態にならない限り、学費の価格競争は 発生しないとのこと。



Why Does College Cost So Much?では大学の学費問題を解決できる方法を探っており、ゲイツ氏は「テクノロジーも、通信教育の改善を通して学費問題解決の力になれるはずです」と語っています。

◆7:The Bet eBook: Paul Sabin
「The Bet eBook」の著者であるPaul Sabin氏は、経済学者のJulian Simon氏と生物学者のPaul Ehrlich氏が100ドルを賭けて「地球や人類を取り巻く環境状況はよくなるのか、それとも悪くなるのか」について討論した様子を記録し、1冊の本にまとめました。ゲイツ氏によると、Simon氏は極端な意見を持つ2人の識者が、どのようにして二分化された議論を形成したかを詳細に書き上げているとのこと。



ゲイツ氏が挙げた「2013年に読んだ記憶に残る7冊の本」は少し難しそうな本が並んでいますが、いくつかの本は日本語訳も出版されているので、一度読んでみるのもよさそうです。