カメラの視点で映画を観る『The Art of Steadicam』
カメラの視点で映画を観ると、新しい発見があって面白い。
パン、ローアングル、トラック、ドリーインなど、撮影には様々なテクニックがある。
トラックやドリーインは被写体に追従して撮る技法だが、そこで使われるのがSteadicamだ。
Steadicamは、1973年にアメリカの撮影監督ギャレット・ブラウンによって開発され技術で、ジンバルで振動を吸収したり、サスペンションでブレを防止するビデオカメラの機材。役者を追って「長回し」で撮影すると、浮遊感のある映像が撮れる。
そんなSteadicamに焦点を当て、40本近くの映画から撮影シーンを集めたのが、今回紹介する『The Art of Steadicam』。
The Art of Steadicam from Refocused Media on Vimeo.
登場する映画のタイトルはこちら(リンクはiTunes Store)。
- Kill Bill Vol. 1(キル・ビル)00:18
- Atonement(つぐない)00:35
- Eyes Wide Shut(アイズ ワイド シャット)00:57
- Artificial Intelligence: AI(A.I.)01:06
- ER: Season 4, Ep. 20(ER緊急救命室)01:21
- The X-Files: Season 6, Ep. 03(Xファイル)01:37
- Raising Cain(?)01:46
- Pride & Prejudice(プライドと偏見)01:54
- Boogie Nights(ブギーナイツ)02:11
- Doom(ドゥーム)02:20
- Point Break(ハートブルー)02:28
- Pulp Fiction(パルプ・フィクション)02:43
- Werckmeister Harmonies(?)02:56
- Outpost 11(?)03:09
- After Hours(アフター・アワーズ)03:17
- Much Ado About Nothing(空騒ぎ)03:28
- Marathon Man(マラソンマン)03:49
- Carlito’s Way(カリートの道)03:56
- Goodfellas(グッドフェローズ)04:09
- Rocky(ロッキー)04:15
- Michael Clayton(フィクサー)04:28
- The Peacemaker(ピースメーカー)04:39
- The West Wing: Season 1, Ep. 04(ザ・ホワイトハウス)04:47
- The Birdcage(バードケージ)05:02
- Flightplan(フライトプラン)05:11
- Donnie Darko(ドニー・ダーコ)05:20
- Good Night and Good Luck(グッドナイト&グッドラック)05:27
- The Doors(ドアーズ)05:38
- Before Sunset(ビフォア・サンセット)05:54
- The Shining(シャイニング)06:15
- Thank You For Smoking(サンキュー・スモーキング)06:27
- The West Wing: Season 1, Ep. 10(ザ・ホワイトハウス)06:41
- The Protector(プロテクター)06:53
- Two Days in the Valley(2 days トゥー・デイズ)07:14
- Pride & Prejudice(プライドと偏見)07:32
- The Mighty Quinn(刑事クイン/妖術師の島)07:45
- Serenity(セレニティー)08:06
- Eyes Wide Shut(アイズ ワイド シャット)08:18
- Fight Club(ファイト・クラブ)08:29
- Full Metal Jacket(フルメタル・ジャケット)08:49
- Full Metal Jacket(フルメタル・ジャケット)09:00
- Malcolm X(マルコムX)09:10
- The Shining(シャイニング)09:22
- The Shining(シャイニング)09:45
印象に残ったカメラワークは、3分56秒から始まるカリートの道。カメラは走る役者の後ろから。エスカレーターの下に敵がいる事に気づき、役
者は咄嗟に身を隠すが、カメラはそのままエスカレーターに乗って敵の視点に移動する。監督はブライアン・デ・パルマ。さすが映像の魔術師だ。
他にもキル・ビル、プライドと偏見、マラソンマン、ドゥームのカメラワークが面白かったが、圧巻なのはスタンリー・キューブリック。シャイニ
ング、アイズ ワイド シャット、フルメタル・ジャケットの3本が登場するが、どれも臨場感と緊張感のある映像で、観る者を圧倒する。
今回のオムニバスで気になったOutpost 11やフィクサーも、いつか観てみたい。カメラの視点で映画を観ると、監督やカメラマンの意図に気づく。水野晴郎じゃないが、映画って本当にいいものだ。奥が深くて面白い。
➤ Refocused Media via The Verge