金曜日, 1月 09, 2015

メルセデス・ベンツが発表した「クレイジー」な自律走行車コンセプト

メルセデス・ベンツが発表した「クレイジー」な自律走行車コンセプト

メルセデス・ベンツがCES 2015で発表したコンセプトモデル「メルセデス F 015」は、自律走行車だった。いかにも"未来っぽい"デザインには賛否両論あるかもしれないが、クルマの新しいかたちを追求しようとする自由さに満ちている。


The Mercedes-Benz F 015 Luxury in Motion
自律走行車のコンセプトモデル「メルセデス F 015」。
現在ラスヴェガスで開催されているCES 2015にメルセデス・ベンツが持ち込んだコンセプト、「F 015 ラグジュアリー・イン・モーション」。その大胆でかつクレイジーな未来像において、人間はクルマの”オプション装備”になってしまう。このクルマが示すのは、はるか未来の自律走行の姿だ。
車体は棒石けんのような外観で、内部はわずかにヨーロッパスタイルが感じられる流線型の会議室のようなデザインだ。
はっきりさせておきたいことが2つある。まずは、このコンセプトカーがすぐに生産される可能性は極めて低い、ということだ。
現在の自律走行テクノロジーを見ても、実用化されるまでに20年はかかると思われる。技術的なものから安全性や規制まで、解決しなければならない問題は山ほどある。
2点目として、驚いたことに、メルセデスにしては今回の車は美しくない、のである。
The Mercedes-Benz F 015 Luxury in Motion
確かに未来を思わせるデザインではあるが。
The Mercedes-Benz F 015 Luxury in Motion
お分かりになるだろうか、「STOP」の文字が。QRコードが。
メルセデス・ベンツのつくりだすクルマは概して素晴らしいデザインで知られている。かつての名車「300SL ガルウィング」や「SL500」を送り出したメーカーが、この”棒石けん”を生み出したとは信じがたい。
とはいえ、それでもこのクルマは素晴らしい。メルセデス・ベンツが時代の先を読み、クルマのデザインが根本的に変わるであろう未来を見据えていることを証明するものだからだ。
コンピューターの方が人間より運転に長けていることが分かり、自動車に対する法規制もそれを反映したものになれば、長きにわたって標準装備となっている「前向きの座席」や「ミラー」、「ペダル」といったものはもはや必要なくなる。
つまり大転換が起きるわけで、自動車メーカーは革命的なアイデアを追求する自由を手にすることになる。グーグルは先進的(でもちょっと間抜けな)自律走行車の試作型でこの流れを体現し、Rinspeedは先月、BudiiロボティックEVコンセプトで探求の成果を披露した。
メルセデス・ベンツもこの流れを理解し、走り出している。前部シートが回転し、後ろ向きにできるF 015のインテリアは、コミュニティ空間をつくり出す。これは最新のデザインでありながら、はるか昔に見られたスタイルでもある。ダイムラーを率いるディーター・ツェッチェ博士が指摘したように、馬車の時代を思い起こさせる。
The Mercedes-Benz F 015 Luxury in Motion
ウッド調のインテリアは非常にシックで、とてもクルマのそれとは思えない。
The Mercedes-Benz F 015 Luxury in Motion
道路にプロジェクションするというイカした機能も備えている。
F 015はジェスチャーや目線の動き、タッチスクリーンで操作することができ、あらゆる箇所にLEDが使用されている。前方に歩行者を検知したときは、路面に横断歩道を投影することも可能だ。
「このクルマは、単なる移動手段という役割を超え、最終的には移動型の居住空間となるでしょう」とツェッチェ氏は語る。
F 015のようなクルマが実現するまでには多くの年月を要するであろう。しかしこのメーカーは、その日への歩みを着実に進めている。2020年までにトラック用のハイウェイパイロットシステムを開発し、セダンタイプに一定の自律走行技術を適用する予定だ。
これらのプロジェクトは、自律走行テクノロジーを前に推し進めてくれるはずだ。いずれの日にか、自分が回転シートに腰掛けて、ハードウッドフロアを備えた流線型のセダンで走り回っている姿を、空想しておこう。
The Mercedes-Benz F 015 Luxury in Motion
ハンドルを握る必要はないので、後部座席を振り返っても大丈夫。