テラヘルツ帯小型受信機。富士通が開発、2020年の実用化を目指す
100GHzから10THzまでの周波数帯はテラヘルツ帯とも呼ばれ、信号を運ぶための搬送波の数は現在の携帯電話が使っている800MHz~2GHzに 比べるとおよそ100倍前後にのぼります。テラヘルツ帯では数十Gbpsという高速な通信速度が見込める反面、電波の減衰もしやすくなります。このため、 受信側には高感度な増幅器が必要となります。
これまでのテラヘルツ帯受信機は、アンテナで受信した電波を"導波管"と呼ばれる特殊な部品経由で増幅器へ接続しており、これが小型化への障壁となってい ました。富士通が開発したテラヘルツ帯受信機は、別々に構成されていたアンテナと増幅器を一体化し、携帯端末に組み込めるほどの小型化を実現しています。
富士通はこの技術が実用化されれば、実現される通信速度は数十Gbpsになるとしています。ストレージの読み書き速度にもよるものの、たとえば携帯端末に 内蔵すれば8K解像度で撮影した動画ファイルもあっという間に転送が完了するはず。またPCやスマートフォンのフルバックアップも瞬時に完了するようにな るかもしれません。
富士通は、2015年中にもこの小型受信機を使って数十Gbpsの転送実験を開始する予定。2020年ごろの実用化を目指すとしています。
2020年といえば東京オリンピックの開催年。その頃のスマートフォンの仕様表には「テラヘルツ帯通信」という文言が当たり前に書かれているのかもしれません。