フォステクス、2万円の平面駆動ヘッドホン T50RP mk3n 発表。セミオープン型スタジオモニター
フォステクス カンパニー が平面振動板を採用したヘッドホン「T50RP mk3n」を発表しました。T50RP の後継モデルで、スタジオプロフェッショナル向けのセミオープン型ヘッドホンです。
昨年はフォステクスの TH500RP をはじめ OPPO などが平面駆動型ヘッドホンを立て続けに発表し、平面駆動方式が「古くて新しい技術」として一部で脚光を浴びました。
通常のヘッドホンはドーム型やコーン型の振動板を採用しています。一方、平面駆動方式は平らな振動板を採用し、振動板全体が均一に振動するしくみ。平面振動板では、ドーム型振動板に発生しやすい一定の周波数における歪みがないとされます。
ただ、昨年話題となった平面駆動方式のヘッドホンは、いずれも7万5000円から高いものでは20万円以上。一般ユーザーが気軽に手を出せる価格帯ではあ りませんでした。その点、今回フォステクスが発表した T50RP mk3n は平面振動方式を採用していながら、税抜価格を2万円に押さえているのも特徴といえます。 独自開発したという RP(Regular Phase)振動板は、高耐熱ポリイミドフィルムに銅箔エッチングを施しています。また、平面駆動ならではの再生帯域の広さと、音の過渡特性の良さ、さらに3000mWまでの高い入力耐性を備えたとのこと。
再生周波数帯域は15Hz~35kHz。感度は92dB/mW。インピーダンスは50Ω。セミオープン型で、低反発タイプのイヤークッションを採用し「長時間の使用でも快適」としています。
外観はT50RPのデザインを引き継ぎ、ガッシリとした印象。ケーブルは着脱式でヘッドホン側端子には外れ防止機構も備えます。また付属するケーブルは 3mの標準プラグと、1.2mでモバイル利用向けの3.5mmステレオミニプラグ品の2種類を付属します。コードを含まない重さは315g。
カラーリングは、ブラックのハウジング、ヘッドバンドにオレンジのケーブルを備えたフォステクスカラー。ヘッドバンド上部には大きく"Fostex"のロゴが入ります。 発売時期は9月下旬。税抜価格は2万円。
T50シリーズは1974年からの長い歴史を持つヘッドホン。平面駆動型としてはこれまで T50RP を発売していました。しかし T50RP は高低域が控えめなうえ中音域が膨らんだ音質で、ユーザーからの評価はいまひとつでした。ただ、音質を大きく改善するという改造がユーザーの間で流行し、 海外でもカスタムヘッドホン専門サイトで(改造版が)販売されるなど、特殊な人気を持ったヘッドホンでした。
TR50RP mk3n の発表に際してフォステクスは「プロフェッショナル・スタジオでの使用を前提に、よりフラットでクリアな音質を実現」したとしており、T50RP に比べてどのように変わったのかが気になるところ。ただ、あまりいい音になりすぎても ヘッドホン改造派諸氏 から「普通になってしまった」と嘆く声が聞こえそうな気もしないでもありません。