2015年、16歳の黒人の女の子がソーシャルメディア上に
公開した動画が、全米で大きなヴァイラルを生んだ。
「黒人のカルチャーがこれほど愛されているこの国で、
黒人はなぜこんなにも差別されているのだろう?」
ヴィデオで彼女が語りかけるのは、この国にいまだ根強く残る
人種差別に対する冷静でシンプルな問いかけだった。
女優であり活動家、アマンドラ・ステンバーグ。
動画の公開から1年後、米国のティーンガールの一人としての素直な想いを、
独立系音楽家でビヨンセの妹でもあるソランジュ・ノウルズに明かした。
(初出:『Teen Vogue』2016年2月号)
公開した動画が、全米で大きなヴァイラルを生んだ。
「黒人のカルチャーがこれほど愛されているこの国で、
黒人はなぜこんなにも差別されているのだろう?」
ヴィデオで彼女が語りかけるのは、この国にいまだ根強く残る
人種差別に対する冷静でシンプルな問いかけだった。
女優であり活動家、アマンドラ・ステンバーグ。
動画の公開から1年後、米国のティーンガールの一人としての素直な想いを、
独立系音楽家でビヨンセの妹でもあるソランジュ・ノウルズに明かした。
(初出:『Teen Vogue』2016年2月号)
ブラック・ガールであること、インディペンデントであること
正直に言うと、わたしは今回、アマンドラ・ステンバーグにインタヴューをするにあたって、下調べはしてこなかった。なぜなら、直接会ったことはなかったけれど、見ているだけで彼女のことがすごくよくわかったからだ。
黒人の女の子たちには、自分たちだけに通じる秘密の言語のようなものがある。「おまえたちの居場所は谷底だ」と言い含めようとする世の中で、いくつもの山や川を乗り越えて生きていくことを運命付けられた女の子たち──。
彼女たちは、若くしてそれを知る。誰も口にはしないけれど、そんな声がはっきりと聞こえる。
それは例えば、縮れ毛をまるで咲き乱れる花のように膨らませた美しいヘアスタイルで、堂々と胸を張り、颯爽と部屋に入っていくとき。たとえ周りの雑音をシャットアウトしても、決して頭から消えないリズムのように、その声はどこまでもついてくる。
アマンドラは、そういったことを十分すぎるほど知っている。それは、インタヴューを始めてすぐにわかった。
──あなたを知ったきっかけは、映画『ハンガー・ゲーム 』(2012年)を観てない人であればきっとみんなそうだと思うのだけど、例の動画だった。あなたが投稿した、ブラックカルチャーに対する搾取についての動画、『Don’t Cash Crop My Cornrows』(訳注:私のコーンロウを金儲けに使わないで)。あれは本当に素晴らしかった! そもそもは授業の課題としてつくったと聞いたけれど、「公開」ボタンを押すまでに一瞬でもためらいはしなかった?
あの動画があれほどの議論を引き起こすなんて、ほんとうに考えてなかったの。それなのに、あれ以降「革命的」というレッテルを貼られて本気で怖かった。自分に問いかけてしまう瞬間すらあったのよ。「ねえ、これが自分のしたいことなの? そういう問題についてほんとうに話したいと思っていて、その価値があると思っているの?」って。
黒人の女の子たちには、自分たちだけに通じる秘密の言語のようなものがある。「おまえたちの居場所は谷底だ」と言い含めようとする世の中で、いくつもの山や川を乗り越えて生きていくことを運命付けられた女の子たち──。
彼女たちは、若くしてそれを知る。誰も口にはしないけれど、そんな声がはっきりと聞こえる。
それは例えば、縮れ毛をまるで咲き乱れる花のように膨らませた美しいヘアスタイルで、堂々と胸を張り、颯爽と部屋に入っていくとき。たとえ周りの雑音をシャットアウトしても、決して頭から消えないリズムのように、その声はどこまでもついてくる。
アマンドラは、そういったことを十分すぎるほど知っている。それは、インタヴューを始めてすぐにわかった。
1998年生まれのアマンドラ・ステンバーグ。 映画『ハンガー・ゲーム 』(2012)への出演で 一躍脚光を浴びる。 現在17歳の女優・アクティヴィスト。 @amandlastenberg(Instagram/Twitter) |
「黒人の女の子って、小さなころからいろんなメッセージを刷り込まれて育つの。髪の毛にしろ、肌の色にしろ、ありのままの姿じゃいけないとか、『声』をもつべきじゃないとか、あるいは黒人の女は賢くないとか」と、彼女は言う。
「それと闘う唯一の手段は、本当の意味で自分らしく生きて、ほかの黒人の女の子たちと『つながる』ことだと思うの。これまで自分がずっと順応しようとしてきたと気づき始めた女の子たちとね」
だからなのだろう、今回のインタヴューは、わたしたちが『順応しない黒人の女の子』同士としてつながるきっかけとなった。
あるいは、黒人女性を取り囲む境界線をぶち破りながら外の世界を塗り替えることに人生を捧げてきた開拓者として。どちらも音楽とアートと、エネルギーにあふれたオレンジ色が大好きな女の子として。ヘアスタイルについてしゃべりだしたら止まらないふたりの女の子として。
そしてなによりも、尊敬すべき、わたしたち以前に道を切り拓いてくれたパワフルなクイーンたちの血を受け継ぐ者同士として。前知識なんかはなかったけれど、わたしたちは確かに、お互いのもつ正直さにインスパイアされた。
世界を相手にする準備はできた。ブラック・ガールの魔法を、世界のすみずみにまで振りまく準備が。さあ、はじまり、はじまり…。
──ソランジュ・ノウルズ
「それと闘う唯一の手段は、本当の意味で自分らしく生きて、ほかの黒人の女の子たちと『つながる』ことだと思うの。これまで自分がずっと順応しようとしてきたと気づき始めた女の子たちとね」
だからなのだろう、今回のインタヴューは、わたしたちが『順応しない黒人の女の子』同士としてつながるきっかけとなった。
あるいは、黒人女性を取り囲む境界線をぶち破りながら外の世界を塗り替えることに人生を捧げてきた開拓者として。どちらも音楽とアートと、エネルギーにあふれたオレンジ色が大好きな女の子として。ヘアスタイルについてしゃべりだしたら止まらないふたりの女の子として。
そしてなによりも、尊敬すべき、わたしたち以前に道を切り拓いてくれたパワフルなクイーンたちの血を受け継ぐ者同士として。前知識なんかはなかったけれど、わたしたちは確かに、お互いのもつ正直さにインスパイアされた。
世界を相手にする準備はできた。ブラック・ガールの魔法を、世界のすみずみにまで振りまく準備が。さあ、はじまり、はじまり…。
──ソランジュ・ノウルズ
自分の影響力について、またはヴァイラルという現象について
──あなたを知ったきっかけは、映画『ハンガー・ゲーム 』(2012年)を観てない人であればきっとみんなそうだと思うのだけど、例の動画だった。あなたが投稿した、ブラックカルチャーに対する搾取についての動画、『Don’t Cash Crop My Cornrows』(訳注:私のコーンロウを金儲けに使わないで)。あれは本当に素晴らしかった! そもそもは授業の課題としてつくったと聞いたけれど、「公開」ボタンを押すまでに一瞬でもためらいはしなかった?
あの動画があれほどの議論を引き起こすなんて、ほんとうに考えてなかったの。それなのに、あれ以降「革命的」というレッテルを貼られて本気で怖かった。自分に問いかけてしまう瞬間すらあったのよ。「ねえ、これが自分のしたいことなの? そういう問題についてほんとうに話したいと思っていて、その価値があると思っているの?」って。
いまだに、「ちょっと待ってよ、プレッシャーがデカすぎる!」って感じることもあるわ。でも、それだけの価値はあるとも思ってる。だって、人から面と向かって、「あなたのおかげで、ありのままの自分でいることがずっと楽になった」とか、「あなたから『声』をもらえたような気がする」なんて言ってもらえるほど心強いことってないのだから。
ヘアスタイルについて、そしてマイノリティであることについて
──髪の毛の話はもうたくさん、って思うことはない?
それはもちろん! ちょっとした笑い話なのだけど、白人の友達がよくこんなふうに訊いてくるの。「アマンドラ、今週末に出かける予定があるんだけど、日曜日だけならわたしもコーンロウにしてもいい?」って(笑)。誰がどんな髪型をするかなんて話にはうんざりしてる。わたしはわたしの意見を声にしているだけなんだから。
──そうだよね。それを、あなたは動画のなかではっきりと示してる。すごく的確に、文句のつけようがないくらいに。
ただし、「力を与えてくれる」って意味で髪の毛の話をするのは、別にうんざりはしていない。わたしだって以前は自分の髪の毛を薬品でストレートにしてたときもあったし。ちっとも言うことを聞かない厄介なチリチリ髪の毛だと不満に思っていたこともあったわ。