くたびれたママチャリだろうがスマートなロードバイクだろうが、自転車には「ベル」をつけなくてはならない。
1世紀以上にわたって変革なしに生き延びてきたこの自転車ベルに、あらたなデザインが与えられた。
1世紀以上にわたって変革なしに生き延びてきたこの自転車ベルに、あらたなデザインが与えられた。
小さなレヴァーを弾いて「チリン」という音を出す単純な丸い金属片、というデディコート氏のヴィジョンは1世紀超生き続けた。
形は単純だし、率直に言っていらいらさせる音だが、彼のデザインは、クラシックな自転車でも洒落たロードバイクでも等しく事実上の標準的な自転車ベルとなっている。
ヒューゴ・デイヴィッドソンは、その自転車ベルが気に入っていなかった。彼は、「8,000ドルのカーボンファイバーのロードバイクに5ドルそこらの中国製ベルを搭載したい人間はいない」と言うが、それも一理ある。
デイヴィッドソン氏は、Knogという名の豪州の自転車付属品メーカーの共同創業者兼首席デザイナーだ(彼らは曲げやすいフロッグライトで有名だ)。
同社の最新の自転車付属品は「Oi」という名の、自転車ベルに見えない自転車ベルだ。
光沢のある金属の小片がハンドルバーをブレスレットのように包み込み、装着される。
彼らは、最近KickstarterでOiのキャンペーンを打ち、求める金額の30倍近い資金を用意した。確かに、かっこいい自転車ベルには大きな需要があるようだ。
大半のベルは小さなハンガーバー、あるいはマッシュルームのようにも見える。なんだっていい、どう描写しようが、それらの自転車ベルはそれ以外の何物でもない。だが、Knogはそのお決まりの造形に挑戦するとともに、音も改良しようとした。デザイナーチームはグロッケンや木琴といった楽器が音を出す仕組みを検証することから始めた。
「わたしたちは、金属やパイプを小片に切断していきました。そのとき、それら小片は、叩くと美しい音が鳴るのにもかかわらずハンドルバーに固定すると鈍い音になってしまうことがあるのに気付きました」とデイヴィッドソン氏は言う。
よく澄んだ、チリンという音をつくるために、デザイナーチームはさまざまな形のさまざまな金属で200個近くの試作品を製作した。「わたしたちが求めたのは、よりハーモニーのあるものだったのです」と、デイヴィッドソン氏は語る。結果、アルミとチタンが最も澄んだ音色を生むこと、充分な音量を出すには金属リングのカーヴが180度を超える必要があることを発見した。
できあがったOiの仕組みは、次の通りだ。
曲がった金属片が柔軟性のあるプラスチックの小片の上に乗っていて、さまざまな形状のハンドルバーに適合するようになっている。バネの入ったプラスチック製のアクチュエーターを弾くとアクチュエーターが金属を打ち、非常に心地よくかつ驚くほど大きなチリンという音が鳴る。しかも見た目も魅力的だ(もっとも、端から見ていてそれに気づくことはめったにないだろう)。
Kickstarterに対する反応からみるに、Knogは、デザインを重視する自転車愛好者を、見栄えを優先しつつも安全性を犠牲にはしない人々を、あるいは美しい自転車に醜いベルを搭載したくない人々を掴んだようだ。
TEXT BY LIZ STINSON
TRANSLATION BY WIRED.jp_ST
WIRED NEWS (US)
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