月曜日, 8月 22, 2016

まじ蚊!? 中国の「蚊の工場」:画像ギャラリー


毎週200万匹の蚊を放出

中国の「蚊の工場:画像ギャラリー」




熱帯病対策のため、細菌を注入して不妊化した蚊を毎週、約200万匹放す実験が中国で行われている。大量の蚊を培養する「蚊の工場」を画像で紹介。




シー・ジーヨン教授は、中山大学と米ミシガン州立大学の熱帯病昆虫媒介抑制共同研究センターで指揮を執っている。同教授が立っている大量生産工場では、大量の蚊を繁殖させて育てている。

比較的孤立していることから選ばれた中国広東省広州市沙仔島で、研究員が雄の成虫の蚊を放している。不妊化させた雄の蚊を、野生の雌の蚊と交尾して感染させるのだ。

沙仔島の村人が、我が家に向かって歩いている。この島で、中山大学と米ミシガン州立大学の熱帯病昆虫媒介抑制共同研究センターは野外実験を行っている。

蚊が時々、ラボで脱走することがあるので、技術者は電撃蚊取りラケットを手元に置いている。

ラボの技術者が、沙仔島でまもなく放される成体の蚊が入ったコンテナの準備をしている。

博士課程の学生で研究員のチャン・ドンジンが、小さな懐中電灯で照らしながら、トレーに入れられた蚊の幼虫(ボウフラ)を点検している。

研究員が、蚊の蛹(オニボウフラ)が入った容器を研究用のケージに入れている。

究員が持っている容器に入った蛹は、もうすぐ、もっと大きな桶型容器に移される。

研究員が、スポイトを使って、研究のために蚊の幼虫を顕微鏡下に置いている。

2012年のプロジェクト始動時に、科学者たちは、一部の昆虫に生殖上の問題をもたらすことで知られているボルバキアを、ヒトスジシマカの野生卵に注入した。続いて、生き残ったものから、子孫にボルバキアを伝えられる雌を選び出し、その雌を使って、感染している個体群を繁殖させた。「放す蚊はすべて、1匹の蚊の子孫だ」とジーヨン・シー所長は語る

研究員が、蛹をすくって、もっと大きな桶型容器に入れている。成虫になるまで、この容器の中で育つ。

研究員が、蚊の幼虫がいっぱい入ったトレーを懐中電灯で照らしている。

技術者が、熱いプレートの上で、蚊に与える動物の血を温めている。

大量生産工場で、ラボの技術者が、水を使って、雄の幼虫と雌の幼虫を分けている。雌の幼虫は、雄よりも大きいので特定しやすい。雌は捨てられ、雄は成虫になるまで育てられる。

研究員が、蛹が入った容器を研究用のケージの中に入れている。



中国広東省広州市にある熱帯病昆虫媒介抑制共同研究センターでは、ジカ熱などの病気と闘う科学者たちが、蚊の卵に「ボルバキア」という細菌を注入している。
その後、成体になった雄を野生に放って、雌に感染させる。
感染した雌は、孵化しない卵を産む。
同センターは毎週、約200万匹の蚊を放している。


カナダ人の写真家ケヴィン・フレイヤーは2015年、この話を耳にしてすぐに飛行機を予約した。「中国は、世界最大の多くのものがあることで知られているが、世界最大の蚊工場はぜひこの目で見なければ、と思った」と同氏は語る。


ヒトスジシマカは、世界で最も普通に見られる蚊だ。
蚊が媒介する中国の病気のほとんどは、この蚊が原因だ。
また、ヒトスジシマカはジカ熱やデング熱、黄熱病を世界に広めている。


中山大学と米ミシガン州立大学が運営する同研究センターの科学者たちはこの4年間、ボルバキアに感染した蚊を近くの島で大量に放してきた。

ジーヨン・シー所長によると、実験場所の蚊の個体群に関する最近の調査では、個体群密度を99パーセント減らせたことがわかったという。


フレイヤーは、6月にラボで4日間過ごし、至るところで蚊を見た。幼虫はトレーの中で泳ぎ、孵化幼生がケージの中を這い回り、容器の中の成虫は放たれるのを待っている。
気味が悪いと思う者もいるかもしれないが、カナダのマニトバ州ウィニペグ出身のフレイヤーはひるまなかった。

「わたしが育ったところでは、蚊は州鳥だとよく冗談を言っていた」

感染した卵が孵ると、研究員は、雄の幼虫よりサイズが大きい雌の幼虫だけ選んでこれらを廃棄する。
2週間後、残った雄の幼虫をケージに移し、動物の血液で太らせる。
十分に成長したら、ふたをしたバケツに入れ、沙仔島やDadao Islandsなどの島まで運んで放す。


ケンタッキー州とオーストラリアの研究チームも、同様の研究を行っている(オーストラリア主導の研究チームは2005年からプロジェクトを開始。
インドネシア、ブラジル・リオデジャネイロのスラム街などで大規模な蚊の放出実験を行っている)。

米国のヴァンダービルト大学の専門家である医師ウィリアム・シャフナーによると、この方法は、ブラジルなどで行われている遺伝子組み換え蚊の放出(日本語版記事)ほど物議を醸さない、環境に優しい解決策だという。





PHOTOGRAPHS BY KEVIN FRAYER/GETTY IMAGES
TEXT BY LAURA MALLONEE
TRANSLATION BY MINORI YAGURA/GALILEO

WIRED (US)

 

 

「遺伝子組み換え蚊」は人類の敵か、味方か


遺伝子を組み換えられたネッタイシマカ「OX513A」の実地試験がブラジル、ケイマン諸島、パナマ、マレーシアで行われている。米国の食品医薬品局(FDA)の予備的調査を通過したため、フロリダキーズでも実現するかもしれない。




米国の規制当局が5年間審査してきた「遺伝子組み換え蚊」が、実地試験の承認までに残されたハードルのひとつを通過した。米国の食品医薬品局(FDA)が2016年3月11日(米国時間)に発表した。

FDAは予備的調査の結果として、Oxitec社のネッタイシマカ「OX513A」は、同社が試験を申請しているフロリダキーズのコミュニティー、キー・ヘヴンの人や環境に対して重大な脅威は与えないという見解を発表した

環境評価による「影響なし」との最初の判断を受け、一般からの意見を30日間受けつけ、その後、FDAが最終的に判断する。FDAが予備的調査によるゴーサインを承認すれば、OX513Aはすぐに放たれる可能性がある。

OX513Aのオスは、当該地域の野生のネッタイシマカの数を激減させる目的で、致死遺伝子を組み込まれている。テトラサイクリン系の抗生物質を与えられなければ生きられないため、管理されたオスは野生のメスと交尾するまで生きられるが、交尾によって生まれた次の世代は生殖機能を持つ前に死ぬ(日本語版記事)。

米国では南東部に多いネッタイシマカは、ジカ熱(日本語版記事)、デング熱、黄熱、チクングンヤ熱などのウイルスを媒介する可能性がある。

OX513Aはすでに、ケイマン諸島、パナマ、マレーシア、ブラジルで実地試験が行われている。
ケイマン諸島での実地試験は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けて2009年から行われ、330万匹のOX513Aが放たれた。ブラジルでも2011年から大規模な実験が行われ、85%の減少を報告(日本語版記事)。2014年に規制当局から許可を受けた

フロリダ州キー・ヘヴンは、キー・ウエストから東に数kmに位置する500世帯足らずのコミュニティーだ。2009年から2010年にかけてデング熱大流行の被害があり、試験地に選ばれた。

ただし、キー・ヘヴンの住民全員が今回のFDAの判断を喜んでいるわけではない。

キー・ヘヴンに住むミラ・デ・ミラーはCNNに対して、「人々はモルモットになることを望んではいません」と語っている。「コミュニティーのメンバーは容認していません。地方政府と連邦政府が、わたしたちとその願いを保障しないのであれば、最終の手段として司法制度を頼り、裁判所に訴えることになります。現在のところ法廷闘争はひとつの選択肢となっています」と同氏は言う(遺伝子を組み替えても一定の割合の蚊は何らかの形で生き残るため、生き残った蚊が生態系にどのような影響を及ぼすかが不明だという懸念の声がある)。

Oxitec社のハディン・パリーCEOはCNNへのコメントで、キー・ヘヴンからの全面的な支持が得られていないことを認めつつ、公衆衛生問題ではよくあることだとしている。

パリー氏はまた、ジカ熱ウイルスが世界で拡大(日本語版記事)していることから、実地試験が緊急に必要だと述べている(Oxitec社は2014年7月、ブラジルにOX513Aを商業生産する世界初の新工場を開設したと報道されている

1週間当たり50万匹の「OX513A」を生産する能力があり、将来的には最高200万匹まで増産できるという)






PHOTOGRAPH COURTESY OF US DHHS
TEXT BY BETH MOLE
TRANSLATION BY RYO OGATA/GALILEO

ARS TECHNICA (US)

 

 

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