火曜日, 8月 02, 2016

もし騙されたくなければ「目を見て話してはいけない」

 

 

世界一だまされにくい華僑は「目を見ない」

 

 

  


コミュニケーションをとるにあたって、相手がどういう意図をもってそのような発言や提案をしているのかを知るのは、とても大切な要素の一つです。

故郷を離れ、身一つで他国に乗り込みビジネスを成功させている華僑は、交渉術に長けていると言ってもいいでしょう。

交渉するにあたって誠意を持って対応するのは当然のことだと思われますが、これは性善説に偏ったものの見方、ということを知っておく必要があります。
大半の日本人が無意識のうちに性善説をベースに議論しているところに罠があったりします。
その対策としてまずは、対人関係において性善説・性悪説の両面からアプローチするようにしましょう。そうすれば今よりも交渉において優位に立てるのは想像に難くないでしょう。

性善説と性悪説は相矛盾する思考だと考える人も多くいますが、実はそれは間違いであると気づくことから始めましょう。

性悪説とは初めから相手が悪者だと仮定してみるものではありません。
放っておいたり牽制機能が働かなかったりすれば、悪いことも考えてしまうのが人間です、というぐらいの理解でいいでしょう。





目は一番ウソをつく 

 

 








「何もやましいことがないのであれば、目を見て話しなさい!」

小さいころや思春期に、親や目上の人、学校の先生にそうたしなめられた人は多いのではないでしょうか? 
また、「目を見ないということは、ウソをついていると誤解されてもおかしくない」などと言われたことがある人も少なくないのではないでしょうか? 
 
では、少しそのころのことを思い出して下さい。

 心のどこかで、
「そうか、目を見て話せば、ごまかせるかもしれない」
「これ以上怒られないためには反省している目(表情)をつくろう」 
こんなふうに考えたことのある人は少なくないのではないでしょうか?

そして、そんなことを繰り返すうちに目でウソをつくことを無意識のうちに習熟していくのです。

お金儲けの達人の代名詞、ユダヤ人や華僑が小さい時から駆け引きや交渉術を学ぶように、多くの日本人が目でウソをつくことを小さなころから訓練されているのです。

少し考えれば簡単に分かる話ですが、目をしっかりと見据えて話しているからといって、本当のことを言っている、ということには全くなりません。

人間の適応能力は非常に高く、柔軟性をもっています。
例えば、目の前に何かが飛んできたら目をつぶる、という条件反射は、誰もが身に覚えがあると思います。一方で、格闘家やコンタクトスポーツ選手は顔面にパンチやボールが飛んできても、キッチリと目を開いてそれを見ています。練習や訓練をすれば、多くのことができるようになる一つの例です。

目は基本的には、それほど多く動くものではありません。会話中であれば尚のこと動きが少なくなります。
動物である人間は、自然と動くものにセンサーが反応し、注意するように初期設定されています。そのような側面もあり、止まっているもの、動きの少ないものに注意する、またそこから情報を読み取ることが得意ではありません。

動くものは自分に危険が迫った時に対応できるよう、脳が感知しています。一方、止まっているものには安心を覚えます。
「目をしっかりと見て」と言うのは、案外それを言っている方が落ち着いて状況を判断するための方便でもあるといえるでしょう。



華僑はどこを見ているのか 

 


顔の中で一番動きが大きいのは「口」です。

目を作って表情を作ることに慣れている、というの先ほど書きました。
ですが、「その口はなんだ!」と注意を受けたことのある人はあまりいないのではないでしょうか? 
食べたり、話したり、呼吸をしたり、と口は常に動くものと認識されていますし、弁明をする際も話さなくてはならないので、口の動きはそれほど注目されません。

だからこそ、華僑たちは交渉の時に、“無防備”である相手の口元から情報を収集しています。

格言に「目は口ほどにものを言う」というものがあります。
ある側面から見ればそれは当たっていますが、ビジネスの交渉の場面では「口がすべてを物語る」なのです。

華僑及び中国人たちの食事の時間が長いのは有名ですが、食事をしている時は口を“作る”のが非常に難しく、その時に相手の本意を探るという意味もあるのです。



口には感情が現れやすい

 



真面目に人の話を聞いているフリをしていても、不満がある時は、微かに口をとがらせています。
真面目な目をしていても、納得がいかないときは口角を下げてうなずいてしまうものです。嬉しくないフリをしていても、口角があがってしまいそれを隠すことはできません。
平謝りをしているのに、一瞬、謝罪の気持ちが揺らいだときは、奥歯を噛みしめたりしてしまいます。

上記の例はほんの一部ですが、目を視界にいれながらも口の変化を見ている華僑たちは、相手の心情の微妙な変化をいとも簡単に読み取っています。

ただし、口角が上がったり下がったり、口の中の歯の噛み合わせを変えたり、というのはもちろん個人差があります。


長時間の交渉などであれば、その間に相手の口の動きのクセを見破ればいいのですが、短時間の場合は、どのようにすればいいのでしょうか? 

正解は、「古き良き日本の伝統的な交渉術から入る」です。

最近のアメリカナイズされたビジネス会話のパターンは結論から先に述べて、それについての説明を順番にしていくというものですが、日本では昔からまずは雑談から入って、というのが自然です。

そうです。短い時間の中でも、まずはちょっとした雑談から始めていくのです。相手が忙しい人なら「早く要件から言ってくれよ」というメッセージが口に表れます。
相手が雑談にのってくるようなら、その人の通常心理のときの口の動きがわかります。

このように、初対面、あるいは長時間に及ぶ交渉、また短時間の交渉でも、相手の口のクセを見抜くことは可能なのです。

 

人相見になれば不安が激減

 



元来、中国人には人相見が多くいます。それには歴史的な背景も関係しています。

これは島国で暮らしてきた日本人と中国人との違うところです。日本は古来から一系の皇室をいただいている世界でも類稀な国家です。一時期武将たちの陣取り合戦などはありましたが大陸的ではありません。

一方、中国は4千年の歴史の中で漢民族、満州族、チベット族、南方民族などが絶えず内戦を繰り返してきました。その背景を理解すれば、華僑たちが人相見になった理由が理解できるでしょう。

ひとたび政権王朝がひっくり返れば、前王朝時代に財産・名誉・地位などがあった人から粛清されます。財産・名誉・地位などは簡単に取り上げられなかったものとされてしまいます。何かあったときに信じられるものは何か?というと結局は「人」ということになります。人の中でも自分を絶対に裏切らない人、ということが一番の条件です。

そのような理由から、信用できる人を見抜く術は親から子へ、子から孫へと歴史的に受け継がれているのです。その技術の中に人の顔の動きを読むこと、人相見も含まれ、それには敏感になっているのです。

このような華僑たちのワザをうまく取り入れれば、現代のグローバル社会においても非常に有利なものとなるでしょう。


口を見ることから始め、人相見になってしまうと、「いちいち人が何を考えているのかを探っているようで嫌だ」と感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、この技術は交渉に使えるだけではありません。気づくという観点から言うと、優しさや良好な関係性を保つためにも様々に使えるのです。
例えば部下などが無理して頑張っているのに気づかずに頑張り続けさせてしまう、ということも回避できたり、夫婦間や親子間、ほんの些細なSOSにも気付けるようになるのです。「ああ、あの時の表情は、 そういうサインだったのね」などという恋人同士のすれ違いにも敏感になれれば、後で後悔するといったことも減ることでしょう。

中国人社会では、「賢い=ずるい」「ずるい=賢い」と表現されることが多くあります。狡さを知りつつ、あえてそれを使わない。あるいは少しだけ周りの幸せのために使ってみては如何でしょうか。

完璧に演じたつもりの最高の愛想笑い、作り笑いも、相手が口を見る技をマスターしていれば、あなたの「本当の心」が簡単に見抜かれてしまうでしょう。






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