仮想通貨の根幹であるブロックチェーン・テクノロジーとは
ビットコインを開発した謎の開発者、サトシ・ナカモト、はインターネットの誕生以来の革新的なテクノロジーを発明しました。
これを「ブロックチェーン・テクノロジー」と言います。
では、この技術の何が?どうすごいの?かを解説していきます。
ブロックチェーンは皆で監視しあう分散型のシステム
ブロックチェーンは分散型のコンピューターネットワークであり、中央集権を置かずにして信憑性のある合意に到達する方法を可能にする技術です。
分散型のシステムは世界中に点在するパソコンにデータを置くことで、(一つの場所にデータを置かないようにして)壊すことができないネットワークを作る技術です。
その分散型のネットワークを認証システムをすれば、中央集権が不在でも信憑性のある合意を達成させることができます。
分散型システムを止めるには地球全体を壊滅させるほどの隕石が宇宙から降ってくるか、全世界の機械類が同時に破壊されてしまうほどの大規模な太陽風に襲われるかぐらいの災害が起きる必要があります。
なぜなら、データを保持する全てのパソコンを壊さなければ、ブロックチェーンは複製しながら復活することができるからです。
ブロックチェーン誕生以前は、全てのトランザクションはVISAやPayPalや銀行などの第三者機関を通して行わなければなりませんでした。
従来のモデルだと第三者機関が中央集権として絶対的な力を持っていたわけです。ですから、これらの第三者機関が「このトランザクションは有効であり、正しい」と言えばそれが正解になってしまっていたのです。
しかし、ブロックチェーンを使えば第三者機関を通さずにしてトランザクションのコンセンサス(合意)を得ることができるようになりました。つまり、買い手と売り手が直接取引できてしまうのです。
ビットコインのブロックチェーンでは数字を管理しているので、「通貨」として利用することができます。
帳簿が全世界に向けて公開されているので、人それぞれのウォレットにはいくら入っているのか(正確にはいくら使うことができるのか)が分かるようになっています。
したがって、ブロックチェーンを騙すことは基本的にはできません。
例えば悪い人が「俺のウォレットには10000BTC(ビットコインの単位)入っているぞ!」とウォレットの残高を偽装しようとしたとしても、その人のウォレットに10000BTCが入っているという記録がブロックチェーン上にそもそも存在しないことが皆にバレているため、その悪い人が自分の持っている以上の仮想通貨を使おうとした時点でそのトランザクションが拒否されます。
全取引履歴のデータが世界中に散らばっていて、皆でシステムを監視しあっているため、特定の人によるシステムのハッキングを防止することができるのです。
このように皆で構築するネットワークがブロックチェーン・テクノロジーであり、世界を変えてしまう革命的な技術なのです。
ブロックチェーンを使えば、一部の力を持った者に支配されることなく、世界中の人と自由に取引をすることが可能になります。
ブロックチェーンを応用したら、全ての仲介役を省くことが可能になる
ブロックチェーン・テクノロジーは通貨としての利用に留まりません。
ブロックチェーンは現在第三者機関に頼っている全ての業界の仲介役を取り除くことができ、第三者機関に頼らずにして回る世界を構築することができます。
例えば、日本株を買いたかったら現在は証券会社を通して証券取引所で株を買い、株の保管・管理は証券保管振替機構(通称ほふり)を通して行われます。
もしブロックチェーンを使えば、わざわざほふりなんて通さなくても株式の保管・管理を自分自身で行うことが可能になります。
また、インターネットのドメインを買いたいなら、現在はICANNという第三者機関を通して行われます。
もしブロックチェーンを使えば、ドメインの所有権の管理を第三者機関を通さずに行うことが可能になります。もちろんドメインだけに留まらず、不動産や車などの所有権をブロックチェーン上で管理すれば、第三者機関を通さなくてもよくなります。いままで紙ベースでやっていた全ての契約はブロックチェーン上での契約に置き換えることができます。
また、投票ソフトウェアを開発して、投票結果をブロックチェーン上に残すようにすれば、不正が一切できない国民投票のシステムを作ることだってできます。
ブロックチェーンの可能性は無限大なのです。
国のパワーではブロックチェーンを止められない
インターネットがフィルターされたとしても別の国に行けばこの問題は解決してしまうように、一つの国が仮想通貨を禁止してもその国を出れば、また使えるようになります。
もし国が本気で仮想通貨を完全排除したかったら、世界の全ての国が同時に排除にあたるしかありません。しかし、世界の全ての国の意見が満場一致することはまずありえません。全員の意見が一致するのならそもそも国が分かれていること自体がおかしいからです。
したがって、仮想通貨とそれを支えるブロックチェーンの普及は誰にも止められません。
ビットコインがいつか滅びたとしてもブロックチェーンの概念はもはや消し去ることはできないので、そのときはビットコインが別の仮想通貨に取って代わられるだけです。通貨がインターネットに出会い、全てが根底から変わってしまったのです。
ブロックチェーン・テクノロジーの誕生はインターネットの誕生に匹敵するくらい革新的な技術だと言えるでしょう。
これから仮想通貨生活を始めたいなら、まずは仮想通貨の王様である「ビットコイン」を学ぶことから始めましょう。簡単に「ビットコイン生活」を始めることができます。
Bitcoinとは?
Bitcoinとはブロックチェーン・テクノロジー(公開帳簿)を採用した最初の仮想通貨です。Bitcoinは人間が発行しているわけではなく、世界に存在し得る数量の上限はあらかじめ決められています。
イメージで言えば、金(ゴールド)のデジタル版です。
よく色々なメディアで出てくるビットコインの山はあくまでも「イメージ」であり、実際にはデジタルなので形があるわけではありません。単なる画面上の数字です。
コンピューターにマイニング(採掘)という作業をさせることで発行数量が増えていきますが、採掘できる量がどんどん少なくなっていくので掘り尽くしたら、あとは交換(トレード)で手に入れるしか方法がなくなります。
テック企業がブロックチェーンに夢中な理由:IBMの場合
世界のテック & 金融業界の大企業たちが2015年に立ち上げた、ブロックチェーン技術を活用した資産取引のより安全な方法を探るプロジェクト
「Hyperledger」。プロジェクトに参加しHyperledgerの活用を目指すIBMは、ブロックチェーンにどんな可能性を見ているのか?
「ビットコイン」という言葉はいまだに、金融機関を介さずに資金調達しようとする麻薬密売市場や無政府主義のハッカーといったイメージを連想させるかもしれない。しかしいま、世界の大企業たちは「ビットコインを支える技術=ブロックチェーン」を活用しようとしている。
IBM、インテル、シスコ、JPモルガンらのテックおよび金融業界の大手企業からなるグループ(The Linux Foundation)は2015年12月、ビットコインにヒントを得て、株式などの資産を、もっと安全で信頼できるかたちで取引する方法をつくるオープンソースプロジェクト「Hyperledger」を立ち上げた(2016年2月には新たに12社が参加表明を行い、グループは計30社になった。日本からは、当初より参加表明を行っていた富士通のほか、新たにNTTデータ、日立グループ、NECが加わった)。
世界の大企業にソフトウェアを提供してきたIBMが、この金融ソフトウェアに「次の大きな可能性」を見出すのは当然だろう。しかしIBMは、サー ビスをほかの企業に売るためだけにHyperledgerを使うわけではない。社内での活用も考えていると、IBM研究所のディレクター、アルヴィンド・クリシュナは6月16日(米国時間)、ニューヨークで開催された「2016 WIRED Business Conference」で語った。
信頼のない「信頼のシステム」
ブロックチェーンとは本質的に、(ビットコインに用いられる場合で説明をすると)誰がどのビットコインを所有しているかを追跡するための「分散型台帳(レジャー)」だ。
ビットコインで支払いを行うと、決済処理業者がブロックチェーンをチェックし、ユーザーが使用しようとしているビットコインをもっていることを確認してから台帳に新しい取引を書き込む。ネット上には同期された台帳のコピーが大量に存在するので、ひとつのコピーを改ざんすることでブロックチェーンを欺くことはできない。
クリシュナの説明によると、Hyperledgerはブロックチェーンに似ているが、取引相手の身元を照合するためにもっと多くの機能を追加しているという。大企業や各国の政府が取引を行う場合、そうした機能が不可欠だからだ。
このシステムの真の力は、人や組織を信頼せずとも、システムを支える数学だけを信頼すればいいところだとクリシュナは言う。つまり、騙される心配なしに、会ったことのない相手とビジネスを行うことができる。ネットワークが照合をきちんと行うまで、ブロックチェーンで取引される資産の所有権がほかへ移ることはないからだ。
クリシュナによると、IBMはメーカーからの仕入れや顧客向けの購入資金の融資といった取引を年に何百万件も処理しており、税率や出荷に関するミスが日々起こっているという。こうした問題をひとつ解決するには、平均で40日かかってしまう。
IBMがHyperledgerを利用することで、実際に誰が、何に対してお金を支払ったのかを照合できる透明なシステムをつくりたいとクリシュナは考えている。もしIBMがHyperledgerをうまく機能させることができれば、そのシステムが誰もに役立つことを意味するだろう。
TEXT BY KLINT FINLEY
TRANSLATION BY MINORI YAGURA/GALILEO
WIRED (US)
TRANSLATION BY MINORI YAGURA/GALILEO
WIRED (US)