金曜日, 5月 10, 2013

Ultrabookと一緒に持ち歩きたい 超小型マウス「Logicool Cube」


最近では長期的な評価のために、Ultrabookを持ち歩いて使うことが多い。現在日本市場で販売されているUltrabookは、いずれもポイ ンティングデバイスはタッチパッドである。ただし、その品質や操作感は千差万別で、なかには「これはちょっと実用に耐えないな」と思うタッチパッドもある。

そこでUltrabookと組み合わせて使う小型マウスを物色していたときに、副編集長から「これ面白そう。これやって!」と情報を持ってきたの が、今回レビューする「ロジクール キューブ」(以下キューブ)だ。マウスボタンのない超小型のデザインと、プレゼン テーション機能を持つという変わったマウスだ。今回は最近発売されたばかりの「ピアノブラック」モデルを試用して、その使い勝手を検証してみる。

ロジクール キューブ(ピアノブラック)

パッケージもキューブ
小さいが手に馴染む形状とサイズ

キューブはサイズの割にやや高め(直販価格6980円)の製品だが、その分だけパッケージを含めたユーザー体験には気をつかっている。梱包箱自体が正四面 体の立方体で、しっくなデザインも魅力的だ。中を開けると、キューブ本体とUnifyingレシーバー、充電用の短いUSBケーブル、本体をぴったり包む キャリングケースなどが出てくる。紙のインストレーションガイドはあるが、箱が小さいのでドライバーCD-ROMなどは入っていない。

キューブの箱(写真左)と同梱物。
シックでしゃれたデザインはマウスらしくなくていい
付属のキャリングケース。ケースをつけなくても持ち運びには
苦にならないが、つるてかボディーが傷つくのを防げる
付属の充電用USBケーブル。長さは約14cm。
なお有線接続では使えない

ボディーにはマウスボタンの類は一切ない。裏面に当たる部分にはセンサーの窓があり(センサーはレーザー式)、マウスの手前側に当たる部分には、小さな電源スイッチと充電用のmicro USB端子がある。

キューブを前から。
見てのとおりマウスボタンやホイールはどこにもない。「消しゴムかと思った」という人もいるくらい、マウスらしくないデザイン
手前側。左のmicro USB端子は充電用。
右は電源スイッチで、緑色が見える状態が電源オン
電源をオンすると、短時間だけ緑色のLEDが点灯する。
内蔵バッテリーが減った状態になると、赤く光る

ボタンレスデザインは意外に使いやすい

何度も書いているが、キューブには目に見えるマウスボタンがない。ボディー前端の上をクリックすると左クリック、中央をクリックすると右クリック(セカンダリ クリック)になる。見た目にはボタンはないもの、クリックする部分にはスイッチがあり、押し込むと小さく「カチッ」と音がしてクリック感のフィードバック がある。

写真の左上側のやや白く反射して見える部分がスクロール機能の
センサー部。指を前後にすべらせるとホイールと同じ操作ができる

ホイールの代わりとしては、左クリックと右クリックの間にある、やや凹んだ部分がスクロールセンサーとして機能する。ここで指を前後に滑らせると、上下スクロールと同じ操作ができる。記者の感覚では、ホイールのようにピタリと狙ったところで止めるのは難しいが、ウェブページの上下スクロールなら違和感なく使えるという感じであった。指の動かし方がホイールと似ているから、違和感がないのだろう。

スクロールの際には、このように凹みで指を滑らせる
前後のボタンの間がくぼんでいるおかげで、指の位置を目で見なくてもスイッチのおおよその位置がわかる。ただ、右クリックの部分はやや押し間違えやすいので、キーボードの[F][J]キーのように、控えめな突起があればよかった。

なお、マウスのセンサー方式はレーザー式を採用するが、同社のハイエンドマウスが備える「Darkfieldレーザートラッキング」のように、どんな平面 でも自在に動かせるというわけではない。いくつか試用した限りでは、ガラス面や平滑で反射の多い平面では、マウスポインターの動きが悪くなった。

目玉のプレゼンテーションモードは
単純な仕組みで実現

宙に浮かせて左クリックすると、プレゼンテーション
スライドを送ったり戻したりできる

キューブの目玉のひとつが、「プレゼンテーションモード」の存在だ。ボディーを宙に浮かせた状態で左クリックをすると、プレゼンテーションスライドの送りや戻しが可能になるという。一体どういう仕組みで実現しているのだろう?

実際にやってみると、その答えは簡単にわかった。宙に浮いた状態でのキューブは、左クリックスイッチに「Page Down」キー、宙で裏返すと左クリックスイッチに「Page Up」キーが割り当てられるのだ。そのため、宙に浮かせてクリックするだけで、PowerPointやAdobe Readerで表示したスライドを、次々と送ったり戻したりできる、というわけだ。

スイッチにキーが割り当てられるだけなので、対応するアプリケーションも選ばない。それどころか、ウェブブラウザーやテキストエディターでの上下スクロールにも使える。(スクロール機能があるから意味はないが)

仕組みがわかってしまえば、「キューブ以外のマウスでもできるじゃないか」と思ってしまうが、本体が小さく携帯性に優れたキューブなら、マウスを手で持ってボタンをカチカチやるよりもスマートなプレゼンテーションができるだろう。これを目当てで買うほどの機能とは思わないが、超小型マウスにプラスの付加価値をもたらしているとは言えそうだ。

ドライバなしでも使えるUnifyingは便利!
ボタン設定は変更できず

無線マウスであるキューブは、パソコン側のレシーバーに同社独自技術の「Unifyingレシーバー」を使用する。Unifyingレシーバーは、マウス だけでなくキーボードやタッチパッド、トラックボールなど、ロジクール製品で広く利用されているもので、レシーバー1個に最大6台までのUnifying 対応機器を接続して利用できる。

Unifying対応機器は、一度接続してしまえば特にドライバーソフト等をインストールしなくても使える利点がある。キューブにドライバーCD-ROM が付属しないのもそのためだ。しかし、機能面で細かいカスタマイズをしたければ、同社のウェブサイトから関連ソフトをダウンロードして、インストールする 必要がある。便利な機能もあるので、むしろ関連ソフトの導入は必ず行ないたいというほどだ。

本稿執筆時点でキューブ用に提供されている関連ソフトは以下の3種類。なおキューブはMac OS X 10.5以降への対応をうたっているが、以下のソフトはWindowsのみの提供となっている。
  • Unifyingソフトウェア
  • SetPoint 6.32
  • Flow Scroll(Windows 7のみ)
UnifyingソフトウェアとSetPointは、同社のUnifying対応機器で共通のソフトである。前者はUnifying対応機器のペアリング や、その解除を行なうツールとなっている。後者はマウスやキーボードの細かい設定、例えばボタンへの機能割り当てやスクロール量の調整、アプリケーション ごとにボタンへの割り当て機能を変えることが可能だ。

SetPointソフトウェアでのキューブの設定画面。ボタンへの機能割り当て変更は今のところできない。将来改善されるだろうか?
バッテリー残量の確認画面。キューブは内蔵のリチウムポリマー充電池で動き、満充電で最大15日間使用できるとしている

ただし、キューブはまだソフト側が対応していないのか、それとも最低限の機能だけをサポートしているのか、SetPointでは左右クリックのスイッチや スクロール部分への機能割り当て変更や、アプリケーション固有の割り当てといった機能はなかった。プレゼンテーションモードでの両スイッチへの機能割り当ても、今のところ変更の方法がないようだ。少々残念である。

最後の「Flow Scroll」はキューブ専用ではないが、同社のほとんどのマウスに対応したウェブブラウザー用アドオンである。対応ウェブブラウザーは、 Internet Explorer 8/9、Firefox 6以上、およびChrome 13以上。対応OSはWindows 7のみとなっている。通常の状態では、キューブでのスクロールの操作をウェブブラウザー上で行なうと、数行分が一度に動くスクロール操作となる。しかし、 このプラグインをインストールすると、スムーズなスクロールがウェブブラウザーで可能になる。SetPoint同様に、ユーザー自身でインストールする必要があるが、導入しておいて損はないツールである。

Flow Scrollを導入した状態でIE9を起動してみた。プラグインの有効化が求められる
導入後のIE9のアドオン管理画面。特に設定項目はないようだ
こちらはFirefox 10のアドオン管理画面で見たFlow Scroll
プレゼンテーションモードに過大な期待を抱くと肩すかしを食わされた気分になるかもしれないが、ポケットにも入る超小型マウスとしては、キューブはなかな か優秀な製品である。記者も冒頭のとおり、Ultrabookと一緒に持ち歩いて使っている。なにせ小さいので、カバンの中に放り込んでおいても邪魔にな らないし、Ultrabookだけを手に持ち、キューブはポケットの中というのも余裕だ。ボタンは変則的だが使い心地は良好なので、携帯しやすい小型マウスを求める人にお勧めできる。



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