水曜日, 7月 03, 2013

Ina Jang個展

開催日：2013.6/8 - 2013.8/10
開催地：G/P＋g3/ gallery
フォトグラファー：Ina Jang

イナ・ジャンは自らの写真において、グラフィカルでフラットで、ニュートラルな平面性を求めます。彼女の写真を、ファッション的で「ガーリー」にさえ感じさせるパステルカラーやヌードカラーは、「その色の名前が特定出来ないような色は、イメージに名状しがたい曖昧さを与えるために」確信犯的に用いられています。また、カットアウトやモデル、背景、小道具を使って画面全体を極めて均質でフラットに保つことで、特定のできないいくつものストーリー(ファンタジー)を生み出す、マジカルな平面性が作り出されるのです。

ジャンは1982年に韓国で生まれ、日本滞在を経て、現在ニューヨークを拠点に活動しています。近年「Foam Talent」を含む数多くの賞を受賞し、2011年にはイエール国際モード＆写真フェスティバル(Hyeres International Festival of Fashion and Photography)にノミネートされ、その独創的なイメージで高い評価を得ました。

近年、ブームともいえるファッションブランドによるアーティストへのコミッションや、webメディアでの写真の扱い方の変化によって、ファッション・フォトとコンテンポラリー・フォトの境界線は、（その他のあらゆる境界線とともに、）ますます曖昧なものになってきています。当然、イナ・ジャンの写真には、コンテンポラリー・アートとしての写真の文脈で試みられてきた、イメージのフィジカリティや両義性、イメージの価値についての思考実験の影響を見ることができるでしょう。そして、コンセプチュアルな要素に頼りすぎず、写真が生み出されるすべての過程を楽しんで「気軽に」イメージに接する事で、イナ・ジャンは既存の領域にとらわれない若きスタープレイヤーとして、新たな視覚性のプレイグラウンドを生み出しているのです。