水曜日, 2月 03, 2016

メカニカルドーピング|Vivax Assist

自転車世界選手権で初「メカニカルドーピング」発覚。フレームに隠しモーター、選手は故意を否定も罰金2400万円の可能性

 



国際自転車協議連合(UCI)が、1月30日に開催された自転車の世界選手権レースにおいて電動アシスト機構を隠して搭載した競技用自転車が発見されたと 発表しました。世界選手権クラスのレースでの不正な電動アシストの使用発覚は史上初とのこと。乗っていた選手はその自転車を「自分の自転車ではない」とし て故意ではなかったと主張しています。

隠しモーターの搭載が発覚したのは、ベルギーで1月30日に開催されたシクロクロス競技の世界選手権。U-23クラスに地元ベルギーから出場した女子選手の自転車でした。

問題の自転車はメカトラブルによってレースを途中棄権したあと、車検のためオフィシャルによって回収されたときに不正が発覚しました。

しかし、不要なものは全て削ぎ落とした競技用自転車のどこにアシスト機構を組み込んだのかが気になるところ。UCI は不正に仕込まれたからくりについて明らかにしていないものの、ベルギーのメディアはシートポスト内にケーブルを仕込み、その下部にモーターを内蔵してい たと報じています。

欧州では Vivax Assist なる隠しモーターアシスト機構が市販されており、これを使っていた可能性を指摘する声もあります。Vivax Assistでは、サドル下のフレーム内にモーターを挿入し、ギアによってペダルクランクに動力を伝達します。またバッテリーはサドルバックもしくはドリ ンクボトルに隠されます。





なお、自転車情報サイト BikeRader によると、Vivax Assist を組み込んだ自転車はスプリントやヒルクライムで威力を発揮するとされます。

女性選手は問題の自転車について「自分のものではない」と主張しています。この選手によれば、レース前のコース下見の際に、自分とまったく同じ自転車に乗 る友人がコースサイドに自転車を置いたままにしており、それをメカニックが勘違いして整備を実施、誤ってレースに使用してしまったとのこと。

いくらなんでもそれでは言い訳として苦しい気もしますが、現在のところこの選手に正式な裁定はくだっていません。もし故意と判断されれば当該レース失格のほか、6か月間のレース出場停止、最高で約2400万円相当の罰金などが課せられる可能性があるとのことです。

UCI はかねてよりこうした不正が行われることを予測しており、今回の発見にも不正機器が発する高周波電波を検出するタブレット端末を使用したとしています。


ちなみにシクロクロスについて説明しておくと、いわば自転車で走るクロスカントリー。1周数km、オフロードの周回コースを規定時間走り続けるというカー レースにも似たルールを採用します。自転車が壊れた場合はピットでの整備や自転車そのものの交換も可能。またコース設定によっては自転車での走行が不可能 で、選手が自転車をかついで走る区間もあったりします。

下は不正が発覚したレースのハイライト。コースはかつてF1も開催されたゾルダー・サーキットを一部使用しています。





 

Vivax Assist 4.0

自転車を内緒で「電動アシスト自転車」に改造できるキット「Vivax Assist 4.0」―バッテリーはドリンクボトルに偽装! 

 

「Vivax Assist 4.0」キットの特徴は、モーターをシートチューブ内に収納してしまったこと。これにより、自転車に電動アシスト機能が取り付けられていることを隠せるようになった。 
 
オーストリアの Gruber Antrieb GmbH & Co. は、自転車を「電動アシスト自転車」に改造するキット「Vivax Assist 4.0」を販売している。


「Vivax Assist 4.0」キットの特徴は、モーターをシートチューブ内に収納してしまったこと。これにより、自転車に電動アシスト機能が取り付けられていることを隠せるようになった。

「Vivax Assist 4.0」キットのモーター
「Vivax Assist 4.0」キットのモーター

モーターは、シートチューブ内に内蔵される
モーターは、シートチューブ内に内蔵される

「Vivax Assist 4.0」キットでは、バッテリーはサドルバッグに格納され、シート下に取り付けられる。だが、電動アシスト機能を徹底的に隠したい人向けに、バッテリーを ドリンクボトルに偽装した「偽装用パッケージ」も販売されている。このパッケージを装着すれば、第3者から電動アシスト自転車だと見破られることはまずな いだろう。

「偽装キット」のドリンクボトルバッテリ  そこまでこだわる理由がよくわからない
「偽装キット」のドリンクボトルバッテリ
そこまでこだわる理由がよくわからない

偽装用パッケージに含まれるスイッチ  これを押すと、電動アシスト機能がオンになる
偽装用パッケージに含まれるスイッチ
これを押すと、電動アシスト機能がオンになる

 
重量はバッテリーとモーターを合わせて1,800グラム。このうち、5.5 Ah のリチウムイオンバッテリーが占める重さは850グラムだ。このバッテリーをフル充電すると、電動アシスト機能をおよそ70分間使用できるという。

「Vivax Assist 4.0」キットの内容  自転車に詳しい人であれば、自分で装着できる   Gruber Antrieb GmbH & Co.による装着サービスは159ユーロ(約2万2,000円)
「Vivax Assist 4.0」キットの内容
自転車に詳しい人であれば、自分で装着できる
Gruber Antrieb GmbH & Co.による装着サービスは159ユーロ(約2万2,000円)

 
モーターの出力は200ワットと若干控えめ。だが、Gruber Antrieb GmbH & Co. は、このキットは、自転車を電動バイクにするのが目的ではないと述べる。そうではなく、サイクリストが苦しいときに、“見えない手”でそっと背中を押して あげるのが目的なので、この出力で十分であると主張している。


「Vivax Assist 4.0」キットは、登坂するサイクリストの背中を  “見えない手”で押してくれる
「Vivax Assist 4.0」キットは、登坂するサイクリストの背中を
“見えない手”で押してくれる

ひゃっほー!
ひゃっほー!

 
「Vivax Assist 4.0」を搭載した自転車(完成車)「VIVAX VELOCE CF」の価格は、5,998ユーロ。是非日本でも販売して欲しい。
 


「Vivax Assist 4.0」を搭載した自転車(完成車)「VIVAX VELOCE CF」
「Vivax Assist 4.0」を搭載した自転車(完成車)「VIVAX VELOCE CF」
 
 
 
 
 
http://ennori.jp/news/article/1776