驚くほど自信が湧いてくる! 自己効力感を高める5つの方法
ビジネスやスポーツの分野で、「自己効力感」が注目されています。
「自己効力感」とは、自分が課題を克服できるという期待や自信のこと。しかし、なかにはこの自己効力感が低く、「自分はできない人間だ」と思ってしまっている人もいます。
そこで、自己効力感についての基本的な知識や、高めるための方法を、一般社団法人モチベーションアカデミーの理事である佐藤基之さんに教えてもらいました。
自己効力感とは
「自己効力感」とは、基本的にはどのように定義されるものなのでしょうか?「分かりやすくいえば、自己効力感とは『“自分にもできるんだ”という見込み感』のことです。
心理学では、自分が思った以上の成果が挙げられた成功体験に基づく満足感が、幸福の源と考えます。その満足感を、心理学の分野では『自己効力感』や『セルフエフィカシー』と呼ぶのです」
自己効力感が下がる原因は目標設定にある
しかし、自己効力感は常に高まっているとは限りません。時には下がってしまうこともあります。その原因について佐藤さんは「目標設定が適切でない場合が多い」と語ります。
「具体的には、目標が自分にとって高すぎたり、目標を達成するまでに必要な一つ一つのステップを難しくしすぎたりすると、目標に近づくことが難しくなります。
すると達成感が得られず、逆に疲労感ばかりが蓄積されてしまい、結局は途中で投げ出してしまうことになり、自己効力感が下がってしまいます。
たとえば一カ月の売り上げが10万円しかないビジネスパーソンが、『今月は100万円売り上げるぞ』と目標を立てたとします。しかしこれは、本当に正しい目標の立て方とはいえません。
一カ月で100万円というのは、現実的に考えると厳しい数字です。このようにいきなり目標を高く設定しすぎると、達成することができずに、自己効力感が下がってしまうのです」
自己効力感を高める5つの方法
自己効力感を高めるためには、具体的にどのようなことを実践すればよいのでしょうか。その方法を5つ、佐藤さんに教えてもらいました。1.小さな目標を達成する成功体験を繰り返す
「小さな目標でも、それをやり遂げて階段を一つ上がると、自己効力感が上昇していきます。たとえば先ほどの例でいえば、『今月中に100万円売り上げるという目標を達成するためには、まず何をすべきか』という視点から、目標までのステッ プとして小さな目標を立て、大きな目標への階段を一つずつ上がっていくのです。そうすることで、自己効力感を下げずに済み、いずれ大きな目標を達成するこ とができるでしょう。
このような小さな成功体験を繰り返し、『自分はできるんだ』という気持ちを自分にすりこませることで、自己効力感は高まっていきます。ビジネスパー ソンの場合、一カ月単位でスケジュール帳を使うことが多いと思いますので、一カ月の中で達成する目標を決めて、小さな階段を地道に上がっていくという手法 が分かりやすいでしょう」
2.成功を代理体験する
「自分に近いビジネスパーソンの成功体験の話を誰かから聞いたり、成功の方法を見たりすることが『成功の代理体験』です。ただし、大成功をおさめた“○○企業の社長”や“世界的に有名な人の話”ではあまりにも自分からかけ離れているので、まずは同期や同じ部署、社内といった、身近な存在の成功体験を見たり聞いたりしましょう」
3.データによって成果を見える化する
「目標を達成することより、そこにたどり着くまでの時間や頑張りなど、“小さな目標の階段を上がる過程”を自覚することこそが重要です。先ほどもご説明したように、高すぎる目標だけを見据えてしまうと、なかなか達成できない疲労感だけが募ってしまうからです。よって、仕事の成果が以前と比較して上昇している結果が出ていることを、売り上げの金額や案件の成約数のデータなどによって明らかにして、自分自身の変化に気づきましょう。
過程の成果は、最終目標のように、必ずしも目に見えて分かる明確なものではありません。ですから、データを逐一確認して、細かく結果を確認していくことが大切です」
4.高すぎる目標を掲げる性格を自覚する
「ビジネスの世界で一流を目指すタイプは、目標設定が高すぎるため、なかなか成功体験までこぎつけない傾向があります。野心と上昇志向が強いため、現在の自分が許せなくなり、目標をさらに高くしてしまうためです。達成できない目標設定は、自己効力感を下げてしまいます。よって、目標を高く掲げすぎがちな方は自分の性格を理解して、目標を途中で修正することが重要です」
5.フィフティ・フィフティ(50%/50%)の目標を立てる
「ビジネスで『できるか、できないか、五分五分だな』と思う仕事や目標をこなすと、達成感があり、成功体験が積み上がります。自信がついて、できることの幅が広がり、仕事力の向上につながります。仕事で100%不可能なことを、“やればできる”という根拠のないマインドコントロールをして挑戦しても、必ずしも良い結果が得られるわけではありません。逆に、必ずできる仕事ばかり選んでいると、仕事力も上がらず、自己効力感も高められません。
よって、『できるか、できないか、五分五分だな』と思って挑む仕事を見つけることが自己効力感を高めるポイントなのです」