Googleが高機能&シンプルWiFi ルータ「OnHub」発表。IoT向け規格もマルチ対応
Google が独自の WiFi ルーター OnHub を発表しました。すでに米国のGoogle Store や Amazon、Walmart などで予約を受け付け中。価格は200ドルとやや高価ですが、Googleは「速い、安全、簡単」と3拍子揃った利点をアピールしています。
ハードウェア的には、インテリアに溶け込む外観でありながら13本のアンテナを内蔵し1900Mbpsの高速通信に対応すること、空いた帯域を見つける専用アンテナを備え速度が落ちにくいことが特徴。
WiFiルータながらBluetooth Smart Ready や IEEE 802.15.4 (ZigBee他)、Google独自のWeaveなど、いわゆる IoT デバイス向けの無線規格にも対応します。
WiFi ルーターの設定は、出始めの頃に比べると飛躍的に簡単になったとはいえ、やっぱり難しいものです。苦労して難解な接続設定を施したにも関わらず通信が不安定で、何度も途切れてしまう動画に頭を抱えた人も多いはず。
また、物々しいアンテナやギラギラ光るLEDも人によっては目障りです。ネットワーク機器にとっては、LEDの点滅は正常な動作を示す大切なパーツです が、リビングや寝室にそれがあると気になって仕方がありません。結局、WiFiルーターは精密機器であるにも関わらず、ホコリの多い家具の隙間などに追い やられ、その結果さらに電波状態が悪化したりします。
そこで Google が考えたのは、デザイン性が高く目障りでない WiFi ルーターを作ること。OnHub のシンプルな外観は、若干 Amazon の円筒形スピーカー 件 御用聞きデバイス「Echo」に似ていますが、それよりもシンプルで落ち着いた印象です。これなら、たとえばテレビの横にあったとしても気になることはなさそうです。
住宅密集地域やマンションで生活している場合、遭遇する確率が高いのが周辺の家庭からの WiFi 電波干渉。OnHub は WiFi で使える周波数帯域のうち、空いているチャンネルを自動的に選択するため、たとえば動画のリモート再生、高音質な音楽再生などのように高スループットを要 求するアプリケーションにも柔軟に対応します。
内蔵アンテナは2.4GHz と5GHz 用、各6枚ずつの平面アンテナを外周に向けて配置。全方位に電波が飛ぶようにしています。また反射板を使って指向性をもたせた 2.4GHz 帯のアンテナも正面に搭載。家の隅っこに OnHub を置く場合でも、たとえばリビングなど最も WiFi をよく使うであろう方向を(OnHubからみて)正面にしておけば、その範囲の電波を安定化することができます。なお Google は、OnHub を床よりも目の高さぐらいの位置に置いたほうが効率よく電波を行き渡らせられるとしています。
OnHub の設定はすべて Android /iOS アプリ「Google On」から行います。アプリでは WiFi ネットワーク状況をグラフィカルに表示でき、音声ガイダンス機能なども備えます。また「Google On」アプリは外出先からでも使用可能で、知識のある友人に設定を手助けしてもらうこともできます。
本体大きさは直径約12cm、高さ約19cm。重さ約860g。米国ではGoogle Store や Amazon、Walmartなどの直販サイトで予約を受付中。なお Google は ASUS とも同様の WiFi ルーターを開発中で、こちらは2015年中の発売を目指しているとのこと。
Google はこのタイミングで WiFi ルーターを投入してきた理由についてコメントしていません。ただ、スマート家電や IoT デバイスが普及し始め、WiFi をバックボーンとしたスマートホームが実現しつつあるいま、WiFi ネットワークそのものを押さえに来るというのは Google にとって自然な行動と言えるかもしれません。
ちなみに、電波状況によって WiFi のチャンネルを切り替える機能は多くの WiFi ルーターが備えています。しかしその多くは、電源を入れた最初の1回のみしかチャンネルスキャンを実行しません。これは、運用中にチャンネルを切り替えて しまうと、WiFi ルーターにつながるスマートフォンやタブレットなど他の機器の接続が切れてしまうため。そうなると接続機器側でも WiFi をいったんオフにして入れなおすなどの作業が必要です。OnHubでは、クラウドとの連携によってWiFiチャンネルの自動切り替えを可能としています。
Google のOnHub ヘルプページでは、OnHub および Google On アプリがネットワークの設定や接続中のデバイスの情報管理、ネットワーク使用量の履歴、通信帯域情報の管理などでクラウドと連携するとしています。