火曜日, 8月 25, 2015

ケンブリッジ「母」ロボット


子を選別して進化させる「母」ロボット、ケンブリッジ大の日本人研究者が発表




ケンブリッジ大学の研究者が、小さな「子」ロボットを作っては出来の良し悪しで選別する「母」ロボットを開発しました。

母ロボットは子供を製造しては性能を評価し、優れたものの「遺伝子」を次世代に導入してゆく仕組み。これにより、人為的な介入やソフトウェアシミュレーションを使わずとも、物理的に進化してゆくロボットを実現した点が意義とされています。「母」の目の前で「子」がもぞもぞと蠢く動画は続きをごらんください。

ケンブリッジ「母」ロボット

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まず「母」ロボットは、1〜5個のプラスチックキューブと小型モーターからなる、「子」ロボットをつくります。その後、つくった「子」ロボットの性能を評価します。

具体的には、「子」ロボットが同じ距離を移動するのにかかる時間を測定し、その移動スピードによって合格か不合格かを自動的に判断します。そのようにして性能のいい「子」ロボットだけが「適者生存」するというわけです。

実際、この「母」ロボットが作成した「子」ロボットは、最高で2倍のスピードで移動するように「進化」しました。

この「母」ロボットは、人間によるシミュレーションや判断といった手助けなしで「子」ロボットの設計や構築、テストができますが、課題は時間がかかるということです。

名前は母と子ですが、母子はまったく別のロボット。子がまた次の世代を作って自己増殖・自己進化できるわけではありません。




研究チームを率いるケンブリッジ大学の飯田史也博士は「生物学の最も大きな謎は、いかにして知性を獲得してきたかということです。私たちはロボットを使ってこの謎を探求しています」と言います。

飯田氏は東京生まれ。東京理科大学で修士課程を修了後、スイスのチューリッヒ大学で博士号を取得し、生物を模倣したロボットの研究に取り組んでいます。産業用ロボットなど現場で活用されているロボットは、決められた動作を繰り返しするものがほとんどですが、飯田氏は「イノベーションと創造ができるロボットをつくりたい」と言います。

以下の動画で、飯田氏らによる、生物を模倣したロボットの研究について紹介されています。



PLOS ONEに掲載された論文はこちら。
Morphological Evolution of Physical Robots through Model-Free Phenotype Development