実名制を廃止したり、Gmailアカウント作成時に強制的にGoogle+アカウントが作られるのをやめたり、ハングアウト機能とGoogle+との強制ヒモづけを撤廃したりと、ポリシーを変更・改善しつつもいまいち人気に火が付かないSNS「Google+」について、新たにGoogle+の責任者に就任したデービッド・ベスブリス氏(DB)がRe/codeからインタビューを受け、辛辣な質問にも丁寧に対応しながら「Google+の方向性」について答えています。
New Google+ Head David Besbris: We’re Here for the Long Haul (Q&A) | Re/code
http://recode.net/2014/10/07/new-google-head-david-besbris-were-here-for-the-long-haul-qa/
Q:
Google+がもうすぐ消えるって本当ですか?
DB:
私たちはGoogle+の進歩についてとても満足しています。これはCEOのラリー・ペイジも同じ。どこから出た噂なのか分かりませんが、正直に話していますよ。
Q:
Google+における最大の思い違いは何だと考えていますか?
DB:
みんなGoogle+の持つコネクション(つながり)を過小評価していると思います。Googleがこれまで他の製品でしてきたことを思えば、ユーザーは期待をもってGoogle+に集まってくれると思います。Google+の試みも他のSNSと競合していますが、競争することが目的ではなく、ユーザーをハッピーにするためにSNS(ソーシャル)に参入しています。
これはGoogleがこれまで他のサービスでも採ってきた方法です。Google以前にも検索サービスはありましたが、私たちは別のやり方をしました。Gmailでも同じように既存のサービスとは別の方法を採りました。Google+ユーザーはサークルを愛し、サービス開始時からプライバシーに配慮してきたスタイルを気に入ってくれています。
Q:
Googleのソーシャルサービス全体の中で、Google+の優先順位は?
DB:
非常に高いです。Google Photos・ハングアウト・Google+の3つが最優先の事項です。
Q:
Google+の強みはGoogle Photosだとよく言われますが他にはありませんか?
DB:
ハングアウトのビデオチャットはとてもイケてると思います。簡単にいくつものパーティ会場に「出席」できるサービスは他にはないはず。
Q:
Google+が改善すべき分野は何ですか?
DB:
iOS・Androidの両方に良いモバイルアプリを提供してきたつもりですが、モバイルにこれで十分というほどには注力できていません。これまでの仕事には満足していますが、ポケットに入るサイズの高性能センサー付スーパーコンピューターであるスマートフォンは、今後も新たな分野を切り開いていくと思います。
Q:
Google+のユーザー数は今どれくらい?
DB:
数については言えません。
Q:
新規ユーザーの獲得における最大の課題は何ですか?
DB:
ユーザーがGoogle+を実際のところどのように使っているのかを理解するのが大切です。そして、Google+がユーザーの生活にどれくらいフィットしているかを知ることも。新しくGoogle+を使う人のために、既存のユーザーがどのようにGoogle+を活用しているのか、どうやって新しいユーザーの期待に応えられるのかを伝えたいです。
Q:
「Google+とは何か?」ということを端的に説明することがサービス開始時からの課題なのでは?
DB:
そうかもしれません。Google+が一つの製品としてユーザーを圧倒的に混乱させていたとは思っていません。新しいサービスを使うときに少々のとまどいはあるものです。サービスが始まってすぐのころの混乱ぶりをメディアで目にしたことによる先入観が原因かも。けれどスタート時はそれ(Google+)が一体どんなものか誰も知らなかったのだから仕方ありません。
Googleはこれまでどのように(他のサービスと)違うのかということを何度も伝えてきました。私たちには素晴らしい検索ツールやビデオチャットや写真共有サービスがあります。他のサービスにはないサービスがあるということをユーザーに伝えていく必要があります。
Q:
他のGoogleサービスを利用するのにGoogle+を強制されたという苦情がありますが、この声にどう答えますか?
DB:
ユーザーには使いたいソフトを使いたいときに使ってもらえるのが良いと思います。ご存じの通り最近、Google+のサインアップ手順を変更しましたが、これもユーザーを混乱させた原因の一部だったと認識しています。これらの変更は、ユーザーに適切なときに適切な質問をした結果、「重要である」と判断された答えです。
Q:
なぜGoogle+には広告がないのですか?
DB:
その広告が表示されるのが本当に正しいと言えるものならば広告はアリだと思います。例えば、何か捜し物をしているときにちょうどそのタイミングで必要なものが広告で表示されるならとても便利です。コンテキストにあった広告が表示されるのが重要です。
逆に関連性のない広告なら素晴らしい物とは言えません。そんな広告はページを汚染するだけです。SNSのページは写真を共有したり友人と会話したりする非常に親密な場所だと思っています。そのような場所での広告は「ノイズ」に過ぎず、望まれていないでしょう。
Q:
将来的にもGoogle+には広告を載せない方針?
DB:
何かのルールをずっと守り続けるという気はありません。ですからこの答えはNoです。ただ、もし広告を載せるなら、Google流のうまいやり方を試すでしょう。
Q:
ヴィック・ガンドトラ氏(Google+の前責任者)のGoogle+での取り組みを振り返ってどう思いますか?
DB:
ヴィックとはGoogle+をスタート段階から一緒に働いてきました。良い指導者でした。今でも友人ですしとても尊敬しています。新しい物を作り出すのは非常にハードなことで、特にソーシャルなサービスで新しい事をするというのはさらにハードです。ヴィックはGoogle+で素晴らしい仕事をしてくれたと思います。
Q:
(Snapchatのような)しばらくしたら消えるメッセージサービスや匿名のソーシャルサービスに魅力を感じませんか?
DB:
ソーシャルはとても繊細な世界です。コミュニケーションにもさまざまな形があると思いますが、それをすべてGoogle+で実現する必要はないと考えています。実際のところGoogle+のスケールで匿名化するのは非常に難しいことです。
Google+のユーザーはサービスを熱烈に愛してくれています。Google+コミュニティに匿名性は合わないと思います。流行だというだけの理由で導入することはできません。
Q:
Google+のゴールは何ですか?長期的な視点では何を達成しようとしているのですか?
DB:
ゴールはないと思います。ソーシャルはコンピューティング全体を表しています。そして全てのサービスの後ろにはユーザーがいます。実在の人がいます。人間は社会的な生き物で、何かを共有することが好きで、お互いに質問し合ったり学び合ったりするのが好きな生き物です。これこそがGoogle+で提供するサービスとして大切なことです。