水曜日, 6月 15, 2016

人生の成功は身長と体重に左右される|BMJ

 

「身長・体重は人生の成功を左右する」、英研究で確認

(BMJ)

 


求人に応募するときや、何かに挑戦しようとするとき、外見が問題にならない社会であれば素晴らしい。

だが、残念ながら実際には、外見は無視することのできない問題となる。

英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に先ごろ掲載された最新の研究結果によると、教育や仕事、給与など人生を左右する問題において、身長の低い男性と太った女性は、そうでない人たちに比べ、与えられる機会、支給額が少ない傾向があることが分かった。


ただし、今回の研究ではその理由に関する調査は行われておらず、原因になり得る問題として、「本人と周囲の双方によるものがあり得る」との推測を述べるにとどまっている。
 

調査は40~70歳の英国人およそ12万人を対象とし、人種・民族に関連した要因を排除するため、白人に限定して実施。

身長と体重に関する遺伝情報と対象者の実際の身長・体重に加え、各人の教育水準、職種、収入などを基に分析したほか、それぞれの社会経済的地位を特定するため、社会の中で当然と受け止められている状況にないことを示す「タウンゼントの相対的剥奪指標(Relative Deprivation Index)」を用いた。

その結果、低身長の男性と過体重以上の女性には全般的に、与えられる機会が少ないことが確認された。

男性の間では、身長と教育水準、仕事上の地位、収入の低さに関連性がみられた。
遺伝的要因により身長が3インチ(約7.6㎝)低くなるごとに、年収は1,500ポンド(約24万円)少なくなるという。

一方、女性の場合は、太っていることが収入と全体的な社会経済的地位の低さと関連していた。体重が1ストーン(約6.35kg)増えるごとに、年収が2,100ポンド(約34万円)少なくなっていた。

研究を主導したティム・フレイリング教授は、もちろんこの傾向がすべての人に該当する訳ではないと述べると共に、「こうした傾向があることが証明された以上、科学は今後、その原因の解明を図らなくてはならない」と指摘している。

また、同教授によれば、「多くの人たちが、低身長とBMI(ボティマス指数)値が高いことは栄養価の低い食事と与えられる機会が不足していたことの結果だと考えてきた。

だが、原因と結果が逆の場合もあり得ることが分かった」。



考え得る原因は──


現段階では推測に過ぎないが、こうした状況を招く原因と考えられる問題は複数ある。

そのうちの一つが、その人自身が原因を作っている場合だ。身長が低い男性と太った女性は、うつや自尊心の低さに悩む割合が高く、これらは自己制限(「できない」との思い込みで自分を制限する状態)につながる。

また、周囲からの差別という問題もあるかもしれない。

フレイリング教授によると、「背の高い男性がより良いリーダーになると考えられている証拠がある」。「オランダで行われた調査の結果、同じ男性と女性の写真を加工し、身長が高く見えるようにした場合と低く見えるようにした場合では、背が高い男性の方がよりリーダーらしくみえると評価された。女性の場合は、身長による影響はなかった」という。

これらの結果は、私たちを進化の過程に立ち返らせる。背が低い男性や太った女性は、狩猟や子孫を残すという点において最適の相手とはみなされていなかったのかもしれない。





人の価値を判断する際に外見にこだわることは当然、現代の社会では受け入れられない。私たちが明確に認識していない問題を含め、さまざまな社会現象について原因を特定しようとする研究は、人間のあり方に関する潜在的な問題について私たちに教えてくれるほか、適切な認識を持つことを助けてくれる。認識が社会に広まれば、私たちがそれらを変えられる可能性も高まるだろう。