「ナイキ・Flyknitとは何なのか」
ナイキのシューズで採用されているアッパー構造「Flyknit」。ロンドンのデザインスタジオ「ManvsMachine」による、Flyknitのヴィジュアル・アイデンティティとプロモーション動画を紹介。
ナイキが2012年に「Flyknit」(フライニット)シリーズを発表した際、技術的には見事なものではあったが、スポーツウェア企業がベアフット・ランニング(裸足ランニング)の流行でまたもうけようとしているのかと思われた。数年後のいま、軽量なFlyknit技術は、ナイキのシューズの大半に採用されている。
前回のワールドカップに向けたサッカーシューズ「Nike Magista」はFlyknit製品だった。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から着想した自動でひもを締めるシューズ「HyperAdapt 1.0」(日本語版記事)もFlyknit製品だ。
Flyknitはもうナイキの土台のひとつにはとどまらない。いまやFlyknit自体がひとつのブランドになっている。というのも、Flyknitは3月に、独自のヴィジュアルアイデンティティがつくられているのだ。
ロンドンのデザインスタジオ「ManvsMachine」は、ナイキのイヴェント「Nike 2016 Innovation」のために、Flyknitのヴィジュアルアイデンティティと、80秒のプロモーション動画を制作した。幻想的な万華鏡のような映像でFlyknit技術を紹介したものだ。
Flyknit製品がたくさんの糸が編みこまれたものであることから、ManvsMachineはそれをモチーフに、Flyknitの新しいロゴと動画の両方のメインのグラフィック要素を制作した。書体は、黄金比に沿ったDalton Maag社のフォント「Objektiv」が基になっている。
ManvsMachineはこのフォントをかすかなカーヴで味付けし、わずかにほどけた感じを出した。
動画制作に「Houdini」 (フーディニ:Side Effects Softwareによって開発・販売されている3DCGソフトウェア)を用いたことで、デザイナーは、デジタルレンダリングされる大量の糸に、ディズニーの『ファンタジア』のような力を与えることができた。
紫と青が入り交じった糸が輪になり、Flyknitの新ロゴである無限記号を描き出す。糸はさらに、投げられ、輪をつくり、編まれていく。まるで制作過程を拡大鏡でのぞき見ているかのようだ。
最後はもちろん、Flyknitのシューズになる。しかし、このエレガントなキャンペーンが示しているものがあるとすれば、それはFlyknitがもうすぐ足元以外にも広がるということだろう。
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