火曜日, 6月 14, 2016

「クリーピー 偽りの隣人」 藤野涼子 |movie

藤野涼子16歳が一家失踪事件のカギ握る謎の隣人の娘役で…

 




 

あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」-。

「ソロモンの偽証」の鮮烈なデビューが記憶に新しい藤野涼子が、サイコホラー「クリーピー 偽りの隣人」(黒沢清監督、6月18日公開)で謎の隣人の娘役で出演。16歳とは思えぬ奥深い演技を見せ、大いにうならされる。

「クリーピー」は、元刑事で犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)が主人公。新居での生活が始まったばかりの高倉は、未解決の一家失踪事件に興味を持つ。一方、あいさつのため隣家を訪れた高倉の妻、康子(竹内結子)は、奇妙な男、西野(香川照之)と出会う。やがて、西野の抱える闇が高倉ら2人を飲み込んでいく…。


原作は前川裕の小説「クリーピー」
【クリーピー】とは「ゾッとするような」「気味の悪い」という意味合いの言葉。
小説「クリーピー」もまた、ドキドキさせられるような怖い内容の小説で、しかも読み終わった後まで「気味の悪さ」が残る作品。







藤野は西野と暮らす娘、澪役を演じているが、とにかく気持ちを読ませない。

西野に「妻に会ってほしい」と言われ、康子が家に上がろうとした際、彼女にだけ分かるように小さく首を振る際の切迫した表情。一転して、高倉家に父と遊びに来たとき、西野に見せる明るい笑顔。さらに、ある陰惨な状況で、自分の母に「澪、何やってんの?」と聞かれ、「すぐ楽になるよ」と答える際の重たく深い無表情…。

彼女は哀れな犠牲者なのか。あるいは、怪物・西野の忠実な僕(しもべ)なのか。藤野の演技は巧みで、見ていて判断が付かず、大いに戸惑う。

そして、何より印象的なのは、澪が高倉に何かを伝えようとして果たせず、高倉に「お父さんによろしく」と言われた際に発する冒頭のせりふだ。作品のキャッチコピーにも使われている象徴的なせりふだが、これを発する際の藤野の表情、声が素晴らしく、見ていて背中に強い冷気が走る。



藤野涼子
平成12年生まれ、神奈川県出身、デビューは同級生の転落死をめぐり、校内裁判を開く中学生らを描いた「ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判」(27年、成島出監督)の裁判をとりまとめていく主人公役。藤野涼子という芸名は、この作品の役名をそのまま使ったもの。



この作品で、藤野の新人とは思えぬ名演は大きな話題を呼んだが、共演者のほぼ全員が同年代だった。しかし、今回はアクセル全開で怪演する香川や、西野に取り込まれる康子役で絶妙な演技を見せる竹内らベテラン勢を見事に受け止め、作品の恐怖を増幅させてみせた。

何とも頼もしく、恐ろしい16歳。





映画「クリーピー 偽りの隣人」







 

 

 

映画「ソロモンの偽証」

原作:宮部みゆき(新潮文庫刊) 
 
映画『ソロモンの偽証』 




映画『ソロモンの偽証 後篇・裁判』 






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