10階建て相当の巨大ボイラーを
ドローンで点検する動画
ConEd
ニューヨーク一帯に電力やガスなどを供給するエネルギー企業ConEdことConsolidated Edisonが、巨大ボイラー内の点検にドローンを使用している映像を公開しました。この巨大ボイラーは発電所のタービンを回す蒸気を作るためのもので、使用するドローンは照明とスチール/ビデオカメラ、熱センサーを搭載しています。
ボイラー本体は10階建てビル相当の大きさがあり内部には水管が張り巡らされ、バーナーの炎による熱で蒸気を発生させています。こうしたボイラーでは燃料や灰の成分などによる水管の腐食が発生しやすく、破損や水漏れの原因となります。このため、企業は定期的に設備を停止しボイラー内部の点検と異常個所の修理をする必要があります。
10階建てといってもボイラーそのものの内部に階段などがあるわけはなく、内部点検時はその都度、人が高所まで登れるよう足場を組んだり照明を設置する手間が発生します。
ConEdはドローンを投入することで、時間がかかる内部の目視点検を迅速化し、設備の定期メンテナンス期間のを短縮させることをねらいました。
このドローンは、水管や壁面との接触による墜落を避けるため、カーボン製の球状フレームで覆われています。ドローンを点検箇所に押し付けるように飛ばすことで、搭載する1080pカメラと照明により目視点検に必要な画質の映像を取得することが可能です。
ただ、このドローンは修理能力があるわけではなく、ただの遠隔操縦カメラにすぎません。作業の手間こそ大幅に省けるものの、点検の判定にはやはり熟練の検査員の目が必要です。さらにもし異常が見つかれば、結局その部分を再度点検、修繕するためにはボイラー内に足場を組んで修繕作業が必要となります。
それでもこのようなドローン点検手法が他の企業にも広まり専用のドローンが進化していけば、いつか映画『オブリビオン』に登場するような、異常を自動スキャンする高機能なドローンが開発される未来もあるかもしれません。
ちなみに日本国内でも、NTT東日本が設備点検やケーブル敷設用に、デンソーが橋梁などの点検作業用にドローンを活用する動きを見せており、産業の現場でもじわじわとドローンの活用は始まっています。