AMDがSSDに参入、OCZと共同で『Radeon R7 SSD』を発表
CPUやGPUメーカーとして知られるAMDと、東芝傘下のSSDメーカーであるOCZが、共同でRadeon R7 SSDシリーズを発表しました。以前よりAMDのSSD市場参入は噂がありましたが、それが現実になった形です。形状は2.5インチ7mm厚、接続はシリアルATA 6Gbpsで、容量は120GB、240GB、480GBの3種類。価格や発売日は現状で未公表です。
もともとRadeon(ラデオン)は、8月23日に設立30年を祝う元ATi TechnologiesのGPU、つまりグラフィックス処理LSIのブランドですが、AMDは近年RADEONブランドの拡大を進めており、2011年にはRADEONブランドのメインメモリであるRadeon Memoryシリーズを発売。2014年には日本のPCパーツショップでも販売されています。今回のRadeonブランドSSDも、そうした取り組みの延長線上にある動きです。
ハードウェア的な特徴としては、OCZの高性能SSDであるVector 150に準拠しています。心臓部となるSSDコントローラにはOCZ製のBarefoot 3 M00を採用し、NANDフラッシュも東芝製の『A19nm MLC』を搭載。最初の文字であるAは第2世代を示す用語で、19nmは製造プロセス、動作モードはMLC(Multi Level Cell)です。
Vector 150や1ランク下のモデルであるVertex 460が搭載する第1世代の19nm NANDフラッシュメモリと比較すると、製造工程が改良されたバージョンになります。
もう一つのVector 150との相違点は、耐久性の目安と保証期間。Radeon R7 SSDはそれぞれ1日あたり30GBと4年間ですが、Vector 150は1日あたり50GBと5年間で、Radeon R7 SSDのほうが短くなっています。ただし、Vertex 460は1日あたり20GBと3年間。OCZの中では同SSDが標準的なので、Radeon R7は「Vector 150まではないものの、耐久性と保証が長い」という位置づけ。こうしたポジションからか(一応)ゲーマー向けと製品として位置づけられています。
なお、転送速度はVector 150と同等。連続リードが最高550MB/秒、連続ライトは120GB版が最高470MB/秒で、240GB版と480GB版が最高530MB/秒。ランダムリードは容量順で8万5000、9万5000、10万IOPS。ランダムライトは容量共通で9万IOPSと高速です。
さて、ともすれば若干の唐突感もあるAMDのSSD参入ですが、実はその噂が出回ったのは、2年前となる2012年。半導体関連の噂情報を掲載するSemiAccurateが報道した記事が火付け役となっており、2013年には出所不明ながらRadeon Solid State Driveとデザインされたロゴが出回ったこともあります。
このように(噂レベルではあるものの)比較的長い時間を経て検討されたであろう計画と思われることから、今後の展開も期待できそうです。
先述したメモリに関しても、ラインナップが拡張された結果、現在では速度別にR9、R7、R5、R3の4グレードを用意していますが、今回のSSDはR7としての1グレードのみ。R7の評価によっては、当然R9となるであろう上位モデルや、バリューモデルの登場も考えられます。