木曜日, 8月 21, 2014

寝ながら外国語を学ぶ


外国語を学ぶには睡眠学習が効果的:研究結果


数十年前から効果的と言われてきた睡眠学習。しかし記憶力向上が謳われていながらも、なかなか浸透していない。そんななか、睡眠学習の効果を証明した研究結果が発表された。


睡眠学習のメカニズムについては、例えばイスラエルの学者たちが研究を行っているSleeping woman photo from Shutterstock
眠っているうちに外国語を聞き流すのは、学習に効果的──。そんな結果が、スイスの心理学者らにより確認された。
スイス国立科学財団(SNSF)のバイオサイコロジスト、ビョーン・ラッシュは、このテクニックを使うと記憶が再活性化され、脳に記憶固定される助けになるのだと、ジャーナル誌「Cerebral Cortex」で説明している。
「睡眠中の単語の聞き流しで、単語力が向上するかどうかを実験したのは、今回が初めてです」
実験は、ドイツ語ネイティヴの生徒60人が被験者となり、午後10時ごろにオランダ語の単語を、いくつか(しかも初めて)学んでもらうというものだ。そして、彼らの半数にはその後研究室で仮眠を取ってもらい、残りの半数にはそのまま眠らないでいてもらった。前者のグループはノンレム睡眠の間に、そしてもう一方のグループは起きた状態のまま、午後10時に学習した単語と同じものの録音を聞かされた。
午前2時、仮眠を取っていたグループは起こされ、眠らなかったグループとともに単語のいくつかをテストされた。
結果は、次の通りだ。驚くことに、仮眠グループは眠っている間にだけしかオランダ語の単語を聞かされていなかったにも拘わらず、夜更かしを余儀なくされたグループよりも単語の意味を理解していた。それどころか、単語の聞き流しは、夜更かしグループには何の効果もなかったそうだ。
「覚醒している状態では、それが活動時であろうが休息時であろうが、単語の聞き流しは記憶の向上に効果がなかった」
もちろん、寝不足がこのような結果を招いた、と思うのは当然のことだ。しかし研究チームは、仮眠グループが眠っている間に、脳波(EEG:脳の電気的活動のこと)の記録もとっており、「タスクによって誘発される事象関連電位(ERP)は前頭部ではっきりとした陰性電位を示し、前頭部徐波の周波数は上昇、また、単語の再生に伴い右前頭部と左頭頂部ではシータ波のパワーが増大した」ことを、確認している。
頭頂葉は、感覚の情報を集積したり、言語を処理する役割を果たしていることから、とくに後者は相関関係に特有の作用だと思われる。脳波の1つであるシータ波は、覚醒時の記憶のエンコーディングと関わりがあるもので、同じことが睡眠中でも起こっているか、これがオリジナルの記憶を強化するのに役立っているとみられている。
「この学習方法は簡単だし、誰もが日常生活に取り込めるものです」と、ラッシュは話す。
人々はこれまで何十年も、IQの向上や行動の変化に期待を膨らませ、“再生ボタンを押して仮眠する”ことにより潜在意識に干渉し、睡眠中に知識を詰め込もうと試みてきた。次々に浮上する研究結果は、たしかに睡眠学習というものの合理性を指し示している。
2009年に米イリノイ州のノースウェスタン大学が行った研究では、被験者グループが「画像の記憶と音の結びつき」を試された際には、その夜再生された音により画像の記憶固定化が起こっていた。また、2012年の研究によると、イスラエルのワイツマン科学研究所の神経学者らが、覚醒時の学習なしに、被験者の睡眠中に「匂いと音」を条件つけて記憶させることに成功。眠りの間には、古い記憶が固定されているだけではなく、新たなことを学べる可能性も示唆されている。


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