アップル純正iPhone充電ケースは必需品か?
アップル純正の「Smart Battery Case(スマート・バッテリー・ケース)」(動画は英語のみ)
筆者は日々、iPhone 6sの充電がいつ切れるかと気をもみ、バッテリーアイコンに愚弄(ぐろう)されながら過ごしている。この「バッテリー不安障害」は筆者自身に問題があるわけではなく、メールやソーシャルメディア(SNS)を使い過ぎているせいでもない。悪いのは、かたくなにバッテリー持続時間を犠牲にして端末の薄さを追求しているアップルだ。
アップルは8日、ようやく筆者のようなiPhone 6や6sのヘビーユーザーが電力をもっと使えるようにしてくれた。アップルが発売した99ドル(日本では1万1800円)の純正バッテリー内蔵ケース 「Smart Battery Case(スマート・バッテリー・ケース)」は、バッテリーの持ち時間を2倍近くにまで延ばしてくれるため、もう電源を慌てて探し回る必要がなくなる。
ただし、1つ留意すべき点がある。サードパーティー製のケースには、価格が半分でバッテリー持続時間は2倍の製品もあるということだ。
デザイン
バッテリーケースのデザインの基準はとても低く、大半がかさばる上、黒いマットなプラスチック製だ。スマート・バッテリー・ケースも見た目はあまり格好良くないが、それでも競合製品を上回っている。ケース上部を後ろに曲げ、iPhoneを滑りこませる形で装着する。まさにアップル純正の滑らかでソフトな触り心地のシリコンケースだが、背面にはバッテリーが不格好に突き出ている。
デザインで最も優れているのは、バッテリー残量を通知するLED(発光ダイオード)ライトをなくした点だ。iPhoneに装着すると、画面に電話機本体と ケースのバッテリー残量が表示される。バッテリー残量は画面を上から下にスワイプして「通知センター」で確認することも可能だ。
しかも、ケースにパッシブアンテナが組み込まれているため、電波の受信に影響しない。
1つ注意が必要なのは、アップル製イヤホンは3.5ミリのヘッドホンジャック用の穴に問題なく入るが、筆者が持っている「Beats Solo(ビーツ・ソロ)HD」は入らなかったことだ。
他社のケースと異なり、ジャックコード(オーディオ延長ケーブル)も同梱(どうこん)されていない。
バッテリー持続時間
では、このケースでどの程度、電力を得られるのか?残念ながら、フル充電とはいかない。筆者の完全にバッテリーが切れたiPhone 6sでは最大83%になり、頻繁に使用しても十分持った。いつものようにデスクで充電しなくても、ほとんどの日においてバッテリーを20%残したまま1日を終えることができ、終日バッテリーメーターを気にする必要はなかった。画面輝度を約65%に設定し、ウェブサイトを次々に閲覧してバッテリーをテストしてみたところ、電話機とケース合わせて13時間と、ケースを付けない場合より5時間も長く持った。
このケースはiPhone 6にも使用可能だ。より大型のiPhone 6プラスと6sプラス用のバッテリーケースは発売されていないが、いずれも内蔵バッテリーの容量がより大きいため、日中に充電する必要はさほどない。
バッテリー容量がもっと大きくて安い製品は他にもあるが、アップルのケースは電源スイッチもなく、iPhoneに 装着するとバッテリー残量を自動的に検知し、必要に応じて勝手に本体に充電してくれる。もちろんケースと電話機が両方フル充電してある場合、ケースの電力が先に消費される。そういった充電に関するよけいな問題を使用者に意識させないことが、このケースが「スマートさ」で優れている点だろうか?
しかしながら、スマート・バッテリー・ケースにさまざまな長所があるとはいえ、依然iPhoneのバッテリー問題に対する応急処置にすぎない。
iPhoneにばかげたバッテリーを背負わせるのではなく、内蔵バッテリーの持続時間をもっと長くし、充電をもっと簡単にできるようにする必要がある。筆者は99ドル費やすつもりだが、いつかiPhoneが充電せずに何日も使えるようになり、スマート・バッテリー・ケースが過去の遺物と化すことを期待している。