金曜日, 12月 18, 2015

愛は感情ではない 人類学者が語る恋愛を構成する3つの要素

複雑な恋愛感情を3つの要素で解き明かす 人類の進化の中で生まれた愛のシステムとは


人はなぜ恋をするのでしょうか? 人類にとって、愛とはどのような役割を果たすものなのでしょうか? 人類学者のHelen Fisher(ヘレン・フィッシャー)氏は愛に関する調査・研究から、恋愛を3つの脳の働きに整理しました。時に衝動的で、時に安らぎを与える愛の魔法について、人間社会の大きなトレンドと共に解説します。

愛するとは何か?

ヘレン・フィッシャー氏:本日は、2大ソーシャル・トレンドについてお話します。近い将来から、もしかしたら1万年先まで続くトレンドかもしれません。

まず私の最近の研究である、ロマンティックな愛についての話から始めたいと思います。恋に落ちている最中の被験者32人に、fMRIに入ってもらい脳の検査をしてみました。そのうち17人は両思いで、15人はフラれたばかりです。それを初めにお伝えして、それから愛の行方についての話題に移ります。

「愛するとは何か?」とシェイクスピアは言いました。人類は何万年も前に火を囲んで座っているときや、寝転んで星を眺めているときから、この問いについて考えてきました。

私はまずこの45年間の心理学研究を見直すことによって、ロマンティックな愛とは何かを理解することから始めました。 そして人が恋に落ちるとき、ある非常に特殊なことが起こるということがわかりました。

ひとつめは、恋をするとある人が「特別な意味」を持っているように見え始めるということです。

あるときトラックの運転手がこう言いました「世界に新たな中心があり、それがメリー・アンだった」と。

ジョージ・バーナード・ショーはこう言いました。「愛とは、ある女性と他の女性の違いを過大評価することだ」と。確かに、我々もそうですね。 (会場笑)

そしてその人しか見えなくなるのです。相手の嫌いなところを列挙することはできますが、それには目をつぶり、好きなところだけを見るのです。チョーサーが「恋は盲目」と言ったように。

ロマンティックな愛の世界

ロマンティックな愛を理解しようと思い、世界中の詩を読むことに決めました。

みなさんに8世紀の中国のとても短い詩をご紹介したいと思います。
ひとりの女性しか見えなくなった男性のほとんど完璧な例です。
これは誰かに夢中になっていて、ふたりで駐車場に歩いて行くときと似ています。
自分たちの車は、他のどんな車とも違って見えます。
ディナーでのワイングラスは、そのお店のどんなワイングラスとも違って見えます。
そしてこのケースでは、男は「ござ」に特別な想いを抱いたのです。
こんな感じです。ユアン・チェンという男性によるものです。

「私にはこのござを片付けることができません。あなたがこの部屋に来た夜、
 それを敷くのを見てしまったから」

彼は脳内のドーパミンの作用によって、ござに特別な想いを抱いてしまったのです。
その人に対して想いを抱くように。

決してこの男性だけが特別なわけではありません。誰にでも起こりうることなのです。みなが相手に意識を集中し、拡大して見てしまうのです。人は強いエネルギーを持っています。あるポリネシア人は「まるで空を飛んでるみたいだ」と言いました。 一晩中気分が高揚し、夜明けまで歩きまわります。気分は相手に左右されます。ものごとがうまくいっているときは有頂天になり、悪いときは絶望的な気分になります。

ニューヨークであるビジネスマンがこう言いました。
「彼女が好きなものなら何でも好きだ」。
ロマンティックな愛はとてもシンプルですね。
遊びで誰かと寝るのであれば、その人が他の誰と寝ようと気になることはありません。
しかし恋に落ちると、性的な独占欲が非常に強くなります。
そこにダーウィニズムの意義があるのでしょう。

その意義とは、一組の男女を結び、子どもを育てられるようにすることです。

しかしロマンティックな愛の最たる特徴は切望です。
特定の人に対する強い切望で、性的ではなく感情的なものです。確かに一緒に寝ることは素晴らしいことですが、電話をしたいし、デートに誘ってもらいたいのです。好きだと言ってもらいたいのです。
 

愛は感情ではない

もうひとつの主要な特徴は、モチベーションです。
脳内のモーターが作動し始め、相手を欲するのです。

大事なことを言い忘れましたが、これは妄想です。被験者をMRIに入れる前に、ありとあらゆる質問をします。しかしメインの質問はいつも同じです。

「1日の何%ぐらい相手のことを考えていますか?」

彼らは「1日中です。相手のことを考えずにはいられません」と答えます。

そしてこれが最後にする質問です。わたしは心理学者ではないので、いつもこの質問にどきどきします。ちなみにトラウマ的な状況にある人々を被験者にしたりはしません。

最後の質問はいつも同じです。「相手のために死ねますか?」

彼らは「もちろん!」と当然のように答えるので、わたしはたじろぎました。

恋人の写真を見ているときと、普通の写真を見ているときの脳をスキャンしました。
間には気分をリセットするようなタスクを挟みました。そうすると、同じ脳における活性状態と不活性状態が見てとれました。 また脳のさまざまな領域が活性化していることもわかりました。

実はこれがもっとも重要なことなのですが、コカインでハイになるときに活性化する領域と同じ部分が活性化していたのです。

私はロマンティックな愛は感情ではないと気づき始めていました。

愛は乱高下する一連の感情だとずっと思っていましたが、実は衝動でした。
心の衝動、欲望、切望から来るものなのです。
チョコレートのかけらに手を伸ばすときや、仕事で昇進を勝ち取りたいときのような心情です。それが脳のモーターであり、衝動なのです。
 

愛に関する脳のシステムは3つある

実はこれは性衝動よりももっと強力です。

仮に誰かをベッドに誘って断られたとしても、自殺したりうつ病になったりはしないでしょう。

しかしフラれて人を殺してしまう人はいるでしょう。

人は愛のために生き、愛のために殺し、愛のために死ぬのです。

愛の歌があり、詩、小説、彫刻、絵画、神話、伝説があります。

175以上の社会で、人はこの強力な脳のシステムの証拠となるものを残してきました。そして私は恋愛こそが大いなる喜びと悲しみを生み出す、強力な脳のシステムなのだと考えるようになりました。

同様に、恋愛は交配と生殖から生み出された3つの異なる脳のシステムのひとつだと考えるようになりました。

1つ目は性衝動、性的な喜びへの切望です。

W・H・オーデンはこれを「我慢できない神経の痒み」と呼びました。
確かにその通りですね。性衝動は、空腹のようなちょっとした苛立ちです。

2つ目はロマンティックな愛、気分の高揚や恋愛初期に感じる執着です。

3つ目は愛着、長年のパートナーに感じるやすらぎや安心の感情です。

性衝動が進化したのは、人を外に向かせ、広範囲にパートナーを探させるためだと考えています。ただ車を運転しているときにも性欲を感じるでしょう。誰に向けられたものでもありません。

ロマンティックな愛は、交配のエネルギーを一時的にひとりに集中させるために進化したと考えています。そうすることで、交配の時間とエネルギーを確保するのです。

3つ目の脳のシステムである愛着が進化したのは、チームとして最低限の間子どもを育てられるように我慢させるためです。

これを前提として、2つのもっとも重要なソーシャルトレンドについて議論していきたいと思います。

ひとつはこの1万年とちょっとのことで、もうひとつはこの25年のことですが、3つの異なる脳のシステム—性欲、ロマンティックな愛、愛着に影響を与えることでしょう。
 

女性の社会進出は過去への回帰だった

1つ目は女性の就労、社会進出です。私は国連の統計資料で130の社会を調べました。
世界のいたる所で、130中129の社会で、とてもゆっくりではあるものの、女性は労働市場に参入してきています。そのうえ、経済力や健康、教育といった点で男性との差を徐々に縮めているのです。とてもゆっくりとです。

地球上のあらゆるものごとには、対抗する流れが生じます。それでもアラブのことわざにあるように「犬は吠えるが、キャラバンは進む」のです。女性は労働市場に戻ってきました。「戻って来た」と言ったのは、これが新しいことではないからです。 何百万年もの間、アフリカの草原地帯では、女性が外に出て野菜を採集していたのです。夕食の6割から8割にあたる食料を持って家に帰りました。共働きの家族が通常でした。女性は経済的、社会的、そして性的な強さでも男性と同等だとみなされていました。

要するに、我々は過去に回帰しているのです。 女性にとって、最悪の発明は耕作に使う「すき」でした。すきを使った農業の始まりとともに、男性の役割が非常に大きくなりました。女性は採集する古代の役割を失いましたが、産業革命とポスト産業革命を経て、労働市場に戻ってきました。

要するに、女性は100万年、1万年、10万年前の地位を取り戻しつつあるのです。我々はいま、人類の歴史においてもっとも注目すべき伝統のひとつを目の当たりにしているのです。これは大きな影響力を持つことになるでしょう。
 

女性の特徴であるWeb思考とは?

私は普段、ビジネスコミュニティにおける女性の影響力について包括的な講義をするのですが、今日は要点を絞ります。

セックスと愛についてです。

ジェンダーの違いにはさまざまなものがあります。男と女が同じだという人は、子どもをもった経験がないのでしょう。
私には、彼らがなぜ男女が同じだと考えたいのか理解できません。共通点はたくさんありますが、全体としては異なる点が数多くあるのです。

テッド・ヒューズの言葉を借りると、「男女は2本の足のようなものだ。前に進むにはお互いが必要となる」ということです。しかし男女は進化の過程で、異なる脳を持つようになりました。そしてジェンダーによる脳の違いがますます明らかになっています。

2つの男女差を話して、セックスと愛の話に移ります。

1つ目は女性の言語能力です。女性はうまく話すことができます。 女性がすぐさま正しい言葉を見つける能力は、月経周期の半ば、エストロゲンの分泌がピークに達するときに向上します。ところが生理中でさえ、その能力は男性より上です。女性はしゃべることが得意なのです。

女性は百万年に渡って話し続けてきました。言葉は女性の道具でした。赤ちゃんを抱き上げ、なだめたり、叱ったり、教育したりするときに言葉を使ってきました。そうやってとても強い力を持つようになってきたのです。
インドや日本のような、女性の労働市場への進出が遅れていたような国でも、女性はジャーナリズムの世界に進出しています。テレビはグローバルなキャンプファイアのようなものです。火を囲んで座り、考えを形成します。 私がテレビに出演するとき、私を呼んでくれて何を話すかを交渉するプロデューサーは、ほとんどいつも女性です。

ソルジェニーツィンは「偉大な作家を持つことは、もうひとつ国家を持つことに等しい」と言いました。 現在、アメリカの作家の54%が女性です。言語能力は女性が持つたくさんの特徴のひとつですが、労働市場にもそれを持ち込むでしょう。女性は素晴らしい社交術と交渉術を持っています。そして想像力に富んでいます。

想像力や長期計画に関する脳内回路は解明されています。女性はWeb思考者である傾向が高いです。なぜなら女性の脳は各部位がうまくつながっているからです。

考えるときにたくさんの情報の断片を集め、複雑なパターンに組み換え、より多くの選択肢や成果を見出す傾向があります。文脈重視で、全体を見て考える、まさにWeb思考的な傾向があると言えます。
 

女性が女性性を表現する風潮が高まっている

男性は ー 平均的にですが ー 無関係とみなされるものを無視し、自分のやることに焦点を当て、段階的な考え方をする傾向にあります。

男女ともに、どちらも良い考え方です。進歩していくためには両方が必要なのです。 世界には天才的な男性がたくさんいます。同時にまぬけな男性も多いですが。 (会場笑)

男性の脳が働くときは、本当によく働くのです。世界は男女の共同社会に向かいつつあると思います。男女双方の能力が理解され、評価され、活用される社会です。

しかしながら女性が労働市場に参入することで、セックスとロマンスと家族の生活に多大な影響が及んでいます。

何より、性的関心を表現する女性が増えています。

私がいつもびっくりさせられるのが、
「なんで男ってこんなに浮気症なの?」と聞いてくる人がいることです。

「どうして女より男が浮気症だって思うの?」と返すと「とにかく男は浮気症なの!」と言うので「そんな浮気者と寝てるのは誰なの?」と言ってやります。 (会場笑)

誰でもわかることですね。 欧米では女性の初体験は早まり、より多くのパートナーを持っても良心の呵責も少なく、晩婚化、少子化が進み、悪い夫にはさっさと見切りをつける傾向が見られます。女性が女性性を表現する風潮が高まっているのです。

そして繰り返しになりますが、我々は百万年前のアフリカの草原地帯で見たような性的表現に回帰しているのです。というのもこれは狩猟採集社会に見られる性的表現なのです。
 

結婚は今よりも安定したものになるかもしれない

ロマンティックな愛も高まっています。

アメリカ人女性の91%と、アメリカ人男性の86%は、たとえ結婚相手に求める資質をすべて満たしていても、愛がなければ結婚しないだろうとされています。

37の社会における研究によると、世界中のどこでも、人は愛する相手と結婚したいのです。実際に、お見合い結婚は姿を消しつつあります。 2つの大きな世界的な流れのために、結婚はもしかするとより安定したものになるかもしれません。

1つ目は女性の労働市場への参入でしたが、2つ目は高齢化です。 いますでにアメリカでは、中年を85歳までとみなすべきだと言われています。というのも、76歳から85歳までのもっとも高齢なカテゴリに属する人の40%もが、健康上まったく問題がないからです。中年期の拡大という現実にも直面しています。

私は本を書くために、58の社会における離婚のデータに着目しました。それでわかったのは、年をとるほどに離婚率は下がるということです。現在アメリカにおける離婚率は落ち着いていますが、実は下がり始めています。今後はもっと減少するかもしれません。

女性はバイアグラ、エストロゲンの補充、人工股関節置換などで、非常に魅力的になっています。かつて女性がこれほど魅力的だったことはないでしょう。女性が教育を受け、魅力的かつ可能性に満ちた時代は過去に例を見ません。人類の進化において、良い婚姻形態をつくる機会があるとすれば、それは今だと思います。
 

人間は幸せになるためにはつくられていない

しかし厄介な問題も伴います。

それは脳の3つのシステム ー 性欲、ロマンティックな愛、愛着、がいつも同時にうまくは働くわけではないということです。もちろん同時に働くこともあります。

ただの遊びのつもりだったセックスは本当の意味で遊びではないのです。 オーガズムによってドーパミンが活性化します。ドーパミンはロマンティックな愛に関係するので、遊びの相手と恋に落ちることもあるのです。

オーガズムは愛着に関わるオキシトシンとバソプレッシンの分泌を促します。よってセックスをした後、その相手と親密な感覚を味わうことができるのです。

しかしながら、性欲、ロマンティックな愛、愛着、の3つの脳のシステムは、いつも関係し合っているとは限りません。

長年のパートナーには深い愛着を感じる一方、そうでない人には一時的にロマンティックな愛を感じることもあり、そのまた一方でまったく関係のない誰かに性欲を抱くこともあります。

要するに、我々はひとり以上を同時に愛することができてしまうのです。

夜ベッドに寝ながら、ある人への深い愛着と、別の誰かへの恋心で揺れ動くことがあるでしょう。それはこれからどうしようかと頭の中で議会を開いているようなものなのです。 正直に言うと、人間が幸せになるためにつくられた生き物だとは思いません。

人間は生殖するためにつくられた生き物です。私たちが感じる幸せとは、つくられたものかもしれません。それでも、我々は互いに良い関係を築くことができるのです。
 

抗鬱剤が愛に与える影響

では、2点にまとめたいと思います。懸念と、もう1つは素敵な話です。

懸念とは、抗鬱剤についてです。アメリカでは毎年1億人以上が抗鬱剤の処方を受けています。これらの薬は一般的になりつつあり、世界中に広まっています。

私はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を13歳のときから服用している女性を知っています。彼女は現在23歳で、13歳からずっと服用しているのです。 何らかのひどい出来事を乗り越えようとするときなど、短期間の服用に異議を唱えているわけではありません。自殺や他殺の衝動に駆られたときには、むしろ服用を勧めるでしょう。

しかしアメリカでは、長期間服用する人がどんどん増えています。 これらの薬は、セロトニンのレベルを高めます。それにより、ドーパミン経路を抑圧するのです。

皆さんがご存知の通り、ドーパミンはロマンティックな愛と関係があります。
セロトニンはドーパミン経路を抑圧するだけでなく、性衝動をも抑えるのです。そうするとオーガズムも抑圧されます。オーガズムを損なえば、愛着に関連する脳内物質の分泌も損なうことになります。それらは脳内で関係し合っているのです。脳内のシステムを1ついじってしまうと、同時に別のシステムをいじることになります。

愛の無い世界は、死の世界だと言えるでしょう。 (拍手)
 

人はなぜ恋に落ちるのか

ありがとうございます。結論に入ります。

その前に一言。

私は30年に渡ってロマンティックな愛とセックスと愛着について研究してきました。私は一卵性双生児です。なぜ我々はこうも似ているのか興味があります。なぜ私とあなたは似ているのか、なぜイラク人と日本人とオーストラリアのアボリジニとアマゾン川の人々が似ているのか。

約1年前、インターネットの出会い系サービスであるマッチドットコムから、新しい出会い系サイトのデザインの依頼をされました。「私は人格について何の知識もありませんが、私が適任だと思いますか?」と言ったところ、彼らは「はい」と答えました。

それ以来、なぜ人はある特定の誰かを好きになるのかと考えるようになりました。 それが現在のプロジェクトで、次の著書となるでしょう。

特定の誰かを好きになるのにはさまざまな理由があります。
タイミング、近接性、ミステリーなどが重要です。人はいくらかミステリアスな人を好きになりますが、それはミステリアスさが脳内でドーパミンを高めるからです。それで人は恋に落ちてしまうのです。
また人は「ラブマップ」に適合する相手に恋をします。それは幼少期から無意識に築いてきた特定のリストです。そういうわけで、何かしらの相補的な脳のシステムを持つ人に惹かれるのでしょう。これがいま進めているプロジェクトです。
 

北京で実際に起こった、ある愛の話

ここである話をしたいと思います。ここまで愛の生物学について話してきました。
これから少し愛の文化と、魔法についてお話します。これは又聞きした話なのですが、おそらく本当の話です。

ある院生の話です。私はラトガー大学にいて、2人の共同研究者がいます。
その1人アート・アーロンは、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校に在職中です。
そこは我々がMRI検査した場所です。
そこの院生であるこの男性は、同じ大学院生の女性に恋をしました。しかし女性のほうは、彼に気がありませんでした。あるとき、2人は北京で行われた学会に参加していました。
彼は我々の研究から、誰かと奇抜なことを一緒にするとドーパミンが増大し、それが脳内の恋愛システムに働きかける可能性があると知っていたのです。 (会場笑)

そして彼は実験をしてみることにしたのです。彼はその女性を人力車に乗ってデートしようと誘いました。 もちろん私は乗ったことがないのですが、バスやトラックの間を走り抜ける姿は明らかにクレイジーで、騒々しく、エキサイティングでした。

彼女のドーパミンが増えれば、彼のことが好きになると期待したのです。2人は出発しました。彼女は悲鳴を上げ、彼を抱きしめ、素晴らしい時間を過ごしました。 約1時間後、彼らは人力車を降りました。すると彼女は感激して言いました。

「素敵じゃなかった?」

「人力車のお兄さんハンサムだったよね!」と。 (会場笑、拍手)  愛の魔法です! 

これで最後です。

何百万年も前3つの基本的な衝動が進化しました。
性衝動とロマンティックな愛、長年のパートナーに対する愛着です。
これらの回路は人類の脳に深く埋め込まれています。

人類が生きながらえる限り、これらも生き続けるのです。シェイクスピアの言葉を借りると、「この世の煩わしさ」として。

ありがとうございました。



人類学者 Helen Fisher(ヘレン・フィッシャー)氏(TED2006)


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