米軍の出資で BigDog をはじめ各種軍用ロボを開発する Boston Dynamics が、二足歩行ロボット PETMAN の新映像を公開しました。PETMAN は人間の兵士用の装備をテストするためのヒューマノイドロボ。
人間の身になって試験する目的から、バランスを保った二足動歩行はもちろん、両腕も人間に近い可動域を備え、体操や腕立てまでこなします。続きの動画は試 験用に化学防護服を着せられ防毒マスクを被ったPETMANの姿。
PETMAN は国防総省の化学・生物兵器防護プログラムのもと、防護スーツなどの性能を実際の戦場に近い状況でテストするために作られました。そのため今回の防護服・ ガスマスク姿は、テスト用ロボットとしては晴れ姿?のようなもの。防護服の気密性や人体への影響をシミュレートするため、皮膚には各種センサーのほか発汗 機構や体温調節機構まであります。
ボストン・ダイナミックスのロボットは実際の生物にヒントを得た設計から、形状は異様でもどこか動物らしく、時にユーモラスな動きがたびたび話題となって きました。荷役用の四足歩行ロボ BigDog / LS3 などは特に「キモかわいい」などと表現されることもあります。
しかしPETMANは人間の模倣そのものを目的とすることから、最新モデルではもはや服を着ると人間のようにしかみえない、むしろ人間が高性能なロボット を演じているようにすら見えます。(全身に伸びるワイヤー類は転倒・破損の防止や動力、センサー接続などのため)。
一方で人間に近ければ近いほど、微妙にキレの良すぎる動作や異様な動作音といった違和感が際立つのもたしか。ヒューマノイドロボットは人間に近づくとある 段階から急に違和感のほうが先だち不気味に見えるという「不気味の壁」説を、顔も表情もなく動きで示しているかのようです。
実際の「中身」が見えるのは動画の半ばから。「やっぱり中の人が居るんじゃないの?」「なんだったら脱ぎましょうか?」といったやりとりを勝手に当てたく なります。
PETMANで得られた試験データはより高性能な防護服やマスクの開発に役立てられ、軍用および災害救助などに従事する人間を守るため貢献する予定。です がいつかは、防護服の救助隊が来てくれたと思ったら、中身は動力内蔵に進化したPETMANの子孫だったということになるかもしれません。
(こちらは2009年当時、まだ「箱に足」でよちよち歩きだったプロトタイプPETMAN。)