水曜日, 2月 04, 2015

SOUND Canvas for iOS|roland


ローランドSC-88が iOSで復活。MIDIプレーヤ付きソフトシンセ音源SOUND Canvas for iOS発売





ローランドが、iOS用ソフトウェアシンセサイザーアプリSOUND Canvas for iOSを発売しました。価格は税込2000円ですが、2月15日までは発売記念で1500円。対応OSバージョンはiOS 8.1.2以上、対応機種はiPhone 5s、iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPad Air以降、iPad mini 2以降。

特徴は、同社が1991年から1999年に発売していたシンセサイザー音源モジュールSC-8820、SC-88Pro、SC-88、SC-55(これらを含む音源のシリーズ名がSOUND Canvasです)との互換性を備えた音色配列(マップ)を搭載する点。「8820(88Pro)互換のiOS機用ソフト音源」という、当時のパソコンユーザーにとってはある意味衝撃的な仕様です。

ローランド iOS用ソフト音源 SOUND Canvas for iOS

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さらに画面モード(スキン)は、iPhone用だけでなく、表示情報量の多いiPad用も用意(自動判別)。それぞれに楽曲制作に使いやすい、音源モジュールSC-88Proのパネルデザインを模した「SOUND Canvasスキン」と、楽器練習や楽器カラオケに便利な「プレーヤースキン」の2つを装備。切り替えて使えます(上画面はiPad用のSOUND Canvasスキンで、下がプレーヤースキンです)。



音色数は1600+ドラムセットとして63種類。同時発音可能な制限はパート数が16、発音数は64音。音色マップは上述した4モデルに加え、GM(General MIDI)2仕様と、SOUND Canvasシリーズ登場前の音源モジュールであるCM-64もカバー。

さらにエフェクトとして、リバーブ/コーラス/ディレイ/2バンドトーンコントロールに加えて、任意パートに効果が適用可能な64種類のインサーション・エフェクトも装備。また演算精度の向上などにより、音質は実機以上とされている点もポイント。ローランドは「現代の技術を駆使し、より高品位なサウンドを提供いたします」とアピールします。



さらに、SMF(スタンダードミディファイル)仕様の曲データを再生可能なプレーヤーも搭載。曲のキーやテンポを変更できるほか、任意選択範囲のループ再生や、複数のSMFファイルを連続再生できるソングリストプレイ機能などにも対応します。

そしてもう一つのトピックが、iOS機用MIDIインターフェイスを介してPCなどと接続することで、MIDI音源モジュールとして使用できること。iOSのCore MIDI仕様にも対応するため、Core MIDIが使える音楽アプリや周辺機器との連携も可能です。



となると気になるのは実音源との互換性ですが、ローランドのニュースリリースには「開発にあたっては、当時、通信サービスとして活況を呈していた"NIFTY-Serve"のMIDIデータ・フォーラムで活動されていた外部ユーザーの方にも連絡を取り、ご意見を参考にさせていただきました」との文面があります。ここからは、実音源や当時のファイルとの互換性に関してはかなりの配慮をされているであろうことが覗えます。

ただし「データによっては音色の微妙なニュアンスの違い・音量バランス・発音タイミングが異なる場合があります」との注意書きもあるため、やはり100%実機と同じというわけにはいかないのかもしれません。

また、iOS機用のソフトウェア音源としてはかなり強力ですが、その分CPUパワーやメモリも要求されるためか、対応モデルは冒頭のように、CPUとしてApple A7以上を搭載するモデルに限られています。ここは若干注意が必要なところでしょう。



1990年代にPCをホビーとして使っていたユーザーの中では、MT-32やCM-64、そしてSC-88ProをはじめとするSOUND Canvasシリーズをはじめとするローランドの音源は一種の憧れがあった存在(一方で「何言ってんだ、現役で使ってる」という方も多い製品ですが)。

対応するiOS機さえあれば手頃な価格で当時のMIDIデータなどが実機以上の音質で楽しめる本ソフトは、当時のユーザーにとっては一聴の価値ありと呼べそうです。また、SC-8820が今の音源モジュールの礎となったモデルである点や、コストパフォーマンスの高さを考えると、音楽制作を志す方の音源モジュール入門用としても好適かもしれません。