火曜日, 5月 21, 2019

『Young Americans』 Marie Tomanova

チェコの若き写真家が肉薄した「NYの若者たち」の写真集

チェコの若き写真家マリー・トマノヴァが、初の写真集『Young Americans』を刊行。序文を寄稿したのは、彼女の憧れの存在であり、NYに引っ越すきっかけになった写真家のライアン・マッギンレー。マリーに写真集発売までの経緯、彼女のヒーローについて訊いた。

 

前回マリー・トマノヴァをインタビューしたのは、ニューヨークのチェコセンターで彼女の初の個展「Young Americans」が開催されたときだった。展示されたのは、マリーがニューヨークで出会った若者たちのポートレイト。チェコ共和国から渡米した彼女は、ノースカロライナでの生活を経て、ネットでみたライアン・マッギンレーの作品をきっかけにニューヨークに移住する。そんな彼女が、3月末に同タイトルの写真集を発売。本作に序文を寄せたのは、他でもないマッギンレーだ。「彼が本にするべきだ、って勧めてくれて。それにもすごく勇気づけられました」と彼女は自身のヒーローに会った瞬間を振り返る。「彼は才能に溢れた、懐の広いひと」。ニューヨークの書店ダッシュウッド・ブックスで発売された本書は、初日にわずか1時間で完売してしまったが、このサイトから買うことができる。マリーが夢のような1年について語ってくれた。


──今回、写真家のライアン・マッギンレーが序文を寄稿してくれたそうですね。


写真集を出すことが夢だったので、まさか憧れの写真家に序文を書いてもらえるなんて思ってもいませんでした。ほんとに信じられなくて。途方もなく大きな、実現しそうにない夢も、叶うことがある。そのことに私自身感動しています。自分を縛っていたものから自由になれたし、このエピソードが他のひとに勇気を与えるきっかけになればうれしいです。
8年前の私にこのことを伝えたとしても、「まさか、ありえない」っていうと思います。ライアンの作品に出会ったのは2011年、ノースカロライナに住んでいたとき。突然ネットに彼の写真が出てきて、すぐに惹きこまれました。それから彼について調べて、いろんな作品をみて、野原を駆け回ったり、木登りをする若者たちの姿に夢中になりました。彼の作品がすごく心に響いたんです。それで翌年、オーペアとして米国に行って、ライアンに会うためにニューヨークに行こう、と決めました。結局、そのあと何年も彼に会えませんでしたが。当時はすごくシャイだったので。




──この写真集は、チェコセンターで開催された個展をまとめたものですよね。


個展で展示した14枚以外に、スライドショーで映した作品も収録しています。300枚近くのポートレイトをループ再生したんです。かなりクローズアップした写真だから、この展示方法はぴったりだったと思います。巨大な顔がじっとこちらを見つめていて、彼らの瞳に吸いこまれそうで。最高でした。
そのあと、どうやって本にまとめるか、かなり悩みました。そのままのサイズでは収録できないから。すごく勉強になりました。今、こうしてかたちになった本を実際に手にとって眺めていると、すばらしい作品になったと思うし、とても幸せです。


──写真のモデルはどうやって探すんですか?


ニューヨークでは、歩いているだけで魅力的なひとに出くわします。毎日のように、街ゆくひとのポートレイトを撮りたくなる。ファッション好きなひと、他人と違うことや自分らしくあることを恐れないひと…この街は興味を惹かれるひとで溢れています。




──最近、8年ぶりにチェコに帰ったそうですね。


帰国したとき、ニューヨークで暮らせることがいかに恵まれているかを実感して、感謝と幸せでいっぱいになりました。チェコにもクールで個性的なひとがいないわけじゃないけれど、ニューヨークとは全然違います。向こうでは若者はあまり撮らず、風景写真やもっと上の世代のポートレイトなど、まったく別のシリーズに取り組みました。それから街の雰囲気の違いがわかるような作品も。ニューヨークには独特の雰囲気があります。ユースカルチャーの力も大きい。クリエイティブで、多様性に満ちていて、情熱的で、唯一無二。この街の若者には、確固たる意志があります。




──ライアンに初めて会ったときのことを覚えていますか?


個展が始まったとき、彼に自分の作品をみてほしい、という想いがふとこみあげてきて。勇気を出して、ライアンの個展「Mirror, Mirror」のオープニングに行きました。去年の夏、私の個展が始まった翌日のことです。そこで彼に挨拶して、ぜひ個展をみにきてほしいと伝えました。すると彼は、わざわざチャイナタウンからアッパーイーストサイドまで自転車で来てくれたんです。
会場では2時間近く、ライアンと座って話したり、スライドショーを眺めたり、写真を撮ったりしました。モデルのなかには彼の知り合いもいて、私たちが同じようなひとを撮っていることもわかって。隣に座って直接アドバイスをもらえるなんて、夢のような時間でした。そのときに彼が写真集にまとめるべきだ、って勧めてくれて。
それにもすごく勇気づけられました。彼は才能に溢れた、懐の広いひと。あの瞬間から、彼は私にさらに大きなインスピレーションを与えてくれる存在になりました。





金曜日, 5月 10, 2019

バンドしようぜ<第25話>「12月」吉泉 知彦

 

バンドしようぜ<第25話>「12月」


中古ディーラーの「ディープ・パープルでテンション上げ作戦」を辛うじて回避したドラム・沢尻。次なる刺客は、まさかのバンド仲間ベース・土沼! 財布の寂しい中年の物欲地獄やいかに!?

 

第25話 『12月』

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アメ車よりマシかもしれないけど……本当にいいのか!? ドケチ・沢尻。まったく登場しないけど、息子(引きこもりニート)も「パパママ聞いてくれ DTMしか知らないオレのことを誇りに思って欲しい」言っちゃうぜ!!

 

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<登場人物 プロフィール>


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沢尻肇(ドラム)45歳 家電量販店勤務
高校生の時からコピーバンドを趣味で続けている。18歳の息子の竹夫は引きニートだが宅録が趣味。音楽の話をしようとすると煙たがられる。今のところ腕力では優勢。

 

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菊池ミキ(ボーカル)39歳 理容師だったが今はスナック勤務
佐々木と付き合っていた過去がある。カッとしやすい性格。酒が入るとヒートアップしがち。スナック「五色沼」のエースホステスとして、日々常連のボトルを飲み干している。

 

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佐々木達郎(ギター)40歳 自動車整備工場勤務
7歳の娘がいるが別れて暮らしている。現在の彼女は、aiko系女子・よし子。身近な女性にすぐ惚れがち。

 

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土沼孝之(ベース)44歳 高校の社会科教師
沢尻の高校の同級生で当時から一緒にバンドをしていた。
佐々木に車を直してもらった縁でバンドを始める。趣味はバス釣り。理不尽な怒りを向けられがち。

 

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桜井仁美 24歳 家電量販店勤務
一回り以上年の離れた上司、ドラム沢尻に好意を寄せている(すでに告白済み)。細身だがボイン。ピアノが上手く、バンド経験あり。客や同僚など、ストーカーを惹きつけがち。

 

♪第25話の楽曲♪

BLANKEY JET CITY/12月
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