月曜日, 7月 27, 2015

「B+COM SB5X」レビュー

バイク用インカムの最新モデル「B+COM SB5X」レビュー、ツーリング中の双方向通信が便利




サインハウスがリリースする「B+COM」はバイク用インカムとしてトップシェアを誇る人気シリーズ。今回、ついに最新モデル「B+COM SB5X」が登場しました。 


バイクを運転する際にはヘルメットを着用するので、後部座席の人や他のバイクに乗っている人との会話は、停車している時に大声で話すしかありません。走行中は、風切り音も発生するため、肉声で会話するのは至難の業といえます。そこで、ライダー達は意思の疎通を図るためにハンドサインを活用しますが、これでは細かいことは伝えられませんし、もちろん雑談なんてできません。そこで、ヘルメットにスピーカーとマイクを仕込んで無線で通話する手段が求められます。

無線での通話と言っても、従来のトランシーバーでは双方向通話ができず、どちらか一方の人が発言していると、もう一方の人は黙って聞いているしかありませんでした。トランシーバーでの会話で発言の最後に「どうぞ」とか「以上」とか「オーバー」などと言っているのは「自分の発言は以上で終わりです。そちらが発言しても結構ですよ」という意味です。

B+COMって何?

その点、この「B+COM」は無線規格にBluetoothを採用しているため、双方向で会話が可能になり、より日常会話的な「おしゃべり」が出来る点が大きなメリットとなります。複数人での会話もできるので、クロストークで盛り上がるのも一興です。また、一般的なBluetooth機器と同様に「ペアリング」さえすれば、簡単にインカム同士を接続して会話ができることも特徴の1つです。



「B+COM」はバイク用インカムのシェアNo.1ということで、一緒にツーリングする人が「B+COM」を持っている可能性が高く、ツーリング当日にペアリングして即座に会話できるという手軽さも人気の理由となっております。ちなみに、Bluetoothのプロファイルに対応している機器であれば、「B+COM」シリーズでなくとも接続可能なはずですが、未検証のため動作保証外というのがメーカー発表となっています。

トランシーバーは、発言する際にはボタン操作が必要になり、バイクを運転している最中にその操作をするのは非常に煩雑でした。

「B+COM」は超省電力で駆動するため、一度接続したら繋ぎっぱなしで使えてしまうので、発言のたびにボタンを操作する必要がありません。ただし、鼻歌やくしゃみ、独り言なども相手に聞こえてしまうというデメリットもあります。会話が不要な時は、切断しておけば問題はないのですが、そういうハプニングも楽しんでしまうのもツーリングの醍醐味と言えるでしょう。

さらに、「B+COM」はBluetoothチップを2基搭載しているため、会話以外にもスマホとペアリングしてナビの音声案内や音楽を聴くことも可能です。

新型 B+COM SB5Xの主な特徴

  • 最大4台までのB+COMをペアリングして4人同時通話が可能(別売りのB+COM Stationを導入すれば最大6人)
  • デュアルBluetooth搭載で会話に加えてナビの音声案内や音楽も同時に聴くことが可能
  • 電波到達距離 最大1.4km(障害物がなく見通しが良い場合)
  • 最大通話時間 約18時間
  • 新設計のマイクは高音質でクリアな会話を実現
  • IP67レベル防水

以上のことからも、グループでのツーリングや二人乗りなど、バイクのレジャーシーンで大活躍するという代物だと言うことが解ります。

B+COM SB5Xを開封


B+COM SB5Xの内包物はご覧の通り。左からスピーカー、スピーカ取り付け部品、本体、マイク2種類、ベースユニット一式、充電用USBケーブル。



本体です。表面はマット調で仕上げられています。



アンテナを引き出した状態。



操作は3つのボタンと1つのダイヤルで行います。Bluetoothのアイコンがある場所がボタンになっており、このボタンを押しながらダイヤルを操作しないと、ダイヤルの入力を受け付けません。誤ってレバーに触れて誤操作しないための配慮になります。このダイヤルはボリュームの調節や電源のオン/オフなどの操作に使います。



本体の上下にもボタンがあり、ペアリングや通話の発信などに使用。



本体にはLEDを組み込んでいて、操作に対する応答やB+COMの動作状況などを知ることが可能です。



充電はスマホなどと同じくmicroUSBを使用。0.8Aなので、モバイルバッテリーでの充電も可能です。



サインハウスがリリースする「B+COM」はバイク用インカムとしてトップシェアを誇る人気シリーズ。今回、ついに最新モデル「B+COM SB5X」が登場しました。前編に引き続き後編では実際の装着方法やツーリングの様子などをお伝えします。 

ヘルメットにB+COM SB5Xを取り付ける


今回は、筆者が常用しているこのヘルメットにB+COM SB5Xを取り付けてみます。




まずは、スピーカーを取り付けます。チークパッドと呼ばれる頬の部分の内装部分を取り外します。



チークパッドを取り外したら、表面を覆っている布をめくり、耳にあたる部分にスピーカーを両面テープで貼り付けます。スピーカーは左右が1本のケーブルで接続していますが、左耳側に本体との接続端子が来るように配線します。



次にマイクを取り付けます。今回はフルフェイスのヘルメットなので、ケーブル状になっている「ワイヤーマイク」を使用します。専用スポンジを口にあたる部分に貼り付けます。この際、ケーブルはヘルメットの左側に来るように配線します。




ケーブルは内装の裏に隠すように配線して、コネクタはとりあえず、このように余裕を持った状態でぶら下げておきます。




いよいよ本体を取り付けます。まずは、本体を固定する「ベース」をクリップをヘルメットのフチに挟み込んで取り付けます。




次に本体をベースに取り付けます。やや上からスライドさせるとカチッとはまります。




最後にスピーカーとマイクのケーブルを本体と接続し、余ったケーブルを内装の内側に押し込めば取り付け完了です。





取り付けが完了するとこのようになります。




ジェットヘルメットにはフレキシブルアームタイプのマイクを接続します。取り付けイメージはこのとおり。

ヘルメットのメーカーやモデルによって、内装が外れないタイプや形状が違う場合もあるので、スピーカーの取り付けは臨機応変に対応するのが吉です。

では実際にB+COM SB5Xを使ってみます!



B+COM の実力ってどうなの? という疑問に応えるべく検証を敢行しました。場所は平日の東北自動車道。渋滞はないものの、一般車両が程良く流れている道路状況。ツーリングといえば 高速道路での移動も考えられるため、時速100kmでの使用を検証すべく、この場所を選びました。




愛車を駆り出す筆者と助手。




B+COMを取り付けたヘルメットの装着状態。見た目は違和感がなく、ヘルメットを被ってしまえば、特に意識する必要もありません。


通常走行
東北自動車道までの下道では、クリアな音声で会話が楽しめました。ただし、高架下などで多少ノイズが入ったものの会話には影響のない程度。

高速走行
被っているヘルメットの風切り音はするものの、B+COMからの音声は非常にクリアに聞こえる状態。もちろん、会話の内容も問題なく聞き取れ「次のサービスエリアに入ろう!」などの指示も伝わりました。

電波の飛距離
仕様でB+COM間の電波到達距離は1.4kmをうたっていますが、実際は2台のバイクの距離が300mほど離れたあたりからノイズが混じり聞き取りづらく なります。500mを超えるとほぼ聞き取れなくなり、通信が切断しました。さらに、2台の間に箱形のトラックが挟まると電波の距離が短くなったり、ノイズ が混じりやすいことが確認できました。

一度接続が途切れると、2台が近寄っただけでは再接続できず、どちらか一方が「発信」の操作をしないと再び会話ができないのは仕様とのこと。このあたりはBluetoothの仕様やバッテリーの消耗を考えると仕方ないかも知れません。

以下、B+COM SB5Xレビューまとめ

ココが○

  • 音質がクリア
  • 高速走行も問題なし
  • ペアリングが簡単
  • 本体のみで動作(バイクとヘルメットをケーブル接続不要)
  • 軽量・コンパクト

ココが×

  • 高額
  • 再接続するために操作が必要


筆者が現役ライダーとして強調したいのが、高速走行時の風切り音をもろともせずクリアな音声で会話ができること。これはかなりの高評価です。また、電源ケーブルなどを車体に接続しなくてもOKな点は、サービスエリアなどでバイクを降りる際など非常に便利です。加えて、トランシーバーと違って双方向通話が可能な点も大きいです。二人で同時に発声しても双方に聞こえるため、クロストーク的な雑談で盛り上がることもできます。(※トランシーバーは片方づつしか発声できません)

電波飛距離の問題ですが、高速道路で車間が大きく開いたりすると途切れることもありますが、下道ツーリングなどで、相手が視界にいるうちは問題なく使えると思います。ましてや、タンデム(二人乗り)のシチュエーションでは、距離が開くこともないので、接続が途切れる心配はないといえるでしょう。

問題は高額な価格。自分用に1台購入するのにアマゾン価格で約37000円。彼女や嫁用に2台セットを購入すると7万円は庶民にはなかなか手がでない価格。ただし、性能は秀逸ですし、会話をしながらツーリングが楽しめることを考えると仕方ない出費といえるかも知れません。

なおこちらのB+COM SB5Xですが、初期のファームウエアでは未対応の機能があるということで、現在メーカーのアップデート公開待ちの状態となっています。(メーカー発表

最後に一言......

最近、YouTubeなどで「motovlog」と呼ばれる、バイクに乗りながら日常的な雑談を発信するビデオブログが密かなブームとなっていますが、ツーリングレポートの際には、このB+COMを活用して、ツーリング参加者との会話も動画に収録するという手法が用いられています。ただ走行動画を編集するよりも、流れる景色と同時に再生されるリアルな会話が臨場感を一層高める効果が得られます。

つまり......



コレさえあれば、ヘルメットを5回ぶつけなくても「ア・イ・シ・テ・ル」は伝えられます!