金曜日, 2月 10, 2017

「なんで働かないといけないんですか?」と聞いた学生への回答。

 

 

「なんで働かないといけないんですか?」と聞いた学生への、とある経営者の回答。

 

昨年はこの時期には既に企業の「会社説明会」が始まっていた。が、今年は就職協定の影響で、来年の3月からとなっている。

学生の動きもそれにつられて遅くなるのかとおもっていたが、実際には水面下でかなりの学生が動いているようだ。これは、「インターン」と名付けられた「青田買い」の影響もあろう。


さて、とある会社の「インターン」に参加した学生の一人が、インターン終了後、あるメールを送ってきた。インターンへのお礼を綴ったメールであり、会社の経営者に宛てたものであったが、その中にある「質問」が含まれていた。

私はそのメールを経営者に転送し、どのように返答するか、支持を仰いだが、その会社の経営者は、質問を見て「自分で回答したい」と言った。

その質問とは、オブラートに包まれてはいたが、要約すれば、

「なんで働かないといけないんですか?」


という質問だった。


その経営者は「確かに、インターンの成績や、質問内容は採用や選考に関係ない、と言ったが、この質問はなかなか勇気がある」と感心し、まじめに答えたいと言い下のような主旨のメールを学生へ送った。


その学生からは感謝のメールを貰ったそうである。


こんにちは。
「なんで働かないといけないんですか?」という質問をもらって、私はとても驚きました。私は「働くのが当たり前だ」と思っていたからです。
でも、「当たり前」と思っていることを疑うことはとても大切なことだと思いますので、まじめに考えて、回答したいと思います。

私も、あなたと同じように「働くのはとてもつらく、苦しいことだ」と思っていました。今はどうか、と言えば、あまり変わっていないようにも感じます。相変わらず仕事は苦しいですし、楽であることは一つもありません。
でも、「働く」ことはあなたに多くの物をもたらすでしょう。それをお知らせします。



1.働くことは、お金をもたらす

「お金などいらない」という人も世の中にはいます。でも、あって困るものでもありませんし、多くの人はお金がなければ生活できません。むしろ、「お金のために働く」という人もたくさんいます。
ただ、「お金のためだけに働く」のであれば、あなたの言うとおり、仕事はつらく、苦しい物になってしまうかもしれません。多くの人は、人生の大半を「働いて」過ごしますが、それがつらく、苦しい物であることはできれば避けたいでしょう。
ですから、「仕事がどうしたら楽しくなるか」ということについて、知っておくことは大切だと思います。


2.働くことは、明確な目標をもたらす

「なんのために生きるのか?」という問いに対しては私は答えることが出来ません。でも、会社に入ってもらえれば、「この1年、何に取り組んでもらうか」ということについては明確なものを与えることが出来ます。
毎日を無為に過ごすよりも、明確な目標を持ち、それを達成するために努力することは価値があります。


3.働くことは、出会いをもたらす

単に「消費」するだけなら、誰とも会わずに済みます。そういった孤独が好きな方もいらっしゃるでしょう。でも、ほとんどの方にとって「孤独」はつらいものだと思います。
働くことは、社会に参加することです。働くことで、様々な出会いが発生します。職場の人のみならず、お客様、協力会社、関連する取引先には様々な方々がいます。
もちろん、それらが全て、あなたにとって意義ある出会いかどうかはわかりません。ですが、「一期一会」という言葉もあるように、一回の出会いが人生を変えることもあります。


4.働くことは、学びをもたらす

働くことは、「学び」をもたらします。会社に入れば知らないことだらけ、毎日学ばなければならないでしょう。また、自分の知識が陳腐化しないよう、学びはずっと続ける必要があります。
ただ、会社をやっていると、「学校の勉強が苦手だった」という人とよく出会います。でも、安心してください。学校の「勉強」と、会社における「学び」は、異なります。
学校の勉強は特定の問題をを短時間で「処理」することが目的でした。会社における「学び」は、問題づくりから始まり、答えを探して、現実にそれらを実行するまで全てに関わるプロセスです。それはとても創造的な活動です。
ですから、人は「学ぶ」ことで人生を豊かに過ごすことが出来ます。


5.働くことは、信用をもたらす

働くことは、責任を引き受けることです。責任のない仕事はありません。ですから、「きちんと働く人」というのは、「きちんと責任を果たしている人」とされ、社会的に信用されます。
また、「信用」はお金で買うことが出来ません。例を挙げましょう。あなたは、目の前の人が「単にお金を持っている」というだけで信用できますか?おそらく出来ないと思います。信用は積み上げた行動でのみ、測られるからです。
きちんと働くことは、信用を積み上げる第一歩です。



6.働くことは、自信をもたらす

あなたには「自信」はありますか?自信は大切です。
こう言うと、いや、「自信過剰」や「妙なプライド」は持つべきでない、というご指摘をもらうこともあり、ネガティブな側面を思い浮かべる人も多いかもしれません。
でも、誰にとっても「真の自信を持つこと」は大事だと思います。真の自信は、それまでにその人が積み上げた実績によってのみ得られるもので、虚勢や高慢とは無縁です。虚勢や高慢は、「自信」を持っている人の行動ではなく、「自信がないから、他者に認めてもらいたい」というだけのものだからです。
本当の「自信」は他者を必要とせず、「自分の力を発揮して、何かを成し遂げた」人だけにもたらされるものです。
働くことは、なにか成し遂げることです。「自信」は、一生懸命働くことから生まれます。


以上です。

これは私の個人的な考え方なので、学生のあなたがどう思うかはわかりません。
でも、あなたの疑問への一つの答えとなることを祈ります。


http://blog.tinect.jp/?p=10598






人事担当者「能力が高く、中身がない人って、いますよね」


ある会社で、人事担当の方に「能力は高いけど、中身のない人っていますよね?」と聞かれた。

「ほら、居るでしょう。仕事はできるんですけど、中身がない。

例えば「高いものは、いいもの」と無条件に思っちゃっている人とか、ビジネス書しか読まないとか、「エビデンスのないものは信じない」とか、言っている人。」


なかなか面白い視点だ。たしかにそのような人物に心あたりがないわけではない。

彼は続ける。

「最近、中途採用で応募してくる人にそういう人ちょくちょく見かけます。」

「そうなんですか。」

「そうなんです。彼らは時にMBAを持っていたり、難関資格を持っていたりもします。が、そういう人を採用するのは最近ではちょっとやめよう、という意見が社内から出ているんですよ。」

「どういうことでしょう?」

「一言で言えば、感性が乏しいというべきでしょうか。人の感情の機微を読むことや、発想力という点で、若干難がある気がするんです。」

「そういうものなんですかね」

私はしばらく考えた。なぜそのような方が避けられるのだろうか、と考え、その人事担当の方に質問した。

「能力が高くても、感性が乏しいと会社の成果に結びつかない、ということでしょうか。」

彼はいった。

「多分、彼らは器用に生きてきたのだと思います。人に評価される対象については、きっちり学習もしている。だけど、恐らく彼らには「信念」があまり無いような気がします。
だから、彼らは結局損得で動くし、人が自分から進んで動くような、心を震わせることも言えない。まあ、浅いんですよね。

仕事ができないわけではないんですが…なんというか、受け売りで生きている、といった印象を周りにあたえますよね。」

私はさらに質問した

「それが、ビジネス上の成果と関係があるのでしょうか」

「もちろんです。信念を持つ人を動かすためには、こちらにも信念がなければならないし、チームの本当の結束を作るためには、感性が豊かであるほうが有利です。
もちろん、これは新しいことを始めたり、面白い商品を作ったり、人と違ったことをするときにも必要です。要は、信念や美的センスがない人間に、ほんとうの意味で良い仕事はできません。」


「中身がある人」とは何か、うまく定義することは難しいように感じる。だが、何かしらの美学を持っている人のほうが、「芯がある」と多くの人は感じるのではないだろうか。

そして、良い会社は「個性を殺せ」とは言わず「芯のある人物」を求める。
「能力はあるけど、中身はないよね」という言葉はそういった要求からくるものなのだろう。

ほんとうの意味で良い仕事ができるよう、感性を豊かに保つことは重要なのだ、と感じる。



http://blog.tinect.jp/?p=18036




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